この本の全体 目次と読む順
- 第 0 部 入口 — この本の読み方
- 0-01 この本の読み方
- 0-02 一枚の絵
- 0-03 問題文を一語ずつ読む
- 0-04 数学の四次元と物理の四次元
- 第 1 部 数学の準備
- 1-01 ベクトル空間と線形写像
- 1-02 群とは何か
- 1-03 リー群とリー環
- 1-04 SU(2) と SU(3)
- 1-05 多様体と接空間
- 1-06 微分形式と外微分
- 1-07 ベクトル束と接続
- 1-08 確率と測度
- 1-09 無限次元の確率
- 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
- 1-11 フーリエ解析と分布
- 1-12 寄り道
- 第 2 部 物理の準備
- 2-01 ラグランジアンと作用
- 2-02 場という考え
- 2-03 電磁気学はゲージ理論である
- 2-04 特殊相対論と時空
- 2-05 量子力学の骨
- 2-06 調和振動子と生成消滅
- 2-07 経路積分の考え方
- 2-08 統計力学と相転移
- 2-09 寄り道
- 2-10 緩和の時間と動的指数 z
- 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
- 3-01 ゲージ原理
- 3-02 非可換ゲージ場
- 3-03 作用と方程式
- 3-04 幾何としてのゲージ理論
- 3-05 インスタントンと位相
- 3-06 寄り道
- 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
- 第 4 部 量子化
- 4-01 正準量子化とハミルトニアン
- 4-02 経路積分とユークリッド化
- 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
- 4-04 発散と繰り込み
- 4-05 発散の代数
- 4-06 漸近自由
- 4-07 次元転移と Λ
- 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
- 4-09 場の量子論の公理
- 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
- 4-11 質量ギャップの定義
- 4-12 寄り道
- 第 5 部 格子ゲージ理論
- 5-01 Wilson の格子
- 5-02 強結合展開
- 5-03 反射正値性と転送行列
- 5-04 無限体積極限とクラスター展開
- 5-05 弱結合と連続極限
- 5-06 U(1) と非可換の違い
- 5-07 モンテカルロ法
- 5-08 グルーボールと弦張力の測定
- 5-09 何を固定して極限を取るか
- 5-10 有限群の格子ゲージ理論
- 5-11 寄り道
- 第 6 部 構成的場の理論
- 6-01 構成的場の理論とは
- 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
- 6-03 スカラー場の構成
- 6-04 クラスター展開
- 6-05 繰り込み群の段の列
- 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
- 6-07 四次元
- 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
- 6-09 確率量子化と正則性構造
- 6-10 四次元で止まる場所
- 6-11 発散以外の障害
- 6-12 寄り道
- 第 7 部 物理の側から
- 7-01 物理はどう見ているか
- 7-02 閉じ込めの機構
- 7-03 弦の絵
- 7-04 大 N
- 7-05 ひも理論と余剰次元
- 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
- 7-07 ゲージ場はどこから来るか
- 7-08 ホログラフィー
- 7-09 質量ギャップが幾何になる
- 7-10 四次元に戻す
- 7-11 超対称と Seiberg–Witten
- 7-12 等価原理に当たる一文
- 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
- 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
- 8-01 辞書の読み方
- 8-02 辞書 A
- 8-03 辞書 B
- 8-04 辞書 C
- 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
- 第 9 部 現在地と課題
- 9-01 世界はどこまで来ているか
- 9-02 二つの掘り方の切れ目
- 9-03 新しい概念の候補
- 9-04 課題の一覧
- 9-05 よくある誤解
- 第 10 部 質量ギャップの厳密な証明へ — この端末の検討
- 10-00 第 10 部の入口 — 酔歩と定規と時計
- 10-01 理論の構成の筋
- 10-02 一段の記帳
- 10-03 仮定 H と三つの鎖
- 10-04 方向の地図
- 10-05 方向 12〜14
- 10-06 方向 15・15′
- 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表
- 10-08 壁の一覧
- 10-09 ひらめき帳から
- 10-10 主張しないこと
- 10-12 つじつま合わせ
- 10-11 定理までの距離
- 10-13 小さな問い — 卒業研究の大きさで決着のつく十〜二十問
- 付録
- A-01 記号表
- A-02 用語集
- A-03 文献案内
- A-04 Lean と機械検査
- A-05 この本の作り方
- A-06 仮定の索引
文献案内 — 何から読み、どこで手に入り、本書がどこまで読んだか
この章で分かること — 本書の各章が引く主な文献 52 件を、総説・教科書・一次資料の系統と年で並べたもの(ほかに、個別の章の出典を一次資料で確かめた 18 件を表 3 に)。最初に読むとよい数本。それぞれが手に入る場所(arXiv・出版社・研究所や著者の公開・書籍)と、本書の章がその文献を本文まで読んだのか、要旨だけか、書誌だけか。
前提となる章 — なし。どこから引いてもよく、各文献の中身はリンク先の章で読みます。用語は A-02 用語集、記号は A-01 記号表。
先に言うこと — これは網羅的な文献表ではありません。本書の章が引く文献は数百件あり、ここにはそのうち章をまたいで効くものを選んで載せます。「参照の程度」は各章の出典表の書き方を機械的に読み取った値で、文献の価値の評価ではありません。質量ギャップの問題は未解決で、ここに挙げるどの文献も、本書も、それを解いていません。
- この案内の使い方 — 三つの種別と二つの状態。寄り道:書誌の読み方
- 文献の地図 — 七十年を七つの系統に並べる(動く図)
- 最初に読むもの:問題文と総説 — 問題の文と、現在地を書いた総説
- 教科書と講義録 — 第 1 部・第 2 部の道具を深めるために
- 物理の一次資料 — 1954 年の原論文から 1970 年代の骨格まで(と、後の数学・確率量子化の視点)
- 格子と数値 — Wilson の格子と、グルーボールの測定
- 構成的場の理論と確率 — 公理・四次元の紫外・二次元と三次元の確率的構成
- 弦とホログラフィー — 物理の水準の模型
- 本書の出典表を数える — どの文献が何章に出るか、どこまで読んだか(計算)
- 入手と読み方の注意 — 版の違い・未査読・古い誌の探し方。章の出典を一次資料で確かめた書誌(表 3)
この案内の使い方
文献は三つの種別に分けます。一次資料は結果を最初に示した論文で、定理の正確な仮定と言明はここで確かめます。総説はある時点までの結果の見取り図で、どの一次資料を読むかの入口です。教科書・講義録は道具を順に身につけるためのものです。
状態は二つ付けます。一つ目は入手:arXiv(プレプリントの公開の置き場。無料)、出版社(誌の版だけ。図書館の契約が要ることが多い。無料で公開されているものは「出版社(公開)」)、研究所や著者が公開している PDF、書籍。誌に載ったことを本書の時点で確かめていないプレプリントには「未査読」の印を付けます。
二つ目は本書での参照の程度です。各章の「出典と再現」の表は、文献を本文まで読んだか、要旨だけか、書誌だけかを書いています。それを全章で集め、章ごとの程度の最大を取ります。
ここで は文献、 はそれを出典表で引く章の集まり、 は章 の出典表から読み取った程度です。「本文」には、序論や一つの節だけを確かめた場合も含みます。たとえば Osterwalder–Seiler(1978)は 40 章が引き、そのうち 25 章が「書誌のみ」と書いています(§09)。
「書誌のみ」の文献に寄せた本書の主張は、本文を確かめた別の文献を経由しています。経由先は各章の出典表にあります。
寄り道:書誌の読み方
Comm. Math. Phys. 102 (1985) 255 は、Communications in Mathematical Physics の第 102 巻、1985 年、255 頁から、という意味です。誌名は略記され、本書では CMP(Comm. Math. Phys.)、PRL(Phys. Rev. Lett.)、NPB(Nucl. Phys. B)がよく出ます。
arXiv の番号には二つの形があります。2007 年 3 月までは「分野/年月と通し番号」の形、2007 年 4 月からは「年月.通し番号」の形です。通し番号は 2014 年 12 月までが 4 桁、2015 年 1 月からが 5 桁です。
この章の表の「年」は、arXiv があればその投稿の年、なければ誌の年です(Shen–Zhu–Zhu は arXiv が 2022 年、誌が 2023 年)。Clay の問題文は発表の年(2000 年)です。
文献の地図
まず全体を一枚で見ます。横軸が年、縦が系統です。点の大きさは、その文献を引く章の数です。点の塗りは本書での参照の程度で、塗りつぶしが「本文」、薄い塗りが「要旨」、白抜きが「書誌のみ」です。
物理の一次資料は 1954 年から 1970 年代に集まっています。四次元の構成に向かう仕事(Bałaban・Magnen–Rivasseau–Sénéor)は 1980 年代から 1990 年代の初めに集中しています。ただし四次元の構成は完成していません(6-07)。確率論の側からの仕事は 2018 年ごろから増えています。
年のつまみを動かすと、その年までに出た文献だけが濃く残ります。部のつまみを動かすと、その部の章が引く文献だけが濃くなります。点を押すと、系統と参照の程度と引いている部が下に出て、表の行(章へのリンクがある)へ飛べます。
計算 この図の数値(点の位置・大きさ・塗り・部ごとの引用)は、この端末で本書の出典表から数えた(出典と再現)。図と同じ内容は §03〜§08 の系統ごとの表にあり、図が動かない環境でも読めます。
最初に読むもの:問題文と総説
一本だけ読むなら、Clay 数学研究所の公式の問題文(Jaffe–Witten)です。問題が何を求めているか、なぜ四次元で難しいかを、作った側の言葉で書いています。本書では 0-03 で一語ずつ読みます。本書の章の中で最も多く引かれる文献でもあります。
問題文が求める性質の芯は、ハミルトニアン のスペクトルの形です。真空のエネルギーを としたとき、その上に正の隙間 が空いていることを求めます。
この式の正確な読み方(真空の一意性・相関の減衰との関係)は 4-11 にあります。
二本目は Chatterjee の総説「Yang–Mills for probabilists」です。格子の上のヤン–ミルズ理論を確率論の言葉で定義し、何が示されていて何が開いているかを、問いの形(Problem 5.1・5.2)で並べています。本書の第 5 部・第 6 部の多くの章がこれを道しるべにしています。三本目には、二次元・三次元の確率的構成を追うなら Chevyrev、公理と構成の歴史なら Summers の総説です。
| 年 | 文献 | 何が書いてあるか | 本書の章 | 入手 | 参照 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2000 | A. Jaffe, E. Witten(Clay 数学研究所の公式の問題文) | 問題の公式の文と、その背景の解説 | 0-01 0-02 ほか 74 | 研究所の公開 PDF | 本文 |
| 2004 | M. R. Douglas, Report on the Status of the Yang–Mills Millenium Prize Problem(Clay 数学研究所への報告, 2004) | 問題の発表から数年後の現状報告 | 0-02 4-07 ほか 4 | Clay 数学研究所の公開 PDF(年次報告の書庫) | 本文 |
| 2012 | S. J. Summers, arXiv:1203.3991 | 構成的場の理論の歩みの総説 | 4-10 6-03 ほか 2 | arXiv | 本文 |
| 2018 | S. Chatterjee, arXiv:1803.01950 | 確率論の読者に向けた総説。格子の定義・強結合の面積則・未解決の問い | 0-01 0-02 ほか 37 | arXiv | 本文 |
| 2022 | I. Chevyrev, J. Math. Phys. 63 (2022) 091101, arXiv:2202.13359 | 確率量子化からヤン–ミルズに近づく道の総説 | 0-02 0-04 ほか 14 | arXiv | 本文 |
| 2024 | Particle Data Group(S. Navas et al.), Phys. Rev. D 110 (2024) 030001(QCD の章ほか) | 結合定数の走りなど、物理の標準の数値の参照先 | 0-02 0-03 ほか 15 | 出版社(公開) | 本文 |
教科書と講義録
本書の第 1 部・第 2 部は、2 年生の知識から必要な道具を最小限に用意します。もう一段深く学びたいときの行き先がこの表です。群と表現なら Hall、多様体と接続なら Carroll、作用素とスペクトルなら Reed–Simon、場の量子論の計算なら Tong の講義録、公理と構成なら Streater–Wightman と Glimm–Jaffe です。
例を一つ挙げます。1-03 で使う Baker–Campbell–Hausdorff の式は、行列の指数関数の積が、交換子だけで書ける補正を受けることを言います。
本書は三次の項までを Hall の講義録で確かめています。単位元の近くでは、群の積がリー環の交換子だけで決まります。この式がその理由です(群そのものはリー環だけでは決まりません。1-03)。講義録の多くは著者の公開版があり、arXiv の番号を表に書きました。
| 年 | 文献 | 何が書いてあるか | 本書の章 | 入手 | 参照 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1964 | R. F. Streater, A. S. Wightman, PCT, Spin and Statistics and All That, Benjamin (1964) | Wightman の公理とその帰結 | 0-03 0-04 ほか 2 | 書籍 | 書誌のみ |
| 1972 | M. Reed, B. Simon, Methods of Modern Mathematical Physics I, Academic Press (1972) | 作用素論と関数解析の教科書(全 4 巻) | 1-03 1-10 ほか 4 | 書籍 | 書誌のみ |
| 1987 | J. Glimm, A. Jaffe, Quantum Physics: A Functional Integral Point of View, 2nd ed., Springer (1987) | 構成的場の理論の教科書 | 4-10 6-01 | 書籍 | 書誌のみ |
| 1997 | S. M. Carroll, arXiv:gr-qc/9712019 | 一般相対論の講義録。多様体・接続・曲率の入門 | 1-05 1-07 | arXiv | 本文 |
| 2000 | B. C. Hall, arXiv:math-ph/0005032(増補版は Springer GTM 222, 2003) | リー群・リー環・表現の入門 | 1-02 1-03 ほか 2 | arXiv | 本文 |
| 2005 | D. Tong の講義録(Gauge Theory・Statistical Field Theory・TASI Lectures on Solitons, arXiv:hep-th/0509216) | ゲージ理論・統計場の理論・ソリトンの講義録 | 3-05 4-04 ほか 4 | 著者の公開 | 本文 |
物理の一次資料
ヤン–ミルズ理論は、1954 年の Yang と Mills の論文で、アイソスピンの局所対称性から場を作る形で現れました。1960 年代にゲージ固定とゴーストの規則(Faddeev–Popov)が整い、1973 年に漸近自由が見つかります。結合が短い距離で弱まるという符号の発見です。
本書の記号(A-01 の式 (8))で書くと、一ループの走りは次の形です。
なので、エネルギー を上げると は小さくなります。既知 これは摂動の一ループの計算で、四次元の理論についての定理ではありません。物理 この符号が、ヤン–ミルズ理論が短い距離で意味を持つと期待される根拠です。中身の勘定()は 4-06 にあります。
この系統の多くは、本書の章では「要旨」か「書誌のみ」です。古い誌にあり公開の版が無いためで、式や数値は本文を確かめた総説(PDG・Tong・Chatterjee)で照合しています。
表には、1970 年代の骨格のあとに来る三本も入れました。Gribov(1978)はゲージ固定が一意に決まらないことを示しました。Uhlenbeck(1982)は、古典的なヤン–ミルズ場の特異点が取り除けることを示した幾何解析の数学の論文です。Baulieu–Zwanziger(1999)は、確率量子化を五次元の場の理論として見る視点です。
| 年 | 文献 | 何が書いてあるか | 本書の章 | 入手 | 参照 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1954 | C. N. Yang, R. L. Mills, Phys. Rev. 96 (1954) 191 | 非可換ゲージ場の原論文 | 3-01 3-02 | 出版社 | 要旨 |
| 1967 | L. D. Faddeev, V. N. Popov, Phys. Lett. B 25 (1967) 29 | ゲージ固定とゴーストの規則 | 4-03 4-08 ほか 1 | 出版社 | 要旨 |
| 1973 | D. J. Gross, F. Wilczek, Phys. Rev. Lett. 30 (1973) 1343 | 漸近自由:一ループの 関数の符号が負になること | 0-02 0-03 ほか 12 | 出版社 | 要旨 |
| 1973 | H. D. Politzer, Phys. Rev. Lett. 30 (1973) 1346 | 漸近自由(Gross–Wilczek と同じ号に並ぶ独立の計算) | 0-03 4-06 ほか 7 | 出版社 | 要旨 |
| 1974 | G. ’t Hooft, Nucl. Phys. B 72 (1974) 461 | 色の数 を大きくする展開。平面図形が支配すること | 7-04 8-04 | 出版社 | 要旨 |
| 1975 | A. A. Belavin, A. M. Polyakov, A. S. Schwartz, Yu. S. Tyupkin, Phys. Lett. B 59 (1975) 85 | インスタントン解(自己双対で作用が有限な解) | 1-12 3-03 ほか 2 | 出版社 | 要旨 |
| 1978 | V. N. Gribov, Nucl. Phys. B 139 (1978) 1 | ゲージ固定が一意に決まらないこと(Gribov のコピー) | 3-04 4-01 ほか 6 | 出版社 | 要旨 |
| 1982 | K. Uhlenbeck, Commun. Math. Phys. 83 (1982) 11 | ヤン–ミルズ場の除去可能特異点 | 1-05 1-07 ほか 7 | 出版社 | 要旨 |
| 1999 | L. Baulieu, D. Zwanziger, Nucl. Phys. B 581 (2000) 604, arXiv:hep-th/9909006 | 確率量子化を五次元の場の理論として見る | 10-00 10-03 ほか 2 | arXiv | 本文 |
格子と数値
1974 年に Wilson は、時空を格子に置き換え、リンクに群の元を載せる定式化を出しました。これでヤン–ミルズ理論は有限個の変数の積分になり、計算機で測れるようになります。本書の記号では作用は次の形です(5-01)。
和はすべての単位正方形(プラケット) についてとり、 はその周りのリンクの積です。この定式化の数学的な土台(反射正値性と転送行列)を与えたのが Osterwalder–Seiler(1978)です。本書の章の中で、Jaffe–Witten・Chatterjee と並んで最も多く引かれます。
数値の側では、Creutz(1980)のモンテカルロ計算から始まり、Lucini–Teper(2001)や Athenodorou–Teper(2020・2021)がグルーボールの質量と弦張力の比を測っています。物理 これらは数値計算で支持された値で、定理ではありません。弦の揺らぎから出る補正(Lüscher 1981)は次の形です(7-03)。
四次元()では最後の項は です。
| 年 | 文献 | 何が書いてあるか | 本書の章 | 入手 | 参照 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1974 | K. G. Wilson, Phys. Rev. D 10 (1974) 2445 | 格子ゲージ理論と Wilson ループ。強結合での閉じ込め | 5-01 5-02 ほか 8 | 出版社 | 要旨 |
| 1975 | S. Elitzur, Phys. Rev. D 12 (1975) 3978 | 局所ゲージ対称性は自発的に破れない(Elitzur の定理) | 3-01 3-07 ほか 9 | 出版社 | 要旨 |
| 1978 | K. Osterwalder, E. Seiler, Ann. Phys. 110 (1978) 440 | 格子ゲージ理論の反射正値性・転送行列・強結合 | 0-01 0-02 ほか 38 | 出版社 | 要旨 |
| 1980 | M. Creutz, Phys. Rev. D 21 (1980) 2308 | 格子ゲージ理論のモンテカルロ計算 | 4-06 5-02 ほか 6 | 出版社 | 要旨 |
| 1981 | M. Lüscher, Nucl. Phys. B 180 (1981) 317(弦の揺らぎの項) | 弦の揺らぎから出る普遍な補正項(有効弦) | 2-02 5-08 ほか 4 | 出版社 | 要旨 |
| 1993 | R. Sommer, Nucl. Phys. B 411 (1994) 839, arXiv:hep-lat/9310022 | 格子の尺度を決める長さ の導入 | 5-05 5-08 ほか 1 | arXiv | 要旨 |
| 2001 | B. Lucini, M. Teper, JHEP 0106 (2001) 050, arXiv:hep-lat/0103027 | の弦張力(離れた電荷の間の力の強さ)とグルーボール、大 への外挿 | 5-02 5-08 ほか 18 | arXiv | 本文 |
| 2010 | S. Schaefer, R. Sommer, F. Virotta, Nucl. Phys. B 845 (2011) 93, arXiv:1009.5228 | 格子計算の臨界減速(連続極限に近づくほど計算の更新が遅くなること)と、位相電荷(場のねじれを数える整数)の自己相関 | 5-07 10-03 ほか 5 | arXiv | 本文 |
| 2020 | A. Athenodorou, M. Teper, JHEP 11 (2020) 172, arXiv:2007.06422;JHEP 12 (2021) 082, arXiv:2106.00364 | グルーボールの質量スペクトルの格子計算 | 5-08 5-09 ほか 5 | arXiv | 本文 |
構成的場の理論と確率
質量ギャップの問題は「存在」と「隙間」の二段からなります。数学の側でこれに向かう文献は、三つの群に分かれます。公理の群、四次元の紫外の群、低次元と格子の上の確率論の群です。
公理:確率を量子力学に戻す
Osterwalder–Schrader の公理は、ユークリッド(虚時間)の相関関数から、ヒルベルト空間とハミルトニアンを組み立て直す条件です。中心にあるのは反射正値性で、時間を鏡に映した観測量 と元の の積の期待値が負にならない、という条件です(4-10)。
これが成り立てば、正の内積が作れ、時間の並進が ()として現れます。式 (2) の はここから来ます。
四次元の紫外:Bałaban と MRS
四次元の連続極限に最も近づいた仕事は、Bałaban の連作(1985 年の三次元の論文と、1987〜1989 年の四次元の論文。繰り込み群による格子ヤン–ミルズの紫外安定性)と、Magnen–Rivasseau–Sénéor(1993)の赤外切断つきの構成です。どちらも、本書が問題の文の意味で「完成」と読める段には届いていません。何が示されて何が残るかは 6-07 で読みます。
二次元・三次元と格子の上の確率論
既知 二次元ではヤン–ミルズ測度が構成されています(Driver 1989、Lévy 2001 ほか)。2020 年代には、測度を確率的な力学の平衡として作る道(確率量子化)が二次元・三次元で進んでいます。格子の上では、強結合での相関の指数減衰は Osterwalder–Seiler(1978)のクラスター展開から従い、Shen–Zhu–Zhu は確率解析の方法で、Poincaré 型の不等式と指数減衰を具体的な の範囲で示しました 既知。到達点と、四次元で止まる場所は 6-10 と 9-01 にあります。未査読のプレプリントは表で「未査読」と書きました。
| 年 | 文献 | 何が書いてあるか | 本書の章 | 入手 | 参照 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1973 | K. Osterwalder, R. Schrader, Comm. Math. Phys. 31 (1973) 83;42 (1975) 281 | ユークリッドの公理と再構成定理(1975 年の第二部を含む) | 0-03 0-04 ほか 9 | 出版社 | 要旨 |
| 1985 | T. Bałaban, Comm. Math. Phys. 102 (1985) 255(三次元) | 三次元の格子ヤン–ミルズの紫外安定性(短い距離の寄与を格子間隔によらず抑えること) | 0-02 6-01 ほか 6 | 出版社 | 本文 |
| 1987 | T. Bałaban, Comm. Math. Phys. 109 (1987) 249;122 (1989) 175;122 (1989) 355(四次元の連作, 1987〜1989) | 繰り込み群による四次元の格子ヤン–ミルズの紫外安定性の連作 | 0-02 4-04 ほか 10 | 出版社 | 要旨 |
| 1993 | J. Magnen, V. Rivasseau, R. Sénéor, Comm. Math. Phys. 155 (1993) 325 | 赤外切断(大きな距離の寄与を人為的に抑える操作)つきの四次元ヤン–ミルズの構成 | 0-02 0-03 ほか 15 | 出版社 | 本文 |
| 2013 | M. Hairer, Invent. Math. 198 (2014) 269, arXiv:1303.5113 | 正則性構造の理論(ふつうの意味では解を持たない確率偏微分方程式に意味を与える枠組み) | 1-11 6-03 ほか 3 | arXiv | 本文 |
| 2019 | M. Aizenman, H. Duminil-Copin, Ann. of Math. 194 (2021) 163, arXiv:1912.07973 | 四次元の と Ising の、スケーリング極限(格子間隔を 0 にする極限)の自明性 | 0-03 1-08 ほか 6 | arXiv | 本文 |
| 年 | 文献 | 何が書いてあるか | 本書の章 | 入手 | 参照 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1989 | B. K. Driver, Comm. Math. Phys. 123 (1989) 575 | 平面の二次元ヤン–ミルズ測度 | 0-02 0-04 ほか 6 | 出版社 | 本文 |
| 2001 | T. Lévy, Mem. AMS 166 no. 790 (2003), arXiv:math/0101239 | コンパクトな曲面の上のヤン–ミルズ測度 | 0-02 6-01 ほか 2 | arXiv | 要旨 |
| 2020 | A. Chandra, I. Chevyrev, M. Hairer, H. Shen, Publ. Math. IHÉS 136 (2022) 1, arXiv:2006.04987 | 二次元ヤン–ミルズ測度の Langevin 力学と状態空間 | 3-04 6-09 ほか 3 | arXiv | 本文 |
| 2020 | S. Chatterjee, Comm. Math. Phys. 385 (2021) 1007, arXiv:2006.16229 | 閉じ込めの確率論的な機構(中心対称性) | 5-10 7-01 ほか 7 | arXiv | 本文 |
| 2021 | S. Cao, S. Chatterjee, Comm. Math. Phys. 405 (2024), arXiv:2111.12813 | 三次元ユークリッドのヤン–ミルズ理論の状態空間 | 6-06 6-11 ほか 2 | arXiv | 要旨 |
| 2022 | A. Adhikari, S. Cao, Ann. Probab. 53 (2025) 140–174, arXiv:2202.10375 | 有限群の格子ゲージ理論の弱結合での相関の減衰 | 5-06 5-09 ほか 10 | arXiv | 本文 |
| 2022 | A. Chandra, I. Chevyrev, M. Hairer, H. Shen, Invent. Math. 237 (2024) 541, arXiv:2201.03487 | 三次元ヤン–ミルズ–ヒッグスの確率量子化 | 4-05 6-06 ほか 5 | arXiv | 要旨 |
| 2022 | H. Shen, R. Zhu, X. Zhu, Comm. Math. Phys. 400 (2023) 805, arXiv:2204.12737 | 強結合の格子ヤン–ミルズの確率解析(Poincaré・指数減衰) | 4-11 5-01 ほか 21 | arXiv | 本文 |
| 2023 | I. Chevyrev, H. Shen, Comm. Pure Appl. Math. (2026)(巻・頁は未確認), arXiv:2302.12160 | 二次元の Langevin 力学の不変測度と普遍性 | 0-02 4-08 ほか 8 | arXiv | 本文 |
| 2024 | S. Chatterjee, Prob. Math. Phys. 7 (2026) 339, arXiv:2401.10507 | 格子ヤン–ミルズ–ヒッグスのスケーリング極限(格子間隔を 0 にする極限) | 6-08 6-10 ほか 3 | arXiv | 本文 |
| 2025 | S. Cao, R. Nissim, S. Sheffield, arXiv:2505.16585・arXiv:2509.04688 | 格子ヤン–ミルズの面積則の領域の拡大(2505.16585)と、その力学的な方法による証明(2509.04688)(未査読) | 5-02 5-11 ほか 2 | arXiv(未査読) | 要旨 |
| 2026 | I. Chevyrev, T. Klose, A. Mohamed, arXiv:2607.22236/R. Chhaibi ほか, arXiv:2607.24640 | 二次元ヤン–ミルズ測度の新しい構成法(未査読) | 6-02 9-01 | arXiv(未査読) | 要旨 |
弦とホログラフィー
物理の側には、ヤン–ミルズ理論の閉じ込めとグルーボールの質量を、一次元多い重力の幾何で読む見方があります。Maldacena(1997 年の投稿)の提案した対応と、それを閉じ込めの模型に使った Witten(1998)が出発点です。Csáki–Ooguri–Oz–Terning は、この模型からグルーボールの質量の比を、ある固有値問題の解として出しました。
物理 これらは物理の水準の対応と模型で、数学の定理ではありません。純粋な四次元ヤン–ミルズ理論そのものに当てはまる形でも示されていません。何が模型の仮定で、四次元に戻す極限で何が起きるかは 7-08・7-09・7-10 で読みます。
| 年 | 文献 | 何が書いてあるか | 本書の章 | 入手 | 参照 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1997 | J. M. Maldacena, Adv. Theor. Math. Phys. 2 (1998) 231, arXiv:hep-th/9711200 | AdS/CFT 対応(ホログラフィー)の提案 | 7-05 7-08 ほか 2 | arXiv | 本文 |
| 1998 | C. Csáki, H. Ooguri, Y. Oz, J. Terning, JHEP 9901 (1999) 017, arXiv:hep-th/9806021 | 超重力(重力の低エネルギーの理論)の計算からグルーボールの質量の比を出す | 7-06 7-08 ほか 4 | arXiv | 本文 |
| 1998 | E. Witten, Adv. Theor. Math. Phys. 2 (1998) 505, arXiv:hep-th/9803131 | 熱的な相転移と閉じ込めの、一次元多い幾何の模型 | 7-05 7-07 ほか 3 | arXiv | 本文 |
| 2007 | U. Gürsoy, E. Kiritsis, F. Nitti, JHEP 0802 (2008) 019, arXiv:0707.1349 | 改良したホログラフィーの QCD の模型 | 5-08 7-01 ほか 3 | arXiv | 本文 |
本書の出典表を数える
本書の 110 章(この章を除く)の出典表には、合わせて 1035 行があります。そこに現れる arXiv の番号は 206 種類、「巻 (年) 頁」の形の書誌はおよそ 602 種類です(後者は数式の中の数の並びを拾うことがあり、概数です)。計算
各文献について、それを引く章の数と、章ごとの参照の程度を数えました。表 1 は引く章の多い順の上位 10 件です。「読み取れず」は、出典表の行に程度の書き込みが無かったか、語の照合で決められなかった章です。
表 1 本書の章が多く引く文献(各章の出典表の程度の内訳)
| 順 | 文献 | 引く章 | 本文 | 要旨 | 書誌のみ | 読み取れず |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Jaffe–Witten 問題文 | 76 | 61 | 4 | 2 | 9 |
| 2 | Osterwalder–Seiler | 40 | 0 | 15 | 25 | 0 |
| 3 | Chatterjee 総説 | 39 | 27 | 4 | 2 | 6 |
| 4 | Shen–Zhu–Zhu | 23 | 6 | 12 | 1 | 4 |
| 5 | Lucini–Teper | 20 | 12 | 0 | 0 | 8 |
| 6 | Magnen–Rivasseau–Sénéor | 17 | 2 | 7 | 4 | 4 |
| 7 | PDG 2024 | 17 | 8 | 1 | 1 | 7 |
| 8 | Chevyrev 総説 | 16 | 11 | 1 | 1 | 3 |
| 9 | Gross–Wilczek | 14 | 0 | 2 | 12 | 0 |
| 10 | Bałaban 四次元の連作 | 12 | 0 | 7 | 4 | 1 |
Osterwalder–Seiler は 40 章が引きますが、多くの章は要旨と、本文を確かめた総説(Chatterjee §4 など)を経由しています。Lucini–Teper は、20 章のうち 12 章が本文の表まで確かめたと書いています。
部ごとにも数えました。出典表の行のうち一次資料の書誌を含む行について、その行の程度を数えます。本文の割合は、次の比です。
計算 この図の数値は、この端末で本書の出典表から数えた。下の表 2 が同じ数値です。
表 2 部ごとの、一次資料を含む出典表の行の程度
| 部 | 章 | 行 | 本文 | 要旨 | 書誌のみ | 読み取れず | 本文の割合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第 0 部 | 4 | 20 | 2 | 5 | 10 | 3 | 10% |
| 第 1 部 | 12 | 49 | 18 | 3 | 28 | 0 | 37% |
| 第 2 部 | 10 | 49 | 2 | 14 | 24 | 9 | 4% |
| 第 3 部 | 7 | 33 | 10 | 9 | 13 | 1 | 30% |
| 第 4 部 | 12 | 54 | 10 | 18 | 25 | 1 | 19% |
| 第 5 部 | 11 | 88 | 24 | 48 | 14 | 2 | 27% |
| 第 6 部 | 12 | 86 | 29 | 16 | 34 | 7 | 34% |
| 第 7 部 | 13 | 114 | 41 | 29 | 41 | 3 | 36% |
| 第 8 部 | 5 | 26 | 5 | 11 | 10 | 0 | 19% |
| 第 9 部 | 5 | 40 | 18 | 11 | 10 | 1 | 45% |
| 第 10 部 | 14 | 93 | 10 | 25 | 40 | 18 | 11% |
| 付録 | 5 | 14 | 1 | 3 | 5 | 5 | 7% |
| 計 | 110 | 666 | 170 | 192 | 254 | 50 | 26% |
程度は出典表の語(「本文を確認」「要旨」「書誌のみ」など)で決めたので、書き方の揺れに左右されます。表 1 は、文献の名が現れる区切り(「/」「;」)の中の語を優先して読んでいます。
入手と読み方の注意
版の違い。arXiv の版と誌の版は、頁や定理の番号がずれることがあります。本書の章は、どちらの版で確かめたかを出典表に書いています。
掲載の状態。arXiv の目録の「journal-ref」は著者が書き込む欄で、巻と頁が空のことがあります。たとえば Chevyrev–Shen は目録に「Comm. Pure Appl. Math. (2026)」とだけあり、巻と頁は本書では未確認です。2025 年と 2026 年のプレプリント(Cao–Nissim–Sheffield、2026 年の二本)は、本書の時点で掲載を確認していません。未査読の結果は、査読を経た結果と同じ重さでは扱いません。
古い誌の探し方。1970〜80 年代の論文の多くは誌の版しかありません。書誌は INSPIRE(高エネルギー物理の文献の目録)や Crossref で確かめられます。Comm. Math. Phys. の古い巻は、Project Euclid に公開の版があるものがあります(たとえば Driver 1989、CMP 123)。それ以外は、大学の図書館を通すのが確かです。
章の出典を一次資料で確かめた書誌
§03〜§08 の表は、章をまたいで効く 52 件です。それとは別に、一つか二つの章の主張を支える文献のうち、書誌や本文を一次資料の目録(Crossref・INSPIRE・DML-CZ・Math-Net.Ru・出版社の頁)で確かめ直したものを表 3 に並べます。「確認の水準」は、その文献のどこまでを確かめたかです。図 1・表 1・表 2 の数には入れていません。
表 3 個別の章の出典で、確認の水準を確かめた書誌
| 年 | 文献 | 何に使うか | 本書の章 | 確認の水準 |
|---|---|---|---|---|
| 2006 | J. Carlson, A. Jaffe, A. Wiles 編, The Millennium Prize Problems, Clay Mathematics Institute/American Mathematical Society (2006)。Jaffe–Witten は pp. 129–152 | 問題文(Jaffe–Witten)を収めた書籍。序文に発表の日と場所(2000 年 5 月 24 日、Collège de France) | 0-02 | 目次と序文を CMI 公開の PDF で、刊行年を AMS の書籍の頁で確認 |
| 1907 | O. Perron, Math. Ann. 64 (1907) 248–263, DOI 10.1007/BF01449896 | 正の行列の最大の固有値は単純 | 5-03 7-13 | 書誌を Crossref で確認。本文は書誌のみ |
| 1912 | R. Jentzsch, "Über Integralgleichungen mit positivem Kern", J. reine angew. Math. 141 (1912) 235–244, DOI 10.1515/crll.1912.141.235 | 正の核の積分作用素の最大の固有値は単純(転送行列の基底状態の一意性) | 2-07 5-03 ほか 3 | 書誌を Crossref で確認。本文は未読。主張は二次資料(arXiv:1910.01120)の引用で確認 |
| 1948 | M. G. Krein, M. A. Rutman, Uspekhi Mat. Nauk 3:1(23) (1948) 3–95(英訳 AMS Translation 26, 1950) | 錐を保つ作用素への一般化 | 5-03 6-01 | 書誌を Math-Net.Ru の索引で確認。本文は未読 |
| 1974 | H. H. Schaefer, Banach Lattices and Positive Operators, Springer (1974) p. 337 の定理 | コンパクト空間の上の正の核への Jentzsch の定理の一般化(有限の箱の連続で正の核はこの仮定に入る) | 5-03 6-01 7-13 | 書誌のみ。主張は arXiv:1910.01120・arXiv:1501.06011 の引用で確認 |
| 1958 | J. Feldman, Pacific J. Math. 8 (1958) 699–708 | ガウス過程の二つの測度は同値か互いに特異かのどちらか | 1-09 | 本文を確認(序論と定理) |
| 1958 | J. Hájek, Czechoslovak Math. J. 8 (1958) 610–618, DOI 10.21136/CMJ.1958.100333 | 同じ二択(Feldman と独立に) | 1-09 | 書誌を DML-CZ で確認。ロシア語で本文は未読 |
| 2023 | M. Schröfl, S. Floerchinger, Ann. Henri Poincaré 26 (2025) 3233–3319, arXiv:2307.15548 | 質量の違う自由場は で互いに特異(Dirichlet・Neumann・周期・Robin の境界)、相対エントロピーが有限 ⇔ | 1-09 | 本文を確認(§4.1・定理 3) |
| 2002 | H. Boschi-Filho, N. R. F. Braga, JHEP 0305 (2003) 009, arXiv:hep-th/0212207 | AdS を切った硬い壁に Dirichlet 条件を置いてグルーボールの質量を出す | 7-09 | 要旨を確認 |
| 2003 | M. Kruczenski, D. Mateos, R. C. Myers, D. J. Winters, JHEP 0405 (2004) 041, arXiv:hep-th/0311270 | D4 の模型の弦張力 (2.7)、 | 7-09 | 本文を確認(式 (2.7)) |
| 2005 | H. Boschi-Filho, N. R. F. Braga, C. N. Ferreira, Phys. Rev. D 73 (2006) 106006, arXiv:hep-th/0512295 | 硬い壁の模型で静的なポテンシャルに線形の項が出る | 7-09 | 本文を確認((12)〜(16)) |
| 2006 | A. Karch, E. Katz, D. T. Son, M. A. Stephanov, Phys. Rev. D 74 (2006) 015005, arXiv:hep-ph/0602229 | 柔らかい壁の模型。中間子の質量の二乗が に比例((15)) | 7-09 | 本文を確認((15)) |
| 2006 | O. Andreev, V. I. Zakharov, Phys. Rev. D 74 (2006) 025023, arXiv:hep-ph/0604204 | 柔らかい壁の模型の弦張力((19)、) | 7-09 | 本文を確認((19)) |
| 1981 | D. Zwanziger, "Covariant quantization of gauge fields without Gribov ambiguity", Nucl. Phys. B 192 (1981) 259–269 | 確率的ゲージ固定(Parisi–Wu の確率量子化の平衡分布を、ゲージ条件を課さずに定める) | 10-05 | 題・巻・頁・要旨を INSPIRE で確認。本文は未読 |
| 1990 | C. Parrinello, G. Jona-Lasinio, Phys. Lett. B 251 (1990) 175–180 | ゲージ軌道の上の重み付き平均で Gribov コピーを扱う、修正した Faddeev–Popov の式 | 10-05 10-07 ほか 1 | 題・巻・頁・要旨を INSPIRE で確認。本文は未読 |
| 1990 | D. Zwanziger, "Quantization of gauge fields, classical gauge invariance and gluon confinement", Nucl. Phys. B 345 (1990) 461–471 | 大域的に正しいゲージ固定(10-07 が Parrinello–Jona-Lasinio と並べて引く) | 10-05 10-07 ほか 1 | 題・巻・頁・要旨を INSPIRE で確認。本文は未読 |
| 2023 | C. Chattopadhyay, J. Ott, T. Schäfer, V. Skokov, Phys. Rev. D 108 (2023) 074004, arXiv:2304.07279 | 保存する力学の動的指数 と予言 | 2-10 | 本文を確認。巻・論文番号は Crossref で確認 |
| 2025 | R. Masaoka, T. Soejima, H. Watanabe, J. Stat. Phys. 192 (2025) 76, arXiv:2502.09908 | 二次元以上のイジングで (周期境界・) | 2-10 | 要旨を確認 |
Zwanziger の二本は別の論文です。1981 年の論文は確率量子化の中でのゲージ固定(確率的ゲージ固定)で、1990 年の論文は Parrinello–Jona-Lasinio と同じ年の、軌道の上の重み付き平均によるゲージ固定です。本書の第 10 部が「Parrinello–Jona-Lasinio・Zwanziger の方式」と呼ぶのは後者の 1990 年の二本で、10-05 の出典表は両方を挙げています。§07 の表の Cao–Nissim–Sheffield は、5-11 が arXiv:2509.04688 の Definition 1.4・Remark 1.5 まで確かめています。
章の著者と全体の著者。PDG のレビューは全体を Navas et al. と書き、その中の章(たとえば QCD の章)を引くときは章の著者の名で書きます。0-03 と 4-06 の書き方の違いはこの区別で、同じ版(2024)を指します。
札の意味は A-04、検証の手順は A-05、このサイトの論文は 論文の一覧 にあります。
この章が言えている範囲
| 言えている | 言えていない |
|---|---|
| 載せた 52 件の書誌(arXiv のあるものは arXiv の目録と照合) | 本書が引くすべての文献の一覧(各章の出典表を見る) |
| 各文献を引く章と、各章の出典表が書く参照の程度(語の照合による読み取り) | 読み取りの完全な正しさ(書き方の揺れによる取り違えが残りうる) |
| 一行の説明(本書の章と arXiv の題・要旨の範囲の要約) | 各文献の定理の正確な仮定と言明(一次資料とリンク先の章で確かめる) |
| 入手の場所の区別。2025〜2026 年のプレプリントが本書の時点で未査読であること | 誌の版が無料で読めるか(時期と契約で変わる)。未査読の結果の正しさ |
| 表 3 の 18 件の書誌と、各行に書いた確認の水準(Crossref・INSPIRE・DML-CZ・Math-Net.Ru・出版社の頁) | 表 3 の「書誌のみ」「要旨」の文献の本文の中身 |
| 質量ギャップの問題が未解決であること | 挙げた文献を合わせて、解決にどれだけ近いかの量的な評価 |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| arXiv の番号のある文献の題・著者・初出の日付・journal-ref | 既知 | arXiv の目録(API の問い合わせ)で照合。この章では要旨の範囲まで。本文の照合は各章の出典表による |
| arXiv の番号の形式と切り替えの時期 | 既知 | arXiv のヘルプ「Understanding the arXiv identifier」(本文を確認) |
| Clay の問題文の所在 | 既知 | Clay 数学研究所の Yang–Mills のページ(公式の問題文へのリンクを確認)。中身は 0-03 |
| Douglas の報告(2004)の所在 | 既知 | Clay 数学研究所の年次報告の書庫の公開 PDF(題・著者・日付を確認) |
| 表 3 の書誌と確認の水準 | 既知 | Crossref・INSPIRE(Zwanziger 1981・1990、Parrinello–Jona-Lasinio 1990 の題・巻・頁・要旨)・DML-CZ・Math-Net.Ru・CMI 公開の PDF・AMS の書籍の頁で照合。本文を確認した行は各章(1-09・2-10・7-09)の出典表と同じ |
| arXiv の番号の無い文献の書誌 | 既知 | 各章の出典表の書誌を採った。この章では書誌のみ |
| 式 (2)〜(7) | 既知 | 4-11・1-03・A-01・5-01・7-03・4-10 の式の再掲。出典は各章の出典表 |
| 表 1・表 2・図 1・図 2・§09 の件数・表の「本書の章」「参照」の列 | 計算 | python3:本書の各章の出典表を読み、文献ごとの正規表現で引く章を集め、語の照合で程度を決めた(refs.py・figdata.py・gen.py。各 1 秒未満) |
次に読む章:A-04 Lean と機械検査 — 本書の札のうち「Lean」が何を意味するか。