computo ergo sum

2026-10-09 · chapter ヤン–ミルズと質量ギャップ第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む命題 4.5・条件 (H1)〜(H4)・依存グラフ · Kiichi, Shiori and Rin

この本の全体 目次と読む順
  1. 第 0 部 入口 — この本の読み方
  2. 0-01 この本の読み方
  3. 0-02 一枚の絵
  4. 0-03 問題文を一語ずつ読む
  5. 0-04 数学の四次元と物理の四次元
  6. 第 1 部 数学の準備
  7. 1-01 ベクトル空間と線形写像
  8. 1-02 群とは何か
  9. 1-03 リー群とリー環
  10. 1-04 SU(2) と SU(3)
  11. 1-05 多様体と接空間
  12. 1-06 微分形式と外微分
  13. 1-07 ベクトル束と接続
  14. 1-08 確率と測度
  15. 1-09 無限次元の確率
  16. 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
  17. 1-11 フーリエ解析と分布
  18. 1-12 寄り道:四次元でだけ起きること
  19. 第 2 部 物理の準備
  20. 2-01 ラグランジアンと作用
  21. 2-02 場という考え
  22. 2-03 電磁気学はゲージ理論である
  23. 2-04 特殊相対論と時空
  24. 2-05 量子力学の骨
  25. 2-06 調和振動子と生成消滅
  26. 2-07 経路積分の考え方
  27. 2-08 統計力学と相転移
  28. 2-09 寄り道:イジング模型で見るギャップと相関長
  29. 2-10 緩和の時間と動的指数 z
  30. 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
  31. 3-01 ゲージ原理
  32. 3-02 非可換ゲージ場
  33. 3-03 作用と方程式
  34. 3-04 幾何としてのゲージ理論
  35. 3-05 インスタントンと位相
  36. 3-06 寄り道:Donaldson とエキゾチック R⁴
  37. 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
  38. 第 4 部 量子化
  39. 4-01 正準量子化とハミルトニアン
  40. 4-02 経路積分とユークリッド化
  41. 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
  42. 4-04 発散と繰り込み
  43. 4-05 発散の代数
  44. 4-06 漸近自由
  45. 4-07 次元転移と Λ
  46. 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
  47. 4-09 場の量子論の公理
  48. 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
  49. 4-11 質量ギャップの定義
  50. 4-12 寄り道:摂動級数は発散する
  51. 第 5 部 格子ゲージ理論
  52. 5-01 Wilson の格子
  53. 5-02 強結合展開
  54. 5-03 反射正値性と転送行列
  55. 5-04 無限体積極限とクラスター展開
  56. 5-05 弱結合と連続極限
  57. 5-06 U(1) と非可換の違い
  58. 5-07 モンテカルロ法
  59. 5-08 グルーボールと弦張力の測定
  60. 5-09 何を固定して極限を取るか
  61. 5-10 有限群の格子ゲージ理論
  62. 5-11 寄り道:Bakry–Émery と一リンク積分
  63. 第 6 部 構成的場の理論
  64. 6-01 構成的場の理論とは
  65. 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
  66. 6-03 スカラー場の構成
  67. 6-04 クラスター展開
  68. 6-05 繰り込み群の段の列
  69. 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
  70. 6-07 四次元
  71. 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
  72. 6-09 確率量子化と正則性構造
  73. 6-10 四次元で止まる場所
  74. 6-11 発散以外の障害
  75. 6-12 寄り道:「1/0 に記号を与えれば」
  76. 第 7 部 物理の側から
  77. 7-01 物理はどう見ているか
  78. 7-02 閉じ込めの機構
  79. 7-03 弦の絵
  80. 7-04 大 N
  81. 7-05 ひも理論と余剰次元
  82. 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
  83. 7-07 ゲージ場はどこから来るか
  84. 7-08 ホログラフィー
  85. 7-09 質量ギャップが幾何になる
  86. 7-10 四次元に戻す
  87. 7-11 超対称と Seiberg–Witten
  88. 7-12 等価原理に当たる一文
  89. 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
  90. 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
  91. 8-01 辞書の読み方
  92. 8-02 辞書 A
  93. 8-03 辞書 B
  94. 8-04 辞書 C
  95. 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
  96. 第 9 部 現在地と課題
  97. 9-01 世界はどこまで来ているか
  98. 9-02 二つの掘り方の切れ目
  99. 9-03 新しい概念の候補
  100. 9-04 課題の一覧
  101. 9-05 よくある誤解
  102. 第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む
  103. 10-00 入口 — 階段と、酔歩・物差し・時計
  104. 10-01 構成の筋と仮定 H
  105. 10-02 四次元格子で試した道と壁
  106. 10-03 階段の四段 — なぜ 0+1 次元から始めるか
  107. 10-04 二重井戸の経路の測度とキンク
  108. 10-05 一段目の言明 — 四条件と命題 4.5
  109. 10-06 (H1) 相の中の局所 Poincaré
  110. 10-07 (H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目
  111. 10-08 計算機援用とは何か — 窓の中の鎖の条件
  112. 10-09 区画の枠組みと道筋 5 の三本の筋
  113. 10-10 迂回策の一覧 — 壊れ方の型
  114. 10-11 (H3)(H4) と芯の定数
  115. 10-12 統合表と依存グラフ
  116. 10-13 Lean の言明と機械検査の限界
  117. 10-14 突き合わせ — 記録の数と既知の数
  118. 10-15 残件と費用 — 定理までの距離
  119. 10-16 主張しないこと
  120. 10-17 ひらめきと小さな問い
  121. 第 11 部 今後の考察 — 仮定 H の先と、別の見方
  122. 11-00 今後の考察 — 入口
  123. 11-01 H を妨げる一つの形 — ほぼ保存される大域の量
  124. 11-02 物差しと座標を選び直す — 保存が壊れる長さ
  125. 11-03 区画の H と局所の H
  126. 11-04 片側の橋はどの H を要るか
  127. 11-05 時間を連続にする — Hamiltonian 格子と真空の測度
  128. 11-06 凸性の代わりに稀さで払う — 群の上の繰り込みと対数 Sobolev
  129. 11-07 四次元だからこそ — 無次元の結合と位相
  130. 11-08 問いと、主張しないこと
  131. 11-A1 第 11 部の記号の対応表
  132. 付録
  133. A-01 記号表
  134. A-02 用語集
  135. A-03 文献案内
  136. A-04 Lean と機械検査
  137. A-05 この本の作り方
  138. A-06 仮定の索引

一段目の言明 — 四条件と命題 4.5

この章で分かること — 二重井戸の経路の測度の上の側 CP≤Kξ2S0/ℏC_P\le K\xi^2S_0/\hbar を、四つの条件 (H1)〜(H4) に割ります。条件 (H3) で無限に長い経路を長さ CξC\xi の箱に帰着させ、条件 (H4) で箱の中の隙間を押さえ、条件 (H1)(H2) は箱の中の速い部分として (H4) の中に入ります。その上で R=CP/ξ2R=C_P/\xi^2 が 1≤R≤K′/ℏ1\le R\le K'/\hbar に挟まれ、冪の H が従うまでを、段ごとに「何を使うか・どの分類か」を添えて一本の筋で述べます。章の終わりに、命題 4.5 の段を五分類の表と依存グラフにまとめます。

前提となる章 — 10-03 §05(冪の H と命題 4.5 の形)・10-04(経路の測度・キンク・命題 L)・1-10 §07〜§09(Poincaré 不等式)・10-00 §01(五分類の札)。

先に言うこと — 水準は〔三〕です。命題 4.5 は四つの条件の上の代数で、四つの条件はどれも仮定の行を残しています。この章は一段目が閉じたことを述べる章ではなく、何を示せば閉じるかを名指す章です。この部は仮定 H を取っ掛かりとして選んだ検討で、四条件への割り方もその中の一つの組み立て方です。別の視点は第 11 部で扱います。

この章の順序
  1. 分散の分割 — 二つの谷に割る代数と、それだけでは長い経路に足りない理由
  2. 示せた部分 — 分割の代数・凸な芯・縮約した台地・キンクの拡散係数
  3. 四つの条件の言明 — 何の測度の・何の定数が・何に一様か
  4. 命題 4.5 を一本の筋で — 箱への帰着 → 箱の中 → CP≤Kξ2S0/ℏC_P\le K\xi^2S_0/\hbar → R≤K′/ℏR\le K'/\hbar → 冪の H
  5. 既知の定理との距離 — 届く所と届かない所(表 1)
  6. 五分類の表 — 命題 4.5 の段の行(表 2)
  7. 依存グラフ — 番号で円が無いことを確かめる
  8. 揃う ℏ\hbar と四条件の現在地 — 10-06〜10-12 への案内

01

分散の分割 — 二つの谷に割る代数

設定は 10-04 §01 のとおりです。格子 ε=12\varepsilon=\tfrac12、作用 SlatS_{\rm lat}、測度 μ∝e−Slat/ℏ\mu\propto e^{-S_{\rm lat}/\hbar}、Dirichlet 形 E(f)=(ℏ/ε)∑iE∣∂if∣2\mathcal E(f)=(\hbar/\varepsilon)\sum_i\mathbb E|\partial_if|^2、CP=sup⁡fVar⁡(f)/E(f)C_P=\sup_f\operatorname{Var}(f)/\mathcal E(f)、キンクの拡散係数 D=ℏ/S0D=\hbar/S_0、S0=2/3S_0=2/3 です。T→∞T\to\infty を先に取り、そのあとで ℏ→0\hbar\to0 とします。

上の側を組む最初の道具は、測度を二つの部分に割る代数です。配位の空間を二つに分け(例えば経路を均した値の符号で)、μ=Z+μ++Z−μ−\mu=Z_+\mu_++Z_-\mu_-(Z±≥0Z_\pm\ge0・Z++Z−=1Z_++Z_-=1、μ±\mu_\pm は各部分に制限して規格化した測度)と書くと、どの ff についても

Var⁡μf=Z+Var⁡μ+f+Z−Var⁡μ−f+Z+Z−(Eμ+f−Eμ−f)2(1)\operatorname{Var}_\mu f=Z_+\operatorname{Var}_{\mu_+}f+Z_-\operatorname{Var}_{\mu_-}f+Z_+Z_-\bigl(\mathbb E_{\mu_+}f-\mathbb E_{\mu_-}f\bigr)^2 \tag{1}

が成り立ちます 初(混合の分散の恒等式。m±=Eμ±fm_\pm=\mathbb E_{\mu_\pm}f、m=Z+m++Z−m−m=Z_+m_++Z_-m_- と置いて Eμ(f−m)2\mathbb E_\mu(f-m)^2 を各部分で f−m±f-m_\pm と m±−mm_\pm-m に分け、Z+(m+−m)2+Z−(m−−m)2=Z+Z−(m+−m−)2Z_+(m_+-m)^2+Z_-(m_--m)^2=Z_+Z_-(m_+-m_-)^2 を使う)。

右辺の三つの項に、それぞれ次の不等式があるとします。

Var⁡μ±f≤Cloc E±(f),(Eμ+f−Eμ−f)2≤Cmd E(f),Z+E+(f)+Z−E−(f)≤E(f)(2)\operatorname{Var}_{\mu_\pm}f\le C_{\rm loc}\,\mathcal E_\pm(f),\qquad \bigl(\mathbb E_{\mu_+}f-\mathbb E_{\mu_-}f\bigr)^2\le C_{\rm md}\,\mathcal E(f),\qquad Z_+\mathcal E_+(f)+Z_-\mathcal E_-(f)\le\mathcal E(f) \tag{2}

一つ目は谷の中の局所 Poincaré、二つ目は谷と谷の平均の差を Dirichlet 形で押さえる「平均差の輸送」、三つ目は形の加法です。Z+Z−≤14Z_+Z_-\le\tfrac14 なので

CP ≤ Cloc+Cmd4(3)C_P\ \le\ C_{\rm loc}+\frac{C_{\rm md}}{4} \tag{3}

です 初 Leansplit_poincare_le(仮定:Z++Z−=1Z_++Z_-=1・Z±≥0Z_\pm\ge0・分割の式 (1)・二つの局所 Poincaré・平均差・形の加法・定数が非負)。分割の式 (1) は Menz–Schlichting の補題 2.4 と同じ形です 典(有限次元の Eyring–Kramers の Poincaré 版の骨組み)。

(3) の二つの定数のうち、ClocC_{\rm loc} が後で条件 (H1) になり、CmdC_{\rm md} が条件 (H2) になります。ところが (3) をそのまま長い経路に当てることはできません。

長い経路では一つの粗い変数では足りない。(1) は「遅い変数を一つ(谷のどちらにいるか)取り、残りは速い」という割り方です。経路が相関長より十分長い(T≫ξT\gg\xi)と、キンクの密度の長い波の揺らぎが連続な帯を作り、谷を一つ固定した条件つきの測度の Poincaré 定数は ξ2/D\xi^2/D と同じ大きさのまま残ります(10-04 §05 の Glauber の帯)。つまり ClocC_{\rm loc} が O(1)O(1) になりません。そこで、遅い変数を体積に比例する数だけ取る代わりに、問題を長さ CξC\xi の箱に切り分けます。これが条件 (H3)(箱への帰着)と (H4)(箱の中の隙間)で、(H1)(H2) は箱の中で使われます(§04)。

02

示せた部分 — 分割の代数・凸な芯・縮約した台地・拡散係数

上の側の組み立てのうち、仮定の行を持たずに言える部分を先に並べます。

(a) 分割の代数。(1)〜(3) は §01 のとおりです 初。

(b) 凸な芯。谷の奥の凸な領域 {xi≥a ∀i}\{x_i\ge a\ \forall i\}(a>1/3a\gt1/\sqrt3)に制限した測度は、作用の Hessian が εκa\varepsilon\kappa_a(κa=(3a2−1)/2\kappa_a=(3a^2-1)/2)以上なので、凸な領域の Bakry–Émery で CP≤2/(3a2−1)C_P\le2/(3a^2-1) が長さ・ℏ\hbar・境界に一様に出ます 初(曲率の下界)典(凸な領域の Bakry–Émery、Kolesnikov–Milman の定理 1.2)。証明と Lean の言明は 10-04 §06 にあります。ただし芯の外への小旅行はキンクより作用が小さく、長さ ξ\xi の区間には指数で多く入るので、凸な芯だけでは (H1) は出ません。

(c) 縮約した台地の二状態の値。短い環(T≪ξT\ll\xi)では、谷を移る道はキンクの対一組で、対の間隔 ℓ\ell が遅い一つの座標になります。ℓ\ell だけを残した一次元の模型(ℓ\ell は拡散係数 2D2D で動き、両端に谷の原子、間に台地の重み π(ℓ)\pi(\ell))では、平均差を Cauchy–Schwarz の不等式で押さえ、ℓ\ell の両端の値の差を ∫f′(ℓ) dℓ\int f'(\ell)\,d\ell と書いて

(f(右の谷)−f(左の谷))2 ≤ ∫dℓπ(ℓ)⋅∫π(ℓ) f′(ℓ)2 dℓ(4)\bigl(f(\text{右の谷})-f(\text{左の谷})\bigr)^2\ \le\ \int\frac{d\ell}{\pi(\ell)}\cdot\int\pi(\ell)\,f'(\ell)^2\,d\ell \tag{4}

から Cmd/4=J/(4D)C_{\rm md}/4=J/(4D) の形の値が出て、等号は符号の試験関数でほぼ達します 初((4) は Cauchy–Schwarz の不等式)Leanreduced_two_state_value(仮定:0<T0\lt T・0<D0\lt D・J=4ξ2I/TJ=4\xi^2I/T、II は台地の重みの積分)。縮約した模型そのもの(ℓ\ell 以外を捨ててよいこと)は模型の仮定で、この値は「縮約した模型の上の値」です 仮。

(d) キンクの拡散係数。一本のキンクの位置は拡散係数 D=ℏ/S0D=\hbar/S_0 で動きます。これは単一の界面の過程の水準では既知の定理の係数の写しです 典(10-04 §03 の (9))。経路全体の隙間の文ではありません。

この四つで尽きます。残る部分、すなわち谷の中の局所 Poincaré が長さと ℏ\hbar に一様なこと、平らな鞍点の族に沿う輸送が次元に一様なこと、長い経路を箱に帰着させること、箱の中の隙間は、既知の定理の仮定の外にあります(§05)。これを四つの条件として名指します。

03

四つの条件の言明 — 何の測度の・何の定数が・何に一様か

四つの条件を、測度・定数・一様性の三つを明示して書きます。どれも 0+1 次元の二重井戸 V=(x2−1)2/8V=(x^2-1)^2/8、格子 ε=12\varepsilon=\tfrac12、Dirichlet 形 E\mathcal E の上の文です。「一様」は、ℏ∈(0,ℏ0]\hbar\in(0,\hbar_0] のある ℏ0>0\hbar_0\gt0 について、定数が ℏ\hbar に依らない(ℏ→0\hbar\to0 で増えない)ことを言います。

条件 (H1) 相の中の局所 Poincaré

測度:キンクの無い相の測度。経路が一つの谷の側にとどまる配位、例えば全てのサイトで xi≥0x_i\ge0 の配位に制限した測度 μ(+)=μ(⋅∣xi≥0 ∀i)\mu^{(+)}=\mu(\cdot\mid x_i\ge0\ \forall i)(壁 xi=0x_i=0 では反射)。定数:μ(+)\mu^{(+)} の Poincaré 定数 ClocC_{\rm loc}、すなわち Var⁡μ(+)f≤Cloc E(f)\operatorname{Var}_{\mu^{(+)}}f\le C_{\rm loc}\,\mathcal E(f)。一様性:Cloc=O(1)C_{\rm loc}=O(1) が ℏ\hbar と経路の長さに一様。箱の中で使うときは、端の値を持つ切れ端(長さ ≤Cξ\le C\xi)の版 (H1seg) が要り、端の値にも一様であること。

条件 (H2) 平らな鞍点の族に沿う輸送

測度:キンクと反キンクの対の族(対の中心 XX と間隔 ℓ\ell を径数とし、作用がほとんど平らな鞍点の族)の周りの管に入る配位の条件つきの測度。定数:その族に沿って谷から谷へ移る平均差の輸送の定数((2) の CmdC_{\rm md} の型)と、管の中の Poincaré 定数。一様性:経路のサイトの数(次元)と ℏ\hbar に一様。箱の中で使うときは、管の長さ ≤Cξ\le C\xi に一様な管の Poincaré (H2tube) と、管の中の芯(頂上の近くにとどまる区間)の Poincaré が芯の長さ kk に一様なこと (T0′P) の二つの行になる。

条件 (H3) 箱の力学への帰着

測度:T=∞T=\infty の格子の直線 Z\mathbb Z の上の測度 μ\mu と、長さ LL サイト(Lε=CξL\varepsilon=C\xi)の箱 BB の両隣の値 (a,b)∈R2(a,b)\in\mathbb R^2 を固定した条件つきの測度 μBa,b\mu_B^{a,b}。定数:Cbox(L):=sup⁡a,b∈RCP(μBa,b)C_{\rm box}(L):=\sup_{a,b\in\mathbb R}C_P(\mu_B^{a,b}) と、箱の間の混合の定数 cMc_M。言明:CP(μ)≤Cbox(L)/cMC_P(\mu)\le C_{\rm box}(L)/c_M。一様性:cMc_M は ξ\xi を単位とした長さ(CC と箱の重なりの割合)だけに依り、ℏ\hbar と境界の値に依らない。

条件 (H4) 箱の中の隙間

測度:長さ CξC\xi の箱の条件つきの測度 μBa,b\mu_B^{a,b}。箱の中のキンクの数は平均で O(1)O(1)(キンクの密度は 1/(2ξ)1/(2\xi) なので期待値は C/2C/2)。定数:隙間 1/CP(μBa,b)1/C_P(\mu_B^{a,b})。言明:1/CP(μBa,b)≥c D/(Cξ)21/C_P(\mu_B^{a,b})\ge c\,D/(C\xi)^2、すなわち Cbox≤K4(Cξ)2/DC_{\rm box}\le K_4(C\xi)^2/D(K4=1/cK_4=1/c)。一様性:cc は ℏ\hbar と境界の値 (a,b)(a,b) の全てに一様(CC には依ってよい)。

四つは同じ重さの条件ではありません。(H3) は「長い経路の問題を箱の問題に移す」段、(H4) は「箱の中を遅い変数(キンクの配置)と速い変数に割る」段で、(H1)(H2) はその速い変数の側の文です。(H1)(H2) が (H4) の中に入る場所を、次の節で一本の筋にします。

正確には、条件の名の (H1)〜(H4) は、仮定 H(冪の文、10-01 §05)とは別のものです。仮定 H は結論の側の文で、(H1)〜(H4) はそれを一段目で導くために置いた条件です(10-03 §05)。

04

命題 4.5 を一本の筋で

命題 4.5(条件つき)

0+1 次元の二重井戸の経路の測度(格子 ε=12\varepsilon=\tfrac12・T→∞T\to\infty を先に取る)で、条件 (H1)〜(H4) と、下の段 0 の前提の行を仮定する。このとき ℏ→0\hbar\to0 で

CP ≤ K ξ2 S0ℏ=K ξ2D(K は条件の定数だけに依り ℏ に依らない)(5)C_P\ \le\ K\,\xi^2\,\frac{S_0}{\hbar}=K\,\frac{\xi^2}{D}\qquad(K\ \text{は条件の定数だけに依り}\ \hbar\ \text{に依らない}) \tag{5}

が成り立ち、したがって 1≤R=CP/ξ2≤KS0/ℏ1\le R=C_P/\xi^2\le KS_0/\hbar で、冪の H ln⁡CP/ln⁡ξ→2\ln C_P/\ln\xi\to2 が従う。

(5) は 10-04 §05 の (15)、10-03 §05 の (3) と同じ式です。以下、段ごとに「何を使うか」と分類を添えます。

段 0 前提の行

T=∞T=\infty の測度 μ\mu が一つに決まること(転送作用素の積分核が正であることからの主固有値の単純さ)仮(R\mathbb R の上の正の核の版の原典は確かめていない。10-04 §01 と同じ行)。有限の環の CP(T)C_P(T) と T=∞T=\infty の測度の CPC_P の関係(極限の段)と、以下の段で使う関数の正則性(条件つきの測度・キンクの座標の滑らかさ)仮。この三つは命題 4.5 の外に置いた前提で、統合表(10-12)でも仮定の行として数えます。

段 1 箱への帰着 — 条件 (H3) を命題 H3 の形で

直線 Z\mathbb Z を長さ LL サイトの箱で覆います。隣どうしの箱は ll サイト重なり(l≤L/3l\le L/3)、箱を交互に偶の族 EE と奇の族 OO に分けます。GE\mathcal G_E を偶の族の外のサイトの値が生成する σ\sigma-代数、GO\mathcal G_O を同様に置き、二つの σ\sigma-代数の最大相関を

calt:=sup⁡{corr⁡μ(F,G): F∈L2(GE), G∈L2(GO)}(6)c_{\rm alt}:=\sup\bigl\{\operatorname{corr}_\mu(F,G):\ F\in L^2(\mathcal G_E),\ G\in L^2(\mathcal G_O)\bigr\} \tag{6}

とします。

補題 TP(二つの射影)。c=c(G1,G2)<1c=c(\mathcal G_1,\mathcal G_2)\lt1 なら、全ての f∈L2(μ)f\in L^2(\mu) で Var⁡f≤(1−c)−1(EVar⁡(f∣G1)+EVar⁡(f∣G2))\operatorname{Var}f\le(1-c)^{-1}\bigl(\mathbb E\operatorname{Var}(f\mid\mathcal G_1)+\mathbb E\operatorname{Var}(f\mid\mathcal G_2)\bigr)。

初 証明。f~=f−Ef\tilde f=f-\mathbb Ef、ai=E[f∣Gi]−Efa_i=\mathbb E[f\mid\mathcal G_i]-\mathbb Ef と置きます。s:=∥a1∥2+∥a2∥2=⟨f~,a1+a2⟩≤∥f~∥ ∥a1+a2∥s:=\|a_1\|^2+\|a_2\|^2=\langle\tilde f,a_1+a_2\rangle\le\|\tilde f\|\,\|a_1+a_2\|、一方 ∥a1+a2∥2≤s+2c∥a1∥∥a2∥≤(1+c)s\|a_1+a_2\|^2\le s+2c\|a_1\|\|a_2\|\le(1+c)s。よって s≤(1+c)∥f~∥2s\le(1+c)\|\tilde f\|^2 で、EVar⁡(f∣Gi)=∥f~∥2−∥ai∥2\mathbb E\operatorname{Var}(f\mid\mathcal G_i)=\|\tilde f\|^2-\|a_i\|^2 を足すと (1−c)∥f~∥2(1-c)\|\tilde f\|^2 以上です。∎ Leantwo_proj_var(仮定:A+B≤(1+c)VA+B\le(1+c)V。射影の幾何は Lean の外)。

箱の積。偶の箱どうしは L−2l≥1L-2l\ge1 サイト離れているので、最近接の相互作用の Markov 性により GE\mathcal G_E の下で互いに独立です。独立な成分の関数の分散は成分ごとの条件つきの分散の和以下(Efron–Stein の型)なので

EVar⁡(f∣GE) ≤ Cbox(L)∑B∈EEB(f)(7)\mathbb E\operatorname{Var}(f\mid\mathcal G_E)\ \le\ C_{\rm box}(L)\sum_{B\in E}\mathcal E_B(f) \tag{7}

です 初(Markov 性と、独立な積の分散の不等式。証明は 10-11 に置く)。奇の族も同じです。各サイトは偶の族に高々一度・奇の族に高々一度入り、両方に入るのは重なりだけです。

ずらしの平均。箱の並びを ll ずつ n=⌊(L−l)/l⌋n=\lfloor(L-l)/l\rfloor 通りずらすと、どのずらしも同じ caltc_{\rm alt} を持ち、重なりのサイトはずらしの間で互いに素です。補題 TP と (7) を各ずらしに当てて平均すると

CP(μ) ≤ (1+1n)Cbox(L)1−calt(8)C_P(\mu)\ \le\ \Bigl(1+\frac1n\Bigr)\frac{C_{\rm box}(L)}{1-c_{\rm alt}} \tag{8}

です 初 Leanbox_two_family・box_shift_average(仮定:各ずらしで二族の不等式・Cbox≥0C_{\rm box}\ge0・重なりの形の和が E\mathcal E 以下)。これが命題 H3 で、(H3) の cMc_M は (1−calt)/(1+1/n)(1-c_{\rm alt})/(1+1/n) に当たります。この段は Poincaré 不等式だけを使い、対数 Sobolev 不等式を使いません。

(8) に残る仮定の行は一つ、交互の最大相関 calt<1c_{\rm alt}\lt1 が ℏ\hbar に一様なことです(行 (MIXalt))。値は C=2C=2・重なり θ=l/L=14\theta=l/L=\tfrac14 で calt≈0.73c_{\rm alt}\approx0.73 と読まれます 読(二状態の電信の鎖の閉じた式の値を写した族の値。上界の証明ではない)。箱の帰着の型は、離散のスピンの Glauber 力学の箱の力学(Martinelli の講義の命題 3.4・3.5)と同じ形です 典(離散のスピン・全変動の結合の形。ここでは一次元・L2L^2・最大相関の形に書き直した)。

段 2 箱の中 — 条件 (H4) を命題 H4 の形で、(H1)(H2) の入る場所

箱 BB(Lε=CξL\varepsilon=C\xi)と境界の値 (a,b)(a,b) を止めます。箱の中の遅い変数を YY=キンクの配置(キンクの数と、キンクの多様体への射影で定めた各キンクの位置)とします。分散を YY で分けると

Var⁡f=EVar⁡(f∣Y)+Var⁡(E[f∣Y])(9)\operatorname{Var}f=\mathbb E\operatorname{Var}(f\mid Y)+\operatorname{Var}\bigl(\mathbb E[f\mid Y]\bigr) \tag{9}

です 初(条件つき期待値の恒等式)。

第一項=速い側。ここに (H1) と (H2) が入る。YY を止めた条件つきの測度は、最近接の Markov 性で、次の部分の積に分かれます。(i) キンクとキンクの間の、キンクの無い相の切れ端(長さ ≤Cξ\le C\xi、両端の値つき)。(ii) 各キンク・キンクの対の周りの管と、その中の芯(頂上の近くにとどまる区間)。積の測度の Poincaré 定数は成分の定数の最大なので(独立な積の分散の不等式)、

EVar⁡(f∣Y) ≤ Cloc E(f),Cloc=max⁡(C(H1seg), C(H2tube), C(T0P′))(10)\mathbb E\operatorname{Var}(f\mid Y)\ \le\ C_{\rm loc}\,\mathcal E(f),\qquad C_{\rm loc}=\max\bigl(C_{\rm (H1^{seg})},\ C_{\rm (H2^{tube})},\ C_{\rm (T0'_P)}\bigr) \tag{10}

です 初(積の測度の Poincaré 定数は成分の定数の最大。積に分かれることは YY の定め方に依り、その正則性は段 0 の行に含める)。(i) の定数が条件 (H1) の切れ端の版、(ii) の定数が条件 (H2) の管と芯の行です 仮(三つとも仮定の行)。

第二項=遅い側。ここに鞍点の族に沿う縦の輸送が入る。E[f∣Y]\mathbb E[f\mid Y] は YY だけの関数で、その揺らぎはキンクの位置の拡散と、キンクの対の生成・消滅で緩和します。YY の上の Dirichlet 形 EY\mathcal E_Y は、キンク一本あたりの移動度が D=ℏ/S0D=\hbar/S_0 の形です(行 (Mob):射影の式、10-04 §03)。ここで二つの行を置きます。

(KG) の ckgc_{\rm kg} は、固定した端の Glauber の箱の隙間の閉じた式 (1−γ)+γ(1−cos⁡(π/(L+1)))(1-\gamma)+\gamma(1-\cos(\pi/(L+1))) を連続の極限で読んだ

Dξ2+π2DLτ2=(C2+π2)D(Cξ)2(Lτ=Cξ)(11)\frac{D}{\xi^2}+\frac{\pi^2D}{L_\tau^2}=\bigl(C^2+\pi^2\bigr)\frac{D}{(C\xi)^2}\qquad(L_\tau=C\xi) \tag{11}

から ckg=C2+π2c_{\rm kg}=C^2+\pi^2 です 初((11) の代数)Leankg_constant(仮定:Cξ≠0C\xi\ne0)。第一項の D/ξ2D/\xi^2 が対の生成と消滅、第二項がキンクの位置の拡散です。境界の値が頂上の近くにあると箱の端に半分のキンクが座れ(自由端に当たる)、その場合を含む sup⁡\sup では ckg=cff(C)c_{\rm kg}=c_{\rm ff}(C)、C=2C=2 で 7.177.17 と読まれます 読(一次元 Ising の自由端の箱の隙間を格子の値で求めた族の値)。

(9)(10) と (KG)(X) を合わせると

Cbox ≤ Cloc+(1+χ) Ckg ≤ K4 (Cξ)2D,K4=1+χckg(1−ηKG)+Cloc D(Cξ)2(12)C_{\rm box}\ \le\ C_{\rm loc}+(1+\chi)\,C_{\rm kg}\ \le\ K_4\,\frac{(C\xi)^2}{D},\qquad K_4=\frac{1+\chi}{c_{\rm kg}(1-\eta_{\rm KG})}+C_{\rm loc}\,\frac{D}{(C\xi)^2} \tag{12}

です 初 LeanH4_two_scale(仮定:分解 (9) の不等式・第一項 ≤ClocE\le C_{\rm loc}\mathcal E・(KG) ≤CkgEY\le C_{\rm kg}\mathcal E_Y・(X)・Ckg≥0C_{\rm kg}\ge0)・H4_gap_form(仮定:D>0D\gt0・Cξ≠0C\xi\ne0・ckg>0c_{\rm kg}\gt0・ηKG<1\eta_{\rm KG}\lt1・1+χ≥01+\chi\ge0・上の二つの不等式)。これが命題 H4 です。

K4K_4 の第二項は ClocC_{\rm loc} に D/(Cξ)2D/(C\xi)^2 を掛けたもので、D/ξ2=ℏ/(S0ξ2)D/\xi^2=\hbar/(S_0\xi^2) は三つの ℏ\hbar で e−441.6/e−1328.6/e−4433.1e^{-441.6}/e^{-1328.6}/e^{-4433.1}(ℏ=3⋅10−3/10−3/3⋅10−4\hbar=3\cdot10^{-3}/10^{-3}/3\cdot10^{-4})の大きさです 読(10-04 §07 の表 2)。ClocC_{\rm loc} が ℏ\hbar について指数で増えない限り、この項は ℏ→0\hbar\to0 で消えます。(H1) が Cloc=O(1)C_{\rm loc}=O(1) を要求するのは、この意味では余裕のある要求です。

(H2) の行き先の注。§01 の二つの谷の割り方では、(H2) は平均差の定数 CmdC_{\rm md} そのものでした。箱の割り方では、鞍点の族に沿う向き(キンクの位置)を遅い変数 YY に取ったので、その向きの輸送は第二項の (KG) と (X) が受け持ち、(H2) に残るのは YY を止めた管と芯の Poincaré です。この本では、管と芯の行を (H2) の行、(KG)(X) を (H4) の行として数えます(統合表 10-12 と同じ数え方)。

段 3 合成 — CP≤Kξ2S0/ℏC_P\le K\xi^2S_0/\hbar

(8) の CboxC_{\rm box} に (12) を入れ、Lε=CξL\varepsilon=C\xi と D=ℏ/S0D=\hbar/S_0 を使うと

CP(μ) ≤ K ξ2 S0ℏ,K=(1+1n)C2K41−calt(13)C_P(\mu)\ \le\ K\,\xi^2\,\frac{S_0}{\hbar},\qquad K=\Bigl(1+\frac1n\Bigr)\frac{C^2K_4}{1-c_{\rm alt}} \tag{13}

です 初 LeanH3_H4_compose(仮定:命題 H3 の結論 (8)・命題 H4 の結論 Cbox≤K4(Cξ)2/DC_{\rm box}\le K_4(C\xi)^2/D・D=ℏ/S0D=\hbar/S_0・n>0n\gt0・ℏ>0\hbar\gt0・S0>0S_0\gt0・calt<1c_{\rm alt}\lt1)。KK が ℏ\hbar に依らないことは、caltc_{\rm alt}・χ\chi・ηKG\eta_{\rm KG}・ckgc_{\rm kg}・ClocC_{\rm loc} の一様性、つまり仮定の行の中身そのものです。

縮約した模型の値(χ=ηKG=0\chi=\eta_{\rm KG}=0・n=3n=3・θ=14\theta=\tfrac14)を入れると、C=2C=2 で K≈2.76K\approx2.76(頂上の境界の値を含む sup⁡\sup)・1.431.43(端が井戸の側だけ)、C=4C=4 で K≈1.78K\approx1.78 です 読(族の値で、KK の上界ではない)LeanK_ff_C2・K_ff_C4(仮定:測った cffc_{\rm ff} と caltc_{\rm alt} の値。算術だけ)。三つの ℏ\hbar で同じ値なのは、縮約した模型に ℏ\hbar が入らないからです。

段 4 比 RR を挟む — 1≤R≤K′/ℏ1\le R\le K'/\hbar

(13) を ξ2\xi^2 で割ると、R=CP/ξ2≤KS0/ℏ=:K′/ℏR=C_P/\xi^2\le KS_0/\hbar=:K'/\hbar です 初(割り算)。下からは命題 L(10-04 §04)で R≥1R\ge1 です 初(連続の時間・T→∞T\to\infty。証明は 10-04 に置いた)。合わせて

1 ≤ R ≤ K′ℏ,K′=KS0(14)1\ \le\ R\ \le\ \frac{K'}{\hbar},\qquad K'=KS_0 \tag{14}

です。命題 L は条件を使わない下界で、(14) の左の不等号は (H1)〜(H4) に依りません。

段 5 冪の H — ln⁡CP/ln⁡ξ→2\ln C_P/\ln\xi\to2

ln⁡CP/ln⁡ξ=2+ln⁡R/ln⁡ξ\ln C_P/\ln\xi=2+\ln R/\ln\xi で、(14) から 0≤ln⁡R≤ln⁡K′+ln⁡(1/ℏ)0\le\ln R\le\ln K'+\ln(1/\hbar) です。残る入力は物差しの伸び方 ln⁡ξ≥s/ℏ\ln\xi\ge s/\hbar(ある s>0s\gt0 と小さい ℏ\hbar)で、これは ξ∝ℏ1/2eS0/ℏ\xi\propto\hbar^{1/2}e^{S_0/\hbar} から来ます。連続の模型の半古典の主項は既知の式の写しで 典、格子の模型では ln⁡ξ−S0lat/ℏ−12ln⁡ℏ\ln\xi-S_0^{\rm lat}/\hbar-\tfrac12\ln\hbar が三つの ℏ\hbar で −0.774/−0.777/−0.778-0.774/-0.777/-0.778 と一定に寄る読みです 読(10-04 §07)。この入力の上で

0 ≤ ln⁡Rln⁡ξ ≤ ℏ(ln⁡K′+ln⁡(1/ℏ))s ⟶ 0(ℏ→0)(15)0\ \le\ \frac{\ln R}{\ln\xi}\ \le\ \frac{\hbar\bigl(\ln K'+\ln(1/\hbar)\bigr)}{s}\ \longrightarrow\ 0\qquad(\hbar\to0) \tag{15}

となり、冪の H が従います 初 Leanpower_H_of_kink_ratio(仮定:0<K0\lt K・0<s0\lt s・0<δ0\lt\delta、0<ℏ<δ0\lt\hbar\lt\delta で 1≤R≤K/ℏ1\le R\le K/\hbar と s/ℏ≤ln⁡ξs/\hbar\le\ln\xi。Lean の KK は本文の K′K')。

一本の筋の確かめ

段 1〜5 を一行に縮めると

(H1seg), (H2tube), (T0P′)⏟Cloc → (9)(10), (KG), (X)  Cbox≤K4(Cξ)2D⏟命題 H4 → 命題 H3, (MIXalt)  CP≤Kξ2S0ℏ → 命題 L  1≤R≤K′ℏ → ln⁡ξ≥s/ℏ  冪の H(16)\underbrace{\mathrm{(H1^{seg})},\ \mathrm{(H2^{tube})},\ \mathrm{(T0'_P)}}_{C_{\rm loc}}\ \xrightarrow{\ (9)(10),\ \mathrm{(KG)},\ \mathrm{(X)}\ }\ \underbrace{C_{\rm box}\le K_4\tfrac{(C\xi)^2}{D}}_{\text{命題 H4}}\ \xrightarrow{\ \text{命題 H3},\ \mathrm{(MIX_{alt})}\ }\ C_P\le K\tfrac{\xi^2S_0}{\hbar}\ \xrightarrow{\ \text{命題 L}\ }\ 1\le R\le\tfrac{K'}{\hbar}\ \xrightarrow{\ \ln\xi\ge s/\hbar\ }\ \text{冪の H} \tag{16}

です。矢印の上に書いた入力のうち、仮定の行は (H1seg)・(H2tube)・(T0′P)・(KG)・(X)・(MIXalt) と段 0 の前提で、残りは初等の代数か既知の定理か読みです。

仮定の行の言明が結論の量を含んでいないことも、ここで確かめておきます。結論の量は T=∞T=\infty の測度全体の CP(μ)C_P(\mu) と比 RR で、(H1seg)・(H2tube)・(T0′P) は切れ端・管・芯の測度の定数、(KG) は縮約した気体の定数、(X) は形の比較、(MIXalt) は相関の量で、どれも CP(μ)C_P(\mu) や RR を含みません。結論を前提に置く形(依存の円)は、この段の組み方には現れません(確かめ方は 10-13)。

正確には、命題 4.5 の結論は「Langevin 力学の緩和の時間 CPC_P が ξ2\xi^2 の冪で伸びる」という一段目の文です。CPC_P は転送作用素の隙間(トンネル分裂)とは別の量で、命題 4.5 の全ての行が揃っても、二段目以後の文は従いません(10-01 §08・10-03 §06)。

05

既知の定理との距離

命題 4.5 の上界 (5) を与える既知の定理は、探した範囲では見当たりません。近い定理がどこまで届き、どこで止まるかを表 1 にまとめます。

表 1 既知の定理が届く所と届かない所(分類は定理を引く行の分類)
既知の定理届く所届かない所分類
Eyring–Kramers の Poincaré 版(Bovier–Gayrard–Klein・Menz–Schlichting の補題 2.4、定理 2.9・2.12)次元を止めた Morse 関数で、分散の分割・局所 Poincaré・平均差の輸送から隙間の漸近と前因子まで定数が次元に一様でない。キンクの平行移動のような退化した鞍点の族は仮定の外典
区間を止めた確率的 Allen–Cahn 方程式の Eyring–Kramers(Di Gesù–Le Peutrec・Brooks–Di Gesù)区間の長さを分岐の閾の手前に止めた隙間の漸近区間の長さを無限にする体制と平行移動の族は、著者自身が本文で範囲の外と明記典
短い経路の遷移の時間(Berglund–Gentz の定理 2.6)T<2π2T\lt2\pi\sqrt2(一様な鞍点)で谷を移る平均の時間長い経路(T≫ξT\gg\xi)典
単一の界面の拡散(Bertini–Brassesco–Buttà の定理 2.1)キンク一本の位置が拡散係数 DD の Brown 運動に近づくこと(過程の水準)経路全体のスペクトルの隙間の文ではない典
体積に一様な判定法(Bauerschmidt–Dagallier の定理 2.1)経路の格子にそのまま当たり、体積に一様な上界を与える値は CP≤ecξC_P\le e^{c\xi}、c≈1.4→1.8c\approx1.4\to1.8(ε=0.25\varepsilon=0.25・ℏ=0.4→0.1\hbar=0.4\to0.1)で、ℏ\hbar について二重指数。冪の H に届かない典(定理)読(値)
箱の力学(Martinelli の講義の命題 3.4・3.5)離散のスピンで、全体の隙間を箱の力学と箱の中の隙間で押さえる型非有界なスピン・境界の値の sup⁡\sup。段 1 は型だけを借り、一次元・L2L^2 の形に書き直した典(型)

表 1 の最後の三行が示すように、既知の道具は「一本のキンク」と「体積に一様だが粗い上界」の両端にあり、その間(長い経路の上で、キンクの気体の拡散の時間 ξ2/D\xi^2/D まで鋭い上界)が命題 4.5 の場所です。Bauerschmidt–Dagallier の上界が ecξe^{c\xi} になるのは、判定法が感受率という一つの量だけを見るため、遅いが局所的な緩和と遅く大域的な緩和を区別できず、指数の中に ξ\xi が入るからと読まれます 読。

06

五分類の表 — 命題 4.5 の段の行

§04 の段を、五分類の書式(10-00 §01)で一表にします。分類は一行に一つで、機械検査の欄は分類の外です。行の記号は §07 の依存グラフの節点の番号と対応します。

表 2 命題 4.5 の段の行(ℏ\hbar の範囲の「—」は、どの ℏ\hbar でも示されていない仮定の行)
行言明(一行)分類根拠ℏ\hbar の範囲機械検査
P0T=∞T=\infty の測度の一意性・極限の段・正則性仮§04 段 0(R\mathbb R の上の正の核の主固有値の原典は未確認)——
H1s(H1seg) キンクの無い切れ端の Poincaré が長さ・端の値・ℏ\hbar に一様仮§03・§04 段 2 の (10)。環の版の節点の命題は 10-06——
H2t(H2tube) 管の Poincaré が長さ ≤Cξ\le C\xi に一様仮§03・(10)——
T0P(T0′P) 芯の Poincaré が芯の長さに一様仮§03・(10)。窓の下の端の仮定つきの命題は 10-09・10-11——
KG(KG) 縮約したキンクの気体の箱の隙間 ≥ckg(1−ηKG)D/(Cξ)2\ge c_{\rm kg}(1-\eta_{\rm KG})D/(C\xi)^2仮§04 段 2(Glauber の型に入る仮定)——
X(X) 交差項 EY(E[f∣Y])≤(1+χ)E(f)\mathcal E_Y(\mathbb E[f\mid Y])\le(1+\chi)\mathcal E(f)仮§04 段 2——
MIX(MIXalt) calt<1c_{\rm alt}\lt1 が ℏ\hbar に一様仮§04 段 1——
Mobキンク一本の移動度 D=ℏ/S0D=\hbar/S_0典§02 (d)・10-04 §03(過程の水準の定理の係数の写し)ℏ→0\hbar\to0—
TP補題 TP(二つの射影)初§04 段 1 の証明ℏ\hbar に依らないtwo_proj_var(仮定:A+B≤(1+c)VA+B\le(1+c)V)
ES偶の箱の条件つき独立と積の分散の不等式 (7)初§04 段 1(証明は 10-11)ℏ\hbar に依らない—
H3命題 H3:(8) CP≤(1+1/n)Cbox/(1−calt)C_P\le(1+1/n)C_{\rm box}/(1-c_{\rm alt})初§04 段 1(TP・ES・ずらしの平均)ℏ\hbar に依らないbox_two_family・box_shift_average(仮定:二族の不等式・Cbox≥0C_{\rm box}\ge0・重なりの和 ≤E\le\mathcal E)
DEC分散の分解 (9) と積への分解 (10)初§04 段 2(積への分解は YY の定め方に依り、正則性は P0)ℏ\hbar に依らない—
KGcckg=C2+π2c_{\rm kg}=C^2+\pi^2((11) の代数)初§04 段 2(Glauber の閉じた式は (KG) の中)ℏ\hbar に依らないkg_constant(仮定:Cξ≠0C\xi\ne0)
H4命題 H4:(12) Cbox≤K4(Cξ)2/DC_{\rm box}\le K_4(C\xi)^2/D初§04 段 2ℏ\hbar に依らないH4_two_scale・H4_gap_form(仮定は §04 段 2 の各行)
P45命題 4.5:(13) CP≤Kξ2S0/ℏC_P\le K\xi^2S_0/\hbar初§04 段 3ℏ→0\hbar\to0H3_H4_compose(仮定:(8)・(12)・D=ℏ/S0D=\hbar/S_0・n,ℏ,S0>0n,\hbar,S_0\gt0・calt<1c_{\rm alt}\lt1)
KvK≈2.76/1.43K\approx2.76/1.43(C=2C=2)・1.781.78(C=4C=4)読§04 段 3(縮約した模型・χ=ηKG=0\chi=\eta_{\rm KG}=0・族の値)ℏ\hbar に依らないK_ff_C2・K_ff_C4(仮定:測った値。算術だけ)
L命題 L:R≥1R\ge1初10-04 §04全ての ℏ\hbarlocal_rayleigh_ratio_le_one(有限和の骨だけ。仮定は 10-04 の表 3)
Rb(14) 1≤R≤K′/ℏ1\le R\le K'/\hbar初§04 段 4ℏ→0\hbar\to0—
Xiln⁡ξ≥s/ℏ\ln\xi\ge s/\hbar(ξ∝ℏ1/2eS0/ℏ\xi\propto\hbar^{1/2}e^{S_0/\hbar})読§04 段 5(連続の主項は典、格子の模型の値は読)三点で読み・ℏ→0\hbar\to0 は主項から—
PH冪の H:ln⁡CP/ln⁡ξ→2\ln C_P/\ln\xi\to2初§04 段 5 の (15)ℏ→0\hbar\to0power_H_of_kink_ratio(仮定:0<K,s,δ0\lt K,s,\delta・1≤R≤K/ℏ1\le R\le K/\hbar・s/ℏ≤ln⁡ξs/\hbar\le\ln\xi)

表 2 の「初」の行は、どれも仮定の行を入力にとる代数です。「初」の行が並んでいることは、命題 4.5 の結論が示されていることを意味しません。結論が無条件になるのは、全ての「仮」の行と、「読」の行(Xi)が置き換わったときだけです。

07

依存グラフ — 番号で円が無いことを確かめる

表 2 の行を、番号つきの節点の一覧にします。書式はこの部で共通で(10-12 の統合のグラフも同じ)、「⟸」の右に並ぶ前提の番号は、左の結論の番号より必ず小さく置きます。葉(仮定・既知・読み)が小さい番号、結論が最大の番号です。

[01] 仮 P0        T=∞ の測度の一意性・極限の段・正則性          ħ:—
[02] 仮 (H1seg)   キンクの無い切れ端の Poincaré                  ħ:—
[03] 仮 (H2tube)  管の Poincaré(長さ ≤ Cξ)                     ħ:—
[04] 仮 (T0'P)    芯の Poincaré(芯の長さに一様)                ħ:—
[05] 仮 (KG)      縮約したキンクの気体の箱の隙間                 ħ:—
[06] 仮 (X)       交差項 ℰ_Y ≤ (1+χ)ℰ                            ħ:—
[07] 仮 (MIXalt)  交互の最大相関 c_alt < 1                        ħ:—
[08] 典 Mob       キンク一本の移動度 D = ħ/S₀                    ħ→0
[09] 読 Xi        ln ξ ≥ s/ħ(ξ ∝ ħ^½ e^(S₀/ħ))                  三点・主項
[10] 初 TP        二つの射影の補題                               ħ に依らない
                  Lean two_proj_var(仮定:A+B ≤ (1+c)V)
[11] 初 ES        偶の箱の条件つき独立と積の分散 (7) ⟸ [01]       ħ に依らない
[12] 初 DEC       分散の分解 (9)・積への分解 (10) ⟸ [01]          ħ に依らない
[13] 初 KGc       c_kg = C²+π²((11) の代数)                     ħ に依らない
                  Lean kg_constant(仮定:Cξ ≠ 0)
[14] 初 命題 H3   (8) ⟸ [07][10][11]                              ħ に依らない
                  Lean box_two_family・box_shift_average(仮定:二族の不等式・C_box ≥ 0・重なりの和 ≤ ℰ)
[15] 初 命題 H4   (12) ⟸ [02][03][04][05][06][08][12][13]         ħ に依らない
                  Lean H4_two_scale・H4_gap_form(仮定:分解・C_loc・(KG)・(X)・D > 0・η < 1 ほか)
[16] 初 命題 4.5  (13) C_P ≤ Kξ²S₀/ħ ⟸ [08][14][15]               ħ→0
                  Lean H3_H4_compose(仮定:(8)・(12)・D = ħ/S₀・n, ħ, S₀ > 0・c_alt < 1)
[17] 初 命題 L    R ≥ 1 ⟸ [01]                                    全ての ħ
                  Lean local_rayleigh_ratio_le_one(有限和の骨だけ)
[18] 初 (14)      1 ≤ R ≤ K'/ħ ⟸ [16][17]                         ħ→0
[19] 初 冪の H    ln C_P / ln ξ → 2 ⟸ [09][18]                     ħ→0
                  Lean power_H_of_kink_ratio(仮定:0 < K, s, δ・1 ≤ R ≤ K/ħ・s/ħ ≤ ln ξ)

確かめ方。全ての「⟸」の行で、右の番号が左の番号より小さいことを目で見ます。[11] と [12] は [01] だけ、[14] は [07][10][11]、[15] は [02]〜[06][08][12][13]、[16] は [08][14][15]、[17] は [01]、[18] は [16][17]、[19] は [09][18] で、どの行も規則を守っています。規則が守られていれば、前提をたどると必ず番号が下がり、いずれ葉に着くので、円はありません。

葉のうち「仮」は [01]〜[07] の七つ、「典」は [08]、「読」は [09] です。命題 4.5 の結論 [16] は [01]〜[08] の全てに依り([11][12] を通して [01] にも)、冪の H [19] はさらに [09] に依ります。命題 L [17] だけは [01] にしか依らず、(H1)〜(H4) を使いません。

正確には、このグラフは命題 4.5 の段の組み立ての依存で、各仮定の行の中身(例えば [02] を節点の上で支える命題 H1)は入れていません。それらは各条件の章のグラフにあり、全てを一つに繋いだものが 10-12 の統合のグラフです。

08

揃う ℏ\hbar と四条件の現在地

全ての行が揃う ℏ\hbar は無い。条件 (H1) の節点の命題は ℏ≥0.005\hbar\ge0.005 の六点、芯の行を支える仮定つきの命題は ℏ≤10−3\hbar\le10^{-3} の桁の窓の下の端にあって交わらず、(KG)・(X)・(H2tube) はどの ℏ\hbar でも仮定の行です。帯の図と揃え方は 10-12 に置きます。

四つの条件の現在地を一行ずつ並べます。詳細は各章です。

四条件の現在地
  1. 条件 (H1) — 環の版の命題 H1:六つの節点 ℏ∈{0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005}\hbar\in\{0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005\}・隣と端 [0,2.5][0,2.5] で余白 ≥0.067\ge0.067(計算機援用)。節点の間・ℏ<0.005\hbar\lt0.005・端 >2.5\gt2.5・切れ端の版が残る(10-06)
  2. 条件 (H2) — 七つの道筋に割った地図。窓の外の鎖の条件は窓 [3⋅10−4,3⋅10−3][3\cdot10^{-4},3\cdot10^{-3}] の全体で計算機援用、区画の枠組みは五段が命題、残る一命題は三本の筋が頂上の一サイトの曲率の不足 14\tfrac14 で止まる(10-07〜10-10)
  3. 条件 (H3) — 命題 H3(§04 段 1)。(MIXalt) と境界の値の sup⁡\sup が残る(10-11)
  4. 条件 (H4) — 命題 H4(§04 段 2)。(X)・(KG)・(H1seg)・芯の行が残り、芯の定数は三段で押さえる(10-11)

この部は仮定 H を取っ掛かりとして選んだ検討で、命題 4.5 は一段目の上の側を組む一つの割り方です。別の視点は第 11 部で扱います。


この章が言えている範囲

言えている言えていない
初 分散の分割の代数 (3)、補題 TP、命題 H3 (8)、命題 H4 (12)、合成 (13)、比の挟み (14)、冪の H への代数 (15)。どれも名指した仮定の行の上の代数 Lean(仮定は表 2 の各行)仮定の行 [01]〜[07] のどれも。したがって (5) そのものと、一段目の冪の H
初 命題 L:R≥1R\ge1(条件を使わない)RR が 1/ℏ1/\hbar で伸びるか指数で伸びるか
典 キンク一本の拡散係数、既知の定理の届く範囲(表 1)長い経路の上でキンクの気体の拡散の時間まで鋭い上界を与える既知の定理(探した範囲で見当たらない、まで)
読 K≈2.76K\approx2.76 ほか(縮約した模型)、calt≈0.73c_{\rm alt}\approx0.73、ln⁡ξ\ln\xi の伸び方これらを上界・下界の証明に使うこと
依存グラフに円が無いこと(番号の規則)全ての行が揃う ℏ\hbar。一段目から二段目以後への含意

出典と再現

もの種別出典・道具
分散の分割・Eyring–Kramers の Poincaré 版の骨組み典G. Menz, A. Schlichting, Ann. Probab. 42 (2014), arXiv:1202.1510(補題 2.4・定理 2.9・2.12、本文で確認)。A. Bovier, V. Gayrard, M. Klein, J. Eur. Math. Soc. 7 (2005) 69–99(書誌)。
凸な領域の Bakry–Émery典D. Bakry, M. Émery, LNM 1123 (1985);A. V. Kolesnikov, E. Milman, J. Geom. Anal. 27 (2017), arXiv:1310.2526(定理 1.2、本文で確認)。
区間を止めた Eyring–Kramers典G. Di Gesù, D. Le Peutrec, arXiv:1506.04434(定理 1.1);M. Brooks, G. Di Gesù, arXiv:2606.16083(範囲の外の明記、本文で確認)。
短い経路の遷移の時間・単一の界面の拡散典10-04 の出典表(Berglund–Gentz、Bertini–Brassesco–Buttà)。
体積に一様な判定法典・読R. Bauerschmidt, B. Dagallier, Comm. Pure Appl. Math. 77, arXiv:2202.02295(定理 2.1、本文で確認)。経路の格子への当てはめと ecξe^{c\xi} の値は記録の浮動小数の計算(転送行列・ε=0.25\varepsilon=0.25・調和の陽性対照で 1.0049)。
箱の力学の型典F. Martinelli, LNM 1717 (1999) 93–191(予稿の §3.6・命題 3.4・3.5 で確認)。
二つの射影の補題・Efron–Stein の型初本文 §04 段 1(Friedrichs の角・Efron–Stein の原典は書誌だけ)。
Glauber 力学の箱の隙間の閉じた式・自由端の値仮・読R. J. Glauber, J. Math. Phys. 4 (1963) 294(書誌だけ)。固定の端の式は小さな鎖の全状態の対角化と 6 桁で一致、自由端は格子の値(浮動小数)。
交互の最大相関の値読二状態の電信の鎖の閉じた式の値を写した族の値(浮動小数)。
段の代数初・Lean定理 split_poincare_le・reduced_two_state_value・two_proj_var・box_two_family・box_shift_average・kg_constant・H4_two_scale・H4_gap_form・H3_H4_compose・K_ff_C2・K_ff_C4・power_H_of_kink_ratio(仮定は表 2 と本文の各行)。言明の一覧は 10-13。

この章で使った語 — 分散の分割・局所 Poincaré・平均差の輸送・条件 (H1)〜(H4)・命題 4.5・相(キンクの無い相)・切れ端・管・芯・箱の力学(箱への帰着)・最大相関・交互の最大相関・二つの射影の補題・Efron–Stein の不等式・縮約したキンクの気体・交差項・依存グラフ。意味は A-02 用語集 にあります。

次に読む章:10-06 (H1) 相の中の局所 Poincaré — キンクの無い相の測度の Poincaré 定数を、残したサイトと橋の二尺度の組み立てで六つの ℏ\hbar の節点の命題にし、節点の間を埋める方法と費用を述べる。

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改訂 2026-10-09:初版。