この本の全体 目次と読む順
- 第 0 部 入口 — この本の読み方
- 0-01 この本の読み方
- 0-02 一枚の絵
- 0-03 問題文を一語ずつ読む
- 0-04 数学の四次元と物理の四次元
- 第 1 部 数学の準備
- 1-01 ベクトル空間と線形写像
- 1-02 群とは何か
- 1-03 リー群とリー環
- 1-04 SU(2) と SU(3)
- 1-05 多様体と接空間
- 1-06 微分形式と外微分
- 1-07 ベクトル束と接続
- 1-08 確率と測度
- 1-09 無限次元の確率
- 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
- 1-11 フーリエ解析と分布
- 1-12 寄り道
- 第 2 部 物理の準備
- 2-01 ラグランジアンと作用
- 2-02 場という考え
- 2-03 電磁気学はゲージ理論である
- 2-04 特殊相対論と時空
- 2-05 量子力学の骨
- 2-06 調和振動子と生成消滅
- 2-07 経路積分の考え方
- 2-08 統計力学と相転移
- 2-09 寄り道
- 2-10 緩和の時間と動的指数 z
- 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
- 3-01 ゲージ原理
- 3-02 非可換ゲージ場
- 3-03 作用と方程式
- 3-04 幾何としてのゲージ理論
- 3-05 インスタントンと位相
- 3-06 寄り道
- 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
- 第 4 部 量子化
- 4-01 正準量子化とハミルトニアン
- 4-02 経路積分とユークリッド化
- 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
- 4-04 発散と繰り込み
- 4-05 発散の代数
- 4-06 漸近自由
- 4-07 次元転移と Λ
- 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
- 4-09 場の量子論の公理
- 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
- 4-11 質量ギャップの定義
- 4-12 寄り道
- 第 5 部 格子ゲージ理論
- 5-01 Wilson の格子
- 5-02 強結合展開
- 5-03 反射正値性と転送行列
- 5-04 無限体積極限とクラスター展開
- 5-05 弱結合と連続極限
- 5-06 U(1) と非可換の違い
- 5-07 モンテカルロ法
- 5-08 グルーボールと弦張力の測定
- 5-09 何を固定して極限を取るか
- 5-10 有限群の格子ゲージ理論
- 5-11 寄り道
- 第 6 部 構成的場の理論
- 6-01 構成的場の理論とは
- 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
- 6-03 スカラー場の構成
- 6-04 クラスター展開
- 6-05 繰り込み群の段の列
- 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
- 6-07 四次元
- 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
- 6-09 確率量子化と正則性構造
- 6-10 四次元で止まる場所
- 6-11 発散以外の障害
- 6-12 寄り道
- 第 7 部 物理の側から
- 7-01 物理はどう見ているか
- 7-02 閉じ込めの機構
- 7-03 弦の絵
- 7-04 大 N
- 7-05 ひも理論と余剰次元
- 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
- 7-07 ゲージ場はどこから来るか
- 7-08 ホログラフィー
- 7-09 質量ギャップが幾何になる
- 7-10 四次元に戻す
- 7-11 超対称と Seiberg–Witten
- 7-12 等価原理に当たる一文
- 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
- 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
- 8-01 辞書の読み方
- 8-02 辞書 A
- 8-03 辞書 B
- 8-04 辞書 C
- 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
- 第 9 部 現在地と課題
- 9-01 世界はどこまで来ているか
- 9-02 二つの掘り方の切れ目
- 9-03 新しい概念の候補
- 9-04 課題の一覧
- 9-05 よくある誤解
- 第 10 部 質量ギャップの厳密な証明へ — この端末の検討
- 10-00 第 10 部の入口 — 酔歩と定規と時計
- 10-01 理論の構成の筋
- 10-02 一段の記帳
- 10-03 仮定 H と三つの鎖
- 10-04 方向の地図
- 10-05 方向 12〜14
- 10-06 方向 15・15′
- 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表
- 10-08 壁の一覧
- 10-09 ひらめき帳から
- 10-10 主張しないこと
- 10-12 つじつま合わせ
- 10-11 定理までの距離
- 10-13 小さな問い — 卒業研究の大きさで決着のつく十〜二十問
- 付録
- A-01 記号表
- A-02 用語集
- A-03 文献案内
- A-04 Lean と機械検査
- A-05 この本の作り方
- A-06 仮定の索引
SU(2) と SU(3) — ゲージ場が値をとる行列を、手で触れる大きさで見る
この章で分かること — パウリ行列と Gell-Mann 行列による su(2)・su(3)。su(2) の既約表現が 2j+1 次元に並ぶ理由。SU(3) の重み図。ゲージ場が従う随伴表現と 、中心。根のなす角が四通りしかないことと、コンパクト単純リー群の一覧。
前提となる章 — 1-03 リー群とリー環(交換子・構造定数・Killing 形式)。SU(2) と二重被覆は 1-02、同時対角化は 1-01。
先に言うこと — 準備の章で、質量ギャップについては何も示しません。最高ウェイトの定理、単純根と鏡映の性質、分類定理は証明せずに引きます(既知)。
- なぜ SU(2) と SU(3) か — 成分の数と記号の約束
- パウリ行列と su(2) — 回転と同じリー環
- su(2) の表現:梯子 — 2j が整数になる理由(図 1)
- Gell-Mann 行列と su(3) — 構造定数と階数
- 重みと根 — SU(3) の表現を平面に描く(図 2)
- 寄り道:味の SU(3) と色の SU(3) — 図 2 の点に粒子の名を当てる(飛ばしてよい)
- 随伴表現 — ゲージ場の変わり方と CA
- 中心と N-ality — ゲージ場に見えない部分
- 根系:角度が四通り — 単純根と鏡映で根を生やす(図 3)
- コンパクト単純リー群の一覧 — 問題文の G はどの行でもよい
なぜ SU(2) と SU(3) か
ゲージ場は、時空の各点・各方向ごとに、ゲージ群 G のリー環 の元を一つずつ持ちます(3-02)。電磁気学の G = U(1) では成分は一つです。SU(N) ではリー環が行列の空間になります。
数え方:対角成分は純虚数で N 個、対角より上は複素数で 個。実の自由度 から跡 0 の条件で一つ減ります。SU(3) では 8 で、グルーオンが 8 種ある理由です(PDG)。
物理では ( はエルミート、繰り返す添字は和)と書きます。1-02 の は としたこの形です。この本では と正規化し、1-03 の構造定数をこう書きます。
は実数で完全反対称です。PDG の QCD の総説も同じ約束です 既知。
パウリ行列と su(2)
パウリ行列(1-02 §05)の性質は、次の恒等式に詰まっています。 は で、添字を二つ入れ替えると符号が変わる記号です。
跡をとると 、a と b を入れ替えて引くと 。 で式 (2) の形になり、 です。例:、 なので 。
回転にも同じ関係があります。 は を満たし、 は z 軸まわりの角 θ の回転です 計算。su(2) と so(3) は同じリー環です。リー環は単位元の近くしか見ないので、SU(2) が SO(3) を二重に覆うこと(1-02 §06)はここには現れません。
su(2) の表現:梯子を上り下りする
su(2) の表現とは、 の式 (2) を満たすエルミート行列 の組です。一段ずつ上り下りする行列を作ります。
なら で、 は固有値を 1 ずつ動かします。 はすべての と可換です。有限次元なので上端 ()があり、その固有値を j とすると 。下りると で、この係数は負になれないので、列は でちょうど止まる必要があります。j から整数の歩幅で −j に着くので、2j は 0, 1, 2, … のどれかです 既知。
次元は で、各次元に既約表現が一つずつあります(1-02 の は m = 2j)。例:j = 1/2 は 。j = 1 は基底を取り替えると §02 の です。
| j | 次元 | J² | J₊ の係数(m = −j から上へ) |
|---|---|---|---|
| 1/2 | 2 | 0.75 | √1 |
| 1 | 3 | 2 | √2, √2 |
| 3/2 | 4 | 3.75 | √3, √4, √3 |
| 3 | 7 | 12 | √6, √10, √12, √12, √10, √6 |
計算この図と表 1 の数値はこの端末で計算しました。式 (5) で組んだ j ≤ 3 の行列で、交換関係と のずれは最大 1.8×10⁻¹⁵。
Gell-Mann 行列と su(3)
su(3) でパウリ行列の役をするのが 8 個の Gell-Mann 行列です。どれもエルミートで跡 0、 です。
は 1・3 番目、 は 2・3 番目の成分でパウリ行列と同じことをし、 は と直交する対角行列です。 とし、 で取り出すと次の表です。
| abc | 123 | 147 | 156 | 246 | 257 | 345 | 367 | 458 | 678 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| fabc | 1 | 1/2 | −1/2 | 1/2 | 1/2 | 1/2 | −1/2 | √3/2 | √3/2 |
表 2:a < b < c で 0 でないもの(他は反対称性で決まるか 0)。64 個の交換子が再現され、Jacobi 恒等式のずれは 3.3×10⁻¹⁶ 以下 計算。
中には su(2) が三つあります。、、 がそれぞれ の式 (2) を満たします 計算。成分の組 (1,2)・(1,3)・(2,3) ごとの SU(2) です。
と は可換です。互いに可換な元を一次独立に最大でいくつ取れるか(それらが張る空間の次元)を階数と呼び、su(3) は 2、su(N) は N − 1 です 既知。実際、su(3) の中で ・ の両方と可換な元はこの二つの一次結合だけで、su(N) でも対角の N − 1 個と可換な元はそれらの一次結合だけでした(N = 2〜6)計算。
重みと根:SU(3) の表現を平面に描く
表現の中で と は可換なエルミート行列なので同時に対角化でき、共通の固有ベクトルの固有値の組 を重みと呼びます(su(2) の m の二次元版)。定義表現 では対角成分を読むだけです。
三点は正三角形で、(複素共役)はその −1 倍です。行列単位 ((i, j) 成分だけ 1)は対角行列 H に対し を満たし、重みを だけ動かす梯子です。この差の 6 個を根と呼び、長さ 1 の正六角形をなします。 は §03 の です。 は と同じく su(3) の元の複素係数の一次結合で、su(3) そのものの元ではありませんが、表現の上では同じように働きます。
既約表現は非負整数の組 (p, q) で番号が付き(最高の重み )、次元は次の式です 既知。(1, 0) が 、(0, 1) が 、(1, 1) が随伴表現です。
| (p, q) | 名 | Casimir | N-ality | 重みの点 | 最大の重複 |
|---|---|---|---|---|---|
| (1, 0) | 3 | 4/3 | 1 | 3 | 1 |
| (0, 1) | 3̄ | 4/3 | 2 | 3 | 1 |
| (1, 1) | 8 | 3 | 0 | 7 | 2 |
| (3, 0) | 10 | 6 | 0 | 10 | 1 |
| (2, 2) | 27 | 8 | 0 | 19 | 3 |
| (3, 3) | 64 | 15 | 0 | 37 | 4 |
計算この図と表 3 の数値はこの端末で計算しました。重みと重複度は単項式の数え上げと表現行列の Casimir の二通りで求め、p + q ≤ 5 の 21 個で一致。図は数え上げをその場で行い、16 個とも Python の計算と一致。名は次元(q > p なら上線)、Casimir は の値 。
図で見える規則:重複度は外の殻から内へ 1 ずつ増え、殻が三角形になってからは重複度が増えなくなり、内側まで一定です。計算した 16 個すべてがこの形でした 計算。
寄り道:味の SU(3) と色の SU(3)
飛ばしてよい小節です。
図 2 の軸は物理の量で読めます。(アイソスピンの第 3 成分)、(Y は超電荷)です。定義表現の三つの基底を u・d・s クォークと読むと Y = 1/3, 1/3, −2/3 で、式 (6) の になります 計算。
Rosner の解説によれば、Gell-Mann と Ne'eman(1961)の SU(3) では、電荷が素電荷の整数倍になる族のうち最も簡単なものは 1・8・10 個の族で、陽子・中性子を含む 8 個のバリオンが 8 個の族にちょうど収まりました 物理。図 2 の (1, 1) では、外の六点が Σ⁺・Σ⁻・p・n・Ξ⁰・Ξ⁻(例えば p は で、点 )、重複度 2 の中心が Σ⁰ と Λ です 計算。のちに Δ・Σ*・Ξ* が 10 個の族に並び、欠けた頂点の Ω⁻((3, 0) の三角形の下の頂点)が Barnes ら(1964)に見つかりました。
この「味」の SU(3) は破れた近似の大域対称性で、強い力のゲージ群は三つの「色」の別の SU(3) です(PDG)。ヤン–ミルズは後者の型です(3-01)。
随伴表現:ゲージ場はこの表現で変わる
群は自分のリー環に共役で働きます。これが随伴表現で、その微分が交換子です(1-03)。
右端の行列は式 (2) をもう一度満たします(Jacobi 恒等式と同値)。SU(2) では が §02 の なので、1-02 の写像 SU(2) → SO(3) は随伴表現そのもので、j = 1 に当たります。
ゲージ場は、空間に依らないゲージ変換 g で と変わります(一般の形は 3-02)。U(1) では で光子は電荷を持ちませんが、SU(N) ではゲージ場自身が荷電し、自分と相互作用します。PDG でもグルーオンは随伴表現、クォークは基本表現です 既知。
はすべての と可換です(§03 の と同じ)。Schur の補題(既約な複素表現で、すべての表現行列と可換な行列は単位行列の定数倍)により、既約表現ではこれは単位行列の定数倍で、その定数を Casimir と呼びます 既知。
| N | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|
| dim su(N) | 3 | 8 | 15 | 24 | 35 |
| CF | 3/4 | 4/3 | 15/8 | 12/5 | 35/12 |
| CA | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| Killing 形式 / tr | 4 | 6 | 8 | 10 | 12 |
表 4:一般化した Gell-Mann 行列で計算 計算。最下行は Killing 形式 と の比で、2N でした。反エルミートな では なので B は負定値で、コンパクト性が符号に見えています。
作用の Tr が「G のリー環上の不変な二次形式」であることは 1-03 §09 で見ました。コンパクト単純なリー環(複素化も単純になる)では、不変な対称双線形形式は定数倍を除いて一つなので 既知、表 4 の B と tr の違いも g に吸収されます。 は漸近自由の係数に入ります。PDG の一ループ係数 は、クォークの無い純ヤン–ミルズで です 既知。7-01・4-06 の「11N」の N は です。
中心と N-ality
すべての元と可換な元の集まりを中心と呼びます。SU(N) では行列式 1 のスカラー行列です 既知。
中心の元はすべての表現行列と可換なので、既約表現の上では Schur の補題(§06)によりスカラーとして働きます。SU(3) では対角成分を比べると で、重み のベクトルには が掛かります。V(p, q) の最高の重みは なので、表現全体に が掛かります。p, q ≤ 3 の 16 個の表現の重みの点(計 216 点)すべてでこの値でした 計算。 を N-ality と呼びます。表 3 の列で、 は 1、 は 2、随伴は 0 です。
随伴で 0 になるのは、スカラー行列 z で だからです。ゲージ場は中心を感じません。そのためグルーオンだけでは N-ality が 0 でない電荷を遮蔽できず 物理、中心は閉じ込めの議論の主役になります(7-02・5-10)。中心が自明な (§09)では電荷がグルーオンで遮蔽され弦が切れうる、と Holland ら(2003)は論じています 物理。
根系:角度が四通りしかない
§05 の根は、どのコンパクト単純リー環にもあります。階数 r なら、互いに可換な r 個の元の同時固有値として、根は r 次元の空間に並びます。内積 は §05 と同じく、生成子を不変な二次形式で正規直交にしたときの座標の内積です(su(3) では 平面の普通の内積で、根の長さは 1)。
分類の心臓部は §03 の「2j は整数」です。根 α ごとに 、 と両者の交換子が su(2) を作り、別の根 β をこの su(2) から見ると、m に当たる量は で、1/2 の整数倍(整数も含む)になります 既知。su(3) で α = (1, 0)(、su(2) は )、β = ()なら m = 1/2 です。二つの向きで掛けると、なす角 θ について次が出ます。
左辺は整数の積で、 なら 4 未満だからです。二つの因子の比は長さの比の二乗なので、直交しない二本の根の長さの比は 1・√2・√3 のどれかです(積が 1・2・3 になる整数の組は限られるため)。
根は多いので代表を選びます。原点を通り根を一本も含まない直線(階数 3 以上なら超平面)を引き、片側の根を正の根と呼びます。正の根のうち、二つの正の根の和で書けないものが単純根で、本数は階数に等しく、互いのなす角は 90° 以上です 既知。よって単純根どうしの角は 90°・120°・135°・150° の四通りです。
単純根から全体を戻すのが鏡映です。根 α での鏡映は、α に垂直な直線(超平面)に関する折り返しです。
鏡映は根を根に移し、単純根に単純根の鏡映を繰り返すとすべての根が得られます 既知。(12) の係数は (11) の整数なので、根はすべて単純根の整数係数の和です。係数は全部 0 以上か全部 0 以下です 既知。
| 型 | 単純根の角 | 4cos²θ | 長い根 / 短い根 | 根の数 | 次元 |
|---|---|---|---|---|---|
| A₁×A₁ | 90° | 0 | 1 | 4 | 6 |
| A₂ | 120° | 1 | 1 | 6 | 8 |
| B₂ | 135° | 2 | √2 | 8 | 10 |
| G₂ | 150° | 3 | √3 | 12 | 14 |
計算この図と表 5 の数値はこの端末で計算しました。単純根から鏡映を繰り返して根を生やした順番と、単純根での係数を Python で求めて図に埋めてあります。長い根の長さを 1 にしています。
階数 2 では (根 4 本、二つの su(2) に分かれて単純でない)・(6 本、§05 の正六角形そのもの)・(8 本)・(12 本)です。次元は階数 + 根の数です(su(3) なら対角の 2 方向と、6 本の根ごとの で 8)。図 3 の係数も全部 0 以上か全部 0 以下でした 計算。
コンパクト単純リー群の一覧
問題文(0-03)は「任意のコンパクト単純ゲージ群 G」を求めます。§08 の制限を階数 3 以上でも詰めると、リー環の候補は四つの系列 、、、 と、五つの例外 で尽きます 既知。Baez の総説によれば、Killing は 1887 年の書簡で分類を告げ、続く三年の論文で発表しました(例外を 6 個と数えていました)。Cartan の 1894 年の学位論文がすべてを構成し、52 次元の二つが同型であることを見いだして、例外は 5 個になりました。
| 型 | 単連結な群 | 階数 | 次元 | h∨ | 中心 |
|---|---|---|---|---|---|
| An(n ≥ 1) | SU(n+1) | n | n(n+2) | n+1 | ℤn+1 |
| Bn(n ≥ 2) | Spin(2n+1) | n | n(2n+1) | 2n−1 | ℤ₂ |
| Cn(n ≥ 3) | Sp(n) | n | n(2n+1) | n+1 | ℤ₂ |
| Dn(n ≥ 4) | Spin(2n) | n | n(2n−1) | 2n−2 | ℤ₄(n 奇)・ℤ₂×ℤ₂(n 偶) |
| G₂ / F₄ | G₂ / F₄ | 2 / 4 | 14 / 52 | 4 / 9 | 自明 |
| E₆ / E₇ / E₈ | E₆ / E₇ / E₈ | 6 / 7 / 8 | 78 / 133 / 248 | 12 / 18 / 30 | ℤ₃ / ℤ₂ / 自明 |
表 6:系列は n ≤ 8 で式と一致 計算。Spin(m) は SO(m) を二重に覆う単連結な群、Sp(n) は四元数成分のユニタリ行列の群です。単純根どうしの整数 (式 (11) の因子)を並べた行列を Cartan 行列と呼び、中心の位数はその行列式です 既知。中心の形(ℤ₄ か ℤ₂×ℤ₂ か)もこの行列から計算しました。(双対 Coxeter 数)は、この章では表の値として引くだけにします。
SU(N) では で、§06 の と一致します。長い根の長さの二乗を 1 に揃える(SU(N) では に当たり、§05 で根の長さが 1 だったのと同じ)と、一般の G でも です 既知。数学で多い「長さの二乗を 2」の規格化では、随伴の Casimir は になります。SU(3) で二つの規格化を比べると 3 と 6 でした 計算。問題文の G はこの表のどの行でもよく、摂動論の係数には群がこうした数で入ります。SU(2)/ℤ₂ = SO(3) のような中心で割った群も同じリー環を持ち、違いは束の位相に現れます(3-05 §03)。
次は 1-05 多様体と接空間:この章の行列を時空の各点に載せるための言葉です。
この章が言えている範囲
| 項目 | 言えていること | 言えていないこと |
|---|---|---|
| su(2)・su(3) | 表 2 の 。2j が整数になる理由。式 (5) が j ≤ 3 で表現になること。su(N)(N = 2〜6)で対角の元と可換な元の次元 計算 | 既約表現がこれで尽きることの完全な証明、階数が極大な可換部分の取り方に依らないこと 既知 |
| SU(3) の重み | p, q ≤ 3 の重みと重複度 計算 | 最高ウェイトの定理と式 (7) の証明 既知。殻の規則は観察 |
| 随伴表現 | N = 2〜6 の ・・B = 2N·tr 計算 | Schur の補題、一般の N、不変二次形式の一意性 既知 |
| 中心 | SU(N) の中心、随伴表現が中心を感じないこと。SU(3) の N-ality(p, q ≤ 3 の全重み)計算 | 閉じ込め・G₂ との関係 物理 |
| 根系と分類 | 角度が四通りの理由 (11)。階数 2 の四つの根系を鏡映で生やしたこと(図 3・表 5)。表 6 計算 | 単純根と鏡映の性質、分類がこれで尽きること、一般の G での (長い根の長さの二乗 1 の規格化で)既知 |
| ヤン–ミルズ | ゲージ場の変わり方、11N の N の出どころ | 質量ギャップ・理論の構成については何も示していない |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| su(2) の既約表現、SU(3) の最高ウェイトと式 (7) | 既知(本文を確認:5 章 §4、6 章 §3・定理 6.11) | B. C. Hall, “An Elementary Introduction to Groups and Representations”, arXiv:math-ph/0005032 (2000) |
| 、・、、グルーオンとクォークの表現 | 既知(本文を確認) | J. Huston, K. Rabbertz, G. Zanderighi, “Quantum Chromodynamics”, in S. Navas et al. (PDG), Phys. Rev. D 110 (2024) 030001 |
| 「コンパクト単純ゲージ群」「不変な二次形式」 | 一次資料(本文を確認) | A. Jaffe, E. Witten, “Quantum Yang–Mills Theory”, Clay Mathematics Institute の問題説明 |
| 分類の経緯(1887 年の書簡、Killing の数えた 6 個の例外、Cartan の 1894 年の学位論文と 52 次元の二つの同型)、系列と例外 | 総説(本文を確認) | J. C. Baez, “The Octonions”, Bull. Amer. Math. Soc. 39 (2002) 145–205, arXiv:math/0105155 |
| 味の SU(3) の経緯(整数電荷の最も簡単な族が 1・8・10 個、バリオンの 8 個の族、Δ・Σ*・Ξ* と Ω⁻) | 解説(本文を確認) | J. L. Rosner, “The Eightfold Way”, arXiv:hep-ph/0109241 (2001) |
| G₂ の中心と弦の切断 | 要旨を確認 | K. Holland, P. Minkowski, M. Pepe, U.-J. Wiese, Nucl. Phys. B 668 (2003) 207, arXiv:hep-lat/0302023 |
| 原論文、Ω⁻ の発見、双対 Coxeter 数 と随伴の Casimir の関係の文献 | 書誌のみ | W. Killing, Math. Ann. 31–36 (1888–1890);É. Cartan, 学位論文 (1894);M. Gell-Mann, CTSL-20 (1961);Y. Ne'eman, Nucl. Phys. 26 (1961) 222;V. E. Barnes et al., “Observation of a Hyperon with Strangeness Minus Three”, Phys. Rev. Lett. 12 (1964) 204;V. G. Kac, Infinite Dimensional Lie Algebras, 第 3 版 (1990) |
| 表 1〜6、§02・§04・§07 と寄り道の確認、図 1〜3 | この端末で計算 | Python 3.12・NumPy 1.26・SciPy 1.11:su2_ladder.py・su3_algebra.py・su3_weights.py・classification.py・rank_center_roots.py。図は canvas と素の JavaScript で、式 (5) と単項式の数え上げはその場で計算し、図 3 の根の順番は Python の結果を埋め込み |
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