computo ergo sum

2026-10-01 · chapter ヤン–ミルズと質量ギャップ第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)非可換ゲージ場

この本の全体 目次と読む順
  1. 第 0 部 入口 — この本の読み方
  2. 0-01 この本の読み方
  3. 0-02 一枚の絵
  4. 0-03 問題文を一語ずつ読む
  5. 0-04 数学の四次元と物理の四次元
  6. 第 1 部 数学の準備
  7. 1-01 ベクトル空間と線形写像
  8. 1-02 群とは何か
  9. 1-03 リー群とリー環
  10. 1-04 SU(2) と SU(3)
  11. 1-05 多様体と接空間
  12. 1-06 微分形式と外微分
  13. 1-07 ベクトル束と接続
  14. 1-08 確率と測度
  15. 1-09 無限次元の確率
  16. 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
  17. 1-11 フーリエ解析と分布
  18. 1-12 寄り道
  19. 第 2 部 物理の準備
  20. 2-01 ラグランジアンと作用
  21. 2-02 場という考え
  22. 2-03 電磁気学はゲージ理論である
  23. 2-04 特殊相対論と時空
  24. 2-05 量子力学の骨
  25. 2-06 調和振動子と生成消滅
  26. 2-07 経路積分の考え方
  27. 2-08 統計力学と相転移
  28. 2-09 寄り道
  29. 2-10 緩和の時間と動的指数 z
  30. 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
  31. 3-01 ゲージ原理
  32. 3-02 非可換ゲージ場
  33. 3-03 作用と方程式
  34. 3-04 幾何としてのゲージ理論
  35. 3-05 インスタントンと位相
  36. 3-06 寄り道
  37. 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
  38. 第 4 部 量子化
  39. 4-01 正準量子化とハミルトニアン
  40. 4-02 経路積分とユークリッド化
  41. 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
  42. 4-04 発散と繰り込み
  43. 4-05 発散の代数
  44. 4-06 漸近自由
  45. 4-07 次元転移と Λ
  46. 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
  47. 4-09 場の量子論の公理
  48. 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
  49. 4-11 質量ギャップの定義
  50. 4-12 寄り道
  51. 第 5 部 格子ゲージ理論
  52. 5-01 Wilson の格子
  53. 5-02 強結合展開
  54. 5-03 反射正値性と転送行列
  55. 5-04 無限体積極限とクラスター展開
  56. 5-05 弱結合と連続極限
  57. 5-06 U(1) と非可換の違い
  58. 5-07 モンテカルロ法
  59. 5-08 グルーボールと弦張力の測定
  60. 5-09 何を固定して極限を取るか
  61. 5-10 有限群の格子ゲージ理論
  62. 5-11 寄り道
  63. 第 6 部 構成的場の理論
  64. 6-01 構成的場の理論とは
  65. 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
  66. 6-03 スカラー場の構成
  67. 6-04 クラスター展開
  68. 6-05 繰り込み群の段の列
  69. 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
  70. 6-07 四次元
  71. 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
  72. 6-09 確率量子化と正則性構造
  73. 6-10 四次元で止まる場所
  74. 6-11 発散以外の障害
  75. 6-12 寄り道
  76. 第 7 部 物理の側から
  77. 7-01 物理はどう見ているか
  78. 7-02 閉じ込めの機構
  79. 7-03 弦の絵
  80. 7-04 大 N
  81. 7-05 ひも理論と余剰次元
  82. 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
  83. 7-07 ゲージ場はどこから来るか
  84. 7-08 ホログラフィー
  85. 7-09 質量ギャップが幾何になる
  86. 7-10 四次元に戻す
  87. 7-11 超対称と Seiberg–Witten
  88. 7-12 等価原理に当たる一文
  89. 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
  90. 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
  91. 8-01 辞書の読み方
  92. 8-02 辞書 A
  93. 8-03 辞書 B
  94. 8-04 辞書 C
  95. 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
  96. 第 9 部 現在地と課題
  97. 9-01 世界はどこまで来ているか
  98. 9-02 二つの掘り方の切れ目
  99. 9-03 新しい概念の候補
  100. 9-04 課題の一覧
  101. 9-05 よくある誤解
  102. 第 10 部 質量ギャップの厳密な証明へ — この端末の検討
  103. 10-00 第 10 部の入口 — 酔歩と定規と時計
  104. 10-01 理論の構成の筋
  105. 10-02 一段の記帳
  106. 10-03 仮定 H と三つの鎖
  107. 10-04 方向の地図
  108. 10-05 方向 12〜14
  109. 10-06 方向 15・15′
  110. 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表
  111. 10-08 壁の一覧
  112. 10-09 ひらめき帳から
  113. 10-10 主張しないこと
  114. 10-12 つじつま合わせ
  115. 10-11 定理までの距離
  116. 10-13 小さな問い — 卒業研究の大きさで決着のつく十〜二十問
  117. 付録
  118. A-01 記号表
  119. A-02 用語集
  120. A-03 文献案内
  121. A-04 Lean と機械検査
  122. A-05 この本の作り方
  123. A-06 仮定の索引

非可換ゲージ場 — 掛ける順が効くと、場が自分自身の源になる

この章で分かること — SU(N)\mathrm{SU}(N) の変換を点ごとに選べるようにすると、共変微分と変換則が決まり、場の強さ FF に交換子の項が加わります。その項のためにゲージ場は自分自身の電荷を持ち、三次・四次の自己相互作用と非線形な方程式が生じます。空間に一様な場では、交換子だけが x2y2x^2y^2 の谷を作ります。

前提となる章 — 3-01(ゲージ原理。特に §06 の SU(2) の場合)。1-03 の構造定数、1-04 の随伴表現、2-04(添字の上げ下げと計量の符号)を使います。同じ内容を幾何の言葉で書いたものが 1-07 です。

先に言うこと — 古典の章で、量子論も質量ギャップも扱いません。作用と運動方程式は 3-03 に回し、エネルギー密度は電磁気学からの類推で先に使います。§01 の Pauli の書簡と Yang の回想は、総説からの引用です。

この章の順序
  1. 各点で回す — 3-01 の SU(2) を SU(N) へ・Yang と Mills の要旨。寄り道:1954 年の春
  2. 約束 — 生成子と、三つの書き方の翻訳
  3. 共変微分 — 変換則の二つの項・鎖の上で見る(図 1)
  4. 場の強さ — 共変微分の交換子・純ゲージ
  5. 色の電場と色の磁場 — 測れる量を数え直す
  6. 自己相互作用 — 二次・三次・四次の項
  7. 空間に一様な場 — x2y2x^2y^2 の谷(図 2)・古典には尺度が無い
  8. 質量の問題 — 手で足せない理由

01

各点で回す — Yang と Mills の問い

3-01 §06 では、陽子と中性子をまとめた二成分の場 ψ\psi を SU(2) の行列で混ぜる対称性(アイソスピン)に、点ごとに回してよいという要求を課し、共変微分と変換則 (10) を得ました。この章はそれを SU(N)\mathrm{SU}(N) に広げ、交換子から生じることを順に追います。

Yang と Mills の論文(Phys. Rev. 1954)の要旨は、すべての点で同じ行列で回すという通常の不変性が局所的な場という考えと相容れないと指摘し、“The possibility is explored of having invariance under local isotopic spin rotations.” と続けます。要旨の一文目を本書の読みで言い換えると、ある点でどの向きを「陽子」と呼ぶかが遠くの点の呼び方まで決めてしまうのは、近くの点どうしの関係で書く場の法則に合わない、ということです。そこで変換の行列 Ω=Ω(x)\Omega=\Omega(x) を点ごとに選べるとします。

要旨によれば、帰結はアイソスピンに対して電磁場と同じ役をする b\mathbf b 場で、それは非線形の微分方程式に従い、その量子はスピン 1・アイソスピン 1・電荷 ±e\pm e か 0 の粒子です 既知。§03〜§06 はこの要約を式にします。強い力を担う群は、後に SU(3) と分かりました(Jaffe–Witten の問題説明:“the gauge group is G = SU(3)”)。ただし、ゲージ化されたのはアイソスピンではなく、別の自由度である色の SU(3) でした(アイソスピンは近似的な、点ごとには回さない対称性のまま残ります)。数学は群を取り替えるだけです(3-07・1-04 の寄り道)。

寄り道:1954 年の春

寄り道

飛ばしてよい小節です。

Straumann の小論によれば、Pauli は 1953 年 7 月に Pais へ送った手紙に付けたノートと、11 月の Zürich での二回のセミナーで、余剰次元(7-06)の枠組みから同じ場の強さを得ていました。しかし 12 月の Pais 宛ての手紙で “one will always obtain vector mesons with rest mass zero” と書き、公表しませんでした。1954 年 2 月下旬の Princeton のセミナーでは、Yang が黒板に (∂μ−iϵBμ)ψ(\partial_\mu-i\epsilon B_\mu)\psi を書いた直後に、Pauli が “What is the mass of this field BμB_\mu?” と尋ねたと Yang は回想しています(Yang の自選論文集の解説から、Straumann の小論と O'Raifeartaigh–Straumann の総説が引用)。同じ総説は、この理論が他の著者にも独立に見つけられたことに触れ、系譜の図に Shaw(1954–55)と Utiyama(1954–55, 1956)を置きます 既知。質量の問いには §08 で答えます。

02

約束 — 生成子と、三つの書き方

第 3 部では ℏ=c=1\hbar=c=1、計量の符号は (−,+,+,+)(-,+,+,+) です(2-04)。μ,ν=0,…,3\mu,\nu=0,\dots,3 は時空、i,j,k=1,2,3i,j,k=1,2,3 は空間、a,b,ca,b,c は群の方向(色)の添字で、二度出た添字は和を取ります。群は G=SU(N)G=\mathrm{SU}(N)、生成子はエルミートな TaT^a(a=1,…,N2−1a=1,\dots,N^2-1)で、構造定数と規格化は次の通りです(1-04)。

[Ta,Tb]=ifabcTc,tr⁡(TaTb)=12δab[T^a,T^b]=i f^{abc}T^c,\qquad \operatorname{tr}(T^aT^b)=\tfrac12\delta^{ab}

例。SU(2) では Ta=σa/2T^a=\sigma^a/2(パウリ行列の半分)で fabc=εabcf^{abc}=\varepsilon^{abc}、SU(3) では Ta=λa/2T^a=\lambda^a/2(Gell-Mann 行列の半分)です。ゲージ変換の行列は Ω(x)∈G\Omega(x)\in G と書き(3-01 と同じ字です)、字 gg は結合定数に取っておきます。物質の場 ψ(x)∈CN\psi(x)\in\mathbb C^N は ψ↦Ω(x)ψ\psi\mapsto\Omega(x)\psi と変わるとします(基本表現)。

この章は物理の流儀で、エルミートな Aμ=AμaTaA_\mu=A^a_\mu T^a と結合 gg を分けて書きます。§01 の寄り道の Yang の黒板の ϵ\epsilon と BμB_\mu は、この gg と AμA_\mu に当たります(係数の約束は論文によります)。本の中の他の書き方とは、次の一行で翻訳できます。

書き方共変微分場の強さ章
この章Dμ=∂μ−igAμD_\mu=\partial_\mu-igA_\muFμνF_{\mu\nu}(式 (6))3-02・第 4 部
幾何(反エルミート)D=d+AD=d+\mathcal A、A=−igA\mathcal A=-igAF=dA+A∧A=−igF\mathcal F=d\mathcal A+\mathcal A\wedge\mathcal A=-igF1-07・3-04
結合を吸収Dμ=∂μ−iA^μD_\mu=\partial_\mu-i\hat A_\mu、A^=gA\hat A=gAF^=gF\hat F=gF2-04
03

共変微分 — 変換則の二つの項

3-01 の (10) を SU(N)\mathrm{SU}(N) に広げ、導き方を追い直します。困るのは微分です。Ω\Omega が点によると、積の微分から余分な項が出ます。

∂μ(Ωψ)=Ω ∂μψ+(∂μΩ) ψ(1)\partial_\mu(\Omega\psi)=\Omega\,\partial_\mu\psi+(\partial_\mu\Omega)\,\psi \tag{1}

第二項は、枠の違う隣どうしの点の値をそのまま引き算したために出ます(1-07 §01)。そこで 3-01 と同じく、補正の場 AμA_\mu を足した微分が ψ\psi と同じように変わることを要求します。

Dμ=∂μ−igAμ,Dμ′(Ωψ)=Ω Dμψ(2)D_\mu=\partial_\mu-igA_\mu,\qquad D'_\mu(\Omega\psi)=\Omega\,D_\mu\psi \tag{2}

左辺は Ω∂μψ+(∂μΩ)ψ−igAμ′Ωψ\Omega\partial_\mu\psi+(\partial_\mu\Omega)\psi-igA'_\mu\Omega\psi、右辺は Ω∂μψ−ig ΩAμψ\Omega\partial_\mu\psi-ig\,\Omega A_\mu\psi です。すべての ψ\psi で等しいことから、Aμ′A'_\mu が決まります。

Aμ′=ΩAμΩ−1−ig (∂μΩ) Ω−1(3)A'_\mu=\Omega A_\mu\Omega^{-1}-\frac{i}{g}\,(\partial_\mu\Omega)\,\Omega^{-1} \tag{3}

第一項は随伴表現による回転(1-04 §06)、第二項は Ω\Omega の傾きから来る非斉次の項です。ΩΩ†=1\Omega\Omega^\dagger=1 を微分すると (∂Ω)Ω−1(\partial\Omega)\Omega^{-1} は反エルミートで、det⁡Ω=1\det\Omega=1 からトレースは 0 なので、A′A' も同じリー環に留まります。例。Ω=eiα(x)\Omega=e^{i\alpha(x)}(U(1))なら第一項は AμA_\mu のままで、Aμ′=Aμ+∂μα/gA'_\mu=A_\mu+\partial_\mu\alpha/g は、χ=α/g\chi=\alpha/g とおけば 2-03 の (G) そのものです(2-04 の Aμ=(−ϕ,A)A_\mu=(-\phi,\mathbf A) の約束で)。非可換で新しいのは、AA を挟む第一項です。

無限小の変換 — ゲージ場自身が回る

Ω=1+iαaTa\Omega=1+i\alpha^aT^a(α\alpha は小さい)として (3) を一次まで展開すると、成分では

δAμa=1g ∂μαa+fabcAμb αc=1g (Dμα)a(4)\delta A^a_\mu=\frac1g\,\partial_\mu\alpha^a+f^{abc}A^b_\mu\,\alpha^c=\frac1g\,(D_\mu\alpha)^a \tag{4}

です。右端の (Dμϕ)a=∂μϕa+gfabcAμbϕc(D_\mu\phi)^a=\partial_\mu\phi^a+g f^{abc}A^b_\mu\phi^c は随伴表現の場に働く共変微分です。例。SU(2) で α\alpha を定数とし α3=θ\alpha^3=\theta(他は 0)に取ると、δA1=θA2\delta A^1=\theta A^2、δA2=−θA1\delta A^2=-\theta A^1、δA3=0\delta A^3=0。場所によらない回転でもゲージ場の成分が互いに回るので、ゲージ場自身が非可換な電荷を持ちます(3-01 §06 の「ゲージ場自身が回される」を成分で見たもの)。光子が電荷を持たないのと対照的で、要旨の「アイソスピン 1」はこのことです。

鎖の上で見る

点を一列に並べると (2) の意味が見えます。点 nn に随伴表現の場(実の三成分ベクトル)ϕn\phi_n を置き、点 n+1n+1 の値を点 nn の枠へ運ぶ回転 UnU_n を辺に置きます。2-03 の辺の U(1) の元の非可換版で、5-01 の格子の部品です。3-01 の比較器で書けば Un=U(n,n+1)U_n=U(n,n{+}1) で、3-01 の鎖の Uj=U(j+1,j)U_j=U(j{+}1,j) とは向きが逆です。ここでの Ωn\Omega_n と UnU_n は、SU(2) の元が随伴表現で与える 3×33\times3 の回転(1-04 §06)を同じ字で書いたものです。

ϕn′=Ωnϕn,Un′=ΩnUnΩn+1−1,Un′ϕn+1′−ϕn′=Ωn(Unϕn+1−ϕn)(5)\phi'_n=\Omega_n\phi_n,\qquad U'_n=\Omega_nU_n\Omega_{n+1}^{-1},\qquad U'_n\phi'_{n+1}-\phi'_n=\Omega_n\bigl(U_n\phi_{n+1}-\phi_n\bigr) \tag{5}

右端の「共変な差」は回転が一つ掛かるだけなので、長さが変わりません。素朴な差 ϕn+1′−ϕn′\phi'_{n+1}-\phi'_n は二点の回転が違うので、長さが変わります。点の間隔を hh として Un≈1−ighAU_n\approx1-ighA と置き、h→0h\to0 とすると、(5) の二つ目は (3) に、共変な差は hDμϕhD_\mu\phi になります。ここで AA は、随伴表現の行列 (Tadja)bc=−ifabc(T^a_{\rm adj})_{bc}=-if^{abc} を使った A=AaTadjaA=A^aT^a_{\rm adj} として作用し、DμϕD_\mu\phi の成分は (4) の右端と同じ形になります。

図 1 九つの点の場(上の矢印)と、辺ごとの差の長さ(下の棒)。つまみ ss でゲージ変換の強さを変えると、灰色の棒(素朴な差)は変わり、色の棒(共変な差)は変わりません。

計算この図の数値はこの端末で計算した(表 1 と同じ式・同じ配置をブラウザで計算)。JavaScript が無効なら表 1 が図の中身です。

表 1 ゲージ変換の強さ ss と、八本の辺の差の二乗和
ss素朴な差共変な差
0.001.38231.4716
0.253.05241.4716
0.507.60911.4716
0.7513.52671.4716
1.0018.65701.4716

各辺の共変な差の変化は 3×10−163\times10^{-16} 以下(丸め誤差)でした 計算。s=0s=0 で二つが違うのは、UnU_n を小さな回転に取ってあるからです。

04

場の強さ — 共変微分の交換子

電磁気学では ∂μAν−∂νAμ\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu がゲージ変換で変わらない量でした。非可換では (3) の第一項のため、この組み合わせは共変にもなりません。正しい組み合わせは、共変微分を二つの順で掛けた差から出ます。

[Dμ,Dν] ψ=−ig Fμν ψ,Fμν=∂μAν−∂νAμ−ig [Aμ,Aν](6)[D_\mu,D_\nu]\,\psi=-ig\,F_{\mu\nu}\,\psi,\qquad F_{\mu\nu}=\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu-ig\,[A_\mu,A_\nu] \tag{6}

左辺を展開すると ∂μ∂νψ\partial_\mu\partial_\nu\psi と A ∂ψA\,\partial\psi の項は μν\mu\nu について対称なので消え、ψ\psi の微分が残りません。FμνF_{\mu\nu} は各点の行列(リー環の元)で、成分では次の通りです。

Fμνa=∂μAνa−∂νAμa+g fabcAμbAνc(7)F^a_{\mu\nu}=\partial_\mu A^a_\nu-\partial_\nu A^a_\mu+g\,f^{abc}A^b_\mu A^c_\nu \tag{7}

SU(2) では、三成分 (Aμ1,Aμ2,Aμ3)(A^1_\mu,A^2_\mu,A^3_\mu) を内部空間のベクトルとみると、最後の項はベクトル積 g Aμ×Aνg\,A_\mu\times A_\nu です。(2) は作用素として Dμ′=ΩDμΩ−1D'_\mu=\Omega D_\mu\Omega^{-1} という意味なので、交換子も同じく挟まれます。

Fμν′=Ω Fμν Ω−1(8)F'_{\mu\nu}=\Omega\,F_{\mu\nu}\,\Omega^{-1} \tag{8}

FF は不変ではなく、各点で随伴表現により回ります(共変)。電場と磁場がそのまま測れる量だった電磁気学との大きな違いです。

例 1(純ゲージ)。A=0A=0 を (3) で変換した Aμ=−ig(∂μΩ)Ω−1A_\mu=-\tfrac ig(\partial_\mu\Omega)\Omega^{-1} は、(8) により F=0F=0 です。逆に R4\mathbb R^4 のような単連結な領域で F=0F=0 なら、AA はこの形に書けます 既知。Straumann が紹介する、Pauli が 1953 年 7 月に Pais へ送った手紙に付けたノートは、これを “The vanishing of the field strength is necessary and sufficient for the Aμa(x)A^a_\mu(x) in the whole space to be transformable to zero.” と述べています。穴のある領域では成り立たず、2-03 の Aharonov–Bohm 効果がその例です(大域的な話は 3-04)。

例 2(交換子だけ)。定数の場 Ax=a T1A_x=a\,T^1、Ay=b T2A_y=b\,T^2 では、Fxy=−ig ab [T1,T2]=g ab T3≠0F_{xy}=-ig\,ab\,[T^1,T^2]=g\,ab\,T^3\ne0 です。電磁気学なら定数のポテンシャルは場を作りません。小さな正方形を一周したずれとして見る図が 1-07 の図 2 にあります。

計算SU(2)・SU(3) で滑らかな AA と Ω\Omega を与えて差分で比べると、(8) の両辺の差は 5×10−95\times10^{-9}(刻み 10−410^{-4} の誤差)、交換子を落とすと 0.78・1.74、純ゲージの FF は 10−910^{-9} 以下でした。

05

色の電場と色の磁場 — 測れる量を数え直す

電磁気学にならい、群の方向ごとに電場と磁場を定めます。2-04 の F0i=−EiF_{0i}=-E_i、Fij=εijkBkF_{ij}=\varepsilon_{ijk}B_k と同じ置き方で、空間の三成分を太字で書きます(Aa=(A1a,A2a,A3a)\mathbf A^a=(A^a_1,A^a_2,A^a_3))。

Eia=Fi0a,Bia=12εijkFjka=(∇×Aa)i+g2 εijkfabcAjbAkc(9)E^a_i=F^a_{i0},\qquad B^a_i=\tfrac12\varepsilon_{ijk}F^a_{jk}=(\nabla\times\mathbf A^a)_i+\tfrac g2\,\varepsilon_{ijk}f^{abc}A^b_jA^c_k \tag{9}

A0=0A_0=0 に取る(時間ゲージ)と Eia=−∂tAiaE^a_i=-\partial_tA^a_i です。磁場の第二項が交換子の部分で、ポテンシャルが空間的に一様でも磁場が生じます。

Ea\mathbf E^a と Ba\mathbf B^a は (8) により、各点で色の添字について回ります。そのため「色の電場の 3 番の成分」はゲージで値が変わり、測れる量ではありません。変わらないのは ∑a∣Ea∣2=2tr⁡(E⋅E)\sum_a|\mathbf E^a|^2=2\operatorname{tr}(\mathbf E\cdot\mathbf E) のような長さの二乗です。電磁気学にならい、この章では次をエネルギー密度とします(作用から導くのは 3-03)。

E=12∑a(∣Ea∣2+∣Ba∣2)(10)\mathcal E=\tfrac12\sum_a\bigl(|\mathbf E^a|^2+|\mathbf B^a|^2\bigr) \tag{10}

例。ゲージで変わらない量の典型は tr⁡(FμνFμν)\operatorname{tr}(F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}) と、閉じた道の平行移動のトレース(Wilson ループ、1-07 §06)です。

06

自己相互作用 — 二次・三次・四次の項

エネルギー (10) も、3-03 で作用に置く FμνaFa μνF^a_{\mu\nu}F^{a\,\mu\nu} も FF の二乗です。(7) を入れると、AA について二次・三次・四次の項に分かれます。

FμνaFa μν=(∂μAνa−∂νAμa)(∂μAa ν−∂νAa μ)+4g fabc (∂μAνa) Ab μAc ν+g2fabefcde AμaAνbAc μAd ν(11)\begin{aligned} F^a_{\mu\nu}F^{a\,\mu\nu}&=(\partial_\mu A^a_\nu-\partial_\nu A^a_\mu)(\partial^\mu A^{a\,\nu}-\partial^\nu A^{a\,\mu})\\ &\quad+4g\,f^{abc}\,(\partial_\mu A^a_\nu)\,A^{b\,\mu}A^{c\,\nu}\\ &\quad+g^2f^{abe}f^{cde}\,A^a_\mu A^b_\nu A^{c\,\mu}A^{d\,\nu} \end{aligned} \tag{11}

一行目は Maxwell の FμνFμνF_{\mu\nu}F^{\mu\nu} を色の数 N2−1N^2-1 だけ並べたもので、ここだけなら互いに作用しない Maxwell 場の集まりです。二・三行目は fabcf^{abc} を含み、U(1) では消えます。作用に置くと(3-03)、これらはゲージ場どうしの相互作用で、摂動論(4-03)ではゲージ場が三本・四本出会う頂点になります。古典の Maxwell 方程式では光どうしは散乱しませんが、ヤン–ミルズ場は自分自身と散乱します。

帰結は方程式の非線形性です。Jaffe–Witten は “The Yang–Mills equations are nonlinear—in contrast to the Maxwell equations.” と書きます 既知。二つの解を足しても、一般には解になりません。計算無作為な AμaA^a_\mu・∂μAνa\partial_\mu A^a_\nu で (11) の両辺は 10 桁一致しました。0 でない fabcf^{abc} は順序つきで SU(2) が 6 個、SU(3) が 54 個です。

表 2 電磁気学とヤン–ミルズの古典的な違い
電磁気学 U(1)ヤン–ミルズ SU(NN)
ゲージ場の数1N2−1N^2-1(SU(3) で 8)
場の強さ不変共変 (8)
ゲージ場の電荷持たない持つ (4)
定数のポテンシャル場を作らない交換子が 0 でなければ作る
方程式線形非線形 (11)
古典の波質量 0質量 0(§08)
07

空間に一様な場 — 交換子だけが作る谷

自己相互作用を一番小さな形で見ます。SU(2) で A0=0A_0=0 とし、AiaA^a_i が時間だけの関数だとすると、(9) の磁場は交換子の項だけです。さらに A11=x(t)A^1_1=x(t)、A22=y(t)A^2_2=y(t)、ほかを 0 と置くと、0 でない場は E11=−x˙E^1_1=-\dot x、E22=−y˙E^2_2=-\dot y、B33=g xyB^3_3=g\,xy で、(10) は平面上の粒子のエネルギーになります。

H=12(x˙2+y˙2)+12g2x2y2,x¨=−g2xy2,y¨=−g2x2y(12)H=\tfrac12\bigl(\dot x^2+\dot y^2\bigr)+\tfrac12g^2x^2y^2,\qquad \ddot x=-g^2xy^2,\quad \ddot y=-g^2x^2y \tag{12}

一様な場では、ヤン–ミルズの運動方程式(3-03)は 9 成分 AiaA^a_i の粒子が 12∑(Bia)2\tfrac12\sum(B^a_i)^2 の中を動く式になり、この置き方はそれと矛盾しません 計算(数値微分で、他の 7 成分に働く力は 0。Gauss の拘束 εabcAibEic=0\varepsilon^{abc}A^b_iE^c_i=0 も成り立ちます)。Gauss の拘束とは、時間ゲージで失われた A0A_0 の方程式が残す条件で、電磁気学の ∇⋅E=0\nabla\cdot\mathbf E=0 の非可換版です。一様な場では微分の項が消えて、この形になります(4-01)。比べるために二つの成分を同じ色の向きに置く(A11=xA^1_1=x、A21=yA^1_2=y)と、交換子が 0 で V=0V=0、電磁気学と同じく粒子はまっすぐ進みます。

非可換の V=12g2x2y2V=\tfrac12g^2x^2y^2 は座標軸の上で 0 で、谷は無限に続き、奥ほど細くなります(エネルギー EE で動ける幅は ∣y∣≤2E/(g∣x∣)|y|\le\sqrt{2E}/(g|x|))。図 2 は、速度を δ\delta だけ変えた二つの粒子を同時に走らせます。

図 2 左:(12) の軌道(g=1g=1、初期値 (x,y,x˙,y˙)=(0.8,0.9,0.6,−0.3)(x,y,\dot x,\dot y)=(0.8,0.9,0.6,-0.3)、E=0.4842E=0.4842。目盛りは遠くを縮め、細い曲線は V=EV=E の等高線)。右:二つの粒子の距離 dd(縦は対数)。つまみ kk で初めのずれ δ=10−k\delta=10^{-k} を変え、「可換にする」で V=0V=0 に切り替えます。

計算この図の数値はこの端末で計算した(表 3 と同じ積分の規則:4 次の Runge–Kutta、刻み min⁡(0.01, 0.02/(gmax⁡(∣x∣,∣y∣)))\min(0.01,\,0.02/(g\max(|x|,|y|)))、0.05 ごとに距離を見る)。JavaScript が無効なら表 3 が図の中身です。

表 3 初めのずれ δ\delta と、距離が 0.5 を超える時刻
δ\delta非可換可換(0.5/δ0.5/\delta)
1e-27.4550
1e-425.055e3
1e-637.905e5
1e-854.555e7
1e-1077.155e9

非可換では δ\delta を 1/10 にするごとに、離れる時刻がおよそ 8 ずつ延びるだけです(10−210^{-2}〜10−1010^{-10} の 9 点への直線のあてはめで傾き 8.04。軌道が谷の奥にいる間は離れ方が鈍るので刻みは不揃い)。距離が指数的に増えるということで、右の図ではほぼ直線に上がります。可換では距離は δ t\delta\,t です。エネルギーのずれは t≤120t\le120 で 5×10−95\times10^{-9} 以下でした 計算。この系は古典ヤン–ミルズ力学として調べられてきました。Savvidy(1983)はこの種の力学を K 系(混合性の強い力学系)だと論じましたが、Dahlqvist–Russberg(1990)はこの x2y2x^2y^2 の系に安定な周期軌道の族を見つけ、運動が完全にエルゴード的だという先行の主張を否定しました(要旨による)。この端末の計算が示すのは、上の初期値で有限の時間に見える離れ方までです。

古典には尺度が無い

(12) には長さや時間の単位になる定数がありません(gg は時間の目盛りを変えるだけ)。解 x(t),y(t)x(t),y(t) があれば、任意の λ>0\lambda\gt0 で

xλ(t)=λ x(λt),yλ(t)=λ y(λt),Eλ=λ4E(13)x_\lambda(t)=\lambda\,x(\lambda t),\qquad y_\lambda(t)=\lambda\,y(\lambda t),\qquad E_\lambda=\lambda^4E \tag{13}

も解です(代入すると両辺に λ3\lambda^3 が出ます)。例。エネルギーを 1/16 にすると、同じ形の運動が 2 倍ゆっくり起こります。エネルギーを 0 に近づければ運動はいくらでも遅くなり、振動数に下限がありません。計算λ=0.5, 0.25, 0.125\lambda=0.5,\,0.25,\,0.125 の初期値を同じ規則で別々に解き、時刻 5/λ5/\lambda の位置を λ\lambda で割ると、どれも (−0.401421, 0.616689)(-0.401421,\,0.616689) と 6 桁一致しました。

場全体でも同じで、A=0A=0 のまわりで (11) の二次の項だけを残すと Maxwell 場の集まりになり、振動数は ω=∣k∣\omega=|\mathbf k| で 0 まで続きます。Jaffe–Witten はこれを、古典の方程式が “massless waves that travel at the speed of light” を記述する、と書きます 既知。量子にすると、谷の奥では横の振動の最低エネルギー g∣x∣/2g|x|/2 が壁になり、(12) を量子化した作用素のスペクトルは離散で、最低固有値は正です 既知(Simon 1983、2-05 の寄り道)。これは一様な場だけを残した有限自由度の模型についての定理です。

場の理論としての量子ヤン–ミルズに隙間があることは、物理では広く受け入れられていますが、定理にはなっていません 物理。

08

質量の問題 — 手で足せない理由

§01 の寄り道の Pauli の問いに、式で答えます。質量 mm のベクトル場なら、ラグランジアン密度に −12m2AμaAa μ-\tfrac12m^2A^a_\mu A^{a\,\mu} を足すのが普通です(電磁場なら Proca の場)。ところが (4) で変化を計算すると

δ(AμaAa μ)=2g Aa μ∂μαa+2fabcAa μAμb αc=2g Aa μ∂μαa(14)\delta\bigl(A^a_\mu A^{a\,\mu}\bigr)=\frac2g\,A^{a\,\mu}\partial_\mu\alpha^a+2f^{abc}A^{a\,\mu}A^b_\mu\,\alpha^c=\frac2g\,A^{a\,\mu}\partial_\mu\alpha^a \tag{14}

です。第二項は fabcf^{abc} が a,ba,b について反対称、Aa μAμbA^{a\,\mu}A^b_\mu が対称なので消えます。残る第一項は (3) の非斉次の項から来ていて、α\alpha が点によると 0 になりません。質量項は、各点で回してよいという要求を壊します 既知。計算無作為な AA と小さな α\alpha で、SU(2)・SU(3) とも (14) の両辺が 4 桁以上一致しました。

こうしてゲージ不変性を保つ限り、古典のヤン–ミルズ場の波は質量を持ちません。Jaffe–Witten は “The massless nature of classical Yang–Mills waves was a serious obstacle to applying Yang–Mills theory to the other forces” と書きます。越え方が弱い力(Higgs 場、3-07)と強い力(漸近自由、4-06)で違ったことは、3-01 §06 で見ました。

強い力の理論が量子の水準で持つべき性質の一つ目として、Jaffe–Witten は質量ギャップを挙げます:“there must be some constant Δ>0\Delta\gt0 such that every excitation of the vacuum has energy at least Δ\Delta”(0-03・4-11)。古典の場には尺度が無く(§07)、隙間は量子化してはじめて生じると考えられています 物理。純粋なヤン–ミルズ理論について存在と質量ギャップを定理として示すことが問題文の要求で、この章はそれについて何も示していません。


この章が言えている範囲

事項言えている言えていない
(2)〜(8)・(11)標準の導出と、SU(2)・SU(3) での数値の確認 既知計算運動方程式・Bianchi 恒等式(3-03)、接続の空間の幾何(3-04)
(12) 一様な場の x2y2x^2y^2 の系置き方の整合と、この初期値で有限時間に見える指数的な離れ方 計算不規則性の証明、リャプノフ指数(近い軌道が離れる速さの指数)の値
(13) 古典に尺度が無いこと厳密なスケーリングと数値の確認 計算量子化で尺度が生じることの、場の理論としての証明
(14) 質量項局所的なゲージ不変性を壊すこと 既知Higgs 機構の中身(3-07)
質量ギャップ—量子のヤン–ミルズ理論に隙間があること(未解決。このサイトは何も示していない) 物理
§01 の歴史要旨・総説・問題説明に書かれていることYang–Mills の本文、Pauli の書簡の原文、Shaw の仕事の中身

出典と再現

もの種別出典・道具
§01 の要旨の引用と要約一次資料(要旨を確認・本文は未読)C. N. Yang, R. L. Mills, “Conservation of Isotopic Spin and Isotopic Gauge Invariance”, Phys. Rev. 96 (1954) 191(受理 1954 年 6 月 28 日)
Pauli の 1953 年の仕事・書簡の一句・ノートの引用・Yang の回想総説(本文を確認)N. Straumann, “On Pauli's invention of non-abelian Kaluza-Klein Theory in 1953”, arXiv:gr-qc/0012054(Yang の回想は C. N. Yang, Selected Papers p. 525 を典拠として引く)。書簡集(W. Pauli, Wissenschaftlicher Briefwechsel IV/II, Springer 1999)は書誌のみ
1954 年 2 月のセミナーの回想・Shaw と Utiyama総説(本文を確認)L. O'Raifeartaigh, N. Straumann, “Early History of Gauge Theories and Kaluza-Klein Theories, with a Glance at Recent Developments”, arXiv:hep-ph/9810524 §VII・図 1(掲載時の題 “Gauge theory: Historical origins and some modern developments”, Rev. Mod. Phys. 72 (2000) 1–23)。原典の C. N. Yang, Selected Papers 1945–1980 with Commentary (1983) p. 525 は書誌のみ
Utiyama(1956)の書誌一次資料(要旨を確認)R. Utiyama, “Invariant Theoretical Interpretation of Interaction”, Phys. Rev. 101 (1956) 1597
SU(3)・非線形・質量の無い波・深刻な障害・質量ギャップの引用一次資料(本文を確認)A. Jaffe, E. Witten, “Quantum Yang–Mills Theory”, Clay Mathematics Institute の公式問題説明 §1
x2y2x^2y^2 の系:K 系という主張書誌のみ(Crossref で確認)Savvidy, “The Yang-Mills classical mechanics as a Kolmogorov K-system”, Phys. Lett. B 130 (1983) 303–307
x2y2x^2y^2 の系:安定な周期軌道の族一次資料(要旨を確認)P. Dahlqvist, G. Russberg, “Existence of stable orbits in the x2y2x^2y^2 potential”, Phys. Rev. Lett. 65 (1990) 2837–2838
量子の x2y2x^2y^2 の系の離散スペクトル既知(書誌のみ)B. Simon, “Some quantum operators with discrete spectrum but classically continuous spectrum”, Ann. Phys. 146 (1983) 209–220(Jaffe–Witten §6.6 の文献 [43]。平らな方向を持つ位置エネルギーでも束縛状態が生じる例として引かれる)
(1)〜(14) の導出既知標準的な事項。記号の翻訳は §02 の表
表 1・図 1、§04・§06・§08 の数値この端末で計算Python 3.12・NumPy 1.26・SciPy 1.11(chain_covariance.py・formula_checks.py)。図 1 は同じ式を素の JavaScript で計算
§07 の整合・表 3・(13) の確認・図 2この端末で計算Python 3.12(ym_mechanics.py)。図 2 は同じ規則を素の JavaScript で積分。丸めの違いは不規則な運動で増幅されるので、tt が 100 を大きく過ぎると図と表の軌道は離れうる

次に読む章:3-03 作用と方程式(tr⁡F2\operatorname{tr}F^2・Bianchi 恒等式・運動方程式・自己双対)。幾何の続きは 3-04。

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改訂 2026-10-01:初版。