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残っていること

自然哲学の記事は、どれも末尾に「残ったこと」を持っています。そこに書いた宿題が、いまどうなっているかを一枚にまとめたのがこのページです。

三つに分けます——閉じたもの形が変わって残っているものそのまま残っているもの。各項目に札を付けます:Lean機械検査済み 証明はあるが機械検査は未了 計算この端末で確かめた範囲 既知言い換え・既知。

閉じた6問いそのものに答えが出たもの
形が変わって残っている4答えは出たが、問いの方が動いたもの
そのまま残っている7 問各記事の末尾にある宿題。手つかず、あるいは計算資源の問題

01

閉じたもの — もう残っていない

Wróblewski 1984 の構成の一次資料 / エルデシュ #169

読んであります(Math. Comp. 43, 261–262、全 2 頁)。補題 1・2 の証明文も書き下して機械検査に載っているので、記事が「限界」に挙げていた補題への依存はありません。Lean

Behrend 型が自己相似な続きに勝ち始める尺度は 224.4、そこから先の寄与は 5.5×10⁻⁴ で、記録の超過のほぼ全部がそこで生まれています。

エルデシュ等差数列予想

「α を最も増やさない点を足す」生成器 / ハドヴィガー・ネルソン

代理変数は存在しません。生成器の形は決まり(Δα ∈ {0,1}、Δα = 0 ⟺ 単位円がすべての最大独立集合を貫く、候補点は既存点対の単位円の交点)、α = 2 なら n ≤ 7 で、最大値 3.5 は Moser spindle が達成するところまで閉じています。

この道そのものに天井があります——単位距離を避ける可測集合の最良の既知密度 0.22936 が分数彩色数に 4.36 の上限を課すので、この道からは 5 が出ません。既知

ハドヴィガー・ネルソン問題

定数 C の閉じた式と、振動の正体 / コラッツ

式は書けています。C = q²p/(ln2·(log₂3 − 4/3)) = 0.4215205965。q・p は下降ラダーの Spitzer–Baxter 級数=Wiener–Hopf の二つの因子です。振動を持つのは行き過ぎ因子だけで、q は 13 桁一定です。

振動の正体も決まっています。log₂3 の収束分母 n で添字づけた鋸歯の重ね合わせで、周期は Tn = (log₂3 − 4/3)/‖n·log₂3‖。転送作用素の最大固有値はちょうど 1/2、右固有関数は 2−x、スペクトルギャップはありません。極限には閉じた式があり、各深さの値には無い——それがこの定数の形です。

その定数は、まだ定数になっていない

マルチンゲールの筋 / コラッツ

閉じています。+1/3 は障害ではありません——ns(0 < s < 1)を取れば同じ計算が非負の優マルチンゲールを与え、収束定理が使えます。s = 1 でだけ符号が効くのは、臨界の乗数 θ* = 1 による座標の産物です。

そして筋そのものは、3n−1 の巡回が閉じています。優マルチンゲールの収束が与えるのは不動点で、3n−1 には長さ 2 と 7 の巡回がある。巡回の存在が、この過程が優マルチンゲールでないことの証明です。コラッツを結論する確率的議論は、同じ計算で 3n−1 について偽を結論してしまいます。

3n+1 だけが、ちょうど臨界だった

1/3 の符号の先 — 非対称はどこで決まるか / コラッツ

3 進の極限測度の側では原理的に答えられません(この側から作られる量は、すべて符号に対して不変です)。答えは 2 進の側にあります。Terras の 2 進の落ち v と、log₂3 の Sturmian 語 gk = ⌊(k+1)·log₂3⌋ − ⌊k·log₂3⌋ ∈ {1,2} を組み合わせた模型 ek+1 − ek = vk+1 − gk では、下降は v = 1 と g = 2 の同時成立を要し、上昇は片方だけで足ります。だから非対称は

A = P(下降) − P(上昇) = (3·log₂3 − 5)/4 = −0.0613, 符号は 3³ = 27 < 32 = 2⁵

同じ不等式から、三歩続けて下がることはない(禁止語 DDD)も出ます。乗数を 3 から動かすと Q* = 25/3 で符号が反転します。Lean・公理ログ整備中不等式と禁止語の部分(Collatz1139.no_three_consecutive_descentsasymmetry_negative)。模型の前提——v が Terras 分布に従い g と独立であること——は既知の部品と実測です。既知

1/3 の符号が決めているもの

「f(3) の頭を替える」道 / エルデシュ #169

別の道ではありませんでした。頭(小さい数の部分)を替えることは、記録の改良そのものの言い換えです。索引から「別の道」としては外しています。既知

エルデシュ等差数列予想


02

形が変わって残っているもの

答えは出たのに、その答えが問いの方を書き換えてしまったもの。残っているのは、前と同じ問いではありません。

枝ごとに縮小率が違う族の AP-free 条件 / エルデシュ #169

条件は窓分離(囲み区間だけを見る条件)の形で書けて、機械検査に載っています。窓分離版のベルマン方程式を解くと段の取り方は 100 段から 84 段に減り、3-AP を含まない集合の逆数和は 3.0085385 まで上がります。3-AP を含まないことと、1984 年の記録 3.00849 を超えることは、一つの定理です。LeanShiori959.erdos169_lower_record_939

いま残っているのは、この構成の枠の外です。窓を 4 個以上にするか、Behrend 以外のブロック族を使うか。枠の中に残っている余地は、粗い見積りで 5×10⁻⁶ 程度です。

定数 C の極限が見える深さ / コラッツ

±0.01% に収まる深さは s ≈ 6〜7×10⁵、包絡は s−1/2 で減衰します。 ただしこの数は一度にどれだけの長さを見るかに依ります——振動を作っている成分の周期がおよそ 4,000 で、それより短い窓で測ると見かけの深さは二桁浅く出ます。

いま残っているのは、問いの側です。「窓幅」が問いに入っていないので、答えが一つに決まりません。数を一つ書くには、先に窓幅を決める必要があります。

ロヴァースの 5 個目の例外 / ロヴァース予想

探す場所が三つに割れています。欠損 def = |V| − 周長(perimeter gap)で分けると、(I) def = 1(hypohamiltonian)、(II) 切頭型(def ≡ 0 mod 3)、(III) def ≥ 2 で切頭でない、の三箱です。箱 II は3,840 頂点まで空(切頭 T(H) は 3|V(H)| 頂点で、H がハミルトンなら T(H) もハミルトン)。切頭は一世代で凍結します——T²(G) は頂点推移になりません。 箱 III には例が一つもありません。予想「def = 2 の連結頂点推移グラフは無い」は Grünbaum 1974 の予想の頂点推移版を含みます。既知

頂点推移を外せば def = 2 はあります——三価二部グラフで、30 頂点に 3 類(各 45 辺・内周 4)。LeanShiori1161.G30_def2Shiori1193.G30b_def2G30c_def2。28 頂点以下に無いことは、この端末で確かめた範囲です。計算

一般化ペテルセングラフ GP(n,3) のハミルトン閉路の個数は、奇数 n ≥ 7 で n の倍数です。LeanShiori1202.gp3_dvd_hc_odd ただしこの量は自己同型で不変なので、非ハミルトン性の証明には使えません。

いま残っているのは、箱 III の頂点推移グラフの有無そのものです。三価に限れば 1,280 頂点までは全数検査済みで例外は既知の 4 個なので、あるならその上になります。

ハドヴィガー・ネルソン — 目標の言葉が変わった / ハドヴィガー・ネルソン

「Moser spindle の n/α = 3.5 を破る」という目標は、文献の側で意味を失っています——平面の分数彩色数が 4 以上であること、独立比 1/4 未満の有限単位距離グラフの存在(Dúcz–Varga、arXiv:2606.28157)は既知です。既知 残る意味は f(α)(独立数 ≤ α の単位距離グラフの最大点数)の確定値です。

f(3) = 10、14 ≤ f(4) ≤ 15。下界は Moser ⊔ K₃ と Moser ⊔ Moser、上界は 11 点の候補 117 類と 16 点の候補 2,100 類が平面に実現しないことの証明書です。LeanShiori1183.fGe_10_3fGe_14_4Shiori1178.hn11_no_realizShiori1185.hn16_no_realizShiori1189.hn10_no_realiz。候補の列挙が尽くされていることは、この端末で確かめた範囲です。計算

いま残っているのは n = 15・α = 4 の一枡です。閉じれば f(4) = 14、当たれば f(4) = 15 の証人になります。


03

そのまま残っているもの

各記事の末尾にある宿題のうち、まだ触っていないもの、あるいは数学ではなく計算資源の問題になっているものです。

問題残っている宿題
コラッツ予想 階段の次の跳躍を実際に踏む——検証を 1.85 倍(2⁷¹ → 271.88)伸ばせば、巡回の長さの下界が確実に 1.91 倍になります。数学ではなく計算資源の問題です/停止時間の裾の定理(前因子 A(θ) が周期 1 で振動する)の機械検査と、誤差項の位
エルデシュ等差数列予想 k ≥ 5。まだ「対数の指数」の土俵に上がっていません/円分性の命題——3-AP を含まない S について「PS(x) = Σ xd の根が全部単位円上 ⟺ S が二元集合の直和」。deg ≤ 52 で反例なし計算、帰納の一歩は c > D/3 で通る、一般は未了/k = 8:Kempner 型は b ≤ 200 で b = 121 を除き記録以下計算。b = 121 は規模の壁で止めてあります
ロヴァース予想 生成系の大きさ 3(2 までしか掃いていない。これはケイリー版の検定であって、5 個目の探索ではありません)/位数 130 以上の群(A₆ は飛ばした)/def = 2 の三価二部グラフの最小位数が 30 であることを機械検査に載せる(全数列挙を核に載せるとメモリで決まる)
BSD 予想 階数 8(一次資料から係数を取り直せば同じ機械で回る)/|Ш| が 25・49 のような大きい平方数の曲線/掃きの範囲を階数 4 以上が現れるところまで広げる
リーマン予想 逆向き(素数から零点)の分解能を上げる/零点の間隔が GUE に一致し始める高さを測る/π(x) 側を大きい x で
ハドヴィガー・ネルソン問題 n = 15・α = 4 の一枡(上の「形が変わった」)/f(4) ≤ 15 の列挙の完全性・同型判定を機械検査に載せる/f(5) ≤ 24 は計算のみ
記事の無い問題 エルデシュ #563 の極限 lim Pα(m)1/m の存在——積の形の構成では原理的に出ません(超乗法性に反例・辞書式積と XOR 型積は無効)。α = 0 は #77(lim R(k)1/k の存在)そのもの既知

この一覧の読み方

内容
言えている「閉じた」と書いたものは、結論が確定した記述に基づいています。探索が途中のもの・検分が済んでいないものは、閉じた扱いにしていません
言えていないどれも未解決問題そのものには触れていません。動いたのは宿題であって、予想ではありません
言えていない「見当たらない」は探した範囲での「見当たらない」です。この一覧のどの行も、世の中に対する新しさを主張していません。その仕分けは 新規性の棚卸し の側にあります

札の根拠:LeanLean 検証一式 の台帳に公理の出力があるもの。「公理ログ整備中」は証明の写しはあるが公理の出力が台帳に未収録のもので、収録まで Lean の札は付けません。