この本の全体 目次と読む順
- 第 0 部 入口 — この本の読み方
- 0-01 この本の読み方
- 0-02 一枚の絵
- 0-03 問題文を一語ずつ読む
- 0-04 数学の四次元と物理の四次元
- 第 1 部 数学の準備
- 1-01 ベクトル空間と線形写像
- 1-02 群とは何か
- 1-03 リー群とリー環
- 1-04 SU(2) と SU(3)
- 1-05 多様体と接空間
- 1-06 微分形式と外微分
- 1-07 ベクトル束と接続
- 1-08 確率と測度
- 1-09 無限次元の確率
- 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
- 1-11 フーリエ解析と分布
- 1-12 寄り道:四次元でだけ起きること
- 第 2 部 物理の準備
- 2-01 ラグランジアンと作用
- 2-02 場という考え
- 2-03 電磁気学はゲージ理論である
- 2-04 特殊相対論と時空
- 2-05 量子力学の骨
- 2-06 調和振動子と生成消滅
- 2-07 経路積分の考え方
- 2-08 統計力学と相転移
- 2-09 寄り道:イジング模型で見るギャップと相関長
- 2-10 緩和の時間と動的指数 z
- 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
- 3-01 ゲージ原理
- 3-02 非可換ゲージ場
- 3-03 作用と方程式
- 3-04 幾何としてのゲージ理論
- 3-05 インスタントンと位相
- 3-06 寄り道:Donaldson とエキゾチック R⁴
- 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
- 第 4 部 量子化
- 4-01 正準量子化とハミルトニアン
- 4-02 経路積分とユークリッド化
- 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
- 4-04 発散と繰り込み
- 4-05 発散の代数
- 4-06 漸近自由
- 4-07 次元転移と Λ
- 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
- 4-09 場の量子論の公理
- 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
- 4-11 質量ギャップの定義
- 4-12 寄り道:摂動級数は発散する
- 第 5 部 格子ゲージ理論
- 5-01 Wilson の格子
- 5-02 強結合展開
- 5-03 反射正値性と転送行列
- 5-04 無限体積極限とクラスター展開
- 5-05 弱結合と連続極限
- 5-06 U(1) と非可換の違い
- 5-07 モンテカルロ法
- 5-08 グルーボールと弦張力の測定
- 5-09 何を固定して極限を取るか
- 5-10 有限群の格子ゲージ理論
- 5-11 寄り道:Bakry–Émery と一リンク積分
- 第 6 部 構成的場の理論
- 6-01 構成的場の理論とは
- 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
- 6-03 スカラー場の構成
- 6-04 クラスター展開
- 6-05 繰り込み群の段の列
- 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
- 6-07 四次元
- 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
- 6-09 確率量子化と正則性構造
- 6-10 四次元で止まる場所
- 6-11 発散以外の障害
- 6-12 寄り道:「1/0 に記号を与えれば」
- 第 7 部 物理の側から
- 7-01 物理はどう見ているか
- 7-02 閉じ込めの機構
- 7-03 弦の絵
- 7-04 大 N
- 7-05 ひも理論と余剰次元
- 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
- 7-07 ゲージ場はどこから来るか
- 7-08 ホログラフィー
- 7-09 質量ギャップが幾何になる
- 7-10 四次元に戻す
- 7-11 超対称と Seiberg–Witten
- 7-12 等価原理に当たる一文
- 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
- 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
- 8-01 辞書の読み方
- 8-02 辞書 A
- 8-03 辞書 B
- 8-04 辞書 C
- 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
- 第 9 部 現在地と課題
- 9-01 世界はどこまで来ているか
- 9-02 二つの掘り方の切れ目
- 9-03 新しい概念の候補
- 9-04 課題の一覧
- 9-05 よくある誤解
- 第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む
- 10-00 入口 — 階段と、酔歩・物差し・時計
- 10-01 構成の筋と仮定 H
- 10-02 四次元格子で試した道と壁
- 10-03 階段の四段 — なぜ 0+1 次元から始めるか
- 10-04 二重井戸の経路の測度とキンク
- 10-05 一段目の言明 — 四条件と命題 4.5
- 10-06 (H1) 相の中の局所 Poincaré
- 10-07 (H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目
- 10-08 計算機援用とは何か — 窓の中の鎖の条件
- 10-09 区画の枠組みと道筋 5 の三本の筋
- 10-10 迂回策の一覧 — 壊れ方の型
- 10-11 (H3)(H4) と芯の定数
- 10-12 統合表と依存グラフ
- 10-13 Lean の言明と機械検査の限界
- 10-14 突き合わせ — 記録の数と既知の数
- 10-15 残件と費用 — 定理までの距離
- 10-16 主張しないこと
- 10-17 ひらめきと小さな問い
- 第 11 部 今後の考察 — 仮定 H の先と、別の見方
- 11-00 今後の考察 — 入口
- 11-01 H を妨げる一つの形 — ほぼ保存される大域の量
- 11-02 物差しと座標を選び直す — 保存が壊れる長さ
- 11-03 区画の H と局所の H
- 11-04 片側の橋はどの H を要るか
- 11-05 時間を連続にする — Hamiltonian 格子と真空の測度
- 11-06 凸性の代わりに稀さで払う — 群の上の繰り込みと対数 Sobolev
- 11-07 四次元だからこそ — 無次元の結合と位相
- 11-08 問いと、主張しないこと
- 11-A1 第 11 部の記号の対応表
- 付録
- A-01 記号表
- A-02 用語集
- A-03 文献案内
- A-04 Lean と機械検査
- A-05 この本の作り方
- A-06 仮定の索引
(H3)(H4) と芯の定数
この章で分かること — 一段目の命題 4.5 の段 1・段 2(10-05 §04)を、それぞれ命題 H3(箱への帰着、Poincaré 不等式だけを使う)と命題 H4(箱の中の隙間、仮定の表つき)として述べ、10-05 で「初」とした箱の積の不等式の証明を置きます。次に、命題 H4 の速い側に入る芯の定数を、芯の長さで三段に分けて押さえ(凸性・二つのブロック・箱の帰着を芯に当てる形)、最後に芯の端の値の集合をどこまで覆えているかと、頂上を越えた端で現れる双安定を作用の障壁の余裕で払う形を述べます。
前提となる章 — 10-05 §03・§04(条件 (H3)(H4) の言明と一本の筋)・10-04(経路の測度・相関長 ・キンク)・10-09 §06(頂上の一サイトの曲率)。
先に言うこと — 水準は〔研〕で、§01 だけ〔三〕で読めるように書きます。§02 以降は研究の水準の節で、飛ばして §07 の残る行の表に進んでも、この章の結論は読めます。この部は仮定 H を検討の軸に置いていて(10-01)、この章はその一段目の条件 (H3)(H4) をどこまで命題の形にできたかを述べる章です。命題 H3・H4 は仮定の行を残した命題で、条件 (H3)(H4) を示したものではありません。数は全て 0+1 次元の二重井戸 ・格子 の上の値で、三つ組は の順です。
- 要約 — 〔三〕で読める一節
- 命題 H3 — 箱への帰着(図 1・表 1)
- 箱の積の不等式の証明 — Markov 性と Efron–Stein
- 命題 H4 — 箱の中の隙間(表 2)
- 芯の定数の三段 — 命題 CORE3(表 3・表 4)
- 端の集合 — 覆えている所と、双安定の払い方
- 残る行の一覧(表 5)
- 五分類の表(表 6)
- 依存グラフ
要約
長い経路の Poincaré 定数を、長さ の箱の Poincaré 定数で押さえるのが (H3)、その箱の中の隙間を の桁で押さえるのが (H4) です。
- 命題 H3。直線を重なりのある箱で覆い、偶の箱と奇の箱に分けると、 です。使うのは二つの射影の補題・箱の積の不等式・ずらしの平均だけで、対数 Sobolev 不等式は使いません。残る仮定の行は、偶と奇の間の最大相関 が一様なことと、境界の値についての です。相関長は と読まれ、箱は頂上の台地を切りません。
- 命題 H4。箱の中をキンクの配置 で分けると、。縮約したキンクの気体を一次元 Ising の Glauber 力学と同じ型と置くと、隙間は「対の生成と消滅」と「キンクの拡散」の和 になります。残る行は交差項 (X)・気体の型 (KG)・切れ端の (H1) と、芯の定数です。
- 芯の定数の三段。芯の長さ は凸性で ( と端の値に依らない)、 は二つのブロックの補題で、 は箱の帰着を芯に当てる形で押さえます。端の値を の標本に取ると 読 です。
- 端の集合。区画の枠組みの芯は端が井戸の側だけで、穴はありません。箱の側の芯は端が頂上を越えることがあり、そこでは条件づけの壁が双安定を作りますが、その障壁 は に対して約 95 倍小さく、命題 H4 の局所の項は で消えます( の読みの上で)。
命題 H3 — 箱への帰着
設定。 の格子の直線 (刻み )の上の作用 、 の無限体積の測度 、Dirichlet 形 を取ります( の一意性と最近接の Markov 性は前提の行 P0、10-05 段 0)。箱 は サイトの区間、境界の値 は の左右の隣のサイトの値、 はそれを止めた条件つきの測度、 は のサイトだけの和で、
と置きます。二つの -代数の最大相関を とします。
補題 TP(二つの射影)。 なら、全ての で
初(証明は 10-05 段 1)Leantwo_proj_sum_le(仮定:Cauchy–Schwarz と最大相関の不等式)・two_proj_var(仮定:)。
箱の族。 サイトの箱 を、隣どうしが サイト重なるように並べ()、偶の番号の箱の族を 、奇の番号の族を とします。 は の外のサイトの値が生成する -代数、 も同じで、 です(平行移動に依らない)。
図 1 偶奇の箱とずらし(L = 8・l = 2 の例。各列の一文字が 1 サイト) サイト ....|....|....|....|....|....|....|.... 偶の族 E [ B0 ] [ B2 ] [ B4 ] 奇の族 O [ B1 ] [ B3 ] 重なり ^^ ^^ ^^ ^^ ← l サイトずつ ずらし s=1 箱の並び全体を l サイト右へ(重なりの位置が別のサイトへ移る) n = ⌊(L−l)/l⌋ 通りのずらしで、重なりのサイトは互いに素
箱の積。偶の箱どうしは サイト離れていて、次の不等式が成り立ちます(証明は §03)。
命題 H3。。 なら
初 証明。ずらし を一つ固定し、その偶奇の族を とします。(1) と、二つの族の (2) から 。箱は直線を覆い、各サイトは偶の族に高々一度・奇の族に高々一度入り、両方に入るのは重なりのサイトだけなので、括弧の中は (重なりのサイトだけの和)です。ずらし で平均すると、重なりのサイトはずらしの間で互いに素なので 、よって 。∎ Leanbox_two_family(仮定:補題 TP・各族の (2)・・)・box_shift_average(仮定:各ずらしの二族の不等式・重なりの和が 以下)。
(3) は Poincaré 不等式だけで組まれていて、対数 Sobolev 不等式を使いません。条件 (H1)(H2) は を通してだけ入ります(§04)。(H4) の と ・ を入れると、 で、命題 4.5 の形です LeanH3_with_H4・H3_H4_compose(仮定:(3)・(H4)・・・)。離散のスピンの Glauber 力学の箱の力学(Martinelli の講義の命題 3.4・3.5)と同じ型で 典、ここではそれを一次元・・最大相関の形に書き直しています。
残る仮定の行と、数
- (MIXalt): が に一様。紙の証明はありません 仮。値は、遅い部分が符号の二状態の鎖(電信の鎖)であるという読みの上で、 の箱で に 読(二状態の鎖の閉じた式の値を写した族の値)。この値は §05 の命題 G の で ・ と置いたものと一致します( で )。
- 境界の値の 。 は全ての実数の境界の値について を取ります。頂上に近い境界の値が最悪になることを §04 で見ます。
- の大きさ。転送作用素の偶奇の固有値の差を対数の領域で求めると 、 読(二つの独立な計算の経路が中くらいの で六桁一致)。つまり で、頂上の台地の長さ(交差の長さ 、10-10 型 5)との比は Lean
xi_over_ellx(仮定:測った )。長さ の箱は台地を切らず、丸ごと含みます。その代わり、箱の中の芯の定数は芯の長さに一様である必要があります(§05)。
| 模型 | 何を比べたか | 結果 |
|---|---|---|
| 純ガウス() | 右辺 と | 右辺 ()読。・ で 1 に近づく Leangauss_box_le_one |
| 一次元 Ising の熱浴 Glauber(環 12・16 サイト、結合 ) | (3) の両辺 | 9 例の全てで成立、損は 1.17〜1.35 倍 読( でも)Leanising_K1_holds(仮定:測った値) |
| 陰性対照 | () | 帰着は何も言わない Leanno_bound_when_c_one・blowup_as_c_to_one |
Glauber 力学の例では、環の隙間(帯の下端)が箱の隙間の 6 分の 1 ほどしかない場合も、その差を がちょうど担っていました。キンクの気体の帯の構造は、箱の形を壊しません。
箱の積の不等式の証明
10-05 の (7)(この章の (2))の証明を置きます。10-05 の五分類の表で行 ES を「初」としたのは、この節の証明によります。
偶の族 の箱どうしが サイト離れているとき、有限個のサイトにだけ依る滑らかな関数 について、(2) が成り立つ。
段 (a) 条件つきの独立。作用 は隣どうしの項 と一サイトの項 の和です。箱 の外の全ての値を止めると、 の条件つき密度は のうち を含む項だけで決まり、それは の中の項と、 の両端と両隣 をつなぐ二つの項です。よって条件つきの法則は で、 の外の値には両隣を通してしか依りません(最近接の Markov 性)。偶の箱どうしの間には が止めたサイトが少なくとも一つあるので、 を与えたとき、偶の箱たちの条件つき密度は箱ごとの因子の積 に分かれ、偶の箱の値 は互いに独立で、法則は積 です 初(有限の体積で密度が積に分かれることの一行。 の測度でも同じ条件つき法則を持つことは前提の行 P0)。
段 (b) 積の測度の Efron–Stein の不等式。 を の上の積の測度、、 を 番目の座標だけを動かした分散(他の座標は止める)とすると
初 証明。(・)、 と置きます。 は互いに直交するので です。座標が独立なので、 は を 番目の座標について で積分したもので、 です。さらに は を後ろの座標 について平均したもので、 は凸(半ノルムの二乗)なので、Jensen の不等式から 。期待値を取って 、 について足すと (4) です。∎
段 (c) 箱の Poincaré。段 (a) の条件つきの積に (4) を当てます(座標 を箱 の値 とする)。箱 の座標だけを動かした分散は、測度 の分散なので
です( の定義の )。
段 (d) まとめ。(4) と段 (c) から 。期待値を取ると、条件つき期待値の塔の性質で右辺の各項は になり、(2) です。 が有限個のサイトにだけ依るので、関わる箱は有限個で、 の台に触れない箱の項は です。∎
の定義域の一般の への延長(有限個のサイトに依る関数による近似)は、前提の行 P0 に含めます。奇の族も同じです。段 (b) の (4) は Efron–Stein の不等式(Efron–Stein 1981)の形で、ここでは証明を置いたので分類は「初」です。
命題 H4 — 箱の中の隙間
箱 ()と境界の値 を止め、、 とします。箱の中のキンクの数の期待値は、キンクの密度 から で です 初 Leanpair_fugacity(仮定:)。
素朴な割り方は回る。稀な集合 (例えば長い芯がある配位)で割ると、 として です 初(恒等式)。第二項は の上の定数で払えますが、第一項は が に集まれば と同じ大きさで、 の小ささは出ません。払えるのは までで、これは隙間ではなく弱い形の Poincaré 不等式です Leannaive_split_weak(代数)。稀さは分散では払えない、という 10-10 型 4 の例です。そこで割り方を、稀な集合でなく遅い変数で取ります。
遅い変数で割る。 を箱の中のキンクの配置(キンクの数と、キンクの多様体への射影で定めた各キンクの位置)として、条件つき期待値の恒等式 初
から始めます。
- 第一項(速い側)。 を止めた条件つきの測度は、最近接の Markov 性で、キンクの無い相の切れ端(長さ ・両端の値つき)と、キンクの周りの管、その中の芯の積に分かれます。積の測度の Poincaré 定数は成分の定数の最大以下((4) と各成分の Poincaré)なので、、 初(積の代数)。三つの定数は仮定の行で 仮、芯の を §05・§06 で押さえます。
- 第二項(遅い側)。 は だけの関数で、キンクの位置の拡散(移動度 、行 (Mob) 典)と、キンクの対の生成・消滅で緩和します。行 (KG):縮約したキンクの気体の箱の Poincaré 定数 仮。行 (X):交差項 仮(二尺度の不等式の交差の定数の型。この形の言明は既知の定理から引いていない)。
命題 H4。上の行の下で、全ての について
初(上の二項の和)LeanH4_two_scale(仮定:分解の不等式・第一項 ・(KG)・(X)・)・H4_gap_form(仮定:・・・・)。(5) は 10-05 (12) と同じ式です。
一次元 Ising の Glauber 力学との対照
行 (KG) の定数 を決めるのは、縮約したキンクの気体を一次元 Ising の熱浴 Glauber 力学と同じ型と置く仮定です。両端のスピンを止めた サイトの箱の隙間は、閉じた式
を持ちます 仮(原典は書誌だけ。格子の対角化で表示の 6 桁まで一致、境界の値が でも でも同じ 読)Leanglauber_split(右の等号、仮定なし)。相関長が長い極限で、第一項 は無限体積の隙間=対の生成と消滅、第二項 は長さ の区間のキンクの拡散で、Glauber の単位 で書くと 、すなわち 初(代数)Leankg_constant(仮定:)。対の項は小さな摂動ではなく、隙間の主な項の一つとして足し算で入ります。キンクの無い部分の局所の項は、隙間の下端には現れません。
境界の値が頂上の近くにあると、箱の端に半分のキンクが座れます。これは Ising の自由端に当たり、閉じた式がありません。格子の対角化で読むと、どの境界の型でも隙間は を割りませんが(比 )、自由端は固定の端より遅くなります。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 6 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 固定の端 | 10.87 | 13.87 | 18.87 | 25.87 | 45.87 |
| 自由端 (格子の値) | 2.86 | 7.17 | 12.94 | 20.32 | 39.07 |
| (二状態の鎖) | 0.915 | 0.731 | 0.550 | 0.410 | 0.234 |
| (固定の端だけ) | 1.44 | 1.43 | 1.41 | 1.40 | 1.37 |
| (頂上の境界の値を含む ) | 5.46 | 2.76 | 2.06 | 1.78 | 1.60 |
LeanK_fixed_C2・K_ff_C2・K_ff_C4(仮定:測った と 。算術だけ)。 が とともに減るので、固定の端だけなら は にほとんど依らず、頂上の境界の値を含めると を大きく取るほど良くなります。
(H4) に残る行。(X)・(KG)(Glauber の型と自由端)・(H1seg)(10-06 の命題 H1 は環の言明で、端の値を持つ切れ端の版は無い)・(H2tube)・芯の行。 の第二項 は、 が の大きさなので 読、 が より十分小さければ消えます。この余裕を §06 で芯に使います。
芯の定数の三段 — 命題 CORE3
設定。芯は、経路が頂上と井戸の間 ()にとどまるサイトの極大な区間です。この章では対称性で向きを替え、芯を と書きます(10-09 の の鏡映)。芯の測度 は、両端の外の値 を止めた を に Neumann の境界で制限したもの、Dirichlet 形は です(10-09 の の規約とは で換算)。条件 (H4) の速い側に要るのは、 が芯の長さ と端の値に一様に押さえられることです(行 (T0′P))。
段 1 :凸性(補題 BV)
芯の作用の Hessian は
で、端の値 は の一次の項にしか入らないので Hessian に現れません。 初(三重対角の固有値の閉じた式)と から、 で
です。これは 10-09 §06 で頂上の面の最小固有値として出た式と同じもので、 で正、 で負になります(、)Leankappa7_pos・kappa8_neg(仮定なし)。
補題 BV。 なら、全ての端の値 と全ての で 。
初 証明。(7) から は で一様に凸です。凸な領域(箱 )に Neumann で制限した一様に対数凹な測度は を満たし 典(凸な領域の Bakry–Émery、Kolesnikov–Milman の定理 1.2 (1) で確認)、 に直すと 。∎ Leanlemma_BV(仮定:Hessian の下界が端の値に依らず ・各点の Bakry–Émery の不等式)。
値は ()で、 にも端の値にも依りません。 で測った (・)はこの内です 読。ブロックを 7 サイト以下に刻めば、端の値の の難しさは凸性で消えます。代価は、刻んだブロックの継ぎ目の相関の側へ移ります。
段 2 :二つのブロック(補題 TB)
補題 MR(端への縮約)。鎖 が Markov なら、 について 。
初 証明。右辺 左辺は -代数の包含から。逆に を前の片の、 を後ろの片の中心化した関数とします。Markov 性から なので、・ と置くと 。∎
補題 TB。、、 とすると
初 証明。・ に補題 TP を当てます。補題 MR で 。 を与えた条件つき法則は、 の長さ の鎖(端 と )を箱に制限したもので、補題 BV から 。 も同じく と です。期待値を取って (1) に入れると、サイト の係数は で、両方が立つのは のときだけ、それは のときだけです。∎ Leantb_far・tb_adjacent(仮定:補題 TP の結論・各ブロックの BV・・)。
条件 ・・ から で、 では がありません Leantb_range・tb_none_at_15(自然数の算術)。入力は二点の最大相関 一つで、これは二サイトの同時分布を正規化した行列の第二特異値です 典(Witsenhausen・Rényi の特異値の表示、再述で確認)。格子の上の測度では、この値を転送行列の積から計算できます。
値。端を の標本に取ると、 の上界の は ・両端 で取られ 、多項式の試験関数による下界(Rayleigh–Ritz)は です 読( では補題 TB だけの は の )。 は凸性の閾のすぐ外で、 の読みでは制約つきの最小点の Hessian の最小固有値が 、 へ向かいます。 には峰があり(下界 57・上界 99)読、 について単調ではありません。
なぜ段 3 の形をここで使わないか。・両端が頂上の芯では、長さ 5 の副箱の交互の最大相関が まで上がり、段 3 の係数が 以上になります 読 Leancoeff_k8(仮定:測った )。柔らかい向き()が継ぎ目の相関を 1 に近づけるためで、二つのブロックの形は交互の相関を避けて二点の相関だけで払えます。
段 3 :箱の帰着を芯に当てる(形 (β))
芯の測度も一次元・最近接の Markov なので(積の箱への制限は Markov 性を保つ)、§02・§03 の組み立てを芯の中で字義どおりに使えます。副箱を長さ ・重なり ()に取ると、副箱(端で切られた短いものを含め全て 5 サイト以下)の定数は補題 BV で端の値に一様に なので、全ての と全ての端の値で
です 初(命題 H3 の証明を芯に写したもの)Leancore_uniform_L5(仮定:命題 H3 の結論・・測った )。 は芯の中の偶奇の副箱の間の交互の最大相関で、 で測った値は端の値(頂上を越えた負の端を含む)について 、 で 7 桁まで飽和しています 読(多項式の加法の関数と継ぎ目の二点による最大相関の下界の測り)。これを入れると です。
交互の最大相関の形(命題 G)。片の内側の相関 、継ぎ目の相関 の定常なガウスの鎖 (・・。鎖は両側に無限に続くものとします)で、偶の片と奇の片の最大相関は です。ここで
です。導き方:一様な型 ・ の一周期あたりの共分散は、Markov 性で二点の相関が途中のリンクの相関の積になることから 、分散は で、比が です 初(等比級数の和)Leangauss_mode0・one_sub_phi。この比は、ガウスの目標分布に対する二ブロックの Gibbs 標本化の収束率の枠に入ります 典。偶の片の全体と奇の片の全体を交互に引き直す Gibbs 標本化の率は、ブロック Jacobi の行列の最大固有値の二乗で(Roberts–Sahu 1997 の定理 5 と §2.4)、その最大固有値が二つの片の最大相関 です。片の長さが 1 の場合(。(10) で と置いた値 )は、その二乗が鎖の長さを無限にした極限の率として、Pitt–Shephard 1999 の定理 1 と Mider–Jenkins–Pollock–Roberts 2022 の系 2 にあります 典。一般の片の長さでの (10) の値は、数値線形代数でいう line Jacobi 反復の収束半径と同じ量です(その側の書誌は照合していません)。ガウスの鎖で最大相関が線形の正準相関に等しいことは 典(Kolmogorov–Rozanov、再述で確認)、その中で一様な型が最大であることは計算で確かめただけです 読。 なので、素朴な積 は偽です Leannaive_product_false(仮定:)。§02 の二状態の鎖の は ・ の です。
二点の量には縮まない。芯では、二点の最大相関から作るガウスの代理 が測った値と の桁で一致します 読。それでも、一般の Markov 鎖では二点の量だけで交互の最大相関を押さえる不等式はありません。三変数の鎖 :、 なら 、 なら は独立に確率 で 1、・。二値の変数の関数は一次なので二値どうしの最大相関は で、()。ところが は ()初(共分散の計算)LeanrareR_pair・rareR_joint(有理数の算術)。稀な状態を両側から挟む非線形の関数が効く例で、行 (MIXcore) の紙は、芯の条件つき法則が対数凹に近いことを使う比較の定理を要ります。
命題 CORE3 と三段の表
命題 CORE3。端の値の集合 について、、 とすると、全ての と で
初( で場合を分けて段 1〜3 を当てる)Leanthree_stage(仮定:各段の上界)。
| 段 | 道具 | 分類 | 上界 | 下界 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 補題 BV(凸性) | 初+典(凸な領域の Bakry–Émery) | ( と端に依らない) | — | |
| 2 | 補題 TB+二点の最大相関 | 初+読 | |||
| 3 | 形 (β)+交互の最大相関 | 初+読+仮(MIXcore) | ( は下界の測り) | — |
表 3 から 読 Leanthree_stage_3em4(仮定:測った段 2・段 3 の値)。上界と下界の比は です。段 2 の入力(二点の最大相関)は、行列の積と第二特異値なので区間演算に載る型ですが、格子の測度と連続の測度の差の紙の評価が要り、走らせる費用は CPU 時間の桁の見積もりです(未)。段 3 は測っているのが下界で、上界の紙がありません。
端の集合 — 覆えている所と、双安定の払い方
表 3 は端の値を の標本に取った値でした。芯は に入るサイトの極大な区間なので、その外の隣のサイトは本来 の値を取ります。どの組み立てでどの端が要るかを分けます。
区画の枠組みの芯 — 端は井戸の側だけ
区画の枠組み(10-09)の芯は、両端の値が井戸の側(この章の向きで )にあるものとして定義されています。したがって頂上を越えた端はそこには入らず 初(定義から)Leanp5_end_not_negative(仮定:)、端の集合に穴はありません。定常な鎖では、長さ の連の質量の がこの型で、 の読みの最小点は全てのサイトを壁 に押しつけた形一つです 読。
箱の側の芯 — 頂上を越えた端と、条件づけの壁
命題 H4 の速い側の芯(キンクの配置で割った後の芯)では、外の隣が頂上を越えた負の値を取りえます。そこでは の芯に の局所の最小点が二つ現れ、障壁は (端の値に依る)、・端 の の下界は と の型で増えます 読。
- 二つの最小点はどちらも条件づけの壁の上。一つは芯の区間そのままの瘤、もう一つは両端の零点が一サイトずつ内へ動いた形です。芯の区間を「ちょうどこの区間」と条件づけたので、零点が動きたい向きに壁が立ち、二つの型が競り合っています。離散のキンクの Peierls–Nabarro の障壁はこの格子では 以下で、双安定の障壁 と桁が違います 読 Lean
pn_vs_bistab(仮定:測った値)。双安定は物理の準安定ではなく、条件づけの選び方が作るものです。 - 瘤の二値で切れば繊維は戻る。頂上の近くのサイト が閾 以上か(瘤があるか)の二値 で割ると、各繊維の は補題 TB(区間の直積にも同じ証明で当たる)で上界 、下界 と、表 3 の段 2 と同じ桁に戻ります 読。
- は移るだけ。その代わり、二値 の周辺の Poincaré 定数が を受け持ち、()です 読 Lean
y_side_k9_3em4(仮定:測った値)。切っても障壁は消えず、10-10 型 7 の移しかえの形になります。芯の定数を のまま本来の端の集合に広げることは、この割り方ではできません。
作用の障壁の余裕で払う — 行 (ΔScore)
命題 H4 で芯の定数は に入り、 には の形でしか現れません((5))。 は の桁なので、芯の定数は でなくても、作用の障壁が より小さければ足ります。これを仮定の行として置きます。
行 (ΔScore)。ある ・ があって、箱の側の芯と、それを含む窓(芯・両隣・外の サイト、外の端は任意)の条件つき測度について (小さい で)仮。
読み。 の読み(停留と正定値を確かめた数値の最小点と、連絡の高さを上下から挟んだ値)で、・・外の端 の範囲の非大域の最小点の深さの は 、 との比は 、余裕は約 95 倍です 読 Leanmeasured_ratio(仮定:測った上界 )。端を固定した値()より 5〜8 倍深く、 は外の端を動かして二つの型を縮退させる所で取られます。 の下界は へ下から近づきますが(当てはめで )、上界の前因子 は測っていません。
命題(局所の項が消える)。(ΔScore) と、 の読み の下で、任意の について
初 証明。()から 。これと二つの仮定を掛けると が出て (12) です。∎ Leancloc_term_poly・cloc_term_vanishes(仮定:(ΔScore)・ の読み・)、陰性対照 no_vanish_if_no_gap( なら評価は消えない)。
を より小さく取れば (12) の右辺は で へ行き、測った値では の余裕があります。箱の側の芯の双安定は、条件づけてもしなくても、命題 4.5 の係数 に効きません((ΔScore) の仮定と の読みの上で)。負の端の芯は、区画の枠組みではキンクの位置の区画(橋)の中に現れ、定常な鎖での質量は ()の稀さです 読。
残る行の一覧
| 行 | 何が残っているか | いまある支え | 分類 |
|---|---|---|---|
| P0 | の測度の一意性・最近接の Markov 性・局所関数からの延長・条件つきの測度とキンクの座標の正則性 | 転送作用素の核が正であること( の上の版の原典は未確認) | 仮 |
| (MIXalt) | 箱の間の交互の最大相関 が と境界の値に一様(箱の混合の紙) | 二状態の鎖の読み ()・命題 G の形 | 仮 |
| (BV) | 境界の値の :頂上の近く(自由端の型)と遠方(急な降り) | 自由端の の読み、遠方は隙間が消えない見込みだけ | 仮 |
| (X) | 交差項 、 が一様 | 無し(二尺度の不等式の型) | 仮 |
| (KG) | 縮約したキンクの気体が Glauber の型に入ること・自由端の損 | Ising の閉じた式と対角化 | 仮 |
| (H1seg) | 端の値を持つ切れ端の局所 Poincaré | 環の版の命題 H1(10-06) | 仮 |
| (H2tube) | 管の Poincaré が管の長さ に一様 | 無し | 仮 |
| 段 2 の機械化 | 二点の最大相関を区間演算で包むこと・格子と連続の差の紙 | 浮動小数の転送(費用は CPU 時間の桁の見積もり) | 読 |
| (MIXcore) | 段 3 の の上界 | 下界の測り 。二点の量に縮まない(反例) | 仮 |
| (ΔScore) | 箱の側の芯と窓の 、特に前因子 と ・ の窓 | の読み ・下界の | 仮 |
(H3)(H4) の段の組み立てそのもの((1)〜(5)・(7)〜(12))は初等の証明を置いた代数で、仮定として残るのは表 5 の行です。四条件の全ての行が同時に揃う はまだありません(10-05 §08)。
五分類の表 — (H3)(H4) と芯の行
| 行 | 言明(一行) | 分類 | 根拠 | の範囲 | 機械検査 |
|---|---|---|---|---|---|
| P0 | 前提の行(一意性・Markov 性・延長・正則性) | 仮 | §03・10-05 段 0 | — | — |
| TP | 二つの射影の補題 (1) | 初 | 10-05 段 1 の証明 | に依らない | two_proj_var(仮定:) |
| ES | 積の測度の Efron–Stein (4) | 初 | §03 段 (b) の証明 | に依らない | — |
| BOX | 箱の積 (2) ⟸ P0・ES | 初 | §03 段 (a)〜(d) | に依らない | — |
| H3 | 命題 H3 (3) | 初 | §02 の証明 | に依らない | box_two_family・box_shift_average(仮定:二族の不等式・・重なりの和 ) |
| MXA | (MIXalt) | 仮 | §02 | — | — |
| CAL | () | 読 | §02(二状態の鎖の値を写した族の値) | に依らない模型 | — |
| XI | 、 | 読 | §02 | 三点 | xi_over_ellx(仮定:測った差) |
| CTL | 陽性対照(ガウス・Ising) | 読 | 表 1 | — | gauss_box_le_one・ising_K1_holds(仮定:測った値) |
| DEC | 分散の分解と速い側の積 | 初 | §04 | に依らない | — |
| SEG・TUBE | (H1seg)・(H2tube) | 仮 | §04 | — | — |
| KG・X | (KG)・(X) | 仮 | §04 | — | — |
| MOB | キンク一本の移動度 | 典 | 10-04 §03・10-05 段 2 | — | |
| GLA | 固定の端の Glauber の箱の隙間 (6) | 仮 | §04(原典は書誌だけ、格子の対角化で 6 桁の読み) | — | glauber_split(等式) |
| KGC | 初 | §04((6) の極限の代数) | に依らない | kg_constant(仮定:) | |
| CFF | 自由端の と の値(表 2) | 読 | §04 | に依らない模型 | K_ff_C2・K_ff_C4(仮定:測った値) |
| H4 | 命題 H4 (5) | 初 | §04 | に依らない | H4_two_scale・H4_gap_form(仮定は §04) |
| BE | 凸な領域の Bakry–Émery | 典 | Kolesnikov–Milman 定理 1.2 (1) | に依らない | — |
| BV | 補題 BV( で ) | 初 | §05 (7) と証明 | に依らない | lemma_BV・kappa7_pos・kappa8_neg |
| MR | 補題 MR(端への縮約) | 初 | §05 の証明 | に依らない | — |
| TB | 補題 TB (8)・ だけ | 初 | §05 の証明 | に依らない | tb_far・tb_adjacent・tb_range・tb_none_at_15 |
| SV | 最大相関の特異値の表示 | 典 | Witsenhausen 1975・Rényi 1959(再述で確認) | — | — |
| MC2 | 段 2 の二点の最大相関と () | 読 | §05 表 3 | 三点 | — |
| BET | 形 (β) の不等式 (9) | 初 | §05(命題 H3 の写し) | に依らない | core_uniform_L5(仮定:測った ) |
| MXC | (MIXcore): の上界 | 仮 | §05 | — | — |
| CB | (下界の測り) | 読 | §05 | 三点 | — |
| G | 命題 G の比 (10) | 典(枠)+初(閉じた式) | §05(等比級数)・Roberts–Sahu 1997 の定理 5 | に依らない | gauss_mode0・one_sub_phi・naive_product_false |
| KR | ガウスで最大相関=線形の正準相関 | 典 | Kolmogorov–Rozanov(再述で確認) | — | — |
| RR | 二点の量では交互の最大相関を押さえられない(三変数の例) | 初 | §05 | — | rareR_pair・rareR_joint(有理数の算術) |
| CORE3 | 命題 CORE3 (11) | 初 | §05 | に依らない | three_stage(仮定:各段の上界) |
| PHY | 区画の枠組みの芯の端は井戸の側だけ | 初 | §06(定義から) | に依らない | p5_end_not_negative |
| BIS | 箱の側の芯の双安定・瘤の二値の繊維・ の周辺 | 読 | §06 | 三点 | pn_vs_bistab・y_side_k9_3em4(仮定:測った値) |
| DSC | (ΔScore) | 仮 | §06 | — | — |
| DSV | 、 との比 | 読 | §06( の読み) | measured_ratio(仮定:測った上界) | |
| CLOC | 局所の項が消える (12) | 初 | §06 の証明 | cloc_term_poly・cloc_term_vanishes(仮定:DSC・XI・) |
表 6 の「初」の行は、仮定の行の上の代数か、本文に証明を置いた一般の不等式です。(H3)(H4) が示されたこと、芯の定数が無条件に押さえられたことは意味しません。
依存グラフ
書式は 10-05 §07 と同じで、「⟸」の右の番号は左の番号より必ず小さく置きます。
[01] 仮 P0 T=∞ の一意性・Markov 性・延長・正則性 ħ:—
[02] 仮 MXA (MIX_alt) 箱の間の c_alt < 1 ħ:—
[03] 仮 SEG (H1_seg) 切れ端の局所 Poincaré ħ:—
[04] 仮 TUBE (H2_tube) 管の Poincaré ħ:—
[05] 仮 KG 縮約したキンクの気体の箱の隙間 ħ:—
[06] 仮 X 交差項 ℰ_Y ≤ (1+χ)ℰ ħ:—
[07] 仮 MXC (MIX_core) 芯の交互の最大相関 c̄ < 1 ħ:—
[08] 仮 DSC (ΔS_core) 芯と窓の C_P ≤ c ħ^(−p) e^(ΔS/ħ) ħ:—
[09] 典 MOB 移動度 D = ħ/S₀ ħ→0
[10] 典 BE 凸な領域の Bakry–Émery ħ に依らない
[11] 読 XI ξ ∝ ħ^½ e^(S₀/ħ)・D/(Cξ)² ≤ d e^(−2S₀/ħ) ħ:三点
[12] 読 CAL c_alt の値 模型
[13] 読 MC2 段 2 の二点の最大相関 ħ:三点
[14] 読 CB c̄ ≤ 0.535(下界の測り) ħ:三点
[15] 読 BIS 双安定・瘤の二値の繊維 ħ:三点
[16] 初 TP 二つの射影の補題 (1) ħ に依らない
Lean two_proj_var
[17] 初 ES 積の Efron–Stein (4) ħ に依らない
[18] 初 BOX 箱の積 (2) ⟸ [01][17] ħ に依らない
[19] 初 H3 命題 H3 (3) ⟸ [02][16][18] ħ に依らない
Lean box_two_family・box_shift_average
[20] 初 DEC 分散の分解 ⟸ [01] ħ に依らない
[21] 初 KGC c_kg = C²+π² ħ に依らない
Lean kg_constant
[22] 初 BV 補題 BV (7) ⟸ [10] ħ に依らない
Lean lemma_BV(仮定:Hessian の下界・BE)
[23] 初 MR 端への縮約 ⟸ [01] ħ に依らない
[24] 初 TB 補題 TB (8) ⟸ [16][22][23] ħ に依らない
Lean tb_far・tb_adjacent・tb_range
[25] 初 G 命題 G の比 (10) ħ に依らない
[26] 初 RR 二点の量に縮まない例 ħ に依らない
[27] 初 BET 形 (β) の不等式 (9) ⟸ [01][16][17][22] ħ に依らない
[28] 初 CORE3 (11) ⟸ [07][13][14][22][24][27] ħ:三点
Lean three_stage(仮定:各段の上界)
[29] 初 PHY 区画の枠組みの芯の端は井戸の側 ħ に依らない
[30] 初 CLOC (12) ⟸ [08][11] ħ→0
Lean cloc_term_poly・cloc_term_vanishes
[31] 初 H4 命題 H4 (5) ⟸ [03][04][05][06][09][17][20][21] ħ に依らない
Lean H4_two_scale・H4_gap_form
[32] 初 K4 K_4 が ħ に依らない ⟸ [28][30][31] ħ→0
[33] 初 H3H4 C_P ≤ Kξ²S₀/ħ ⟸ [19][32] ħ→0
Lean H3_H4_compose
確かめ方。⟸ を持つ行は [18]([01][17])・[19]([02][16][18])・[20]([01])・[22]([10])・[23]([01])・[24]([16][22][23])・[27]([01][16][17][22])・[28]([07][13][14][22][24][27])・[30]([08][11])・[31]([03]〜[06][09][17][20][21])・[32]([28][30][31])・[33]([19][32])で、どれも右の番号が左より小さく、円はありません。
読むこと。結論 [33] は、仮定の行 [01]〜[08] の全てに依ります([07][08] は芯の定数 [28]・局所の項 [30] を通して)。[12][15][25][26][29] はどの結論の前提でもなく、値の読み・双安定の正体・交互の相関の形・端の線引きを説明する行です。[28] の の範囲が「三点」なのは、段 2・段 3 の値が三つの の読みだからで、(11) の形そのものは に依りません。
仮定の行の言明が結論の量を含まないことも確かめます。結論の量は の測度全体の です。[02][07] は相関の量、[03][04][08] は切れ端・管・芯と窓の定数、[05] は縮約した気体の定数、[06] は形の比較、[01] は測度の性質で、どれも を含みません。
10-05 のグラフとの対応。統合のグラフ(10-12)では、10-05 の葉 [02](H1seg)・[03](H2tube)・[05](KG)・[06](X)・[07](MIXalt)がこの章の [03][04][05][06][02] と同じ節点で、10-05 の [04](T0′P)はこの章の [28](命題 CORE3)と [30](局所の項)に置き換わり、葉が [07][08] に移ります。10-05 の [11](ES)・[14](命題 H3)・[15](命題 H4)・[16](命題 4.5)は、この章の [18]・[19]・[31]・[33] です。
次の章へ
10-05〜10-11 の依存グラフを一つに繋ぎ、全ての行を五分類の一表にして、全ての行が揃う がまだ無いことを帯の図で見るのが 10-12 です。この部は仮定 H を検討の軸に置いていて、この章はその一段目の (H3)(H4) を命題の形にした段でした。箱の帰着の形を四次元格子や別の量へ持ち出す視点は第 11 部(11-03)で扱います。
この章が言えている範囲
| 言えている | 言えていない |
|---|---|
| 初 箱の積 (2) とその証明、命題 H3 (3)、命題 H4 (5)、補題 BV・MR・TB、形 (β) の不等式、命題 G の比、二点の量に縮まない例、命題 CORE3 の組み立て、局所の項が消える (12) Lean(代数) | 条件 (H3)(H4)。(MIXalt)・(X)・(KG)・(H1seg)・(H2tube)・(MIXcore)・(ΔScore) の行 |
| 読 の大きさ、・・ の値、芯の定数 、双安定の障壁と余裕 95 倍 | 芯の定数の上界の機械化・ での一様性・(ΔScore) の前因子 |
| 典 凸な領域の Bakry–Émery・最大相関の特異値の表示・ガウスの最大相関・箱の力学の型 | 四条件の全ての行が揃う |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| 凸な領域の Bakry–Émery | 典 | D. Bakry, M. Émery, Sém. Probab. XIX, LNM 1123 (1985) 177–206;A. V. Kolesnikov, E. Milman, J. Geom. Anal. 27 (2017) 1680–1702(定理 1.2 (1)、本文で確認)。 |
| 箱の力学(離散のスピン) | 典 | F. Martinelli, "Lectures on Glauber dynamics for discrete spin models", LNM 1717 (1999) 93–191(命題 3.4・3.5、予稿の本文で確認)。 |
| 最大相関の特異値の表示 | 典 | H. S. Witsenhausen, SIAM J. Appl. Math. 28 (1975) 100–113;A. Rényi, Acta Math. Acad. Sci. Hungar. 10 (1959) 441–451(再述で言明を確認)。 |
| ガウスで最大相関=線形の正準相関・定常な鎖の最大相関 | 典 | A. N. Kolmogorov, Yu. A. Rozanov, Theory Probab. Appl. 5 (1960) 204–208;R. C. Bradley, Probab. Surveys 2 (2005) 107–144(再述で確認)。 |
| 二ブロックの Gibbs 標本化の率(命題 G の枠と、片の長さ 1 の場合) | 典 | G. O. Roberts, S. K. Sahu, J. R. Stat. Soc. B 59 (1997) 291–317, doi:10.1111/1467-9868.00070(定理 5・系 3・§2.4、本文で確認);M. K. Pitt, N. Shephard, J. Time Series Anal. 20 (1999) 63–85(定理 1。1996 年の作業論文版の本文で確認、出版版は未照合);M. Mider, P. A. Jenkins, M. Pollock, G. O. Roberts, arXiv:2009.10440v2 (2022)(定理 2・系 2、本文で確認)。line Jacobi の側の書誌は未照合。 |
| Efron–Stein の不等式 | 初 | B. Efron, C. Stein, Ann. Statist. 9 (1981)(書誌。証明は §03 に置いた)。 |
| 一次元 Ising の Glauber 力学 | 仮 | R. J. Glauber, J. Math. Phys. 4 (1963) 294–307(書誌だけ。値は格子の対角化の読み)。 |
| Eyring–Kramers の型(障壁と ) | 典 | G. Menz, A. Schlichting, Ann. Probab. 42 (2014)(境界の無い場合の言明を本文で確認。壁の上の最小点の版は未取得で、(ΔScore) は仮定の行)。 |
| 組み立ての代数 | 初・Lean | 本文の証明。two_proj_var・box_two_family・box_shift_average・H4_two_scale・H4_gap_form・H3_H4_compose・lemma_BV・tb_far・tb_adjacent・three_stage・gauss_mode0・cloc_term_poly。 |
| 数 | 読 | 転送作用素の浮動小数(対数の領域の冪乗法と密な固有値の二つの経路)・Ising の格子の対角化・多項式の Rayleigh–Ritz・ の数値の最小点と連絡の高さ。区間演算は使っていない。 |
この章で使った語 — 箱の力学(箱への帰着)・偶奇の箱・ずらしの平均・最大相関・交互の最大相関・二つの射影の補題・Efron–Stein の不等式・縮約したキンクの気体・自由端・交差項・芯・凸性の閾・二つのブロックの補題・端への縮約・命題 CORE3・条件づけの壁・瘤の二値・作用の障壁。意味は A-02 用語集 にあります。
次に読む章:10-12 統合表と依存グラフ — 四条件の全ての行を五分類の一表にし、段の依存グラフで円が無いことを確かめる。
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