この本の全体 目次と読む順
- 第 0 部 入口 — この本の読み方
- 0-01 この本の読み方
- 0-02 一枚の絵
- 0-03 問題文を一語ずつ読む
- 0-04 数学の四次元と物理の四次元
- 第 1 部 数学の準備
- 1-01 ベクトル空間と線形写像
- 1-02 群とは何か
- 1-03 リー群とリー環
- 1-04 SU(2) と SU(3)
- 1-05 多様体と接空間
- 1-06 微分形式と外微分
- 1-07 ベクトル束と接続
- 1-08 確率と測度
- 1-09 無限次元の確率
- 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
- 1-11 フーリエ解析と分布
- 1-12 寄り道:四次元でだけ起きること
- 第 2 部 物理の準備
- 2-01 ラグランジアンと作用
- 2-02 場という考え
- 2-03 電磁気学はゲージ理論である
- 2-04 特殊相対論と時空
- 2-05 量子力学の骨
- 2-06 調和振動子と生成消滅
- 2-07 経路積分の考え方
- 2-08 統計力学と相転移
- 2-09 寄り道:イジング模型で見るギャップと相関長
- 2-10 緩和の時間と動的指数 z
- 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
- 3-01 ゲージ原理
- 3-02 非可換ゲージ場
- 3-03 作用と方程式
- 3-04 幾何としてのゲージ理論
- 3-05 インスタントンと位相
- 3-06 寄り道:Donaldson とエキゾチック R⁴
- 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
- 第 4 部 量子化
- 4-01 正準量子化とハミルトニアン
- 4-02 経路積分とユークリッド化
- 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
- 4-04 発散と繰り込み
- 4-05 発散の代数
- 4-06 漸近自由
- 4-07 次元転移と Λ
- 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
- 4-09 場の量子論の公理
- 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
- 4-11 質量ギャップの定義
- 4-12 寄り道:摂動級数は発散する
- 第 5 部 格子ゲージ理論
- 5-01 Wilson の格子
- 5-02 強結合展開
- 5-03 反射正値性と転送行列
- 5-04 無限体積極限とクラスター展開
- 5-05 弱結合と連続極限
- 5-06 U(1) と非可換の違い
- 5-07 モンテカルロ法
- 5-08 グルーボールと弦張力の測定
- 5-09 何を固定して極限を取るか
- 5-10 有限群の格子ゲージ理論
- 5-11 寄り道:Bakry–Émery と一リンク積分
- 第 6 部 構成的場の理論
- 6-01 構成的場の理論とは
- 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
- 6-03 スカラー場の構成
- 6-04 クラスター展開
- 6-05 繰り込み群の段の列
- 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
- 6-07 四次元
- 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
- 6-09 確率量子化と正則性構造
- 6-10 四次元で止まる場所
- 6-11 発散以外の障害
- 6-12 寄り道:「1/0 に記号を与えれば」
- 第 7 部 物理の側から
- 7-01 物理はどう見ているか
- 7-02 閉じ込めの機構
- 7-03 弦の絵
- 7-04 大 N
- 7-05 ひも理論と余剰次元
- 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
- 7-07 ゲージ場はどこから来るか
- 7-08 ホログラフィー
- 7-09 質量ギャップが幾何になる
- 7-10 四次元に戻す
- 7-11 超対称と Seiberg–Witten
- 7-12 等価原理に当たる一文
- 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
- 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
- 8-01 辞書の読み方
- 8-02 辞書 A
- 8-03 辞書 B
- 8-04 辞書 C
- 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
- 第 9 部 現在地と課題
- 9-01 世界はどこまで来ているか
- 9-02 二つの掘り方の切れ目
- 9-03 新しい概念の候補
- 9-04 課題の一覧
- 9-05 よくある誤解
- 第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む
- 10-00 入口 — 階段と、酔歩・物差し・時計
- 10-01 構成の筋と仮定 H
- 10-02 四次元格子で試した道と壁
- 10-03 階段の四段 — なぜ 0+1 次元から始めるか
- 10-04 二重井戸の経路の測度とキンク
- 10-05 一段目の言明 — 四条件と命題 4.5
- 10-06 (H1) 相の中の局所 Poincaré
- 10-07 (H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目
- 10-08 計算機援用とは何か — 窓の中の鎖の条件
- 10-09 区画の枠組みと道筋 5 の三本の筋
- 10-10 迂回策の一覧 — 壊れ方の型
- 10-11 (H3)(H4) と芯の定数
- 10-12 統合表と依存グラフ
- 10-13 Lean の言明と機械検査の限界
- 10-14 突き合わせ — 記録の数と既知の数
- 10-15 残件と費用 — 定理までの距離
- 10-16 主張しないこと
- 10-17 ひらめきと小さな問い
- 第 11 部 今後の考察 — 仮定 H の先と、別の見方
- 11-00 今後の考察 — 入口
- 11-01 H を妨げる一つの形 — ほぼ保存される大域の量
- 11-02 物差しと座標を選び直す — 保存が壊れる長さ
- 11-03 区画の H と局所の H
- 11-04 片側の橋はどの H を要るか
- 11-05 時間を連続にする — Hamiltonian 格子と真空の測度
- 11-06 凸性の代わりに稀さで払う — 群の上の繰り込みと対数 Sobolev
- 11-07 四次元だからこそ — 無次元の結合と位相
- 11-08 問いと、主張しないこと
- 11-A1 第 11 部の記号の対応表
- 付録
- A-01 記号表
- A-02 用語集
- A-03 文献案内
- A-04 Lean と機械検査
- A-05 この本の作り方
- A-06 仮定の索引
(H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目
この章で分かること — 条件 (H2)(平らな鞍点の族に沿う輸送)を、七つの道筋に割った地図として一枚にします。道筋ごとに、何を示そうとしているか・いまの分類(初・典・機・読・仮)・残件・詳しく扱う章を一行で並べます。後半では、周期的な経路の上でキンクと反キンクが出会う所(環の継ぎ目)を扱います。継ぎ目は頂上の台地そのもので、外の鎖は計算した の窓の全体で計算機援用の不等式になり、内の鎖は 1 を越える有限の係数で残ります。
前提となる章 — 10-05 §03(四つの条件の言明)・10-05 §04 段 2((H2) が箱の中に入る場所)・10-04 §06(台地)・10-00 §01(五分類の札)。
先に言うこと — 水準は〔三〕です。この部は仮定 H(揺らぎの均される時間が相関長の二乗の冪で伸びる、10-01)を検討の軸に置いています。H は、問題文の量を格子で計算でき機械検査つきで進められる量に言い換えたもので、条件 (H2) はその一段目を支える四つの柱の一つです。この章は (H2) が閉じたことを述べる章ではなく、どの道筋がどこまで来て何が残っているかを一枚にする章です。別の視点は第 11 部で扱います。
- (H2) の言明と二つの場所 — 箱の割り方で (H2) に残る行、橋の管と環の継ぎ目
- 七つの道筋の地図 — 一行ずつの分類と残件(表 1)
- 環の継ぎ目 — 頂上の台地・外の鎖と内の鎖(表 2)
- 道筋 2 の残る数値と費用 — 本数と時間の見積もり
- 五分類の表 — (H2) の行(表 4)
- 依存グラフ — 番号で円が無いことを確かめる
- 10-08〜10-11 への案内
(H2) の言明と二つの場所
条件 (H2) の言明は 10-05 §03 のとおりです。写しておきます。
測度:キンクと反キンクの対の族(対の中心 と間隔 を径数とし、作用がほとんど平らな鞍点の族)の周りの管に入る配位の条件つきの測度。定数:その族に沿って谷から谷へ移る平均差の輸送の定数と、管の中の Poincaré 定数。一様性:経路のサイトの数(次元)と に一様。箱の中で使うときは、管の長さ に一様な管の Poincaré (H2tube) と、管の中の芯(頂上の近くにとどまる区間)の Poincaré が芯の長さ に一様なこと (T0′P) の二つの行になる。
箱の割り方で (H2) に残るもの。10-05 の箱の割り方では、鞍点の族に沿う向き(キンクの位置)を遅い変数に取ったので、その向きの縦の輸送は (H4) の行 (KG)・(X) が受け持ちます(10-05 §04 段 2 の注)。(H2) に残るのは、キンクの配置を止めた後の管と芯の行、すなわち (H2tube) と (T0′P) です。この章の地図はこの二つの行を支える道具の地図です。
なぜ難しいか。芯 (、谷 の側から頂上 の手前までの箱を サイト並べたもの)の上では、作用が頂上でほとんど平らで、一サイトの曲率が負になります(§05 の表 4 の行 W、詳しくは 10-09 §06)。凸性の道具(Bakry–Émery)は芯の全体には当たらず、芯の長さ は相関長まで伸びるので、定数が に一様であることを別の手で示す必要があります。
二つの場所 — 橋の管と環の継ぎ目
(H2) の行は、経路の形の違う二つの場所で現れます。
- 橋の管。両端を二つの谷に止めた区間(橋)にキンクが一本ある配位の、キンクの周りの管。芯は管の中で頂上の近くにとどまる区間です。箱の中の (H2tube)・(T0′P) はこちらの形です。
- 環の継ぎ目。周期的な短い経路(環、長さ )にキンクと反キンクが一対ある配位で、対の間隔 が縮んで二つが出会う所。対が消える直前の配位は頂上の台地そのものです(§03)。橋の管の議論はキンクが離れていることを使うので、継ぎ目では別の扱いが要ります。
どちらの場所でも、芯の定数を押さえる道具は同じ型です。芯の中のサイトに「谷の側か頂上の側か」の粗い印を付け、ある一サイトの周りの 17 サイトの範囲(サイトの窓 )の印の周辺の対数 Sobolev 定数 と、窓の外へ伸びる鎖の縮みの比 を組み合わせます。この「窓の外の鎖」の縮みの条件 が道筋 1 と道筋 6 の外の鎖、 の大きさが道筋 2・3・5 の中心です。サイトの窓 と、計算機援用で扱う の範囲( の窓 )は別のものです。「窓の外の鎖」「窓の中の段」の窓はサイトの窓、「窓の全体」「窓の下の端」の窓は の窓で、紛れるときは「サイトの」を付けます。
七つの道筋の地図
(H2) の芯の行を閉じるために立てた道筋は七つです。番号は道筋の名で、順序や重さを表しません。表 1 の「分類」は 10-00 §01 の五分類の記号で、一つの道筋に二つ以上の分類が混ざるときは主なものから並べます。
| 道筋 | 何を示すか | いまの分類 | の範囲 | 残件 | 章 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 窓の外の鎖の縮み | 橋の芯で、サイトの窓の外へ伸びる印なしの鎖の Stein の核の比 | 機 (float64+外向きの幅・IEEE の正しい丸めを前提・ を区間に・25 の部分区間) | 窓の全体 | 窓の外と には何も言わない | 10-08 |
| 2 残る数値 | サイトの窓の定数:最小の重み ・稀さ ・一サイトの Poincaré ・印の動力学の隙間 ・橋の窓の内の鎖の比 | 読(三点の浮動小数)仮(計算の本数に落とす紙の還元は本に置かない) | 三点 | 区間演算の本数と時間(§04)。積の形の床のため走らせない判断 | 本章 §04 |
| 3 区画の枠組み | 区画の和の五つの段 (Σ.1)〜(Σ.5) と閉じる条件 | 初(五段の証明を 10-09 に置く)。入力は 仮・読 | 段は に依らない/入力は三点 | 入力 (LSW)・(PFseg)・・欠陥の行・正則性 | 10-09 §02 |
| 4 小さな仮定 | (Σblk)・(PFseg)・(Eend)・(Edgecore)・(T0′LS)・(T1′)・(a′)・(Σlow)・(GB)・縦の項・正則性 | 仮(一覧だけ・未着手) | — | 各行 | 本章 §05 |
| 5 残る一命題 | (LSW♭):サイトの窓の周辺の対数 Sobolev 定数が要る値 の内 | 仮。三本の筋(成分ごと・スカラー・Feynman–Kac)はどれも閉じていない | 窓(スカラーの筋の命題 P5 は ) | 三本の筋の残る一歩 | 10-09 §05 |
| 6 環の継ぎ目 | 環の上の芯:外の鎖の縮みと内の鎖の係数 | 外:機(ピン ・(lim)・(ENDrand) は 仮)/内:読 | 窓 | (lim)・(ENDrand)・C2′・境の段・内の鎖の区間化 | 本章 §03 |
| 7 の範囲 | 窓の外と | この部の対象の外 | — | 紙の漸近 | 10-12・10-15 |
表 1 の読み方を三つ添えます。
(a) 計算機援用の行は二つだけ。道筋 1 と道筋 6 の外の鎖です。どちらも「計算した の窓の中で、区間演算の出力の表を前提に不等式が成り立つ」という意味の閉じ方で、窓の外と については何も言いません(10-08)。
(b) 道筋 1 が閉じても (H2) は閉じない。道筋 1 の比 は、サイトの窓の対数 Sobolev 定数 の上界の一つの因子 に入るだけです(§06 の依存グラフの [12])。いまの上界の組み立てでは の上界は要る値の外にあり(17 サイトの窓の因子の積の形で 4〜5 桁、3 サイトの窓で要る側を上げた形でも 29〜74 倍、10-09 §03)、残る一命題(道筋 5)は別の筋で攻めています。
(c) 道筋 7 は対象の外と決めた。冪の H は の言明なので、最終的には (H1)〜(H4) を の漸近で言う必要があり、固定した窓の計算機援用だけでは届きません。窓の外は紙の漸近が要ります。この部では、窓の中の行の分類を確かめることを先にし、揃え方は 10-12・10-15 で述べます。
環の継ぎ目 — 頂上の台地と、外の鎖・内の鎖
環は長さ の周期的な経路で、キンクと反キンクが一対あり、負の側にいる弧の長さを とします。10-05 §02 (c) の縮約した台地の模型は、この だけを残したものでした。継ぎ目は が小さくなって対が消える所です。
継ぎ目は頂上の台地そのもの
負の弧の長さを に固定した連続の最小作用 は、 で ではなく に近づきます(経路は頂上に触れて戻る)。 では最小の配位はキンクを持たず、頂上 の上に平らに乗る台地で、作用は です。 で窪みが生じ、作用は に近づきます()仮(連続の変分の議論と格子の最小の浮動小数の照合。証明は本に置かない)。格子()でも、負の側の長さ サイトの最小は で に乗ります 読(浮動小数の最小、差 )。継ぎ目の配位は、芯(頂上の近くにとどまる区間)そのもので、橋の管の芯と同じ難しさがここに現れます。
の向きは易しい。 だけの一次元の輸送は、継ぎ目まで含めて押さえられます。継ぎ目の帯・襟・台地のそれぞれで、一次元の Poincaré 定数を 4 倍以内で挟む Muckenhoupt の量が ・・ 以下になり、代数は機械検査が通っています 仮(一次元の模型の上の紙の評価。模型への縮約そのものが仮定)。難しいのは座標の側で、継ぎ目では符号の変わる回数が遅い変数になりません。そこで符号に依らない区画、すなわち ()のサイトの連なり(塊)を単位に畳みます。他を止めた サイトの塊の作用は、 から で凸です 初(三重対角の行列 、 の最小固有値 は で正)。
外の鎖と内の鎖
環のサイトの窓 (17 サイト)には、塊が一つ(長さ 、無くてもよい)・窓の他のサイトは谷の側・窓の外は符号の決まった側、という印を付けます。窓の対数 Sobolev 定数の組み立てには、二種類の鎖の縮みの比が入ります。
- 外の鎖:サイトの窓の外へ伸びる鎖。符号の決まった領域 を動き、鏡像 で に写すと、橋の芯の外の鎖と同じ型の鎖になります。作用は鏡像で不変ですが 初( が偶関数)Lean
chain_action_reflect(仮定なし。測度の像と Stein の核の反転は Lean の外)、橋の鎖と同じ鎖ではありません。橋の箱には下の壁 があり、環の外の鎖には無いからです。 - 内の鎖:サイトの窓の中の段。段ごとに箱が「谷の側」「塊」と替わり、塊の箱 は を跨ぎます。
二つの鎖の違いは、壁の角で読めます。壁の位置 での古典の角の比は で、 の壁(外の鎖の壁 )でちょうど 1、力が箱の外へ押す壁で 1 を越えます 初(比の符号の代数)Leancorner_eq_one(仮定:)・corner_gt_one(仮定:)。比の式そのものは包絡線の計算から来ていて、その正則性は 仮 です。塊の上の壁 では で、力が壁へ向かうので角は 1 を越えます(孤立した壁の古典の値 )。
| 量 | 値 | 分類 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 外の鎖(条件づけない形) | 窓の全ての で (最大は窓の下の端、上の半分 では ) | 機 | 全てのピン ・評価点 ・端 。(lim)・(ENDrand)・正則性は 仮。float64+外向きの幅・IEEE の正しい丸めを前提 |
| 外の鎖の深い側(ピン ) | 機 | 同上(尾の分散の上界 を使う) | |
| 境の段(ピン ) | 読 | 塊が窓の端に触れる配位だけに現れる有限の段。上の外の鎖の行はこのピンを覆わない | |
| 内の鎖 | 読 | 浮動小数の転送・格子を細かくすると上がる向き。律速は塊の中の段でピンが塊の遠い壁の際 | |
| 有限の係数 | 、 | 読 | は立たない |
| ( なら ) | 初(算術) | 入力 は 読、 は 機。Leansw_inner_le(仮定:・) |
表 2 を一行で言えば、外は閉じ(窓の中・ピン の条件つき)、内は有限の係数です。ここでの「閉じ」は、計算した の窓の中で外の鎖の縮みが計算機援用の不等式になったという意味で、環の上で (H2) が閉じた意味ではありません。外の鎖の結果は、箱に条件づけた鎖で一度閉じ(上界 )、その後に条件づけない鎖へ広げた(尾の項を区間演算の剰余に入れ、深いピンは閉じた形の上界で覆った)ものです。広げたことで、条件づけた鎖を元の測度へ戻すための四つの仮定の行が要らなくなりました。
内の鎖が 1 を越える理由と、区間化の費用。内の鎖の律速は、塊の箱の遠い壁の際にピンがある段で、上の外へ押す角そのものです(古典の値 に近い)。外の鎖の区間の機械は、右の壁が で ・箱が一つ・ピンと格子が同じ、という前提の上に組まれていて、入力を差し替えるだけでは内の鎖に使えません。内の鎖を区間演算に載せる費用の見積もりは、紙 1〜2 段+台本 1〜2 本+約 50 本・約 42 時間(一コア)で、得られるのは有限の係数 の上界だけです。この係数は に 倍で入るので、区画の枠組みの閉じる条件(10-09 §02)を満たす道にはなりません。
環の継ぎ目に残る行。(lim)(段を限りなく重ねた極限が各 で不動点の囲いに入ること)・(ENDrand)(鎖の端の値が一点でなく分布で与えられる場合)・C2′(台地の長さで条件づけた比)・境の段・内の鎖の区間化。どれも 仮 か 読 のままです。
道筋 2 の残る数値と費用
サイトの窓の対数 Sobolev 定数の上界は、いまの組み立て(命題 LSσW)では因子の積 の形です。 は印の周辺の測度の定数で、最小の重み と印の動力学の隙間 から作り、・ は鎖の縮みの比から作ります。道筋 2 は、因子の値を三点の浮動小数から区間演算へ移すための紙の還元と本数の見積もりです。
| 量 | 紙の還元(本に置かない) | 本数の見積もり | いまの値 |
|---|---|---|---|
| 最小の重み | 印の周辺の測度は MTP₂ で、最小の重みを与える列は端の列(全て谷の側)に寄る(Karlin–Rinott の保存定理 典、二次資料の再述で言明を確認) | 2〜3 本 | 読 三点で全て谷の側が最小 |
| 稀さ | 単調な関数の境界値についての sup は端の一本の鎖で取れる(MTP₂ の関連性) | 1〜2 本 | 読 |
| 一サイトの Poincaré | Muckenhoupt の判定量 典(二次資料の再述で確認)を境界値のセルごとに | 約 20 本 | 読 の桁 |
| 隙間 | 一つの印が界面の相互作用を遮ることから、流れの混雑度を端の列の鎖で押さえる | 4 本 | 読 |
| 橋の窓の内の鎖の比 | Stein の核の比は印の列について単調でない(数え上げた 665 組のうち 300 組前後で破れる)ので、列の型ごとと遠い側の帯に分ける | 約 13 本 | 読 三点で |
合計 約 42 本・約 21 時間(一コア)の見積もりです。この 42 本は走らせない判断にしました。理由は積の形そのものの床です。・・ から、因子の真の値を入れても で 読(見積もり)、区画の枠組みの要る値(10-09 §03、数十〜数百)の数十倍から数万倍の外にあります。区間演算で因子を確かめても、この形のままでは閉じる条件に届きません。道筋 2 の紙の還元(遮蔽・端の列)は、積でない形の上界(道筋 5 の筋)にもそのまま入る道具として残します。
五分類の表 — (H2) の行
表 1〜表 3 の行を、五分類の書式で一表にします。分類は一行に一つで、機械検査の欄は分類の外です。行の記号は §06 の依存グラフの節点と対応します。
| 行 | 言明(一行) | 分類 | 根拠 | の範囲 | 機械検査 |
|---|---|---|---|---|---|
| IA | 区間演算の前提:IEEE 754 の四則の正しい丸め・和の誤差の上界・自前の指数関数の誤差の上界 | 仮 | 10-08 §03 | — | — |
| LIM | (lim)・(ENDrand)・正則性 | 仮 | §03 | — | — |
| LSW | (LSW♭): | 仮 | 道筋 5・10-09 §03 | — | — |
| SM | 道筋 4 の小さな仮定の全て | 仮 | 表 1 | — | — |
| PROD | 命題 LSσW:(積の形) | 仮 | §04(紙の組み立ては本に置かない) | — | — |
| N2 | 道筋 2 の定数 ・・・・橋の窓の内の鎖の比 | 読 | 表 3(三点の浮動小数) | 三点 | — |
| QIN | 環の内の鎖 | 読 | 表 2(浮動小数の転送・上界ではない) | 四点 | — |
| EDGE | 境の段 | 読 | 表 2 | 四点 | — |
| QF | (Qfree) | 機 | 10-08 §05(前提は行 IA) | 窓 | win_qfree_window_le_of_interval_table(仮定:25 の部分区間の区間演算の出力の表) |
| QO | 環の外の鎖 (ピン ) | 機 | 10-08 §06(前提は行 IA・LIM) | 窓 | unc_window_lt_one_of_table(仮定:25 の部分区間の区間演算の出力の表) |
| SIG | 区画の枠組み (Σ.1)〜(Σ.5) | 初 | 10-09 §02(入力は行 SM・LIM) | に依らない | cell_sum_sup・comp_close(仮定は 10-09 の表) |
| SWB | 橋の | 初 | 等比級数の和(10-08 §02) | 窓 | — |
| SWR | 環の | 初 | 表 2(入力の は読) | 窓 | sw_inner_le(仮定:・) |
| AV | 積の形の の値 | 読 | §04( の一点は外挿を含む見積もり) | 三点 | — |
| CORE | 芯の隙間の に一様な正の下界((Σ.5) の形) | 初 | 10-09 §02(行 LSW・SIG の上で) | — | comp_close(仮定:Barta・(Σ.3)・Bochner の三つの不等式) |
| W | 頂上の一サイトの曲率が に 足りない(共通の壁) | 初 | 10-09 §06 | に依らない | — |
表 4 の「機」の二行(QF・QO)は、どれも前提の行 IA の上の計算機援用で、Lean が確かめたのは「区間演算の出力の表を仮定に置いた組み立て」です(10-08 §07)。「初」の行 CORE は、仮定の行 LSW の上の代数で、芯の隙間の下界が示されたことを意味しません。
依存グラフ — 番号で円が無いことを確かめる
表 4 の行を番号つきの節点にします。「⟸」の右の前提の番号は、左の結論の番号より必ず小さく置きます(この部で共通の書式、10-05 §07)。
[01] 仮 IA 区間演算の前提(IEEE の正しい丸め・和の誤差・自前の exp) ħ:—
[02] 仮 LIM (lim)・(END_rand)・正則性 ħ:—
[03] 仮 LSW (LS_W♭) A_W < A_max(ħ) ħ:—
[04] 仮 SM 道筋 4 の小さな仮定 ħ:—
[05] 仮 PROD 命題 LSσ_W(積の形 A_W ≤ c_W·C_1D·S_W·T_W) ħ:—
[06] 読 N2 道筋 2 の定数 ħ:三点
[07] 読 QIN 環の内の鎖 q_in ≈ 1.24〜1.28 ħ:四点
[08] 読 EDGE 境の段 q ≈ 1.004〜1.045 ħ:四点
[09] 機 QF q_free ≤ 0.998854904 ⟸ [01] ħ:窓
Lean win_qfree_window_le_of_interval_table(仮定:区間演算の出力の表)
[10] 機 QO q_out ≤ 0.998888530(ピン ≤ 0)⟸ [01][02] ħ:窓
Lean unc_window_lt_one_of_table(仮定:区間演算の出力の表)
[11] 初 SIG 区画の枠組み (Σ.1)〜(Σ.5) ⟸ [02][04] ħ に依らない
Lean cell_sum_sup・comp_close(仮定は 10-09 の表)
[12] 初 SWB 橋の S_W ≤ 1779.6 ⟸ [09] ħ:窓
[13] 初 SWR 環の S_W ≤ 122745 ⟸ [07][08][10] ħ:窓
Lean sw_inner_le(仮定:q_in ≤ 13/10・q_out ≤ 0.998888530)
[14] 読 AV 積の形の A_W ≈ 2.5·10⁶〜4.7·10⁷ ⟸ [05][06][12] ħ:三点
[15] 初 CORE 芯の隙間の k に一様な正の下界 ⟸ [03][11] ħ:—
Lean comp_close(仮定:Barta・(Σ.3)・Bochner の三つの不等式)
[16] 初 T0P 10-05 の行 (T0'_P) の形 ⟸ [02][15] ħ:—
確かめ方。[09] は [01]、[10] は [01][02]、[11] は [02][04]、[12] は [09]、[13] は [07][08][10]、[14] は [05][06][12]、[15] は [03][11]、[16] は [02][15] だけを右に持ち、どの行も右の番号が左より小さいので、円はありません。
このグラフで読むこと。(1) 芯の行 [16] に至る道は [15] を通り、[15] は仮定の行 [03](道筋 5 の残る一命題)に依ります。(2) 計算機援用の [09][10] は [12][13] を通して積の形の値 [14] に入るだけで、[14] は [03] を満たしません(要る値の外)。つまり計算機援用の二行は、いまのグラフでは [16] への道の上にありません。積でない形の上界が [03] を満たしたとき、その上界の中に の比が入れば、[09][10] は [03] の根拠の一部になります。(3) 読みの行 [06][07][08] は、どれも上界の証明には使っていません。
仮定の行の言明が結論の量を含んでいないことも確かめておきます。結論の量は芯の測度の隙間([15])と行 (T0′P) の定数([16])です。[03] はサイトの窓の印の周辺の対数 Sobolev 定数、[04] は区画の入力の定数、[05] は積の形の上界の組み立て、[02] は極限と正則性で、どれも芯の隙間そのものを含みません。
10-08〜10-11 への案内
- 10-08 計算機援用とは何か — 道筋 1 と道筋 6 の外の鎖を例に、区間演算が浮動小数の値を不等式に変える仕組みと前提、言わないこと
- 10-09 区画の枠組みと道筋 5 の三本の筋 — 道筋 3 の五段の証明、要る値 の導出、三本の筋と共通の壁
- 10-10 迂回策の一覧 — 道筋 5 で試した迂回策と、繰り返し現れた壊れ方の型
- 10-11 (H3)(H4) と芯の定数 — 芯の定数を箱の側から三段で押さえる組み立て
この部は仮定 H を検討の軸に置き、(H2) はその一段目の柱の一つとして扱っています。別の視点は第 11 部で扱います。
この章が言えている範囲
| 言えている | 言えていない |
|---|---|
| 機 窓 の全ての で 、環の外の鎖(ピン )で 。区間演算の前提の上で | 窓の外と の縮み。境の段(ピン ) |
| 初 区画の枠組みの五段と、仮定の行 (LSW♭) の上の芯の隙間の下界(10-09)。 の算術 | (LSW♭) そのもの。したがって (T0′P)・(H2tube) と条件 (H2) |
| 読 環の内の鎖 、道筋 2 の定数 | これらの上界。内の鎖の区間の機械 |
| 依存グラフに円が無いこと(番号の規則) | 計算機援用の行が (H2) の芯の行に届く道(いまのグラフには無い) |
出典と再現
| もの | 種別 | 出典・道具 |
|---|---|---|
| 窓の外の鎖の縮み・環の外の鎖 | 機・Lean | Python の float64 の区間演算(演算ごとに外向きの幅・自前の指数関数)。手順と照合は 10-08 の出典表。Lean は win_qfree_window_le_of_interval_table・unc_window_lt_one_of_table・vt_window_of_table(仮定:区間演算の出力の表)。 |
| MTP₂ の保存 | 典 | S. Karlin, Y. Rinott, J. Multivariate Anal. 10 (1980) 467–498;言明は S. Fallat et al., Ann. Statist. 45 (2017) 1152–1184, arXiv:1510.01290(命題 3.5 で確認)。 |
| Muckenhoupt の判定量 | 典 | B. Muckenhoupt, Studia Math. 44 (1972) 31–38;言明は F. Barthe, C. Roberto, Potential Anal. 29 (2008) 167–193(定理 1・2 で確認)。 |
| 環の継ぎ目の台地・塊の凸性・壁の角 | 仮・初・読 | 連続の変分の議論と浮動小数の最小(仮・読)、三重対角の最小固有値(初)、角の比の符号(初、corner_eq_one・corner_gt_one)。 |
| 環の内の鎖・境の段 | 読 | 浮動小数の転送(格子 、 で律速の組を検算)。正規の Gauss の鎖で を 3 桁で再現(陽性対照)、壁を外へ押す向きに動かした鎖で (陰性対照)。 |
| 鏡像 | 初・Lean | chain_action_reflect(作用の各項の対称性)。 |
この章で使った語 — 道筋・芯・サイトの窓・窓( の)・窓の外の鎖・Stein の核の比・環・継ぎ目・塊・外の鎖・内の鎖・境の段・壁の角・計算機援用・積の形の床。意味は A-02 用語集 にあります。
次に読む章:10-08 計算機援用とは何か — 窓の中の鎖の条件 — 区間演算で浮動小数の計算を不等式の証明に変える仕組みと前提を、窓の外の鎖の縮みの条件を例に説明する。
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