この本の全体 目次と読む順
- 第 0 部 入口 — この本の読み方
- 0-01 この本の読み方
- 0-02 一枚の絵
- 0-03 問題文を一語ずつ読む
- 0-04 数学の四次元と物理の四次元
- 第 1 部 数学の準備
- 1-01 ベクトル空間と線形写像
- 1-02 群とは何か
- 1-03 リー群とリー環
- 1-04 SU(2) と SU(3)
- 1-05 多様体と接空間
- 1-06 微分形式と外微分
- 1-07 ベクトル束と接続
- 1-08 確率と測度
- 1-09 無限次元の確率
- 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
- 1-11 フーリエ解析と分布
- 1-12 寄り道
- 第 2 部 物理の準備
- 2-01 ラグランジアンと作用
- 2-02 場という考え
- 2-03 電磁気学はゲージ理論である
- 2-04 特殊相対論と時空
- 2-05 量子力学の骨
- 2-06 調和振動子と生成消滅
- 2-07 経路積分の考え方
- 2-08 統計力学と相転移
- 2-09 寄り道
- 2-10 緩和の時間と動的指数 z
- 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
- 3-01 ゲージ原理
- 3-02 非可換ゲージ場
- 3-03 作用と方程式
- 3-04 幾何としてのゲージ理論
- 3-05 インスタントンと位相
- 3-06 寄り道
- 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
- 第 4 部 量子化
- 4-01 正準量子化とハミルトニアン
- 4-02 経路積分とユークリッド化
- 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
- 4-04 発散と繰り込み
- 4-05 発散の代数
- 4-06 漸近自由
- 4-07 次元転移と Λ
- 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
- 4-09 場の量子論の公理
- 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
- 4-11 質量ギャップの定義
- 4-12 寄り道
- 第 5 部 格子ゲージ理論
- 5-01 Wilson の格子
- 5-02 強結合展開
- 5-03 反射正値性と転送行列
- 5-04 無限体積極限とクラスター展開
- 5-05 弱結合と連続極限
- 5-06 U(1) と非可換の違い
- 5-07 モンテカルロ法
- 5-08 グルーボールと弦張力の測定
- 5-09 何を固定して極限を取るか
- 5-10 有限群の格子ゲージ理論
- 5-11 寄り道
- 第 6 部 構成的場の理論
- 6-01 構成的場の理論とは
- 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
- 6-03 スカラー場の構成
- 6-04 クラスター展開
- 6-05 繰り込み群の段の列
- 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
- 6-07 四次元
- 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
- 6-09 確率量子化と正則性構造
- 6-10 四次元で止まる場所
- 6-11 発散以外の障害
- 6-12 寄り道
- 第 7 部 物理の側から
- 7-01 物理はどう見ているか
- 7-02 閉じ込めの機構
- 7-03 弦の絵
- 7-04 大 N
- 7-05 ひも理論と余剰次元
- 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
- 7-07 ゲージ場はどこから来るか
- 7-08 ホログラフィー
- 7-09 質量ギャップが幾何になる
- 7-10 四次元に戻す
- 7-11 超対称と Seiberg–Witten
- 7-12 等価原理に当たる一文
- 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
- 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
- 8-01 辞書の読み方
- 8-02 辞書 A
- 8-03 辞書 B
- 8-04 辞書 C
- 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
- 第 9 部 現在地と課題
- 9-01 世界はどこまで来ているか
- 9-02 二つの掘り方の切れ目
- 9-03 新しい概念の候補
- 9-04 課題の一覧
- 9-05 よくある誤解
- 第 10 部 質量ギャップの厳密な証明へ — この端末の検討
- 10-00 第 10 部の入口 — 酔歩と定規と時計
- 10-01 理論の構成の筋
- 10-02 一段の記帳
- 10-03 仮定 H と三つの鎖
- 10-04 方向の地図
- 10-05 方向 12〜14
- 10-06 方向 15・15′
- 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表
- 10-08 壁の一覧
- 10-09 ひらめき帳から
- 10-10 主張しないこと
- 10-12 つじつま合わせ
- 10-11 定理までの距離
- 10-13 小さな問い — 卒業研究の大きさで決着のつく十〜二十問
- 付録
- A-01 記号表
- A-02 用語集
- A-03 文献案内
- A-04 Lean と機械検査
- A-05 この本の作り方
- A-06 仮定の索引
仮定 H と三つの鎖 — 「すべての f」と「ある f」に割る
この章で分かること — この端末の記録の仮定 H(Poincaré 定数が相関長の二乗と同じ冪で伸びる)を定義から書き、記録が使う八つの読みに名前を付けます。H↑・H↓ に割ると量化子が「すべての f」と「ある f」に分かれること、H↑ に要るのは三つの下界であること、冪に映らない対数があることを、自由場の計算と格子の数表で見ます。
前提となる章 — 7-12(三つの鎖)と 1-10(変分原理・Poincaré 不等式)。8-03 §05 と 8-05 §02 も引きます。
先に言うこと — H・H↑・H↓・三つの鎖は、どれも証明されていない仮定です。Lean で閉じているのは、仮定を明示した有限の不等式だけです。この章は質量ギャップも連続極限も示しません。
この章の約束 — 測度・・相関長・記帳の長さ
群は SU(2)、結合は (記号表の )、量は格子単位(格子間隔が 1)です。
測度と 。 は Wilson 作用 (5-01)の無限体積の測度です。一つに決まること((S1)、10-01)は前提に置き、ゲージは固定しません。有限個のリンクに依る関数 について
はリンク の向きの微分(リンクの角度で測る)、 は Langevin 力学の隙間で、1-10 §07〜§09 の Poincaré 定数そのものです(次の三つの の (β))。 は転送行列のゲージ不変な状態の上の隙間、 は相関長、 は弦張力です(5-03・4-11)。
三つの 。同じ記号で三つの量が呼ばれるので区別します。(α) 一つの時刻の真空の測度(基底状態の分布)の Poincaré 定数は、ハミルトニアンの隙間と厳密に同値です(基底状態変換、2-05 §08 の (12)・1-10 §08)。(β) 経路の測度(ここでは Wilson 測度)の Poincaré 定数は Langevin 力学の隙間の逆数で、記録の はこちらです。(γ) は (β) をリンクの角度で測るか場で測るかの正規化の違いで、量の違いではありません。
表 0 三つの (自由場の列は質量 ・時間を連続に取った場合)
| 測度 | 何と結び付くか | 自由場 | |
|---|---|---|---|
| (α) | 一つの時刻の場の分布 | 隙間 (運動項 の規約)既知 | |
| (β) | 時空のすべての場の分布(経路) | Langevin の隙間 。 とは鎖 (i) を介してだけ | |
| (γ) | (β) と同じ測度 | (場 )、 | 、 |
自由場では です 計算。時間を連続に取ると等号で、格子間隔 1 の格子では右辺に が掛かります( で 1.000977)。基底状態変換の は、調和・四次・二重井戸の一次元の井戸で差分の二つの固有値問題を解き、6 桁で一致を確かめました。仮定 H は (β) についての文なので、「経路の と真空の の二乗が揃う」と読み替えられます。ただしゲージ理論では一つの時刻の測度はゲージ軌道の空間の上にあり、この読み替えは自由場の形からの類推です。
記帳の長さ(この端末の定義)。格子を 倍に粗くする一段で と下がると数えます。 は既知の一ループ係数の書き直し(4-06)、 は一ループ核の模型で測った取りこぼしです(10-02)。決まった値まで下がる段数 から
は一ループの次元転移の式 (4-07 §02 の (3))を SU(2)・ で書いたもので、 は の一ループの部分と同じ式です 既知。第 5 部の格子間隔とは別の定義で、鎖 (iii) の下で定数倍で揃います。 は です(8-05 §02)。
仮定 H — 揺らぎの時間が相関長の二乗の冪で伸びる
仮定 H(記録の名前)は、揺らぎが均される時間 が相関長 の二乗と同じ冪で伸びるという一文です。
冪の水準の文なので、 を の冪倍しても変わりません()Leanexponent_invariant_of_slowly_varying(LatticeGaugePoincareNormalisation.lean。仮定:掛ける因子の対数と の比が 0 へ)。記録が鎖と組み合わせて使うのは、記帳の長さ と に依らない定数倍の幅(帯)で比べる次の文です( は比が正の定数で上下から押さえられること)。この文は H と鎖 (ii)(iii) を合わせたもので、この本では H と呼びません(次の小節)。
Langevin の時間は長さの二乗の次元を持つので(拡散、8-05 §03 の寄り道)、 は最も遅い緩和を物理の単位で測った値で、(3) はそれが 0 にも無限大にも行かないと言います。相関長を挟むと
で、第一の因子は物理単位の質量 で決まり(7-12 §05 の (ii)(iii) の積)、第二は鎖 (i) の因子そのものです。格子の自由場では (1-10 §09)で、 なら (3) は場の正規化で恒等式です 既知。H も (3) も格子の測度の族についての文で、連続極限の存在も極限の隙間も、それだけでは言いません。
H の八つの読み — 名前の約束
「 が長さの二乗と揃う」という文には三つの選び方があります。冪で言うか帯(定数倍の幅)で言うか、比べる長さを相関長 にするか記帳の長さ にするか、 をリンクの角度の ((1) の )で測るか場の で測るか(表 0 の (γ))。 で八つの読みがあり、章によって同じ「仮定 H」が違う読みを指しかねません。この本では名前を次のように固定します。
- H は冪の水準の (H) です。冪の水準では二つの正規化は同じ文になります。
- 帯の文は正規化を名指して ・ と書き、H とは別の仮定として扱います。
- と比べる文は、H(帯なら )と鎖 (ii)(iii) を合わせた文です。((3))は と鎖 (ii)(iii) の文で、「H」とは呼びません。
- H↑・H↓ は帯の文の上の半分と下の半分です。どの帯の文の半分かを添えます(§03 の (5) は (3) の半分、§04 は の H↓)。
表 0′ 八つの読み(右の二列は H を前提にした勘定。指数は または に掛かる の冪)
| 水準・長さ・正規化 | 文 | この本の名前 | 自由近似 | 一ループの対数(§06)物理 |
|---|---|---|---|---|
| 冪・・ | H() | 成り立つ | 動かない | |
| 冪・・ | ||||
| 冪・・ | ((10) の ) | H と鎖 (ii)(iii)(冪) | 成り立つ(二ループの差は冪に映らない) | 動かない |
| 冪・・ | ||||
| 帯・・ | H↓ が破れる(比 、指数 ) | :H↓ が破れる | ||
| 帯・・ | 成り立つ(等号) | :H↑ が破れる | ||
| 帯・・ | ((3)) | と鎖 (ii)(iii) | 記帳の次数で決まる(表 3) | |
| 帯・・ | と鎖 (ii)(iii) |
右の列の は正規化の と確率時間の の和、 の行はさらに一ループの記帳と二ループの走りの差 を足したものです(§06)。どれも一ループの摂動論の繰り込み群の下の勘定で、冪の水準の二行だけがこの対数に動かされません。記録の定理がどの読みを仮定するかは各定理の行に書きます(帯の代数 chain_band は (3) の行、drainExp_eq_zero_iff は冪・ の行。一覧は 10-07)。他の章は「10-03 の H」とこの小節にリンクして同じ名前を使います。
上と下に割る — H↑ は「すべての f」、H↓ は「ある f」
(3) の右と左を分けます。
(5) は (3)、つまり と鎖 (ii)(iii) の文の半分です。 で書いた の半分も同じ記号で書くので、どちらの半分かを添えます。 は (1) の上限で、 は測度と別に決めた長さなので、二つは についての量化子が逆向きです。
H↓ は試験関数を一つ見せれば済み、H↑ はすべての関数についての本物の Poincaré 不等式です。1-10 §06 の「上からは易しく、下からは難しい」が、隙間の逆数 では「下からは易しく、上からは難しい」になります 既知。鎖 (i) を等号 で置くと、物理単位の質量の言明に読み替わります。
Leanhup_is_gap_positivity・hdown_is_mass_finiteness(LatticeGaugeOneScale.lean。仮定:・・(5) の片側。対応する既知:4-11 の隙間と相関長)。記録はこれを整理と呼び、新しい数学とはしていません。H↓ は Clay の「非自明」(相互作用があること、0-03)とは別で、自由な質量つきの場でも満たされます。 が に一様なら で、H↑ は満たし H↓ は破れる の自明な極限です。強結合の評価()はこの形で、そのまま に一様に延びれば連続極限の反対側に落ちます(向きは既知、5-09・8-05 §09)。
試験関数も自己相関の測定(8-03 §06)も試しの状態も、出すのは の下界か の上界で、どれも H↓ の側に落ちます(1-10 §06 の「上からは一つ、下からはすべて」)。H↓ の側で届くのは の下界までで、隙間の下界( の上界)はこの側でも届きません。記録の言葉で「測定の側は上界の精密化で終わる」。有限個の測定から隙間の下界が出ないことは既知の枠組みの言い換えです(4-11 §04)。
H↓ の側 — 試験関数は一つで足りるが、大きさ ξ が要る
H↓ は一つの で示せますが、どの でもよくはありません。四次元の格子の自由場(共分散 、)で、一辺 の立方体 の上の場の和を試します。勾配は立方体の中で 1 なので です。
では の和で 、 では です。 は (転送行列の隙間、8-03 表 1 と同じ)で決めます。
計算この図の数値はこの端末で計算した(一重積分に直した値。周期格子 の和と相対 以下で一致)。
表 1 を止めたときの
| 1/2 | 0.0181 | 0.0163 | 0.0162 |
| 1 | 0.0587 | 0.0569 | 0.0568 |
| 4 | 0.3748 | 0.3735 | 0.3734 |
| 64 | 0.9395 | 0.9393 | 0.9393 |
を止めると は に依らず揃い、 で約 0.057 で、H↓ の定数 にはこれで足ります。逆に を止めて を 8 から 512 に伸ばすと、 は 3.75 から 4.62 で止まり、 は 0.059 から に落ちます 計算。試験関数は とともに広げなければなりません。
もう一つ、和を取るのが でなく や なら、どう広げても に届きません(8-05 §05)。ゲージ理論ではこの二つがぶつかり、ゲージ不変な局所観測量は次元 4 以上、素のリンク角はゲージ平均で相関が消え、ゲージ固定した長波長のモードは Gribov のコピーで一価性が壊れます。記録はこの三つの族(後の二つはコンパクト U(1) で試験)からは H↓ が出ないとし、偽とは言っていません(10-05)。
三つの鎖を半分ずつに — H↑ に要るのは三つの下界
7-12 §05 の分解 の三つの因子が (iii)・(ii)・(i) の鎖です。鎖は「因子が上下から定数で押さえられる」ことで、上の半分と下の半分に分かれます。上の半分を三つ集めると H↑、下の半分で H↓ です。
H↑ 側の三つは、どれも「速さ・質量・張力が隣の尺度より小さくない」という下界です。緩和が遅すぎない、グルーボールが軽すぎない、閉じ込めが弱すぎない。質量ギャップの証明が下界の証明であることが、三つに分かれて現れます。Leanchain_band・sq_times_poincare_band(LatticeGaugeOneScale.lean。仮定:六つの帯の不等式。結論: が正の帯に入る)は (9) の代数で、鎖そのものは仮定です。逆向きは出ません(因子の打ち消し、7-12 図 2)。
表 2 鎖の半分と、記録での状態
| 鎖 | H↑ 側 | H↓ 側 | 記録での状態 |
|---|---|---|---|
| (i) | 自由場では両側。物理では (8-05) | ||
| (ii) | ↑ 側は に還元(未証明)。格子で は 3.29〜3.84 物理 | ||
| (iii) | と が入る(10-02)。↓ 側は一ループの記帳で対数でずれる(表 3) |
(ii) の ↑ 側の還元は Leanmass_sq_ge_of_tube(LatticeGaugeTubeEntropy.lean。仮定:転送作用素のノルム 、つまり の帰結。結論: で )。 は強結合の主項 の領域では成り立たないと読めます(7-12 §08・10-06)。
冪に映らない対数 — (S4) の同値と記帳の次数
記録は (4) の二つの因子に冪の形を置きます。鎖 (i) の破れを 、(ii)(iii) の破れを とすると( を止めた模型で 、 なら )、 から
で、・ なら です Leandrain_exponent・drainExp_eq_zero_iff(LatticeGaugeSpectralHinge.lean。仮定:冪の形と符号の条件)。これが記録の「(S4) ⟺ かつ 」の中身で、加法的で有界な段の誤差と一ループ核の模型も前提です(8-05 §07)。
冪が 0 でも(表 0′ の冪・ の行)、帯の読み (3) には足りません。 の冪の因子は に映らず、帯を出るからです。一つは の正規化で、リンクの角度で測ると場 で測るより が 倍です(表 0 の (γ)・8-05 §03)。もう一つは記帳の次数で、(2) は一ループで数えますが、既知の走りには二ループの項があります(4-06 §05)。二ループの (7-12 の式 (8))の逆数を として 既知、
一ループの記帳を基準にすると、この差は段ごとに の大きさの取りこぼしとして入り、和は段数の対数で発散します(記録の は に依らず、模型の外の差です)。
表 3 鎖 (iii) を一ループと二ループで見る(SU(2)。上段は Lucini–Teper 表 1 の 、下段は (11) の勘定)
| 2.40 | 3.797 | 168.4 | 57.26 |
| 2.60 | 7.465 | 146.7 | 48.23 |
| (2.6 で 1) | |||
| 10 | 11.69 | 3.11 | |
| 100 | 116.90 | 21.7 |
計算上段では で一ループの列が 、二ループの列が 動き、どちらの記帳が正しいかは選べません(裸の結合の格子の補正、7-12 §07)。下段では が から に伸びる間に が 22 倍になり、冪は 0 でも (iii) の ↓ 側は一様な定数では成り立ちません。二ループの走りが四次元でも正しいなら 物理、帯の読みは記帳を二ループまで含めて述べるか、対数の因子を除いて述べるかを先に決める必要があり、正規化と同じ種類の未決の点です。この本が H を冪の水準に置くのはこのためです(表 0′)。
三つ目の対数 — 確率時間の繰り込み
三つ目は Langevin の時間そのものの尺度です。確率量子化(6-09 §07)を、確率時間を五つ目の座標に持つ場の理論として摂動論で繰り込むと、場と結合のほかに確率時間も乗法的に繰り込まれ()、その一ループの係数はゲージの径数に依りません 既知(繰り込み可能性の一般論は Zinn-Justin–Zwanziger 1988、係数は Baulieu–Zwanziger 2000 が 1980 年代の計算を引いて書く)。Lüscher–Schaefer(2011)は、Langevin で測る積分自己相関時間が物理の単位で の因子を伴うと書いています 物理。
記録はこの係数を正規化の言葉に移し、場の正規化で 、リンクの角度で (指数 、)と読みました。冪は Lüscher–Schaefer の因子と同じで、彼らも Baulieu–Zwanziger を引くので独立な確かめではありません。記録の計算は、五次元の Langevin の一ループの極を直接求め、確率時間の極 と結合の極 (単位 )をゲージの径数に依らずに出して、引用された係数と一致を見たところまでです 計算。 の値の条件は、一ループの主対数であること、格子の主対数が次元正則化の主対数と一致すること、五次元の理論の乗法的な繰り込み可能性(Baulieu–Zwanziger §3 の言明)、そして H そのものです 物理。どちらの正規化の帯も一様な定数では閉じず、冪の水準の H は動きません(表 0′)。
H↑ の側 — 在る道具と障害
H↑ は試験関数を何本積んでも出ません(§03)。記録は「本体の主張は手つかずの側にある」と書きます。
強結合の評価。Shen–Zhu–Zhu(arXiv 2022)は格子ヤン–ミルズの無限体積の測度で Poincaré・log-Sobolev 不等式と正の質量ギャップを示しました 既知。条件は SU(N) で (彼らの規格化)の強結合の側で、一リンクの Bakry–Émery(5-11)と同じく の形です。
尺度の一次元の鎖。記録は、尺度 の一次元の鎖に射影できるという仮定 (P) の下で、二重み Hardy 不等式の定数の挟み込み (Muckenhoupt 1972)既知 を段の列に使い、 の有界性を の有界性から出しました Leanconditional_scale_bound(LatticeGaugeHardyLadder.lean。仮定:(P)・非負で部分和が有界な取りこぼし・幾何級数の重み)。記録は (P) が H より弱くないと書きます。
障害:位相電荷。周期境界の箱では、HMC 型の力学で位相電荷の二乗の自己相関が 'an effective dynamical critical exponent of about 5 in pure gauge theory' で伸びます(Schaefer–Sommer–Virotta 2011)物理。HMC が Langevin と同じ普遍類にあるという予想(Lüscher–Schaefer 2011)と、可逆な連続時間の力学の (8-03 §06。有限の連鎖で Leantau_int_le、既知の再証明)を重ねると で、H↑ は周期境界では破れます(条件つき)。記録は H を無限体積か開いた境界で述べるべきとし、開いた境界は有限の箱でしか障壁を救わないと整理します(10-06)。
寄り道:スピン系の同じ問い
飛ばしてよい小節です。「緩和の時間は相関長の二乗の定数倍か」はスピン系で証明の対象です。Bauerschmidt–Bodineau(2020)は段ごとに隙間の不等式を受け渡す方法で、四次元の の階層模型(入れ子の箱に単純化した模型)について 'the spectral gap decays polynomially like the spectral gap of the dynamics of a free field (with a logarithmic correction for the |φ|^4 model)' と書きます 既知。四次元の周辺性が対数に出ています(§06)。Bauerschmidt–Dagallier(2024)は Ising 模型の log-Sobolev 定数を感受率で押さえました 既知。
後者の冪は最良ではない、と著者自身が書いています。どちらもゲージ理論ではありません。記録の方向 10(多重尺度の Bakry–Émery、10-04)はこの型の道具をゲージ場に持ち込む案で、二つの尺度の交差項から先が書けていません。探した範囲(出典表の検索)では、格子ヤン–ミルズで Poincaré 定数を相関長か記帳の長さの二乗と比べる言明の先行の記録は見当たらず、見つかったのは Shen–Zhu–Zhu と同じ系統の結果でした。
何が未証明か — 一覧
表 4 言明と状態(「仮定」は証明を持たずに置いたもの)
| 言明 | 状態 |
|---|---|
| H・鎖 (i)(ii)(iii) | 仮定。(ii) の ↑ 側は に還元(未証明) |
| H↑(すべての ) | 手が無い。一次元の鎖は (P) の下。周期境界では条件つきで破れる |
| H↓(ある ) | 三つの族からは出ない。偽とは言っていない |
| (S4) ⟺ かつ | 冪の形・符号・加法的な誤差・一ループ核の模型の下の代数 |
| 帯の読み(正規化・記帳の次数・確率時間の対数) | 未決。H は冪の水準に置いた(表 0′) |
| (S1)・境界条件 | 前提として置いた |
機械検査で閉じているのは、帯の代数・(ii) の ↑ 側の還元・(P) の下の有界性・有限の連鎖の で、どれも仮定を明示した有限の不等式です(一覧は 10-07、読み方は Lean の案内)。相互作用のある四次元の測度で を と比べる部分には、どちらの向きにも定理がありません(定理までの距離は 10-11)。
この章が言えている範囲
| 言えている | 言えていない |
|---|---|
| 既知(6) の非対称、自由場の 、係数 51/121、、Hardy の挟み込み、スピン系の結果。 | これらを格子ヤン–ミルズの H に結ぶ定理。 |
| Lean(7) の読み替え(仮定 )、(9) の帯の代数、(10) の同値(冪の形の下)、(ii) の ↑ 側の還元、(P) の下の有界性。 | H・H↑・H↓・鎖・・(P) の証明。 |
| 計算図 1・表 1・表 3・自由場の ・確率時間と結合の一ループの極。 | 相互作用のある理論の と記帳の選び方。 |
| 物理鎖 (i) と 、位相電荷の有効指数と HMC ≈ Langevin の予想、二ループの走り、確率時間の指数 (一ループ・前提つき)。 | 質量ギャップ・連続極限・一尺度について、この章は何も示さない。 |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| Poincaré 定数・ガウス測度の | 既知 | 1-10 の出典表。 |
| 二ループの係数・・表 3 の | 既知・物理 | 7-12 の出典表(PDG の QCD の総説 Phys. Rev. D 110 (2024) 030001、Lucini–Teper JHEP 0106 (2001) 050 表 1。7-12 の照合による)。 |
| 強結合の Poincaré・log-Sobolev・質量ギャップ | 既知 | H. Shen, R. Zhu, X. Zhu, Commun. Math. Phys., doi:10.1007/s00220-022-04609-1, arXiv:2204.12737(要旨を確認)。arXiv:2401.13299・arXiv:2510.22788 は要旨のみ。 |
| スピン系の隙間 | 既知 | R. Bauerschmidt, T. Bodineau, Commun. Math. Phys. 373 (2020) 1167–1206, arXiv:1809.02075(要旨を確認)。R. Bauerschmidt, B. Dagallier, Comm. Pure Appl. Math. 77 (2024) 2568–2576, arXiv:2202.02301(本文を確認)。 |
| 位相電荷・HMC と Langevin | 物理 | S. Schaefer, R. Sommer, F. Virotta, Nucl. Phys. B 845 (2011) 93–119, arXiv:1009.5228。M. Lüscher, S. Schaefer, JHEP 07 (2011) 036, arXiv:1105.4749。どちらも要旨を確認。 |
| Hardy 不等式 | 既知 | B. Muckenhoupt, Studia Math. 44 (1972) 31–38(書誌のみ)。 |
| 基底状態変換・ | 既知 | 2-05・1-10 の出典表。 |
| 確率時間の繰り込み | 既知・物理 | L. Baulieu, D. Zwanziger, Nucl. Phys. B 581 (2000) 604, arXiv:hep-th/9909006(本文、記録の照合による)。M. Lüscher, S. Schaefer, JHEP 04 (2011) 104, arXiv:1103.1810(冒頭と §5.4 の本文)。J. Zinn-Justin, D. Zwanziger, Nucl. Phys. B 295 (1988) 297(要旨のみ)。1980 年代の一ループの原典は未入手。 |
| 表 0 の自由場の列・ | 計算 | この端末の Python 3(NumPy・SciPy):一次元の井戸の差分の固有値問題と、時間の格子の調和振動子・格子間隔 1 の零運動量の向きの和。 |
| 五次元の Langevin の一ループの極(・)・ | 計算・物理 | この端末の記録(sympy の厳密な有理数と numpy の別実装)。前提は §06 の本文。 |
| 仮定 H・鎖・(P)・・記帳の長さ | 仮定 | この端末の記録の整理。Lean の定理と仮定は本文の各行、一覧は 10-07。 |
| 図 1・表 1・表 3 | 計算 | この端末の Python 3(NumPy・SciPy):testfn_block.py()・testfn_table.py・check_fft.py(周期格子の和と照合)・chain3.py。 |
| 先行の記録の検索 | — | arXiv の要旨の語の検索("lattice Yang-Mills" と Poincaré・spectral gap・Langevin ほか)。網羅ではない。 |
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