この本の全体 目次と読む順
- 第 0 部 入口 — この本の読み方
- 0-01 この本の読み方
- 0-02 一枚の絵
- 0-03 問題文を一語ずつ読む
- 0-04 数学の四次元と物理の四次元
- 第 1 部 数学の準備
- 1-01 ベクトル空間と線形写像
- 1-02 群とは何か
- 1-03 リー群とリー環
- 1-04 SU(2) と SU(3)
- 1-05 多様体と接空間
- 1-06 微分形式と外微分
- 1-07 ベクトル束と接続
- 1-08 確率と測度
- 1-09 無限次元の確率
- 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
- 1-11 フーリエ解析と分布
- 1-12 寄り道
- 第 2 部 物理の準備
- 2-01 ラグランジアンと作用
- 2-02 場という考え
- 2-03 電磁気学はゲージ理論である
- 2-04 特殊相対論と時空
- 2-05 量子力学の骨
- 2-06 調和振動子と生成消滅
- 2-07 経路積分の考え方
- 2-08 統計力学と相転移
- 2-09 寄り道
- 2-10 緩和の時間と動的指数 z
- 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
- 3-01 ゲージ原理
- 3-02 非可換ゲージ場
- 3-03 作用と方程式
- 3-04 幾何としてのゲージ理論
- 3-05 インスタントンと位相
- 3-06 寄り道
- 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
- 第 4 部 量子化
- 4-01 正準量子化とハミルトニアン
- 4-02 経路積分とユークリッド化
- 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
- 4-04 発散と繰り込み
- 4-05 発散の代数
- 4-06 漸近自由
- 4-07 次元転移と Λ
- 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
- 4-09 場の量子論の公理
- 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
- 4-11 質量ギャップの定義
- 4-12 寄り道
- 第 5 部 格子ゲージ理論
- 5-01 Wilson の格子
- 5-02 強結合展開
- 5-03 反射正値性と転送行列
- 5-04 無限体積極限とクラスター展開
- 5-05 弱結合と連続極限
- 5-06 U(1) と非可換の違い
- 5-07 モンテカルロ法
- 5-08 グルーボールと弦張力の測定
- 5-09 何を固定して極限を取るか
- 5-10 有限群の格子ゲージ理論
- 5-11 寄り道
- 第 6 部 構成的場の理論
- 6-01 構成的場の理論とは
- 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
- 6-03 スカラー場の構成
- 6-04 クラスター展開
- 6-05 繰り込み群の段の列
- 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
- 6-07 四次元
- 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
- 6-09 確率量子化と正則性構造
- 6-10 四次元で止まる場所
- 6-11 発散以外の障害
- 6-12 寄り道
- 第 7 部 物理の側から
- 7-01 物理はどう見ているか
- 7-02 閉じ込めの機構
- 7-03 弦の絵
- 7-04 大 N
- 7-05 ひも理論と余剰次元
- 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
- 7-07 ゲージ場はどこから来るか
- 7-08 ホログラフィー
- 7-09 質量ギャップが幾何になる
- 7-10 四次元に戻す
- 7-11 超対称と Seiberg–Witten
- 7-12 等価原理に当たる一文
- 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
- 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
- 8-01 辞書の読み方
- 8-02 辞書 A
- 8-03 辞書 B
- 8-04 辞書 C
- 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
- 第 9 部 現在地と課題
- 9-01 世界はどこまで来ているか
- 9-02 二つの掘り方の切れ目
- 9-03 新しい概念の候補
- 9-04 課題の一覧
- 9-05 よくある誤解
- 第 10 部 質量ギャップの厳密な証明へ — この端末の検討
- 10-00 第 10 部の入口 — 酔歩と定規と時計
- 10-01 理論の構成の筋
- 10-02 一段の記帳
- 10-03 仮定 H と三つの鎖
- 10-04 方向の地図
- 10-05 方向 12〜14
- 10-06 方向 15・15′
- 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表
- 10-08 壁の一覧
- 10-09 ひらめき帳から
- 10-10 主張しないこと
- 10-12 つじつま合わせ
- 10-11 定理までの距離
- 10-13 小さな問い — 卒業研究の大きさで決着のつく十〜二十問
- 付録
- A-01 記号表
- A-02 用語集
- A-03 文献案内
- A-04 Lean と機械検査
- A-05 この本の作り方
- A-06 仮定の索引
ひも理論と余剰次元 — 26・10・11 は整合性の条件から出る数
この章で分かること — 弦を基本の対象として量子化すると、時空の次元が自由に選べなくなること。ボゾン弦の 26 を二通り(第一励起/中心電荷)で、超弦の 10 を同じ帳尻で導く筋道。11 が超重力から来る数であること。
前提となる章 — 7-04 大 N。7-03 の零点エネルギーと を使います。群の表現(1-02)、ローレンツ変換(2-04)、調和振動子(2-06)は要る分をその場で書きます。
先に言うこと — 導出は物理の水準です。世界面の二次元の計算は正確ですが、弦の理論に非摂動的な定義は無く、M 理論は存在が仮説です。余剰次元の話は四次元のヤン–ミルズの構成にも質量ギャップにも何も示していません。このサイトは質量ギャップも連続極限の構成も示していません。
- 弦を基本の対象にする — 管の弦との違い
- 横の振動を数える — 質量の公式
- なぜ 26 か(一) — 第一励起は質量ゼロ
- 準位を数える — タキオンと増え方(寄り道:分割数と Hardy–Ramanujan・寄り道:状態の増え方と Hagedorn 温度)
- なぜ 26 か(二) — 中心電荷の帳尻
- なぜ 10 か — 世界面の超対称性(寄り道:26 − 10 = 16 とヘテロ弦)
- なぜ 11 か — 超重力の数
- 「臨界次元」は臨界中心電荷 — 幾何でなくてよい
- ヤン–ミルズに戻る — 管の弦とホログラフィー
弦を基本の対象にする
7-03 は閉じ込めの管を一本の弦とみなし、7-04 §05 では が弦の結合の役をしました。弦の理論も中間子の模型(双対共鳴模型)から始まったとされます。出発点としてよく挙げられるのは Veneziano(1968)の散乱振幅で、たとえば Neveu–Schwarz(1971)の要旨は 'A new dual-resonance model of mesons is constructed …' と書き出します 既知。中間子ではスピン と質量の二乗が直線に並びます(Regge 軌跡)。張力 、長さ の弦が角速度 で回ると両端は光速で、エネルギーと角運動量(2-04)を積分すると 、、つまり
量子化した開いた弦では準位 の最大のスピンが です(Tong §3.1.3)。7-01 の MeV を に入れると 、 fm です 計算。この章の基本の弦は管の有効理論ではなく、どんなに短い距離でも矛盾なく量子化できることを要求されます。すると時空の次元 が自由な入力でなくなります。この章では弦の文献に合わせて、時空の次元を と書きます。7-03 や付録の記号表の と同じもので、空間だけの次元ではありません。
横の振動を数える:質量の公式
弦は時空 の中で面(世界面)を掃きます。光円錐ゲージでは、時間 と縦の一方向 を組み替えた光円錐の座標 を使い、 を世界面の時間 に比例させます(。・ は弦の重心の位置と運動量の 成分。Tong (2.13))。 の振動は消えませんが、制約の式によって横の振動から決まります。独立に振動するのは 本の横の方向だけです(Goddard–Goldstone–Rebbi–Thorn 1973)既知。7-03 の横の変位 と同じ数え方です()。方向 の 番目の振動は調和振動子で(2-06)、生成演算子 を一つ掛けるごとに準位 が 増えます。開いた弦の質量は
で、 は零点エネルギー(全振動子の の和)です。有限部分は 7-03 の (7-03 §04)なので
7-03 の Lüscher 項 と Nambu–Goto の準位の (7-03 §06)は、この同じ数です 既知。Tong はこの和の扱いを 'famously unconvincing' と認め、この章の §05 と同じ中心電荷の方法で導き直します(Tong §4.4.1)。閉じた弦は右向きの振動 と左向きの振動 を持ち、準位は です(Tong (2.26))。
なぜ 26 か(一):第一励起は質量ゼロでなければならない
粒子の内部の状態は、運動量を変えない回転(小群)の表現になります(1-02。Wigner 1939)。質量 なら静止系に移れて小群は 、質量ゼロなら運動量 を保つ です(正確には 次元の回転と平行移動からなる群 ですが、有限個の状態に効くのは回転の部分 です)。四次元の光子の偏りは 2 つ、重いスピン 1 の粒子は 3 つです 既知。開いた弦の準位 1 の は 状態の横のベクトルで、重いベクトルに要る 成分に一つ足りません。ローレンツ対称性を保つには質量ゼロでなければならず、
Tong は閉じた弦の第一励起( 状態)について同じ議論をし、'these states will have to be massless. And this is only the case if the dimension of spacetime is D = 26' と書きます 物理。
ローレンツ代数で確かめる
丁寧には、ローレンツ変換(回転とブースト)を生む保存量 が、光円錐ゲージでもローレンツ代数の関係を満たすかを確かめます。 は弦の振動が持つ角運動量を含みます。要になるのは で、 は横の方向、 は光円錐の方向 です(Tong §2.4)。 の振動が横の振動で決まるので、この交換子は横の振動子で書けます。
比例係数 は省きました。これは閉じた弦の式で、 は左向きの振動の同じ形の項です。すべての で消えるのは かつ のときだけです 既知。原典は Goddard–Goldstone–Rebbi–Thorn(1973)で、その要旨も、角運動量の演算子がローレンツ群 を生成するのは 'only when the first excited state is a photon, i.e., a spin-one massless state, and when D = 26' と述べています。閉じた弦の第一励起は 状態で 計算、Tong はこれを の対称トレースなし・反対称・トレースの場 に当て、最初を質量ゼロのスピン 2、すなわち重力子と読みます 物理。
計算この図の数値はこの端末で計算した。JavaScript が無効なら (4) と表2 で読める。
準位を数える:タキオンと状態数の増え方
の開いた弦の は 、質量の二乗が負のタキオンです(Tong §3.1.1)。質量の項の符号が逆の場(2-02)で、ポテンシャルの極大の周りで展開していることを意味します 物理。準位 の状態数 は、 を「24 色の正の整数」の和に分ける仕方の数です。
準位 2 の 324 は の対称トレースなし 2 階の次元、準位 3 の 3200 は (対称トレースなし 3 階と反対称 2 階)です 計算。Tong によれば全ての励起が の表現に収まり、条件は準位 1 だけです。準位 2・3 の数が の表現の次元の和に合うことは、〜 で確かめました 計算。どちらも の三次以下の多項式なので、これで任意の で成り立つ恒等式になります。
| N | 比 | ||
|---|---|---|---|
| 0 | −1 | 1 | |
| 1 | 0 | 24 | |
| 2 | 1 | 324 | 1.000009 |
| 3 | 2 | 3200 | 0.999998 |
| 10 | 9 | 6.392×10⁸ | 1.00000000 |
| 400 | 399 | 1.446×10⁹¹ | 1.00000000 |
計算この表の数値はこの端末で計算した。
寄り道:分割数と Hardy–Ramanujan
飛ばしてよい小節です。
1 色なら (6) の係数は分割数 で( の )、Hardy と Ramanujan(1918)は を与えました 既知。24 色の (6) では、 と置くと ですが、近づき方は遅く、比は でも 0.71 です。よく合うのは修正 Bessel 関数 を使った形 で、 で既に 5 桁一致します(表2)計算。 は、 が大きいと のように振る舞う関数です。これを入れると となり、二つの式は大きな で一致します。比 0.71 は、 をこの近似で置き換えたときのずれです。
寄り道:状態の増え方と Hagedorn 温度
飛ばしてよい小節です。
準位 の開いた弦は なので、上の寄り道と同じく と置くと 、つまり です。上の寄り道の漸近形から、状態の数は の割で増えます(前に付く のべきは、指数に比べてゆっくり変わります)。温度を と書きます(張力の と区別するため。ボルツマン定数を 1 とする単位)。質量 の状態の重みはボルツマン因子 (2-08)なので、数と重みの積は の形になり、 では とともに増えて和が発散します。この が Hagedorn 温度です 物理。7-03 §06 の Hagedorn 長さ (、 は張力でこの章の )に 、 を入れると で、その逆数 は と一致します 計算。7-03 で周期の方向を時間とみたとき が温度になったのと同じ読み方です。
なぜ 26 か(二):中心電荷の帳尻
二つ目の導出は、世界面の上の 個の場 を二次元の自由なスカラー場(2-02)として見ます。尺度を変えても形の変わらない二次元の理論(共形場理論)は中心電荷 を持ち、自由なスカラー 1 本で です。正確には、共形場理論は角度を保つ写像(共形変換)で不変な理論で、尺度の変更はその一部です。二次元ではこの写像が無限に多く、それが理論を強く縛ります。 は周 の円筒の上の基底エネルギーに現れます(左右の が等しい場合)。
(Blöte–Cardy–Nightingale 1986、Affleck 1986。Tong §4.4.1)既知。7-03 の閉じた管 の は の場合で、端のある管の について Tong は 'c counts the number of degrees of freedom of the QCD flux tube' と書きます。Lüscher の係数は管の中心電荷を測っています。
Polyakov の定式化では世界面の計量も積分する場で、座標の取り替えと計量の尺度の変更(Weyl 変換)がゲージ対称性です。ゲージを固定すると補助の場(ゴースト。4-08 の Faddeev–Popov と同じ仕組み)が入り、中心電荷 を持ちます。ゲージ対称性に量子的な破れ(アノマリー)は許されないので、合計は 0 でなければなりません(Tong §5.3)物理。
光円錐の 本と 、共変な形の 本とゴーストの が、同じ 26 を選びます。正確には、(8) は計量の尺度(Weyl)をゲージ対称性として保つ限りの条件です。 では尺度の自由度が消えずに残り、Liouville 場と呼ばれる新しい場として振る舞います(Tong §5.3.2 の非臨界弦)。Polyakov(1981)の要旨も 'At D = 26 the string dynamics is that of harmonic oscillators …, otherwise it is described by the nonlinear integrable theory' と、 の側を別の理論として書いています。
なぜ 10 か:世界面の超対称性
ボゾン弦にはフェルミオン(電子やクォークの仲間)が無く、タキオンがあります。世界面に の相棒のフェルミオン (1 本で )を加え、両者を入れ替える世界面の超対称性をゲージ対称性にすると、ゴーストが中心電荷 を足します。
Tong §5.3.1 では 'c = 26 − 11 = 15'、'D(1 + 1/2) = 15' です 物理。光円錐でも確かめます。フェルミオンの振動は境界条件により半整数 (Neveu–Schwarz、NS)か整数(Ramond、R)の番号を取り、零点エネルギーは符号が逆の です。有限部分は表1 です。
| ε | 整数 | 半整数 |
|---|---|---|
| 0.1 | −0.0832917 | 0.0416302 |
| 0.001 | −0.0833333 | 0.0416667 |
| → 0 | −1/12 | +1/24 |
計算この表の数値はこの端末で計算した(閉じた形と直接の和を突き合わせ)。
横一方向あたりの零点エネルギーは NS で 、R で です 計算。NS の準位は ( は半整数も取る)で、第一励起 はまた 成分のベクトルです。質量ゼロの条件 は で、(9) と一致します(図1 の「超弦」)。NS の基底 のタキオンは、状態の一部を捨てる規則(Gliozzi–Scherk–Olive 1977 に帰される)で除かれるとされます 物理。
寄り道:26 − 10 = 16 とヘテロ弦
飛ばしてよい小節です。
Green–Schwarz(1984)は 10 次元のゲージ場と重力のアノマリーが相殺される群として と を挙げ、Gross–Harvey–Martinec–Rohm(1985)はヘテロ弦を 'a chiral combination of the closed D=26 bosonic and D=10 fermionic strings' として作りました 既知。26 と 10 の差は 16 で、 と はともに階数 16、次元 496 です( は根 240 本と階数 8 で 248。1-04)計算。この 16 がゲージ群になる仕組みは 7-07 です。
なぜ 11 か:弦ではなく超重力の数
11 は弦の臨界次元ではありません。Cremmer–Julia–Scherk(1978)の要旨は 'We present the action and transformation laws of supergravity in 11 dimensions' です 既知。超重力は重力子とその超対称な相棒(グラビティーノ)を含む場の理論で、11 がその上限であることは Nahm(1978)の分類の帰結とされます。
骨組みはこうです 物理。超電荷は、ボソンとフェルミオンを入れ替える対称性(超対称性)の生成子で、 はその実成分の数です。超電荷が 個あると、質量ゼロの多重項のヘリシティ(進む向きの周りの回転量)の幅は で、スピン 2 以下(幅 4 以下)なら 。11 次元がこれに収まる最後の次元とされます。
11 次元の超重力の場は、重力子と 3-形式とグラビティーノです。3-形式は添字を三つ持つ反対称な場で、電磁ポテンシャル (2-03)の添字を三つにしたものです。自由度を小群 ( の )で数えると、重力子 と 3-形式 のボソン 128 が、グラビティーノ と釣り合います 計算。グラビティーノの勘定では、 のスピノル(フェルミオンの内部の自由度を運ぶ量)が 16 成分であることを、数としてだけ使いました。
Witten(1995)は要旨で 'It is argued … that eleven-dimensional supergravity arises as a low energy limit of the ten-dimensional Type IIA superstring' と論じました。IIA 弦は 10 次元の閉じた超弦の一種で、右向きと左向きの振動が持つ超対称性の向き(カイラリティ)が逆のものです。IIA 弦の結合を とすると、11 番目の円の半径は 11 次元の単位で
です(同論文 式 (2.13))物理。弱結合では円が縮み、円を回る運動量 の状態は弦の計量で質量 (式 (2.14))と重くて見えません。比喩で言えば、弦の 10 次元は細い 11 次元の筒を遠くから見た姿です。正確には、低エネルギーの議論による予想で、強結合の IIA 弦に独立な定義はありません。Hořava–Witten(原稿 1995、掲載 1996)はヘテロ弦と 11 次元の結びつきを 'We propose' の形で提案しました。続く論文(1996)は、境界ごとにゲージ群が 一つずつに決まることを論じ、それが 'the hypothesis that there is a consistent quantum M-theory' を新たに試す材料になると書いて、M 理論の存在を仮説として扱っています。この 11 次元の理論(M 理論)に完全な定義はありません。
「臨界次元」は臨界中心電荷:余剰次元は幾何でなくてもよい
(8)(9) が要求しているのは次元ではなく中心電荷です。Tong は 'the "critical dimension" of string theory is something of a misnomer: it is really a "critical central charge"' と書きます 既知。四次元の平坦な時空なら、ボゾン弦では の に の任意の共形場理論を足せばよく、Tong は 'It is what we really mean when we talk about the "extra hidden dimensions of string theory"' と続けます。超弦では平坦な四次元が で、残りは です 計算。比喩で言えば、帳簿の総額だけが決まっていて品目は自由です。正確には、内部の理論は他の条件(世界面の超対称性など)も満たす必要があり、多様体として幾何に読めるのは特別な場合です。そのとき余剰次元がどう見えなくなるかは 7-06、ゲージ場が出る仕組みは 7-07 です。
計算この図の算術はこの端末で確かめた。JavaScript が無効なら (超弦は )で読める。
ヤン–ミルズに戻る:四次元の管と、ホログラフィーの次元
では 7-03 の四次元の管の弦は、26 次元でないので矛盾するのでしょうか。Polchinski–Strominger(1991)の要旨は、'QCD strings' などの四次元の弦の長い距離の有効理論が 'an interacting Poincaré-invariant conformal field theory with four bosons and c=26' だと述べ、両立を摂動の二次まで示しました 物理。自由なら の 4 本のボソンが、相互作用で を持つ形です。臨界次元が縛るのは基本の弦で、長い管の有効理論は四次元のまま整合します。ただし有効理論は短い距離で壊れ、厳密な導出もありません(7-03 §06)。
基本の弦の余剰次元がヤン–ミルズに戻るのはホログラフィー(7-08)を通してで、内訳は模型ごとに違います。Maldacena の ( は負の定曲率の五次元時空で、四次元の方向と動径の方向を持つ。 は五次元球面)は 10 = 4 + 動径 + 、Witten 1998 §4 は 11 = 4 + 円 2 つ + 動径 + (IIA に下ろすと円が一つ減って 10)、Gürsoy–Kiritsis の改良ホログラフィック QCD は 5 = 4 + 動径です。ギャップを作る次元も模型で違い、Witten の型では動径と潰れる円が作る二次元の葉巻、ボトムアップ型では動径一本と赤外の特異点です(7-09)物理。これらの余剰次元は双対な記述の道具で、実在の次元だとは主張されておらず、実験の下限(7-06)とは別の話です。
(1) 弦の理論には非摂動的な定義が無く、M 理論は存在そのものが仮説です。(2) ホログラフィーの計算が効くのは 、't Hooft 結合 の側で、四次元の純ヤン–ミルズへ戻す極限とは向きが逆です(7-10)。(3) 問題文(Jaffe–Witten)は、四次元で Wightman などの公理(4-09)を満たす非自明な相対論的場の理論を 'at present we do not know' と書きます。余剰次元の道も、四次元の理論をこの意味で構成していません。
この章が言えている範囲
| 言えている | 言えていない |
|---|---|
| 既知(3)(5) の数え上げ(光円錐での世界面の二次元の計算として)。 | 弦の理論の非摂動的な定義。M 理論の存在。 |
| 物理(4) の読み(第一励起を質量ゼロと読む)と (8)(9) の帳尻(ゴーストの中心電荷とアノマリーの議論)。 | の非臨界弦(Liouville 場)の扱い。 |
| 計算表1・表2、図1・図2、576・496・128、Hagedorn 温度(7-03 の )、。 | 表2 の Bessel 形がよく合う理由。 |
| 物理重力子とタキオンの読み、11 次元と IIA の関係、Hořava–Witten(提案)。 | 「11 が上限」の原典での確認。 |
| 物理四次元の管の有効理論が で整合すること(摂動の二次まで)。模型の次元の内訳。 | 有効な弦の全次数での整合性。四次元のヤン–ミルズに管が在ること。余剰次元から四次元の理論を構成すること。このサイトは質量ギャップも連続極限の構成も示していない。 |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| 、(2)〜(9)、各引用 | 既知・物理 | D. Tong, "String Theory", arXiv:0908.0333 §2.2–2.4・§3.1・§4.4.1・§5.3(§5.3.2 の非臨界弦を含む)。本文を確認。 |
| 光円錐量子化と ((4)(5) の原典)/'At D = 26 ...' | 既知・物理 | P. Goddard, J. Goldstone, C. Rebbi, C. B. Thorn, Nucl. Phys. B56 (1973) 109/A. M. Polyakov, Phys. Lett. B103 (1981) 207。要旨を確認。 |
| 中間子の模型、NS と R/タキオンを除く規則 | 既知・物理 | G. Veneziano, Nuovo Cim. A57 (1968) 190(書誌のみ。双対共鳴模型の出発点という位置づけは未確認)/A. Neveu, J. H. Schwarz, Nucl. Phys. B31 (1971) 86/P. Ramond, Phys. Rev. D3 (1971) 2415(要旨を確認)/F. Gliozzi, J. Scherk, D. Olive, Nucl. Phys. B122 (1977) 253(要旨のみ。射影の帰属は未確認)。 |
| 小群/式 (7) | 既知 | E. P. Wigner, Ann. of Math. 40 (1939) 149/H. W. J. Blöte, J. L. Cardy, M. P. Nightingale, PRL 56 (1986) 742/I. Affleck, PRL 56 (1986) 746。書誌のみ(内容は Tong で確認)。 |
| アノマリー相殺/ヘテロ弦 | 既知 | M. B. Green, J. H. Schwarz, Phys. Lett. B149 (1984) 117/D. J. Gross, J. A. Harvey, E. J. Martinec, R. Rohm, PRL 54 (1985) 502。要旨を確認。 |
| 11 次元超重力/上限 | 既知 | E. Cremmer, B. Julia, J. Scherk, Phys. Lett. B76 (1978) 409(要旨を確認)/W. Nahm, Nucl. Phys. B135 (1978) 149(要旨のみ。「11 が上限」は未確認)。 |
| (10)、KK 質量、Hořava–Witten | 物理 | E. Witten, Nucl. Phys. B443 (1995) 85, hep-th/9503124(本文を確認。式 (2.13)(2.14))/P. Hořava, E. Witten, Nucl. Phys. B460 (1996) 506, hep-th/9510209(原稿 1995-10)と Nucl. Phys. B475 (1996) 94, hep-th/9603142(要旨を確認)。 |
| 四次元の管と | 物理 | J. Polchinski, A. Strominger, PRL 67 (1991) 1681。要旨を確認。 |
| 分割数の漸近形 | 既知 | G. H. Hardy, S. Ramanujan, Proc. London Math. Soc. (2) 17 (1918) 75。書誌のみ。 |
| 模型の内訳/問題文 | 物理・既知 | J. Maldacena, Adv. Theor. Math. Phys. 2 (1998) 231, hep-th/9711200/E. Witten, Adv. Theor. Math. Phys. 2 (1998) 505, hep-th/9803131 §4/U. Gürsoy, E. Kiritsis, JHEP 02 (2008) 032, arXiv:0707.1324(要旨)/A. Jaffe, E. Witten, "Quantum Yang–Mills Theory"(Clay の問題文、2000)。Witten 1998 §4 と問題文は本文を確認。 |
| 表・図・算術 | 計算 | この端末の Python 3。zero_point.py(表1)、levels.py(表2・・Hagedorn・)、counts.py(576・128・496・帳尻)。 |
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