コラッツ予想 — 3n+1 は、この形の写像のうち唯一の「ちょうど臨界」
正整数から始めて、偶数なら 2 で割り、奇数なら 3 倍して 1 を足す。必ず 1 に着くか——1937 年から解けていません。この記事はコラッツ予想の四本の入口です。問題と世界の到達点を置き、ここで示すのは二つ——3n+1 がこの形の写像のうち唯一の「ちょうど臨界」であること(機械検査済み)と、停止時間の裾の漸近式(紙)です。臨界性の全体・符号・定数は、三本の深い記事にあります。
Lean機械検査済み(Lean 4 + mathlib、標準三公理以下、sorryAx・native_decide なし。定理名を添える)
紙証明はあるが機械検査は未了
計算この端末で確かめた範囲。外に出す主張にはしない
既知言い換え・既知の定理・外の文献の確認
この問題は何か
コラッツ予想:正整数 n から始めて、偶数なら 2 で割り、奇数なら 3 倍して 1 を足す。この操作を繰り返すと、必ず 1 に着くか。
小学生に説明できる問題です。そして 1937 年から解けていません。エルデシュは「数学はこの種の問題に対してまだ準備ができていない」と言いました。
予想は二つの半分からできています。この区別が、四本の記事の全体を貫きます。
世界はどこまで来ているか
| 結果 | 誰が・いつ | 中身 |
|---|---|---|
| v の分布は厳密に分かる | Terras 1976 | 奇数 n について v = v₂(3n+1) と置くと P(v=j) = 2⁻ʲ が厳密に成り立つ(近似ではない)既知 |
| ほとんどすべての軌道は小さくなる | Tao 2019 | ほとんどすべての n について、軌道はいずれ n の任意に遅い関数より下に来る。「ほとんどすべて」で止まっている既知 |
| 巡回の長さの下界 | Eliahou 1993 | 検証が 2⁴⁰ だった当時、非自明な巡回の周期は 17,087,915 以上既知 |
| 検証 | Barina 2025 と報じられているもの | 2⁷¹ まで反例なし |
| 近傍は全部壊れている | — | 3n−1 には巡回が三つあり、5n+1 は発散する。コラッツはこの族の唯一の生存者既知 |
※ 検証記録 2⁷¹ は報じられているもので、一次資料は未確認です。巡回の下界(臨界性の記事)はこの数字に依存しています。
やったこと ① — 3n+1 は、この形の唯一の「ちょうど臨界」
コラッツ写像を、より広い族の中に置きます。
p で割れるだけ割る、という形です。コラッツは (p,q,r) = (2,3,1)。この族の中で「比の期待値がちょうど 1」になる乗数を求めます。
Terras の定理を p 進に一般化すると P(v=j) = (p−1)/pj なので——
これが整数になるのはいつか。(p²−p−1) | (p²−1) ⟺ (p²−p−1) | p。ところが p ≥ 3 では p²−p−1 ≥ 5 > p なので割り切れません。
整数になるのは p = 2 のときだけ。そのとき qcrit = 3。
コラッツ写像は、この形の写像のうち唯一の「ちょうど臨界」なものです。
LeanShiori.qcrit_eq_three・Shiori.qcrit_not_int_of_three_le — 臨界の乗数 (p²−1)/(p²−p−1) が整数になるのは p = 2 のときだけで、そのとき 3。配布物と公理の台帳は Lean 検証一式。
臨界であることの、二つの顔
P(v=j) = 2⁻ʲ から E[2⁻ᵛ] = Σ4⁻ʲ = 1/3。だから——
E[log 比] = log(q/4) (q < 4 で負)
3 は、比では臨界のちょうど上に乗り、対数では安全側にいる——その一点だけにいます。
+1 まで入れると E[nk+1 | nk] = nk + 1/3。期待値は一歩ごとに増え続けます。
奇数 100 億個・349 億ステップの実測で E[比] = 1.0000015。計算 裾の指数がちょうど 1 になること(Lagarias–Weiss 1992 の ρRW = 1)と「E[比] = 1」は同じ一つの主張の二つの書き方です既知。唯一性の三行の証明は初等的で、文献には探した範囲で見当たりませんが、専門家には既知でありうる種類の言明です。
やったこと ② — 停止時間の裾の定理
奇数 n が出発点を初めて下回るまでの歩数が停止時間です。E(k) を「2k を法とする剰余類のうち、停止時間が k を超えるものの個数」(OEIS A076227)とし、uk = E(k)/2k と置きます。uk は「k 歩のあいだ出発点を下回らない確率」です。
記号:a = log₃2 = 0.6309297536、r = (1−a)/a = 0.5849625007、β = ln(1/r) = 0.5362075351、H = H₂(a) = 0.9499555272(二値エントロピー)、ρ = 2−(1−H) = 0.9659065532、σ² = a(1−a)、θk = ⌈ak⌉ − ak。
紙 ここで 𝓗 は、傾けた歩み(v が確率 a で 1 を取る)の狭義上昇ラダー高さの再生関数です。A は周期 1 の関数で、平均 10.892710、相対振幅 βe−S = 7.59%。フーリエ係数にも閉じた形があります——Â(m) = 1/(σ√(2π)(β − 2πim)(1 − χ̂(β − 2πim)))、χ̂ は上昇ラダー高さのラプラス変換。
証明の骨子と、既知の部分
Terras の全単射で uk は「i.i.d. の歩み Xi = vi − a(vi ∈ {0,1} 一様)が k 歩のあいだ正に留まる確率」になります。平均は 1/2 − a = −0.1309 で負。歩みの台は (1−a) + ℤ に入るので、格子でも非格子でもない非中心格子です。Cramér の傾け(λ* = β、ψ(β) = ρ)でドリフト 0・分散 σ² の歩みに移し、Vatutin–Wachtel 2009(arXiv:0711.1302)の Theorem 6——非中心格子の条件つき局所極限定理——を δk = k−1/4 で当て、切った先を Σy>Y ry ≤ rY/(1−r) で捨てます。定数は Sparre Andersen と Baxter–Spitzer の恒等式で閉じます。
既知 非中心格子で前因子が定数にならず振動すること自体は、Vatutin–Wachtel 2009(Theorem 1・2)と Mogulski–Rogozin 2005 が一般論として述べています。この定理で加わるのは閉じた形(Â(m)・振幅 βe−S)と、A076227——コラッツの停止時間——への適用です。
計算 E(1..24) は整数計算で A076227 と一致。VW の局所極限定理の直接検定は y ∈ (0,1) の 41 点で比 0.99977 ± 0.00019。k ∈ [2000, 12000] で残差 yk − A(θk) は −456.8/k に乗り、定数のずれはありません。Sparre Andersen の恒等式は有理数で k ≤ 60 一致。
この定理は予想に触れません。uk の漸近をどれだけ精密にしても、発散も巡回も排除しません。
三本の深い記事
| 記事 | そこにあるもの |
|---|---|
| 3n+1 だけが、ちょうど臨界だった | 臨界性の全体、跳ね上がりの分布(模型の厳密計算と奇数 100 億個の実測が 7 桁の幅で 5 桁一致)、厳密に数えられる境目(44 歩)、巡回の長さの下界(1.86×10¹¹ 項)、そして確率的議論が 3n−1 の巡回で閉じること |
| 1/3 の符号が決めているもの | 符号は巡回が log₂3 のどちら側から近づくかを決め、席の広さは決めない。非対称の符号は 2 進側の模型で 3³ < 2⁵ から出て、禁止語 DDD も同じ不等式から出る(Lean) |
| その定数は、まだ定数になっていない | 跳ね上がり比の裾の定数 C には閉じた式 0.4215205965 があり、各深さの値には無い。振動は log₂3 の収束分母で添字づけた鋸歯で、転送作用素の最大固有値はちょうど 1/2、ギャップ無し |
残ったこと
動いた宿題の現在地は 残っていること にある。ここには現時点の未決だけを置く。
| 内容 | |
|---|---|
| 言えた | コラッツは (qn+r)/pv の族の唯一の「ちょうど臨界」Lean |
| 言えた | 停止時間の裾 uk ρ−k k3/2 は周期 1 の前因子 A(θk) に漸近する紙 |
| 言えた | 跳ね上がりの分布・44 歩の境目・巡回の下界・非対称の符号・定数 C の閉じた式(三本の記事) |
| 言えない | 予想そのもの。四本のどの結果も、予想を証明も反証もしていない |
| 言えない | 確率的な議論は 3n+1 と 3n−1 を区別できない。巡回については原理的に何も言えない |
| 言えない | 裾の定理の誤差の位。定理は o(1)、実測は O(1/k)(係数 −457)。上昇ラダー高さの平均 μ₁ = 0.2884300 の閉じた形も無い。Lean は未着手 |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| P(v=j) = 2⁻ʲ | 定理 | Terras (1976) |
| ほとんどすべての軌道が小さくなる | 定理 | Tao (2019), arXiv:1909.03562 |
| 巡回長の下界の方法 | 定理 | Eliahou (1993) |
| 検証 2⁷¹ | 報じられているもの | Barina (2025)。一次資料は読んでいない |
| 裾の指数 θ* = 1 | 既知 | Lagarias–Weiss (1992), ρRW = 1 |
| qcrit(p) の唯一性 | 機械検査 | Shiori.qcrit_eq_three・qcrit_not_int_of_three_le。Lean 検証一式 |
| 停止時間の裾の定理 | 紙 | Vatutin–Wachtel, Probab. Theory Related Fields 143 (2009), arXiv:0711.1302, Theorem 6/Cramér の傾け/Sparre Andersen/Baxter–Spitzer(Feller II §XII.7, §XVIII.3) |
| 非中心格子で前因子が振動すること | 既知 | Vatutin–Wachtel 2009 Thm 1–2、Mogulski–Rogozin 2005。Doney arXiv:1006.5316 はこの場合を除外している |
| E(k) = A076227 | 既知 | OEIS A076227 |
| E(1..24)・局所極限定理の検定・残差 −456.8/k | この端末で計算 | 整数の DP、120 ビット固定小数の ⌈ak⌉、FFT 畳み込み |
| 奇数 100 億個・349 億ステップの実測 | この端末で計算 | C 言語、4 並列 |
使った道具はすべて標準的です。新しさは「探した範囲で見当たらない」までしか書きません——qcrit の唯一性は初等的で、裾の定理の一般形は既知で、加わったのは閉じた形とこの数列への適用です。