この本の全体 目次と読む順
- 第 0 部 入口 — この本の読み方
- 0-01 この本の読み方
- 0-02 一枚の絵
- 0-03 問題文を一語ずつ読む
- 0-04 数学の四次元と物理の四次元
- 第 1 部 数学の準備
- 1-01 ベクトル空間と線形写像
- 1-02 群とは何か
- 1-03 リー群とリー環
- 1-04 SU(2) と SU(3)
- 1-05 多様体と接空間
- 1-06 微分形式と外微分
- 1-07 ベクトル束と接続
- 1-08 確率と測度
- 1-09 無限次元の確率
- 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
- 1-11 フーリエ解析と分布
- 1-12 寄り道
- 第 2 部 物理の準備
- 2-01 ラグランジアンと作用
- 2-02 場という考え
- 2-03 電磁気学はゲージ理論である
- 2-04 特殊相対論と時空
- 2-05 量子力学の骨
- 2-06 調和振動子と生成消滅
- 2-07 経路積分の考え方
- 2-08 統計力学と相転移
- 2-09 寄り道
- 2-10 緩和の時間と動的指数 z
- 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
- 3-01 ゲージ原理
- 3-02 非可換ゲージ場
- 3-03 作用と方程式
- 3-04 幾何としてのゲージ理論
- 3-05 インスタントンと位相
- 3-06 寄り道
- 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
- 第 4 部 量子化
- 4-01 正準量子化とハミルトニアン
- 4-02 経路積分とユークリッド化
- 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
- 4-04 発散と繰り込み
- 4-05 発散の代数
- 4-06 漸近自由
- 4-07 次元転移と Λ
- 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
- 4-09 場の量子論の公理
- 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
- 4-11 質量ギャップの定義
- 4-12 寄り道
- 第 5 部 格子ゲージ理論
- 5-01 Wilson の格子
- 5-02 強結合展開
- 5-03 反射正値性と転送行列
- 5-04 無限体積極限とクラスター展開
- 5-05 弱結合と連続極限
- 5-06 U(1) と非可換の違い
- 5-07 モンテカルロ法
- 5-08 グルーボールと弦張力の測定
- 5-09 何を固定して極限を取るか
- 5-10 有限群の格子ゲージ理論
- 5-11 寄り道
- 第 6 部 構成的場の理論
- 6-01 構成的場の理論とは
- 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
- 6-03 スカラー場の構成
- 6-04 クラスター展開
- 6-05 繰り込み群の段の列
- 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
- 6-07 四次元
- 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
- 6-09 確率量子化と正則性構造
- 6-10 四次元で止まる場所
- 6-11 発散以外の障害
- 6-12 寄り道
- 第 7 部 物理の側から
- 7-01 物理はどう見ているか
- 7-02 閉じ込めの機構
- 7-03 弦の絵
- 7-04 大 N
- 7-05 ひも理論と余剰次元
- 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
- 7-07 ゲージ場はどこから来るか
- 7-08 ホログラフィー
- 7-09 質量ギャップが幾何になる
- 7-10 四次元に戻す
- 7-11 超対称と Seiberg–Witten
- 7-12 等価原理に当たる一文
- 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
- 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
- 8-01 辞書の読み方
- 8-02 辞書 A
- 8-03 辞書 B
- 8-04 辞書 C
- 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
- 第 9 部 現在地と課題
- 9-01 世界はどこまで来ているか
- 9-02 二つの掘り方の切れ目
- 9-03 新しい概念の候補
- 9-04 課題の一覧
- 9-05 よくある誤解
- 第 10 部 質量ギャップの厳密な証明へ — この端末の検討
- 10-00 第 10 部の入口 — 酔歩と定規と時計
- 10-01 理論の構成の筋
- 10-02 一段の記帳
- 10-03 仮定 H と三つの鎖
- 10-04 方向の地図
- 10-05 方向 12〜14
- 10-06 方向 15・15′
- 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表
- 10-08 壁の一覧
- 10-09 ひらめき帳から
- 10-10 主張しないこと
- 10-12 つじつま合わせ
- 10-11 定理までの距離
- 10-13 小さな問い — 卒業研究の大きさで決着のつく十〜二十問
- 付録
- A-01 記号表
- A-02 用語集
- A-03 文献案内
- A-04 Lean と機械検査
- A-05 この本の作り方
- A-06 仮定の索引
つじつま合わせ — 記録の数を、既存の計算と一次資料の数に一つずつ突き合わせる
この章で分かること — 記録の数(・・・・質量の上界・強結合の閾値)が、既存の計算や格子の一次資料の数とどこで合い、どこで合わず、どこで比べる相手が無いか。合う数の多くは既知の量の計算し直しであること。・tr・格子の計量・時間の約束の対応。
前提となる章 — 10-07 Lean で閉じた言明と既存の結果の対応表(Lean の中の規約は同章 §08)。数の出どころは 10-02・10-03・10-05・10-06・7-12、規約の換算は 5-01。
先に言うこと — 数が合うことは、仮定が正しいことも質量ギャップが在ることも示しません。合った数の大半は既知の値を別の道で計算し直した確かめです。この章は質量ギャップも連続極限も示しません。
- この章の約束 — 四つの判定と、そろえる三つのこと
- 一ループの傾き κ — 模型の中で 5 桁、格子の数表とは 2 割ずれる(表 1)・寄り道:51/121 を手で出す
- 取りこぼし δ(b) — 照合する相手の無い数
- 比 m/√σ — 外挿の形の分だけの一致(図 1・表 2)
- 質量の上界 — 不等式の向きで照合する
- C_P と自己相関の時間 — 正規化をそろえる
- 強結合の閾値 — 直線の閾値は換算で一致、一リンク積分後の閾値は比べる相手が無い
- 規約の対応 — β・tr・格子の計量・時間(表 3)
- 一表にまとめる — 十九行の照合(表 4・図 2)
この章の約束 — 四つの判定と、そろえる三つのこと
第 10 部には記録が計算した数が散らばっています。10-07 が Lean の定理の仮定と言明を既知に照らしたのに対し、この章は数を既存の計算と一次資料に照らします。判定は四つです。
- 一致:同じ量を同じ条件で比べ、誤差か表示の桁の内で合う。
- 条件つきの一致:合うが、合い方が一つの選択(外挿の形・箱・規約)に依る。
- 不一致:同じ量として比べると誤差を超えてずれる。理由が分かっていても不一致と書く。
- 比べられない:量・条件・アルゴリズムが違い、照合の相手が一次資料に見当たらない。
比べる前に三つをそろえます。規約(同じ結合が ・・ で書かれ、同じ が正規化で値を変える)、条件(群・箱・境界・模型の中か外か)、数の種類(等式の値か、上界か、外挿の結果か)です。
例。記録の の質量の上界 0.531(50) は、一次資料の 0.586(10) より下にあります。上界が真の値より誤差を超えて下なら矛盾ですが、差は合成誤差の −1.1 倍で、誤差の内です。そのうえ記録は空間 の小さな箱、一次資料は で、箱の物理的な大きさが違います。これは「条件つきの一致」に入り、条件は箱です(§05)。
一ループの傾き κ — 模型の中では 5 桁で合い、格子の数表とは 2 割ずれる
は、格子を 倍に粗くする一段で が下がる量の係数です(10-02 §07)。 が 下がるたびに長さの単位が 倍になるので、相関長は について指数で伸びます。
は一ループの係数で(4-06)既知、 で です。記録が一ループ核の模型の窓から読み直した値は 0.371521 で、相対差は表示の桁から です。これは「模型の窓の対数が連続の に近づく」ことの確かめで、値は 1973 年の係数そのものです。判定は一致(模型の中)。
実際の格子の数表とは合いません。Lucini–Teper 2001 の の対から を作ると表 1 です。二ループの実効値は、(1) に二ループの項を足して微分した
で、 では一ループより 7 % 大きくなります。
| 格子 | 二ループ(中点) | 格子/一ループ | |
|---|---|---|---|
| 2.40 → 2.475 | 0.280(9) | 0.3970 | 0.75 |
| 2.475 → 2.55 | 0.316(10) | 0.3962 | 0.85 |
| 2.55 → 2.60 | 0.292(10) | 0.3956 | 0.79 |
| 2.40 → 2.60 | 0.296(3) | 0.3963 | 0.80 |
| 2.25 → 2.60 | 0.304(2) | 0.3972 | 0.82 |
読み方。 の対は 0.28〜0.32 にそろい、一ループの 8 割です。 の隣どうしの対は 0.162(4) と 0.604(28) で、誤差の内ではない系統的な揺れです。〜2.3 の、強結合から弱結合への移り目(Lucini–Teper 2001 §3)の近くの揺れと読めるので 物理、隣どうしの対は表から外し、長い区間の行だけを残しました。2.25 → 2.60 の行は、この揺れを平均してしまう行です。
で合わせた一ループの式は の を 0.1538 と予言し、測定は 0.13395 です。二ループはずれを広げる向きに効きます。判定は不一致で、この範囲の では裸の結合で書いた漸近スケーリングにまだ届いていない、という読みです 物理。Lucini–Teper 2001 自身が §5 の式 (10)〜(11) の前後で、裸の結合について “it is well known that in our range of a this coupling is heavily influenced by lattice artifacts peculiar to the plaquette action” と書き、平均場で改良した結合 (式 (11)、 はプラケット)を使っています。Fingberg–Heller–Karsch 1993 も、 の 〜2.75 で個々の量に “large scaling violations” が残ると要旨に書いています 物理。傾きのずれの一部は、どの結合を物差しにして を測るかの選び方から来ています(§08 の「二つの のずれ」はこの言い直し)。 の同じ現象は 4-06 §07。記録の (1) は模型の中の段の式なので、この不一致は「段の式を実際の格子に当てはめてよい範囲がまだ来ていない」ことの表れで、記録の計算の誤りではありません。
寄り道:51/121 を手で出す
取りこぼし δ(b) — 照合する相手の無い数
は、格子の一段の窓が連続の に足りない分です(10-02 §08)。記録は一ループ核の模型で次を測りました 計算。
と は速いモードへの射影の重みの取り方で、 が 20 倍違うことが「値は核に依る」ことを示しています。
照合の相手の候補は二つです。Symanzik の改良の (5-05)は、格子の補正が運動量の二乗で入るという出どころは同じですが、格子間隔 で展開し、極限で消える補正を数えます。 は段の比 で展開し、段ごとに溜まる量を数えます。モンテカルロ繰り込み群の (実際の格子で一段に下がる )は記録の と同じ形の量ですが(8-05 §06 の類比)、ブロック化の方式と非摂動の効果を全部含むので、模型の と項ごとに対応しません。判定は比べられないで、照合できるのは の形までです。
比 m/√σ — 同じ数表から同じ値、外挿の形の分だけ
比 は次元を持たないので格子間隔が消えます(5-09 §03)。記録は Lucini–Teper 2001 の 6 点から比を作り、
で外挿しました(7-12 §04)。 で 、同じ論文の連続値は 3.844(61) です。入力も外挿の形も同じなので、計算の再現としての一致です。問題は の選び方で、図 1 で を動かすと はほとんど変わらずに が動きます。
計算この図の数値はこの端末で計算した(重み付き最小二乗を 〜4 の 0.1 刻みで求めた表を埋め込んだ)。JavaScript が無効なら表 2 が中身です。
| 0.5 | 1.0 | 1.7 | 2.0 | 3.0 | 4.0 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4.480(143) | 4.053(73) | 3.880(47) | 3.844(43) | 3.779(35) | 3.750(33) | |
| 3.60 | 2.73 | 2.32 | 2.39 | 3.26 | 4.55 |
読み方。 の最小は で、〜3 の は 2.3〜3.3 に収まり、そのあいだに は 4.05 から 3.78 まで動きます。 を選ぶ根拠は、Wilson 作用の補正が で始まるという理論の側の入力です 既知。判定は条件つきの一致で、条件は「」と「極限が在ること」です。
Athenodorou–Teper 2021 の の 3.781(23) とは ずれ、合成誤差の 1.3 倍です 計算。これは二つの一次資料どうしの差(5-08 §08)をそのまま引き継いだものです。なお 6 点の比の列は で一度下がり(3.740 → 3.686、誤差の内)、照合の結果は「おおむね増加し、下から近づく」です。
質量の上界 — 不等式の向きで照合する
記録が測った質量はどれも上界です。時間方向の距離 だけ離れた相関関数 から作る有効質量
は、非負の重みの表示があれば、すべての で最低のエネルギー以上だからです(10-05 §06、Rayleigh–Ritz)既知。ただし上界は真の相関関数について成り立つ不等式です。有限の標本で雑音の大きい の値を読むと、統計の揺らぎで下に出ることがあります。だから上界の照合で見るのは向きで、上界が真の値より誤差を超えて下にあれば矛盾です。それが言えるのも、同じ箱・同じ量子数の最低状態を見ているときだけです。
記録の箱は二つです。空間 ・時間方向 24 の箱では、演算子を APE の平滑化で均して(APE と Wilson 流は演算子を空間で均す二つの方法、10-05 §04)、 の上界が 1.025(140)・0.531(50)・0.558(51) です。 の箱では、Wilson 流で均した空間三方向の演算子で が 0.501(71) です。一次資料(Lucini–Teper 2001 表 1)は 0.953(19)()・0.586(10)()・0.514(8)()で、差を合成誤差で割ると +0.51・−1.08・+0.85・−0.18 です 計算。四つとも誤差の内です。
箱の物理的な大きさは、空間の一辺 を弦張力の長さで測った でそろえます 計算。一次資料の三つの箱はどれも 3.2 前後です。記録は で 3.16、 で 1.91、 で 1.61 です。 は空間の一辺が同じ 12 なので(時間方向は記録が 24、一次資料が 12)、一致とします。・2.60 の三行は の小さな箱で、そこでの最低状態は大きな箱の と同じ状態とは限りません。三行とも条件つきの一致とし、条件は「小さな箱(・1.6)」です。比 は記録で 1.84(30)、一次資料で 1.854 ですが、 の小さな箱の値を使うので、同じ条件の条件つきの一致です。言えるのは、記録の測定が一次資料と同じ順序をおおむね同じ比で再現したことまでで、下界には何も足しません(4-11)。
C_P と自己相関の時間 — 正規化をそろえ、相手の無い数は無いと書く
は Poincaré 不等式 の最良の定数で、Langevin の揺らぎが均されるまでの最長の時間です(10-03 §01)。記録の は経路全体(格子の Wilson 測度)の で、時刻 0 の真空の とは別物です(自由場で 、10-01 §05)。さらに Dirichlet 形をリンクの角度 で測るか場 で測るかで値が変わります。 を 倍すると は 倍なので
です。 で比は 0.435・0.408・0.385 です 計算。
自由場の と は、ガウス測度と基底状態変換(1-10・2-05)の計算し直しで、一致です(表 4 の行 16)。
この章でいちばん重い数は、記録の Langevin の測定です。量は、位相電荷 と局所の量 の積分自己相関時間 ・(10-06 §08)を、 の正規化( の座標で雑音の強さを 1 にとる)の Langevin 時間で測り、相関長の二乗で割ったものです。 なので、 そのものではなく の下界として効きます。・・ で は両方の境界で 0.5〜1.4 です 計算。仮定 H(10-03 の H)に最も近い数ですが、ゼロ温度で連続極限に向かう同じ量の一次資料は、探した範囲で見当たらず、判定は比べられないです。 の格子ゲージ理論の動的な緩和の研究には、有限温度の臨界点での動的指数を測ったもの(Okano–Schülke–Zheng 1998、2+1 次元)がありますが、測っている相関長が別物です。Schaefer–Sommer–Virotta 2011 の有効指数「about 5」は HMC 型(分子動力学を使う標準の更新法、5-07 §08)の力学のもので、Langevin の に持ち込むには「HMC は Langevin と同じ普遍性の類」という予想と (10-06 §08)の二段が要ります 物理。確率時間の一ループの極 ・結合の極 は Baulieu–Zwanziger 2000 が引く係数と一致し、指数 ()は Lüscher–Schaefer 2011 の因子 (arXiv:1103.1810 §1 の式 (1.1))と条件つきで一致します(表 4 の行 19)。後者は 、 という冪の一致です。Lüscher–Schaefer も Baulieu–Zwanziger を引くので独立な二つの確かめではなく、条件は一ループの主対数であることと H そのものです(10-03 §06)。
強結合の閾値 — 同じ規約に直して比べる
記録の一リンクの方法(5-11)には閾値が二つあります。リンクごとの曲率の見積もりを格子全体にそのまま当てた直線の閾値 (5-11 §04)と、リンクの族を先に積分した後の周辺測度についての閾値 (5-11 §07)です。どちらも Bakry–Émery の判定法から出ます。Shen–Zhu–Zhu は ()を条件にします。こちらは 't Hooft の規約で、 です(5-01 §05)。
直線の閾値はこの換算とちょうど同じ値で、比は 1.000 です。同じ判定法を同じ数え方で使った既知の値の再導出で、判定は一致です(表 4 の行 14)。
積分後の閾値 は の 倍で、 で書けば 48 に対して 14.7、 で 3.82 に対して 1.17 です 計算。ただしこれは格子全体の測度ではなく、族を積分した後の周辺測度についての閾値で、同じ量の閾値は一次資料に見当たりません。判定は比べられないです(行 15)。3.27 は同じ判定法の中で定数が動いた倍率で、強結合の範囲を広げたという主張ではありません(5-11 §07 の但し書き)。Lean で閉じているのは Hesse 形式の下界までで、判定法から質量ギャップへの段は紙の概略です(10-07 §07)。数値計算でよく使う とは 9 倍(積分後)・30 倍(直線)離れ、どちらの閾値も相関長が格子間隔の数倍に満たない側の話です。
規約の対応 — β・tr・格子の計量・時間
Lean の定理の中の規約は 10-07 §08 で翻訳しました。ここでは上の照合で効いた換算だけを並べます。
| 量 | 記録の中 | 本書 | 照合への効き方 |
|---|---|---|---|
| 、 | で同じ。(§07) | ||
| 段の式の傾き | で測ると 、 に依らない 計算 | ||
| tr と角度 | 、 | 。 は定数 4 倍で、冪の H には効かない | |
| 場の正規化 | は正規化を名指す | (5) の 。帯の仮定の成否を変える(10-03 §02) | |
| 格子の計量 | 長さは格子単位、 | 、 は で決める | §02 の不一致はこの二つの のずれ |
| 時間 | 連続時間の Langevin | は連続時間でだけ等号 | HMC の時間とは別の量(§06) |
tr と角度の行の 4 倍を一行で出します。 なので で、Dirichlet 形は勾配の二乗の平均なので 、つまり です。分散は座標の取り方に依らないので、 から が出ます。定数倍なので、 が とともにどう伸びるかの冪(H)には効きません。
例。格子の計量の行で §02 を言い直します。段の式は を 段と数えます。一次資料の は同じ区間で 1.97 倍、つまり 0.98 段縮みます。二つの の比が一定に落ち着くことが鎖 (iii)(10-03 §05)の中身で、この区間ではまだ一定ではありません。
一表にまとめる — 十九行の照合
§02〜§07 を一表にします。比は「記録の側 ÷ 既存の側」で、比べられない行は空けます。
| # | 量 | 記録の側 | 既存の側 | 比 | 判定 | 条件・注 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | κ(窓の模型) | 0.371521 | 0.371511 | 1.00003 | 一致 | 一ループ模型の中 |
| 2 | 二ループの指数 | 51/121 | b₁/(2b₀²) | 1 | 一致 | 有理数の算術 |
| 3 | 格子の傾き/一ループ | 0.304(2) | 0.3715 | 0.819 | 不一致 | β≤2.60、漸近スケーリング前 |
| 4 | 格子の傾き/二ループ | 0.304(2) | 0.3972 | 0.766 | 不一致 | 二ループはずれを広げる |
| 5 | δ(b) の c₂ | 0.0197・0.4200 | — | 比べられない | Symanzik・MCRG と変数が違う | |
| 6 | m/√σ(p=2)/LT | 3.844(43) | 3.844(61) | 1.000 | 条件つきの一致 | 同じ数表・p=2 を選ぶ |
| 7 | m/√σ(p=1)/LT | 4.053(73) | 3.844(61) | 1.054 | 条件つきの一致 | χ² で p を選べない |
| 8 | m/√σ(p=2)/AT | 3.844(43) | 3.781(23) | 1.017 | 条件つきの一致 | 合成誤差の 1.3 倍 |
| 9 | 上界 β=2.40(APE) | 1.025(140) | 0.953(19) | 1.076 | 一致 | 空間の一辺が同じ 12(L√σ≈3.2) |
| 10 | 上界 β=2.55(APE) | 0.531(50) | 0.586(10) | 0.906 | 条件つきの一致 | −1.1σ。12³×24(L√σ≈1.9)と 20⁴ |
| 11 | 上界 β=2.60(APE) | 0.558(51) | 0.514(8) | 1.086 | 条件つきの一致 | 12³×24(L√σ≈1.6)と 24⁴ |
| 12 | 上界 β=2.60(流れ) | 0.501(71) | 0.514(8) | 0.975 | 条件つきの一致 | 12⁴(L√σ≈1.6)と 24⁴ |
| 13 | 比 m(2.40)/m(2.60) | 1.837(302) | 1.854 | 0.991 | 条件つきの一致 | β=2.60 は L√σ≈1.6 の小さな箱 |
| 14 | 直線の閾値/SZZ | 1/12(5-11 §04) | 1/48(β=4β_SZZ で換算) | 1.000 | 一致 | 既知の再導出 |
| 15 | 一リンク積分後の閾値 | √(2/27)=0.2722 | — | 比べられない | 周辺測度の閾値。同じ判定法の中で定数が 3.27 倍動く。範囲を広げた主張ではない | |
| 16 | 自由場の C_P | C_P^(A)=ξ²・4C_P(時刻 0)² | ガウス測度・基底状態変換 | 1 | 一致 | 計算し直し |
| 17 | Langevin の τ_int/ξ² | 0.5〜1.4 | — | 比べられない | ゼロ温度で連続極限に向かう同じ量の一次資料は、探した範囲で見当たらない(有限温度の臨界点での SU(2) の動的指数の研究は在るが、相関長が別物) | |
| 18 | 確率時間の極 | 13/6・−11/3 | Baulieu–Zwanziger | 1 | 一致 | 独立な一次資料は一つ |
| 19 | 指数 s | −9/22 | g₀^{9/11}(Lüscher–Schaefer 式 (1.1)) | 1 | 条件つきの一致 | 一ループの主対数と H が条件。独立な確かめではない |
数えると、一致 6・条件つきの一致 8・不一致 2・比べられない 3 です(行 3 と 4 は同じ不一致の二つの読み)。一致の行は、既知の値の計算し直しか、記録の測定が一次資料と同じ大きさの箱で値を再現したものです。条件つきの行の条件は、外挿の冪・小さな箱・一ループの主対数のどれかです。不一致は §02 の一件で、理由は分かっています。比べられない三行(・一リンク積分後の閾値・Langevin の )は、記録が取りこぼしの総和可能性・強結合の側の方法・仮定 H に最も近づいた数で、そこにだけ照合の相手がありません。
計算この図の数値はこの端末で計算した(表 4 の比と、誤差を独立として伝播させて求めた幅)。JavaScript が無効なら表 4 が中身です。
例。図 2 で行 6・7・8 を続けて見ると、同じ の比が外挿の冪と一次資料の選び方だけで 1.00 から 1.05 まで動きます。数の照合で「一致」と言えるのは、条件を書き添えたときだけです。何が足りないかは 10-11 定理までの距離。
この章が言えている範囲
| 言えている | 言えていない |
|---|---|
| 既知、二ループの指数 51/121、Rayleigh–Ritz による上界の向き、自由場の 、直線の閾値 と Shen–Zhu–Zhu の換算。一致の行はこれらの計算し直しか、同じ大きさの箱での一次資料の値の再現。 | これらを記録の成果として数えること。 |
| 計算表 1〜4・図 1・図 2:格子の数表の実効的な傾き、 を変えた外挿、上界の差、規約の換算。 | 誤差は独立とみなした目安。外挿の冪 をデータから選ぶこと。 |
| 物理 の格子は裸の結合の漸近スケーリングにまだ届いていない(傾きは一ループの 8 割)。 の連続値は を前提にした外挿。 | 極限が在ること。 で傾きが に近づくこと(漸近自由からの期待で、格子の測度の定理ではない)。 |
| 比べられない三行には、探した範囲で照合できる一次資料の数が見当たらない。 | それらの数の正誤。仮定 H・鎖 (iii)・取りこぼしの総和可能性の真偽。質量ギャップ・連続極限について、この章は何も示さない。 |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| の ・・連続値 3.844(61) | 物理 | B. Lucini, M. Teper, JHEP 0106 (2001) 050, arXiv:hep-lat/0103027(本文の表 1・表 5、§3、§5 の式 (10)〜(11) の前後を確認) |
| の 〜2.75 のスケーリングの破れ | 物理 | J. Fingberg, U. M. Heller, F. Karsch, Nucl. Phys. B 392 (1993) 493, arXiv:hep-lat/9208012(要旨を確認) |
| の | 物理 | A. Athenodorou, M. Teper, JHEP 12 (2021) 082, arXiv:2106.00364(要旨を確認。値は 5-08 の照合による) |
| 一ループ・二ループの係数 | 既知 | Gross–Wilczek, PRL 30 (1973) 1343;Politzer, PRL 30 (1973) 1346;Caswell, PRL 33 (1974) 244;Jones, Nucl. Phys. B 75 (1974) 531(書誌のみ。4-06 の出典表による) |
| 強結合の条件 | 既知 | H. Shen, R. Zhu, X. Zhu, Commun. Math. Phys., doi:10.1007/s00220-022-04609-1, arXiv:2204.12737(要旨を確認) |
| 位相電荷の有効指数・HMC と Langevin の予想 | 物理 | S. Schaefer, R. Sommer, F. Virotta, Nucl. Phys. B 845 (2011) 93, arXiv:1009.5228;M. Lüscher, S. Schaefer, JHEP 07 (2011) 036, arXiv:1105.4749(後者の「HMC は Langevin の普遍類」の一文は本文を確認。ほかは 10-03・10-06 の照合による) |
| 確率時間の繰り込み・ | 既知・物理 | L. Baulieu, D. Zwanziger, Nucl. Phys. B 581 (2000) 604, arXiv:hep-th/9909006(要旨を確認);M. Lüscher, S. Schaefer, JHEP 04 (2011) 104, arXiv:1103.1810(§1 の式 (1.1)、Baulieu–Zwanziger を引く。本文を確認) |
| 有限温度の臨界点での の動的指数 | 物理 | K. Okano, L. Schülke, B. Zheng, Phys. Rev. D 57 (1998) 1411, arXiv:cond-mat/9705221(要旨を確認。2+1 次元) |
| 記録の数( の窓・・上界・・閾値・極) | 記録 | この端末の記録を一次資料と突き合わせて条件を直した整理(10-02・10-03・10-05・10-06・5-11) |
| 表 1〜4・図 1・図 2 | 計算 | この端末の Python 3(NumPy):reconcile.py(傾きと誤差の伝播・(2)・〜4 の重み付き最小二乗・上界の差・箱の ・閾値と正規化の換算・51/121・表 4 の比と誤差の伝播=図 2 の幅)。1 秒未満 |
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