その定数は、まだ定数になっていない — 極限には閉じた式があり、各深さの値には無い
跳ね上がり比の裾 P(R > λ) ≍ C/λ の定数 C には、閉じた式があります——C = q²p/(ln2·(log₂3 − 4/3)) = 0.4215205965。しかし各深さ s での値 2s·P(log₂R ≥ s) は、深さ 140 でも ±0.3% で揺れ、一つの値に落ち着きません。振動の正体は log₂3 の収束分母で添字づけた鋸歯で、周期には閉じた式があり、転送作用素の最大固有値はちょうど 1/2 で、その下にギャップがありません。
Lean機械検査済み(Lean 4 + mathlib、標準三公理以下、sorryAx・native_decide なし。定理名を添える)
紙証明はあるが機械検査は未了
計算この端末で確かめた範囲。外に出す主張にはしない
既知言い換え・既知の定理・外の文献の確認
C とは何か
奇数 n₀ から始めて、出発点を初めて下回るまでに到達する最大値 ÷ 出発点を跳ね上がり比 R と呼びます。臨界性の記事のとおり、その裾の指数はちょうど 1 で P(R > λ) ≍ C/λ。
C は跳ね上がり比 R の裾の定数です——軌道の高さの分布の規格化定数ではなく、「出発点を初めて下回るまでの遠出の最大値」の裾の係数です。
問題を乱歩に書き直す
Vk を halving の累計、a = log₂3 として Wk := Vk − k·a と置くと——
W は歩幅 X = v − a の乱歩です(v は halving の回数で、Terras の定理から P(v=j) = 2⁻ʲ)。v − 1 = m と置き直すと形が綺麗になります。
| m | 確率 | 歩幅 X | |
|---|---|---|---|
| 0 | 1/2 | −0.5849625 | ★ これだけが負 |
| 1 | 1/4 | +0.4150375 | |
| 2 | 1/8 | +1.4150375 | |
| 3 | 1/16 | +2.4150375 |
下向きの歩幅は、常にちょうど −u の一種類だけです。確率 1/2 で、必ず同じだけ下がる。
だから新しい最小値を更新する幅(下降ラダーの高さ)は、必ず (0, u] に収まります。——Wiener–Hopf 分解が古典的に扱いやすい形です。
もう一つ、規格化の中身。Terras 分布の下で E[2−X] = 2a·E[2−m] = (3/2)(2/3) = 1 が厳密に成り立つので、2−W は厳密なマルチンゲールで、裾の指数がちょうど 1 になります。C はその行き過ぎ因子の定数です。
深さ 140 まで、厳密に計算する
状態は (e, k)。e = Vk − ⌊k·a⌋ は整数なので、畳み込みで厳密に追えます。深さ s に初めて到達したところで吸収し、P(log₂R ≥ s) を求める。P は 2⁻ˢ で小さくなるので、最初から 2ˢ を掛けて走らせ、各段で繰り込みます(線形なのでそのまま通ります)。計算
検算——奇数 100 億個の実測と、数値の安定性
| log₂R ≥ | 厳密(模型) | 実測(奇数 100 億個) | 比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 2.86274502×10⁻¹ | 2.86275×10⁻¹ | 1.00000 |
| 5 | 1.35362648×10⁻² | 1.35360×10⁻² | 1.00002 |
| 10 | 4.11675933×10⁻⁴ | 4.11450×10⁻⁴ | 1.00055 |
| 15 | 1.29088272×10⁻⁵ | 1.28160×10⁻⁵ | 1.00724 |
深いところのずれは標本の範囲の効果です(模型の誤りではない)。時刻の打ち切り(KM)と状態の深さ(EMIN)を 3 通りに変えても 13 桁まで同じ値が出ます。
| 深さ s | 2ˢ·P | 深さ s | 2ˢ·P |
|---|---|---|---|
| 41 | 0.4215574 | 85 | 0.4212565 |
| 49 | 0.4211851 | 93 | 0.4222548 |
| 57 | 0.4206278 | 101 | 0.4227638 ← 最大 |
| 65 | 0.4202788 | 109 | 0.4226197 |
| 69 | 0.4202040 ← 最小 | 121 | 0.4219289 |
| 77 | 0.4204239 | 137 | 0.4211523 |
s ≥ 40 での平均は 0.421444、幅は 2.56×10⁻³(±0.3%)。深さ 140 まで来ても、一つの値に落ち着いていません。
極限の閉じた式
紙 q と p は Wiener–Hopf 分解の二つの因子——下降ラダーの高さ H についての Spitzer–Baxter 級数で、q = (u − 1/3)/Ẽ[H]、p = 1 − Ẽ[2−H](Ẽ は傾けた測度)。下降ラダーの高さが (0, u] に収まる構造がそのまま効いています。形は Cramér–Lundberg の教科書どおりで、新しい数学ではありません既知。
この式は一周期の平均で 4×10⁻⁶ まで正しいことが確かめてあります。s = 3000〜6800(後述の主周期 3995.41 のちょうど一周期)の平均 0.421518768 は閉じた式と −0.00043% の差。s = 400〜700 の平均が +0.038% 上回るのは定数のずれではなく、周期 3995 の鋸歯をその 8% の窓で見た値です。転送作用素の 200 ビン近似も C を 1.1×10⁻⁶ まで再現し、下降ラダー高の法則を Spitzer 級数なしで直接出す独立の検算は、二つの補題 Ẽ[H] = (u − 1/3)/q・Ẽ[2−H] = 1 − p を 10⁻¹⁶ まで再現します(Ẽ[H] = 0.496570266041、P̃(H = u) = 3/4 は厳密)。計算
振動の正体——鋸歯と、ギャップの無い作用素
この歩行の到達しうる値は V − k·a(V, k は整数)の形です。a が無理数なので、この集合 ℤ + aℤ は稠密——格子ではありません。しかし a = log₂3 は有理数で異常によく近似できます。
行き過ぎは {σ·u} ちょうどです(位置の小数部が歩数だけで決まるため)。だから e2πin{ku} が水準降下作用素の近似固有関数になり、生き残るモードは log₂3 の収束分母 n で添字づけられます。各モードは深さ s について厳密に周期的な鋸歯で、周期と減衰に閉じた式があります。紙
| 収束分母 n | ‖n·log₂3‖ | 周期 Tn | 実測 | 1/e 深さ |
|---|---|---|---|---|
| 53 | 3.0125×10⁻³ | 83.53 | 83.9 ± 0.5 | 200 |
| 306 | 1.4748×10⁻³ | 170.62 | —(163〜178 の三本と分離できない) | 835 |
| 665 | 6.2980×10⁻⁵ | 3995.41 | 鋸歯を直接見た(s = 3860〜4340) | 4.6×10⁵ |
| 15601 | 2.6249×10⁻⁵ | 9586.15 | — | 2.6×10⁶ |
周期と減衰を理論値に固定した 5 モードで、s = 40〜700 の分散の 96.7% が説明されます。分離できている二本(n = 53・665)では半振幅も 7% で当たります。計算
転送作用素——最大固有値はちょうど 1/2、ギャップ無し
水準降下核 D について、傾けた確率核 D̃ との関係 dP/dP̃ = 2ΔW(ΔW = −1 − (x′ − x))から恒等式
が出ます。紙 D̃ は確率核(最大固有値 1)なので、D の最大固有値はちょうど 1/2、右固有関数は h(x) = 2−x——E[2−X] = 1、すなわち 3 = 2² − 1 の言い換えです。不変測度は定常行き過ぎ測度 P̃(H > x)dx/Ẽ[H] on [0, u)。「閉じた式=最大固有値」は文字どおり真で、しかもその固有値は有理数 1/2 です。
ただしギャップがありません。真のモードは円周上のフーリエモード n = 53, 306, 665, 15601 で、|λn| − 1 は 5×10⁻³, 1.2×10⁻³, 2.2×10⁻⁶, 3.8×10⁻⁷ と 1 に集積します。有限次元(ビン)近似では n = 665 を解くのにビンが 1300 本以上、15601 には 3 万本要り、N = 200 と N = 400 で偽の周期が総取り替えになります——必要なビン数が log₂3 の収束分母で決まる。これが「ギャップが無い」の実務上の意味です。
極限には閉じた式があり、各深さの値には無い。C(s) = Ẽ[2−{σsu} ; εj ≤ 0] は Weyl 和で、閉じません。
振動が ±0.01% に収まる深さ
周期と減衰の式があるので、窓幅を使わない形(sup/rms)で問えます。an = 2|cn|/c₀ と κn を n ≤ 2×10⁶ まで足すと、実測の半振幅はどの深さでも rms の 1.7 倍に乗り、この校正で ±0.01% に収まるのは s ≈ 6〜7×10⁵、全モード同位相の上界では 1.3×10⁶。包絡は指数ではなくおよそ s−1/2 の冪で落ちます(‖nα‖ < ε となる n の個数が εN に比例するため)。単独で律速するモードは n = 665 です。計算
残ったこと
動いた宿題の現在地は 残っていること にある。ここには現時点の未決だけを置く。
| 内容 | |
|---|---|
| 言えた | C の閉じた式 0.4215205965。一周期平均で 4×10⁻⁶ まで一致紙 |
| 言えた | 振動は収束分母で添字づけた鋸歯、周期 Tn と減衰 κn の式紙 |
| 言えた | 転送作用素の最大固有値はちょうど 1/2、ギャップ無し紙 |
| 言えた | ±0.01% に収まる深さは s ≈ 6〜7×10⁵計算 |
| 言えない | 周期の次の次数。定常位相での Δ の法則で精密化しても T₅₃ は 84.45 になり、一次近似 83.53 より実測 83.9 ± 0.5 に近づかない。位相依存の作用素の摂動が要る |
| 言えない | Lean。C の式も固有構造も紙のまま |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| P(v=j) = 2⁻ʲ | 定理 | Terras (1976) |
| 裾の指数が 1 | 初等的 | 3θ = 21+θ−1 の根が θ=1(臨界性の記事) |
| C = q·L の形・Spitzer–Baxter 級数 | 既知 | Cramér–Lundberg(Feller II 第 XI–XII 章、Asmussen) |
| 「ほとんど格子」の更新定理の遅い収束 | 既知 | よく知られた現象 |
| P(log₂R ≥ s) を深さ 140 まで | この端末で計算 | 繰り込みつきの畳み込み。KM・EMIN を変えて 13 桁一致 |
| 実測との照合 | この端末で計算 | 奇数 100 億個・349 億ステップ(C 言語・4 並列) |
| C(s) の厳密計算(s ≤ 7000)・periodogram・転送作用素(N = 200/400) | この端末で計算 | 傾け測度の厳密な畳み込み(独立実装、既存の値を 10⁻¹³ で再現)、mpmath 30 桁 |
この記事に新しい数学はありません。C = q·L の形は教科書どおりで、加わったのは周期の閉じた式、鋸歯であること、固有構造の三つで、文献(Lagarias の総説系・Kontorovich–Lagarias arXiv:0910.1944 の停止時間の定数 γRW ≈ 41.677647)はいずれも別の量です。「専門家には既知だろう」を変える材料はありません。