computo ergo sum

2026-10-01 · chapter ヤン–ミルズと質量ギャップ第 6 部 構成的場の理論クラスター展開

この本の全体 目次と読む順
  1. 第 0 部 入口 — この本の読み方
  2. 0-01 この本の読み方
  3. 0-02 一枚の絵
  4. 0-03 問題文を一語ずつ読む
  5. 0-04 数学の四次元と物理の四次元
  6. 第 1 部 数学の準備
  7. 1-01 ベクトル空間と線形写像
  8. 1-02 群とは何か
  9. 1-03 リー群とリー環
  10. 1-04 SU(2) と SU(3)
  11. 1-05 多様体と接空間
  12. 1-06 微分形式と外微分
  13. 1-07 ベクトル束と接続
  14. 1-08 確率と測度
  15. 1-09 無限次元の確率
  16. 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
  17. 1-11 フーリエ解析と分布
  18. 1-12 寄り道
  19. 第 2 部 物理の準備
  20. 2-01 ラグランジアンと作用
  21. 2-02 場という考え
  22. 2-03 電磁気学はゲージ理論である
  23. 2-04 特殊相対論と時空
  24. 2-05 量子力学の骨
  25. 2-06 調和振動子と生成消滅
  26. 2-07 経路積分の考え方
  27. 2-08 統計力学と相転移
  28. 2-09 寄り道
  29. 2-10 緩和の時間と動的指数 z
  30. 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
  31. 3-01 ゲージ原理
  32. 3-02 非可換ゲージ場
  33. 3-03 作用と方程式
  34. 3-04 幾何としてのゲージ理論
  35. 3-05 インスタントンと位相
  36. 3-06 寄り道
  37. 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
  38. 第 4 部 量子化
  39. 4-01 正準量子化とハミルトニアン
  40. 4-02 経路積分とユークリッド化
  41. 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
  42. 4-04 発散と繰り込み
  43. 4-05 発散の代数
  44. 4-06 漸近自由
  45. 4-07 次元転移と Λ
  46. 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
  47. 4-09 場の量子論の公理
  48. 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
  49. 4-11 質量ギャップの定義
  50. 4-12 寄り道
  51. 第 5 部 格子ゲージ理論
  52. 5-01 Wilson の格子
  53. 5-02 強結合展開
  54. 5-03 反射正値性と転送行列
  55. 5-04 無限体積極限とクラスター展開
  56. 5-05 弱結合と連続極限
  57. 5-06 U(1) と非可換の違い
  58. 5-07 モンテカルロ法
  59. 5-08 グルーボールと弦張力の測定
  60. 5-09 何を固定して極限を取るか
  61. 5-10 有限群の格子ゲージ理論
  62. 5-11 寄り道
  63. 第 6 部 構成的場の理論
  64. 6-01 構成的場の理論とは
  65. 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
  66. 6-03 スカラー場の構成
  67. 6-04 クラスター展開
  68. 6-05 繰り込み群の段の列
  69. 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
  70. 6-07 四次元
  71. 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
  72. 6-09 確率量子化と正則性構造
  73. 6-10 四次元で止まる場所
  74. 6-11 発散以外の障害
  75. 6-12 寄り道
  76. 第 7 部 物理の側から
  77. 7-01 物理はどう見ているか
  78. 7-02 閉じ込めの機構
  79. 7-03 弦の絵
  80. 7-04 大 N
  81. 7-05 ひも理論と余剰次元
  82. 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
  83. 7-07 ゲージ場はどこから来るか
  84. 7-08 ホログラフィー
  85. 7-09 質量ギャップが幾何になる
  86. 7-10 四次元に戻す
  87. 7-11 超対称と Seiberg–Witten
  88. 7-12 等価原理に当たる一文
  89. 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
  90. 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
  91. 8-01 辞書の読み方
  92. 8-02 辞書 A
  93. 8-03 辞書 B
  94. 8-04 辞書 C
  95. 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
  96. 第 9 部 現在地と課題
  97. 9-01 世界はどこまで来ているか
  98. 9-02 二つの掘り方の切れ目
  99. 9-03 新しい概念の候補
  100. 9-04 課題の一覧
  101. 9-05 よくある誤解
  102. 第 10 部 質量ギャップの厳密な証明へ — この端末の検討
  103. 10-00 第 10 部の入口 — 酔歩と定規と時計
  104. 10-01 理論の構成の筋
  105. 10-02 一段の記帳
  106. 10-03 仮定 H と三つの鎖
  107. 10-04 方向の地図
  108. 10-05 方向 12〜14
  109. 10-06 方向 15・15′
  110. 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表
  111. 10-08 壁の一覧
  112. 10-09 ひらめき帳から
  113. 10-10 主張しないこと
  114. 10-12 つじつま合わせ
  115. 10-11 定理までの距離
  116. 10-13 小さな問い — 卒業研究の大きさで決着のつく十〜二十問
  117. 付録
  118. A-01 記号表
  119. A-02 用語集
  120. A-03 文献案内
  121. A-04 Lean と機械検査
  122. A-05 この本の作り方
  123. A-06 仮定の索引

クラスター展開 — 弱く結びついた小さな塊に分けて、対数を収束する和に書き直す道具

この章で分かること — 分配関数の対数を「つながった塊(クラスター)」の和に書く式と、その収束条件。収束すれば無限体積極限・解析性・相関の指数減衰が一度に出ること。連続の場も立方体ごとに切り離せること。

前提となる章 — 6-03。6-01 の段 4・6、4-11、1-08(ガウス測度)も使います。グラフの言葉はその場で定義します。

先に言うこと — 小さな径数(弱い結合・高温・格子の強結合)があるときの道具で、四次元のヤン–ミルズの無限体積極限とギャップには届いていません。計算は一次元の模型と小さなグラフについてのものです。

この章の順序
  1. 何のための道具か — 独立なら対数は和。弱い結びつきを補正として足し込む
  2. いちばん小さい例:一次元の剛体格子気体 — 係数・収束半径 1/4・負の活量の側の特異点(計算の表)
  3. ポリマー模型 — 相容れない塊の気体という共通の形
  4. 対数を取る:Ursell 関数と連結グラフ — 連結なクラスターだけが残る
  5. なぜ収束しうるか:打ち消し合いと木 — 符号が打ち消し合い、木の数だけが残る(動く図)
  6. 収束の判定条件 — Kotecký–Preiss などの不等式と、保証される範囲(動く図)
  7. 寄り道:確率論の局所補題と同じ不等式 — Lovász の局所補題と独立集合多項式の零点
  8. 展開から出るもの:無限体積・解析性・指数減衰 — 相関の減衰率がこの模型の「質量ギャップ」
  9. 連続の場へ:立方体に切って補間で切り離す — 立方体の塊の気体に書き直す
  10. ゲージ場での使い道と限界 — 強結合の側で働き、四次元の赤外には届かない

01

何のための道具か

段 4 と段 6 で要るのは、箱の大きさに依らない評価と、遠く離れた量がほぼ独立になることでした(6-01 の式 (9))。問題文は、摂動級数はたいてい発散するので「cluster expansions」と総称される展開法が発達したとし、'Refined estimates yield the rate of exponential decay of Green's functions, magnitude of masses, ...' と書いています(JW §6.1)。既知

芯は一つです。区画どうしが独立なら、分配関数は積、対数は和です。

ZΛ=∏jZj⟹log⁡ZΛ=∑jlog⁡Zj(1)Z_\Lambda=\prod_{j}Z_j\quad\Longrightarrow\quad\log Z_\Lambda=\sum_j\log Z_j \tag{1}

和なら体積当たりの量は箱に依らず、遠くの区画は効きません。実際の区画は弱く結びついており、クラスター展開はその結びつきを「つながった区画の組」ごとの補正として足し込み、和の収束を示します。比喩で言えば、ほとんどぶつからない薄い気体です。正確には、(i) nn 個をつなぐ補正が小さな数の nn 乗程度、(ii) つなぎ方の数が n!n! で割って指数関数程度(§05)の二つが要ります。

例:区画が「空」か「粒子一つ(重み zz)」で独立なら Z=(1+z)NZ=(1+z)^N。log⁡Z/N=z−z22+⋯\log Z/N=z-\tfrac{z^2}{2}+\cdots は ∣z∣<1|z|\lt1 で収束し、Z=0Z=0 となる z=−1z=-1 で止まります。級数の届く範囲は、複素数の zz で分配関数が 0 になる場所が決めます。

02

いちばん小さい例:一次元の剛体格子気体

章を通して使う例です。点 x=1,…,Nx=1,\dots,N に粒子を置き(nx∈{0,1}n_x\in\{0,1\})、隣どうしの同時占有を禁じ(剛体の反発)、粒子一つに重み zz(活量)を付けます。

ΞN(z)=∑n∈{0,1}Nnxnx+1=0z n1+⋯+nN(2)\Xi_N(z)=\sum_{\substack{n\in\{0,1\}^N\\ n_xn_{x+1}=0}}z^{\,n_1+\cdots+n_N} \tag{2}

点 NN と点 11 も隣どうしとみなして輪にすると、転送行列 T=(1zz0)T=\begin{pmatrix}1&\sqrt z\\ \sqrt z&0\end{pmatrix} で ΞN=tr⁡TN\Xi_N=\operatorname{tr}T^N と書けます(転送行列は 2-08 §03。イジング模型の例は 2-09、格子ゲージでは 5-03)。成分は Tnn′=z(n+n′)/2T_{nn'}=z^{(n+n')/2}(n,n′∈{0,1}n,n'\in\{0,1\}。ただし n=n′=1n=n'=1 だけ 0)です。だから tr⁡TN=∑n1,…,nN∏x=1NTnxnx+1\operatorname{tr}T^N=\sum_{n_1,\dots,n_N}\prod_{x=1}^{N}T_{n_xn_{x+1}}(nN+1=n1n_{N+1}=n_1)では、各 nxn_x の重みを半分ずつ二回拾って znxz^{n_x} になり、隣どうしの同時占有は 0 で消えます。これは輪の上の式 (2) そのものです。固有値 λ±=12(1±1+4z)\lambda_\pm=\tfrac12(1\pm\sqrt{1+4z}) の大きいほうが残ります。次の p(z)p(z) を圧力と呼びます(物理の圧力に逆温度を掛けたもので、体積当たりの log⁡\log 分配関数です)。

p(z)=lim⁡N→∞1Nlog⁡ΞN=log⁡1+1+4z2=∑n≥1bnzn,bn=(−1)n−1n(2n−1n)(3)p(z)=\lim_{N\to\infty}\frac1N\log\Xi_N=\log\frac{1+\sqrt{1+4z}}{2}=\sum_{n\ge1}b_nz^n,\qquad b_n=\frac{(-1)^{n-1}}{n}\binom{2n-1}{n} \tag{3}

計算表 1 係数 bnb_n(有理数の級数演算で n≤24n\le24 まで閉じた式と一致)。

nn23462060
bnb_n−3/210/3−35/4−77−3.4×10⁹−8.1×10³²
∣bn/bn−1∣|b_n/b_{n-1}|1.5002.2222.6253.0563.7053.901

比は 4 に近づき、収束半径は 1/41/4。べき級数の収束半径は、関数が複素平面で解析的でなくなる点のうち、原点に最も近いものまでの距離です(複素解析の定理)既知。ここでその点は、根号の中が 0 になって固有値が重なる z=−1/4z=-1/4 です。z>0z\gt0 に相転移は無いのに、級数は 1/41/4 の先へ進めません。展開の届く範囲は、物理的でない負の活量の側の特異点で決まります。長さ nn の鎖の Ξ\Xi の零点で原点に最も近いものは −1/(4cos⁡2πn+2)-1/(4\cos^2\frac{\pi}{n+2})(Scott–Sokal 2005, Ex. 3.2)で、n=5,10,20n=5,10,20 で −0.3080,−0.2679,−0.2552-0.3080,-0.2679,-0.2552 です。計算

03

ポリマー模型

構造を抜き出します。有限の塊(ポリマー)γ\gamma の集まり P\mathcal P、相容れないという関係 γ≁γ′\gamma\not\sim\gamma'(重なる・接するなど。自分とも相容れない)、複素数の活量 zγz_\gamma を用意し、どの二つも相容れる組だけを数えます。

ΞΛ=1+∑n≥11n!∑(γ1,…,γn)∈Λnzγ1⋯zγn∏j<k1{γj∼γk}(4)\Xi_\Lambda=1+\sum_{n\ge1}\frac1{n!}\sum_{(\gamma_1,\dots,\gamma_n)\in\Lambda^n}z_{\gamma_1}\cdots z_{\gamma_n}\prod_{j\lt k}\mathbf 1\{\gamma_j\sim\gamma_k\} \tag{4}

Λ\Lambda は有限の集まり、1{⋅}\mathbf 1\{\cdot\} は条件が真なら 1、偽なら 0。この形式は Gruber–Kunz(1971)が導入したとされます(Fernández–Procacci 2007 §1)。既知

例:§02 はポリマー=占有された一点、相容れない=同じ点か隣。外場なしの高温のイジング模型(2-08)では、ポリマーは各点の次数が偶数の辺の連結な集まり、頂点を共有すれば相容れない、活量は (tanh⁡β)辺の数(\tanh\beta)^{\text{辺の数}} です。格子ゲージの強結合(5-04)はプラケットの連結な集まり、弱結合の連続の場(§09)は立方体の連結な集まりです。塊が小さい理由が、展開の小さな径数になります。

04

対数を取る:Ursell 関数と連結グラフ

Mayer の名で呼ばれる手口(Mayer 1937 に遡るとされる)では、1{γj∼γk}=1+ζjk\mathbf 1\{\gamma_j\sim\gamma_k\}=1+\zeta_{jk}(相容れなければ −1-1、相容れれば 0)と書いて積を展開します。各項は点 1,…,n1,\dots,n の上のグラフ(点と、点の対を結ぶ辺)に対応し、対数では連結なグラフだけが残ります。理由は、グラフの重みが連結成分ごとの重みの積に分かれることです。点を連結成分に分ける分け方で整理すると、1/n!1/n! を付けて全部の nn で足した和どうしで、全グラフの和=exp⁡(連結なグラフの和)\text{全グラフの和}=\exp\big(\text{連結なグラフの和}\big)(指数公式)が成り立ち、対数を取れば連結なものだけが残ります。既知

log⁡ΞΛ=∑n≥11n!∑(γ1,…,γn)φT(γ1,…,γn) zγ1⋯zγn,φT=∑G⊂Gγ連結・全域(−1)∣E(G)∣(5)\log\Xi_\Lambda=\sum_{n\ge1}\frac1{n!}\sum_{(\gamma_1,\dots,\gamma_n)}\varphi^{\mathrm T}(\gamma_1,\dots,\gamma_n)\,z_{\gamma_1}\cdots z_{\gamma_n},\qquad\varphi^{\mathrm T}=\sum_{\substack{G\subset G_\gamma\\ \text{連結・全域}}}(-1)^{|E(G)|} \tag{5}

GγG_\gamma は γj≁γk\gamma_j\not\sim\gamma_k のとき j,kj,k を結んだグラフ、和は全部の点を使う連結な部分グラフについて、∣E(G)∣|E(G)| は辺の数です(n=1n=1 では 1)。φT\varphi^{\mathrm T} は Ursell 関数(場 ϕ\phi とは無関係)で、GγG_\gamma が連結でなければ 0。寄与するのは相容れなさでつながった組、つまりクラスターだけです(Fernández–Procacci (2.3)(2.4)。まだ形式的な級数)。

例:§02 では並進で平均して bn=1n!∑x2,…,xnφT(0,x2,…,xn)b_n=\frac1{n!}\sum_{x_2,\dots,x_n}\varphi^{\mathrm T}(0,x_2,\dots,x_n)。n=2n=2 では x2=−1,0,1x_2=-1,0,1 がどれも辺一本で −1-1、よって b2=−3/2b_2=-3/2。配置では禁じられた (0,0)(0,0) が対数には現れます。n≤6n\le6 まで総当たりで足すと表 1 と有理数で一致しました。計算

05

なぜ収束しうるか:打ち消し合いと木

式 (5) の和は巨大です。どの二つも相容れないとき GγG_\gamma は完全グラフ KnK_n(全部の対を結ぶ)で、連結な全域部分グラフは全グラフとほぼ同数あり、±1\pm1 のまま残れば n!n! で割っても収束しません。ところが和は打ち消し合い、(−1)n−1(n−1)!(-1)^{n-1}(n-1)! だけが残ります。

計算表 2 KnK_n(n≤6n\le6 は総当たり、n=10n=10 は漸化式)。

nn連結な全域部分グラフ全域木 nn−2n^{n-2}交代和
43816−6
1034 496 488 594 816100 000 000−362 880

仕組みは Penrose(1967)によります。連結な全域部分グラフを全域木(全点をつなぐ輪の無い部分グラフ)TT ごとの区間 [T,R(T)][T,R(T)] に分けると、区間内の符号の和は ∏e∈R(T)∖T(1−1)\prod_{e\in R(T)\setminus T}(1-1) の因子で消え、R(T)=TR(T)=T の木(Penrose 木)だけが残ります(Fernández–Procacci, Prop. 5)。既知

φT(γ1,…,γn)=(−1)n−1 #{Penrose 木}⟹∣φT∣≤#{Gγ の全域木}(6)\varphi^{\mathrm T}(\gamma_1,\dots,\gamma_n)=(-1)^{n-1}\,\#\{\text{Penrose 木}\}\quad\Longrightarrow\quad\big|\varphi^{\mathrm T}\big|\le\#\{G_\gamma\ \text{の全域木}\} \tag{6}

Penrose 木の数は n≤6n\le6 の総当たりで交代和の絶対値と一致しました計算。全域木は KnK_n でも nn−2n^{n-2} 個で、nn−2/n!n^{n-2}/n! は ene^n 程度。n!n! で割って残るのが指数関数だけなので、活量が小さければ (5) は収束しえます。和を初めから木や森で書く恒等式は、Brydges–Federbush(1978)から Brydges–Kennedy(1987)の森の公式へ整えられました(Abdesselam–Rivasseau 1994)。

図 1 グラフを選んで「動かす」と、連結な全域部分グラフを辺の少ない順に数え、符号 (−1)∣E∣(-1)^{|E|} の累計が変わる(帯:緑 +1・赤 −1)
1234K4:連結な全域部分グラフ 38 個中 38 個目辺 6 本 → 符号 +1累計 −6
K4:連結な全域部分グラフ 38 個、累計 −6

計算この図の数値はこの端末で計算した。K4K_4 の累計は辺 3 本(全域木 16 個)で −16、4 本(15 個)で −1、5 本(6 個)で −7、6 本で −6。C4C_4 は −3、P4P_4 は −1、K3K_3 は +2。

06

収束の判定条件

木の評価を足し上げると条件が出ます。広く使われる Kotecký–Preiss(1986)の条件は、各塊に「予算」a(γ)≥0a(\gamma)\ge0 を割り当てて

∑γ′≁γ∣zγ′∣ ea(γ′) ≤ a(γ)(すべての γ)(7)\sum_{\gamma'\not\sim\gamma}|z_{\gamma'}|\,e^{a(\gamma')}\ \le\ a(\gamma)\qquad(\text{すべての }\gamma) \tag{7}

とするもので(左辺は γ\gamma 自身も含む)、成り立てば、log⁡ΞΛ\log\Xi_\Lambda を zγ0z_{\gamma_0} で微分した級数(塊 γ0\gamma_0 を含むクラスターの和。ポリマー一つ当たりの和)は、各項を絶対値に替えても Λ\Lambda によらず ea(γ0)e^{a(\gamma_0)} 以下です(Fernández–Procacci (2.6)(2.7)(2.14)(2.15))。log⁡ΞΛ\log\Xi_\Lambda そのものは体積とともに大きくなりますが、この一つ当たりの上界が Λ\Lambda によらないので、(5) は Λ\Lambda に一様な評価つきで絶対収束します(同 (2.7) の直後の文)。塊 γ0\gamma_0 を除いたときの対数の変化も ∣zγ0∣ea(γ0)|z_{\gamma_0}|e^{a(\gamma_0)} 以下です(同 (2.11))。「相容れない相手の重み付きの活量の合計が、自分の予算に収まる」と読みます。同じ型の Dobrushin(1996)・Fernández–Procacci(2007)の条件は、順に適用範囲が広がります。既知

計算表 3 §02 の気体(最大次数 Δ=2\Delta=2)で保証される範囲。数値的な最大化が Fernández–Procacci Table 1 の式と一致。

条件この気体での形保証される ∣z∣|z|
Kotecký–Preiss3∣z∣ea≤a3|z|e^{a}\le a1/(3e)=0.12261/(3e)=0.1226
Dobrushin∣z∣≤μ/(1+μ)3|z|\le\mu/(1+\mu)^34/27=0.14814/27=0.1481
Fernández–Procacci∣z∣≤μ/(1+3μ+μ2)|z|\le\mu/(1+3\mu+\mu^2)1/5=0.20001/5=0.2000
厳密な半径式 (3)1/4=0.25001/4=0.2500

1+3μ+μ21+3\mu+\mu^2 は相容れない三点のうち互いに相容れる部分集合(空・一点三つ・{x−1,x+1}\{x-1,x+1\})の数え上げで、(1+μ)3(1+\mu)^3 はそうでない組も数える分だけ粗くなります。最後の行の 1/41/4 は、各点の次数が Δ\Delta の無限の木で厳密な値 (Δ−1)Δ−1/ΔΔ(\Delta-1)^{\Delta-1}/\Delta^{\Delta}(Shearer/Scott–Sokal。Fernández–Procacci Table 1 の星印)に Δ=2\Delta=2 を入れたものです。Δ=2\Delta=2 のこの木は整数の直線そのものなので、式 (3) の 1/41/4 と一致します。上の三つの条件はどれも十分条件です。

図 2 項の数 NN を増やすと、級数 (3) の部分和(太線)は ∣z∣<1/4|z|\lt1/4 で厳密な圧力(細線)に重なり、外では暴れる(帯は各条件の範囲)
N = 10, z = 0.200:差 3.86e-4

計算この図の数値はこの端末で計算した。∣SN(z)−p(z)∣|S_N(z)-p(z)| は N=5,20,40N=5,20,40 で、z=0.2z=0.2 なら 3e−3・1.5e−5・6.4e−8、z=0.3z=0.3 なら 0.029・0.063・0.88。

07

寄り道:確率論の局所補題と同じ不等式

寄り道

飛ばしてよい節です。

組合せ論の Lovász の局所補題(Erdős–Lovász 1975)は、「悪い事象」AxA_x がどれも起きない確率が正になる条件です。事象どうしの依存の仕方をグラフで表します。点 xx に隣り合う点の集合を Γ(x)\Gamma(x) と書きます。

依存グラフ:各 AxA_x が、xx とその隣 Γ(x)\Gamma(x) 以外の事象たち(全体をまとめたもの)と独立なとき、このグラフを依存グラフと呼びます。定理は次の形です(Scott–Sokal 2005, Thm 1.1。Ax cA_x^{\,c} は AxA_x が起きないという事象)。

0≤rx<1,P(Ax)≤rx∏y∈Γ(x)(1−ry) (すべての x) ⟹ P(⋂xAx c)≥∏x(1−rx)>0(8)0\le r_x\lt1,\quad \mathbb P(A_x)\le r_x\prod_{y\in\Gamma(x)}(1-r_y)\ (\text{すべての }x)\ \Longrightarrow\ \mathbb P\Big(\bigcap_x A_x^{\,c}\Big)\ge\prod_x(1-r_x)\gt0 \tag{8}

Scott–Sokal は次の同値を示しました。依存グラフ GG を持ち P(Ax)≤px\mathbb P(A_x)\le p_x となるどの事象の族でも局所補題の結論(どれも起きない確率が正)が成り立つことは、GG の上の剛体気体の分配関数が、半径 pxp_x の多重円板(すべての xx で ∣zx∣≤px|z_x|\le p_x となる複素数の組 (zx)(z_x))で 0 にならないことと同値です。この分配関数は、互いに隣り合わない点の集合 SS についての和 ∑S∏x∈Szx\sum_S\prod_{x\in S}z_x(独立集合多項式。点ごとに活量を変えた多変数版)で、GG が道なら §02 の気体になります。局所補題の通常の証明は、Shearer(1985)が暗に、Dobrushin が明示的に見つけた「零点が無いこと」の帰納法と対応する、とも示しています(要旨)。

r=μ/(1+μ)r=\mu/(1+\mu) と置けば (8) の仮定は表 3 の Dobrushin の形で、左右にだけ依存する事象の列なら p≤4/27p\le4/27 で十分です。最良は 1/41/4 で、上からは Scott–Sokal §8.4 の Example 8.1(有限の道の零点が −1/4-1/4 に近づく)、下からは表 3 の厳密な半径(Shearer の値 (Δ−1)Δ−1/ΔΔ(\Delta-1)^{\Delta-1}/\Delta^{\Delta} に Δ=2\Delta=2)が押さえます。教科書でよく見る対称版もここから出ます。各事象が高々 dd 個の他の事象に依存し、確率がどれも pp 以下のとき、(8) で rx=1/(d+1)r_x=1/(d+1) と置くと r(1−r)d=1d+1(dd+1)d≥1e(d+1)r(1-r)^d=\frac1{d+1}\big(\frac d{d+1}\big)^d\ge\frac1{e(d+1)} なので、ep(d+1)≤1ep(d+1)\le1 で十分です。d=2d=2 では 1/(3e)1/(3e)、表 3 の Kotecký–Preiss の値です。こうして表 3 の四つの値は、局所補題の側にもすべて現れます。既知

08

展開から出るもの:無限体積・解析性・指数減衰

条件 (7) が体積に依らず成り立つと三つが出ます。(i) 圧力の極限が存在し、円板の中で解析的。(ii) 箱の大きさを感じるのは縁に触れるか一周するクラスターだけ。(iii) 打ち切り相関には xx と yy の両方に触れる、つまり相容れなさの鎖で xx から yy までつながるクラスターだけが残り、輪ごとに ∣z∣|z| 程度が掛かる(Ueltschi 2004, Thm 3)。既知

∣⟨AxBy⟩−⟨Ax⟩⟨By⟩∣ ≤ C e−m∣x−y∣(9)\big|\langle A_xB_y\rangle-\langle A_x\rangle\langle B_y\rangle\big|\ \le\ C\,e^{-m|x-y|} \tag{9}

例:§02 の気体を 14 点の輪で数えると、log⁡Ξ14/14\log\Xi_{14}/14 の係数は n≤13n\le13 で bnb_n と一致し、n=14n=14 で初めてずれました(一周には 14 点全部が要る)。補正は 1Nlog⁡(1+(λ−/λ+)N)\frac1N\log\big(1+(\lambda_-/\lambda_+)^N\big) で、小さい zz では λ−/λ+≈−z\lambda_-/\lambda_+\approx-z なので (−z)N/N(-z)^N/N 程度です(n=14n=14 の係数のずれはちょうど 1/141/14)。密度の打ち切り相関は (λ−/λ+)∣x−y∣(\lambda_-/\lambda_+)^{|x-y|} に比例し、減衰率は m(z)=log⁡(λ+/∣λ−∣)m(z)=\log(\lambda_+/|\lambda_-|) です。計算

計算表 4 減衰率 m(z)m(z) と、鎖からの見積もり log⁡(1/∣z∣)\log(1/|z|)。

zz−0.249−0.10.010.251
m(z)m(z)0.12672.06344.62491.76270.9624
log⁡(1/∣z∣)\log(1/|z|)1.39032.30264.60521.38630

小さい zz では m≈log⁡(1/z)m\approx\log(1/z) で鎖の絵が当たり、z→−1/4z\to-1/4 で m→0m\to0(半径を決めた特異点で減衰が止まる)。z=1z=1 は半径の外でも m>0m\gt0:収束は十分条件です。

m(z)m(z) は転送行列の固有値の比、この模型の「質量ギャップ」です(6-01 の段 6・4-11)。場の理論でも、時間方向の打ち切り相関が体積に一様に e−mte^{-mt} で減衰し、その減衰が示せる観測量から作ったベクトル ψ\psi(真空の成分を引いたもの)が、真空と直交する部分空間で稠密なら、OS の再構成(4-10)のハミルトニアン HH は (0,m)(0,m) にスペクトルを持ちません。既知

道具はスペクトル測度です。ψ\psi ごとに ⟨ψ,e−tHψ⟩=∫e−tλ dμψ(λ)\langle\psi,e^{-tH}\psi\rangle=\int e^{-t\lambda}\,\mathrm d\mu_\psi(\lambda) となる [0,∞)[0,\infty) 上の測度 μψ\mu_\psi があります(1-10 のスペクトル定理。固有ベクトルの基底 eke_k があるなら、μψ\mu_\psi は各固有値 λk\lambda_k に重み ∣⟨ek,ψ⟩∣2|\langle e_k,\psi\rangle|^2 を置くもの)。∫e−tλdμψ≤Ce−mt\int e^{-t\lambda}\mathrm d\mu_\psi\le Ce^{-mt} が全ての tt で成り立てば、t→∞t\to\infty を見て μψ\mu_\psi は λ<m\lambda\lt m に重みを置けません。これが稠密な ψ\psi で言えるので、(0,m)(0,m) にスペクトルが残りません。逆向きは問題文 §5 の式 (2) です。

09

連続の場へ:立方体に切って補間で切り離す

連続の場では自由場の共分散 C(x,y)C(x,y) が離れた点も結びます。箱を単位立方体 bib_i(指示関数 χi\chi_i)に切り、立方体をまたぐ部分に sij∈[0,1]s_{ij}\in[0,1] を掛けます。

C(s)(x,y)=∑iχi(x)C(x,y)χi(y)+∑i≠jsij χi(x)C(x,y)χj(y),sij=sji(10)C(\mathbf s)(x,y)=\sum_i\chi_i(x)C(x,y)\chi_i(y)+\sum_{i\ne j}s_{ij}\,\chi_i(x)C(x,y)\chi_j(y),\qquad s_{ij}=s_{ji} \tag{10}

ss が全部 1 なら元の共分散、全部 0 なら立方体ごとに独立です(Abdesselam–Rivasseau 1994 (V.A.5))。間を Taylor の公式でつなぎます(同 (III.1))。式 (11) の添字 ℓ\ell は立方体の対 {i,j}\{i,j\} を走り、sℓ=sijs_\ell=s_{ij} です。f(s)f(\mathbf s) は共分散を C(s)C(\mathbf s) にしたときの分配関数、II は対の集まり、ψI(h)\psi_I(h) は ℓ∈I\ell\in I で sℓ=hℓs_\ell=h_\ell、ℓ∉I\ell\notin I で sℓ=0s_\ell=0 とした点です。

f(1,…,1)=∑I⊂{対} ∏ℓ∈I∫01 ⁣dhℓ (∏ℓ∈I∂∂sℓ)f(ψI(h))(11)f(1,\dots,1)=\sum_{I\subset\{\text{対}\}}\ \prod_{\ell\in I}\int_0^1\!\mathrm dh_\ell\ \Big(\prod_{\ell\in I}\frac{\partial}{\partial s_\ell}\Big)f\big(\psi_I(h)\big) \tag{11}

対が一つなら f(1)=f(0)+∫01f′(h) dhf(1)=f(0)+\int_0^1f'(h)\,\mathrm dh で、(11) はこれを対ごとに繰り返したものです。∂/∂sℓ\partial/\partial s_\ell(ℓ={i,j}\ell=\{i,j\})は立方体 bi,bjb_i,b_j を結ぶ線を一本下ろし、その大きさは ∣C∣|C| 程度、質量 m0m_0 なら e−m0∣x−y∣e^{-m_0|x-y|} 程度です。微分された対が塊をなし、積分は塊ごとに分かれて、立方体の連結な集まり YY をポリマーとする気体になります(同 (V.A.7)(V.A.8))。

ただし補間した共分散は正定値(ガウス測度として意味を持つ条件)であり続ける必要があるので、実際には森の公式(Brydges–Kennedy の Taylor 森の公式、同 Thm III.1)を使います。これは、二つの立方体を結ぶ径数を、森をなす木の中で二つを結ぶ道に沿った hℓh_\ell の最小値で置く版で、こうすると正定値性が保たれます(同 (V.A.9)・Thm IV.5)。この形で、任意の定数 KK に対し、紫外の切断を入れたうえで結合 gg を(KK に応じて)十分小さくとれば ∑Y∋0∣A(Y)∣K∣Y∣≤1\sum_{Y\ni0}|A(Y)|K^{|Y|}\le1 です(同 (V.A.10)。∣Y∣|Y| は YY の立方体の数)。この型の展開を構成的場の理論に持ち込んだのは Glimm–Jaffe–Spencer で(同 §I)、結果は 6-03 §05・§08 にあります。既知

例:道具はガウスの部分積分です(ガウス分布は 1-08 §06)。標準正規の ϕ\phi では、密度 e−ϕ2/2e^{-\phi^2/2} の微分が −ϕ e−ϕ2/2-\phi\,e^{-\phi^2/2} なので、部分積分で E[ϕF(ϕ)]=E[F′(ϕ)]\mathbb E[\phi F(\phi)]=\mathbb E[F'(\phi)] が出ます。これを共分散行列 C(s)C(s) の平均 0 のガウス変数に広げると ddsEs[H]=12∑a,bdCabds Es[∂a∂bH]\frac{\mathrm d}{\mathrm ds}\mathbb E_s[H]=\frac12\sum_{a,b}\frac{\mathrm dC_{ab}}{\mathrm ds}\,\mathbb E_s[\partial_a\partial_bH] です既知。分散 1・共分散 scsc のガウス変数 (ϕ1,ϕ2)(\phi_1,\phi_2) では dC12/ds=dC21/ds=c\mathrm dC_{12}/\mathrm ds=\mathrm dC_{21}/\mathrm ds=c なので ddsEs[F(ϕ1)G(ϕ2)]=c Es[F′(ϕ1)G′(ϕ2)]\frac{\mathrm d}{\mathrm ds}\mathbb E_s[F(\phi_1)G(\phi_2)]=c\,\mathbb E_s[F'(\phi_1)G'(\phi_2)]。s=0s=0 では二つは独立なので、ss について 0 から 1 まで積分して

Cov⁡(F(ϕ1),G(ϕ2))=c∫01Es[F′(ϕ1) G′(ϕ2)] ds,∣Cov⁡∣≤∣c∣ sup⁡∣F′∣ sup⁡∣G′∣(12)\operatorname{Cov}\big(F(\phi_1),G(\phi_2)\big)=c\int_0^1\mathbb E_s\big[F'(\phi_1)\,G'(\phi_2)\big]\,\mathrm ds,\qquad\big|\operatorname{Cov}\big|\le|c|\,\sup|F'|\,\sup|G'| \tag{12}

で、塊の相関はつなぐ共分散 ∣c∣|c| で抑えられます。F=G=cos⁡F=G=\cos なら値は e−1(cosh⁡c−1)e^{-1}(\cosh c-1)(c=0.9c=0.9 で 0.159323580.15932358)で、左辺・右辺の数値積分と 8 桁一致しました。計算

10

ゲージ場での使い道と限界

格子の強結合。小さい β\beta ではプラケットの塊の展開が働き(5-02・5-04)、無限体積極限の存在と解析性、閉じ込めの評価が示されています(Osterwalder–Seiler 1978)。ただしこの面積則は U(1)U(1) を含むどの群でも成り立ち、非可換な閉じ込めの証拠にならない、と Chatterjee(2018)は注意しています。既知

位相空間の展開。単位の尺度で小さな径数が無いときは、場を尺度ごとに分け、各尺度の「位相空間の細胞」で展開して積み上げます(Battle–Federbush 1982。JW §6.1 の 'phase-space localization')。格子ゲージ理論では Bałaban の系列がこれにあたります(6-05)。既知

赤外の限界。四次元では長い距離で結合が強くなります。Magnen–Rivasseau–Sénéor 1993 §I は 'there is no easy solvable model of these phenomenons around which to expand' と書き、問題文も体積に一様なギャップには新しい考えが要るとします(JW §6.5)。展開が収束する小さい β\beta は、連続極限 β→∞\beta\to\infty の反対の岸です。正確には、展開が収束するのは β\beta が小さい側の有限の区間で、連続極限は β→∞\beta\to\infty で取ります(5-09)。

SEAM 届く範囲と行きたい場所

§02 では展開を止めた特異点は負の活量の側でした。四次元の U(1)U(1) 格子では、大きい β\beta で面積則が破れる相が実際に在ります(Guth 1980。完全に厳密な証明と質量ゼロの相は Fröhlich–Spencer 1982)。非可換(SU(2)SU(2)・SU(3)SU(3) の Wilson 作用)では、閉じ込めを失う相転移は無いと信じられています物理が、定理ではありません。展開の収束が止まる場所は、その先の相転移の有無を教えません。この本の整理では、弱結合の紫外(6-05〜6-07)と強結合の展開のあいだ、結合が O(1)O(1) になる一段が欠けています(6-10)。


この章が言えている範囲

内容
言えている展開の式・Penrose の恒等式・三つの収束条件とその帰結(解析性・指数減衰)既知
言えている一次元の剛体格子気体の係数・半径 1/41/4・閾値・減衰率。KnK_n の交代和と Penrose 木の一致(n≤6n\le6)。式 (12)計算
言えていない連続の場と格子の強結合での収束の証明の中身(原論文は追っていない。5-04)。四次元の赤外で使える展開(知られていない)

出典と再現

もの種別出典・道具
問題文の引用(§5・§6.1・§6.5)本文で確認A. Jaffe, E. Witten, Quantum Yang–Mills Theory, Clay Mathematics Institute (2000)
式 (4)〜(7)・Dobrushin と FP の条件・表 3 の式本文で確認R. Fernández, A. Procacci, CMP 274 (2007) 123–140, arXiv:math-ph/0605041
式 (10)(11)・森の公式/相関の減衰本文で確認A. Abdesselam, V. Rivasseau, arXiv:hep-th/9409094 (1994)。D. Ueltschi, Moscow Math. J. 4 (2004) 511–522
局所補題・同値・鎖の零点・λc≤1/4\lambda_c\le1/4・Shearer の値要旨・§1・§4.1・§5.2・§8.4 を確認A. D. Scott, A. D. Sokal, J. Stat. Phys. 118 (2005) 1151–1261, arXiv:cond-mat/0309352
原典・系譜書誌のみKotecký–Preiss, CMP 103 (1986) 491。Dobrushin, AMS Transl. (2) 177 (1996) 59。Gruber–Kunz, CMP 22 (1971) 133。Penrose, in Statistical Mechanics: Foundations and Applications (T. A. Bak ed.), Benjamin (1967) 101–109。Mayer, J. Chem. Phys. 5 (1937) 67。Brydges–Federbush, J. Math. Phys. 19 (1978) 2064。Brydges–Kennedy, J. Stat. Phys. 48 (1987) 19。Battle–Federbush, Ann. Phys. 142 (1982) 95。Glimm–Jaffe–Spencer, in Constructive Quantum Field Theory (G. Velo, A. Wightman eds.), Lecture Notes in Physics 25, Springer (1973)(Part II: The cluster expansion)、および Ann. Math. 100 (1974) 585。Erdős–Lovász, in Infinite and Finite Sets II, Colloq. Math. Soc. J. Bolyai 10, North-Holland (1975) 609–627。Shearer, Combinatorica 5 (1985) 241
格子の強結合・U(1)U(1) の相・赤外の引用要旨・本書の材料の検査によるOsterwalder–Seiler, Ann. Phys. 110 (1978) 440(本文未入手)。Chatterjee, arXiv:1803.01950 §4。Guth, PRD 21 (1980) 2291(書誌は Chatterjee の文献表による)。Fröhlich–Spencer, CMP 83 (1982) 411。Magnen–Rivasseau–Sénéor, CMP 155 (1993) 325
指数公式・スペクトル測度・ガウスの部分積分・収束半径と特異点既知標準的な事実(1-08・1-10)
表・零点・輪・式 (12)・図計算この端末の Python:hardcore1d.py・graphs.py・decouple.py。図は素の JavaScript

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改訂 2026-10-01:初版。