computo ergo sum

2026-10-09 · chapter ヤン–ミルズと質量ギャップ第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む条件 (H1)・命題 H1・六つの節点 · Kiichi, Shiori and Rin

この本の全体 目次と読む順
  1. 第 0 部 入口 — この本の読み方
  2. 0-01 この本の読み方
  3. 0-02 一枚の絵
  4. 0-03 問題文を一語ずつ読む
  5. 0-04 数学の四次元と物理の四次元
  6. 第 1 部 数学の準備
  7. 1-01 ベクトル空間と線形写像
  8. 1-02 群とは何か
  9. 1-03 リー群とリー環
  10. 1-04 SU(2) と SU(3)
  11. 1-05 多様体と接空間
  12. 1-06 微分形式と外微分
  13. 1-07 ベクトル束と接続
  14. 1-08 確率と測度
  15. 1-09 無限次元の確率
  16. 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
  17. 1-11 フーリエ解析と分布
  18. 1-12 寄り道:四次元でだけ起きること
  19. 第 2 部 物理の準備
  20. 2-01 ラグランジアンと作用
  21. 2-02 場という考え
  22. 2-03 電磁気学はゲージ理論である
  23. 2-04 特殊相対論と時空
  24. 2-05 量子力学の骨
  25. 2-06 調和振動子と生成消滅
  26. 2-07 経路積分の考え方
  27. 2-08 統計力学と相転移
  28. 2-09 寄り道:イジング模型で見るギャップと相関長
  29. 2-10 緩和の時間と動的指数 z
  30. 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
  31. 3-01 ゲージ原理
  32. 3-02 非可換ゲージ場
  33. 3-03 作用と方程式
  34. 3-04 幾何としてのゲージ理論
  35. 3-05 インスタントンと位相
  36. 3-06 寄り道:Donaldson とエキゾチック R⁴
  37. 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
  38. 第 4 部 量子化
  39. 4-01 正準量子化とハミルトニアン
  40. 4-02 経路積分とユークリッド化
  41. 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
  42. 4-04 発散と繰り込み
  43. 4-05 発散の代数
  44. 4-06 漸近自由
  45. 4-07 次元転移と Λ
  46. 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
  47. 4-09 場の量子論の公理
  48. 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
  49. 4-11 質量ギャップの定義
  50. 4-12 寄り道:摂動級数は発散する
  51. 第 5 部 格子ゲージ理論
  52. 5-01 Wilson の格子
  53. 5-02 強結合展開
  54. 5-03 反射正値性と転送行列
  55. 5-04 無限体積極限とクラスター展開
  56. 5-05 弱結合と連続極限
  57. 5-06 U(1) と非可換の違い
  58. 5-07 モンテカルロ法
  59. 5-08 グルーボールと弦張力の測定
  60. 5-09 何を固定して極限を取るか
  61. 5-10 有限群の格子ゲージ理論
  62. 5-11 寄り道:Bakry–Émery と一リンク積分
  63. 第 6 部 構成的場の理論
  64. 6-01 構成的場の理論とは
  65. 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
  66. 6-03 スカラー場の構成
  67. 6-04 クラスター展開
  68. 6-05 繰り込み群の段の列
  69. 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
  70. 6-07 四次元
  71. 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
  72. 6-09 確率量子化と正則性構造
  73. 6-10 四次元で止まる場所
  74. 6-11 発散以外の障害
  75. 6-12 寄り道:「1/0 に記号を与えれば」
  76. 第 7 部 物理の側から
  77. 7-01 物理はどう見ているか
  78. 7-02 閉じ込めの機構
  79. 7-03 弦の絵
  80. 7-04 大 N
  81. 7-05 ひも理論と余剰次元
  82. 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
  83. 7-07 ゲージ場はどこから来るか
  84. 7-08 ホログラフィー
  85. 7-09 質量ギャップが幾何になる
  86. 7-10 四次元に戻す
  87. 7-11 超対称と Seiberg–Witten
  88. 7-12 等価原理に当たる一文
  89. 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
  90. 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
  91. 8-01 辞書の読み方
  92. 8-02 辞書 A
  93. 8-03 辞書 B
  94. 8-04 辞書 C
  95. 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
  96. 第 9 部 現在地と課題
  97. 9-01 世界はどこまで来ているか
  98. 9-02 二つの掘り方の切れ目
  99. 9-03 新しい概念の候補
  100. 9-04 課題の一覧
  101. 9-05 よくある誤解
  102. 第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む
  103. 10-00 入口 — 階段と、酔歩・物差し・時計
  104. 10-01 構成の筋と仮定 H
  105. 10-02 四次元格子で試した道と壁
  106. 10-03 階段の四段 — なぜ 0+1 次元から始めるか
  107. 10-04 二重井戸の経路の測度とキンク
  108. 10-05 一段目の言明 — 四条件と命題 4.5
  109. 10-06 (H1) 相の中の局所 Poincaré
  110. 10-07 (H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目
  111. 10-08 計算機援用とは何か — 窓の中の鎖の条件
  112. 10-09 区画の枠組みと道筋 5 の三本の筋
  113. 10-10 迂回策の一覧 — 壊れ方の型
  114. 10-11 (H3)(H4) と芯の定数
  115. 10-12 統合表と依存グラフ
  116. 10-13 Lean の言明と機械検査の限界
  117. 10-14 突き合わせ — 記録の数と既知の数
  118. 10-15 残件と費用 — 定理までの距離
  119. 10-16 主張しないこと
  120. 10-17 ひらめきと小さな問い
  121. 第 11 部 今後の考察 — 仮定 H の先と、別の見方
  122. 11-00 今後の考察 — 入口
  123. 11-01 H を妨げる一つの形 — ほぼ保存される大域の量
  124. 11-02 物差しと座標を選び直す — 保存が壊れる長さ
  125. 11-03 区画の H と局所の H
  126. 11-04 片側の橋はどの H を要るか
  127. 11-05 時間を連続にする — Hamiltonian 格子と真空の測度
  128. 11-06 凸性の代わりに稀さで払う — 群の上の繰り込みと対数 Sobolev
  129. 11-07 四次元だからこそ — 無次元の結合と位相
  130. 11-08 問いと、主張しないこと
  131. 11-A1 第 11 部の記号の対応表
  132. 付録
  133. A-01 記号表
  134. A-02 用語集
  135. A-03 文献案内
  136. A-04 Lean と機械検査
  137. A-05 この本の作り方
  138. A-06 仮定の索引

(H1) 相の中の局所 Poincaré

この章で分かること — 条件 (H1) は、キンクの無い相(経路が一つの谷の側にとどまる配位)に制限した測度の Poincaré 定数が、ℏ\hbar と経路の長さに一様に O(1)O(1) であるという文です。この章では、残したサイトと、その間の 11 サイトの橋に割る二尺度の組み立てで、環の上の版を命題 H1 にします。命題 H1 は ℏ\hbar の六つの節点 {0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005}\{0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005\} で成り立ち、要の不等式(粗い側の余白 ≥0.067\ge0.067)は計算機援用です。節点の間の ℏ\hbar を埋める方法と費用、ℏ<0.005\hbar\lt0.005 と大きな端の値のように別の方法が要る残りを、最後に並べます。

前提となる章 — 10-05(四条件と命題 4.5・五分類の表と依存グラフの書式)・10-04 §06(頂上の台地と凸な芯)・1-10 §07〜§09(Poincaré 不等式)。計算機援用の読み方は 10-08。

先に言うこと — §01 は〔三〕で読める要約で、§02 以降は研究の水準〔研〕です。要約だけを読んで 10-07 へ進めます。命題 H1 は条件 (H1) の証明ではありません。六つの節点の外の ℏ\hbar、端の値 >2.5\gt2.5、箱の中で使う切れ端の版は、仮定の行に残ります。

この章の順序
  1. 要約〔三〕 — 言明・組み立て・命題 H1・残り
  2. 言明と相の測度 — 何が難しいか
  3. 二尺度の組み立て — 残したサイト・橋・入れ子・粗い側の判定・率の代数
  4. 命題 H1 — 六つの節点の余白(表 1)と定数
  5. 五分類の表 — 命題 H1 の行(表 2)
  6. 節点の間の ℏ\hbar — 方法と費用(表 3・表 4)
  7. 残りの行 — 別の方法が要るもの(表 5)
  8. 依存グラフ

01

要約〔三〕

言明。二重井戸の経路の格子(ε=12\varepsilon=\tfrac12)で、全てのサイトを xi≥0x_i\ge0 に制限した測度 μ(+)\mu^{(+)} を考えます。条件 (H1) は「CP(μ(+))C_P(\mu^{(+)}) が ℏ\hbar と長さに依らない定数以下」です。凸な芯の Bakry–Émery は谷の奥(xi≥a>1/3x_i\ge a\gt1/\sqrt3)にしか効かず、谷の中の小旅行は長さ ξ\xi の区間に指数で多く入るので、この測度は凸ではありません(10-04 §06)。

組み立て。12 サイトごとに一つのサイトを残し(粗い側)、その間の 11 サイトを、両端を固定した橋(細かい側)とします。分散を「残したサイトを止めた条件つきの分散」と「その期待値の分散」に分け、細かい側は橋の中をさらに三つの小さな橋と二つのサイトに割って押さえ、粗い側は残したサイトの鎖を一サイトの隙間と隣どうしの結合の強さで判定します。粗い側の判定の要は

ℏρ⏟一サイトの隙間 − 2 ℏκ⏟隣との結合 > 0(1)\underbrace{\hbar\rho}_{\text{一サイトの隙間}}\ -\ 2\,\underbrace{\hbar\kappa}_{\text{隣との結合}}\ \gt\ 0 \tag{1}

という余白の不等式で、これを端の値の全ての組について確かめるのに区間演算を使います。

命題 H1。ℏ\hbar の六つの節点の各点で、端と隣の値 [0,2.5][0,2.5] の全てについて余白 ≥0.067\ge0.067 が計算機援用で確かめられ、残りの行(仮定と既知の定理)の上で CP(μ(+))≤CC_P(\mu^{(+)})\le C、C≤1.6×1010C\le1.6\times10^{10}(紙と区間演算の入力だけ)です。数値の読みを入力にすると C≤658C\le658 です。どちらも環の長さに依りません。

残り。節点の間の ℏ\hbar は、β=1/ℏ\beta=1/\hbar を傾けの三つ目の向きにする方法で部分区間ごとに埋める型ができ、費用は一コアで数十時間の見積もりです。ℏ<0.005\hbar\lt0.005 は部分区間が無限個要るので別の方法(ℏ→0\hbar\to0 の漸近)が要り、端の値 >2.5\gt2.5、定数の鋭さ、箱の中で使う切れ端の版、引いた定理の書誌の確認が残ります。

02

言明と相の測度 — 何が難しいか

相の測度。環 N=12nN=12n サイト(n≥3n\ge3)の格子の作用

S=∑i(xi+1−xi)22ε+ε∑iV(xi),V(x)=(x2−1)28,ε=12(2)S=\sum_i\frac{(x_{i+1}-x_i)^2}{2\varepsilon}+\varepsilon\sum_iV(x_i),\qquad V(x)=\frac{(x^2-1)^2}{8},\qquad \varepsilon=\frac12 \tag{2}

から、全てのサイトで xi≥0x_i\ge0 の配位に制限した測度 μ(+)∝e−S/ℏ1{xi≥0 ∀i}\mu^{(+)}\propto e^{-S/\hbar}\mathbf 1\{x_i\ge0\ \forall i\} を作ります。直交象限は凸なので、壁 xi=0x_i=0 で反射する Langevin 力学(Neumann 条件)の平衡がこの測度です。Dirichlet 形は E(f)=(ℏ/ε)∑iE∣∂if∣2\mathcal E(f)=(\hbar/\varepsilon)\sum_i\mathbb E|\partial_if|^2 です。経路は谷 x=1x=1 の側にとどまり、キンクを持ちません。これが「キンクの無い相」です。

条件 (H1)(環の版)

ある ℏ0>0\hbar_0\gt0 と C<∞C\lt\infty があって、全ての ℏ∈(0,ℏ0]\hbar\in(0,\hbar_0] と全ての nn で Var⁡μ(+)f≤C E(f)\operatorname{Var}_{\mu^{(+)}}f\le C\,\mathcal E(f)。

箱の中で使う版(10-05 §04 段 2 の (H1seg))は、環の代わりに両端の値を持つ長さ ≤Cξ\le C\xi の切れ端で、端の値にも一様であることを求めます。

何が難しいか。三つの素朴な道がどれも ℏ\hbar について指数の損を出します。

数値は (H1) と矛盾しません。壁つきの環の Langevin 力学で磁化の積分自己相関の時間を測ると、ℏ=0.3/0.15/0.1/0.07\hbar=0.3/0.15/0.1/0.07 で 0.86/1.40/1.50/1.390.86/1.40/1.50/1.39 と ℏ\hbar に依らない大きさでした 読(観測量一つの自己相関は Poincaré 定数の下界しか与えず、上界の証拠ではない)。

03

二尺度の組み立て

残したサイトと橋。サイト yj:=x12jy_j:=x_{12j} を残し、yjy_j と yj+1y_{j+1} の間の 11 サイト x12j+1,…,x12j+11x_{12j+1},\dots,x_{12j+11} を、両端を yj,yj+1y_j,y_{j+1} に固定した橋とします。分散を残したサイト yy で分けると

Var⁡μ(+)f=E[Var⁡(f∣y)]+Var⁡(E[f∣y])(3)\operatorname{Var}_{\mu^{(+)}}f=\mathbb E\bigl[\operatorname{Var}(f\mid y)\bigr]+\operatorname{Var}\bigl(\mathbb E[f\mid y]\bigr) \tag{3}

です(行 (T5):分散の分解は初等、使う関数の正則性・稠密性は仮定)。最近接の相互作用なので、yy を止めると橋どうしは独立で、yy の周辺の測度は残したサイトの最近接の鎖です(行 (T2):Markov 性)。

細かい側:橋の中の入れ子。11 サイトの橋は凸ではありません(橋の Hessian の最小固有値は (1/ε)λmin⁡(L11)−ε/2=−0.11(1/\varepsilon)\lambda_{\min}(L_{11})-\varepsilon/2=-0.11)。そこで橋の中のサイト 4 と 8 をもう一段残し、三つの小さな橋(3 サイト)と二つのサイト (x4,x8)(x_4,x_8) に割ります。

三つを入れ子の二尺度の代数で合わせると、橋の隙間は t2−(ρf+λc+κf2/ρf)t+ρfλc=0t^2-(\rho_f+\lambda_c+\kappa_f^2/\rho_f)t+\rho_f\lambda_c=0 の小さい根以上で、λS≥2.3×10−5\lambda_S\ge2.3\times10^{-5} です 初(根の算術)。

粗い側:一サイトの隙間と結合。隣の値 c,dc,d を止めた yjy_j の一次元の条件つきの測度は ∝e−U(t)/ℏ\propto e^{-U(t)/\hbar} で、

U′(t)=εV′(t)+2t−e(c,t)−e(d,t)ε,e(a,b):=Ea,b x11(4)U'(t)=\varepsilon V'(t)+\frac{2t-e(c,t)-e(d,t)}{\varepsilon},\qquad e(a,b):=\mathbb E_{a,b}\,x_{11} \tag{4}

です(Ea,b\mathbb E_{a,b} は両端 a,ba,b の橋の期待値)。その Poincaré の隙間を ℏ\hbar 倍したものを ℏρ(c,d)\hbar\rho(c,d)、橋の両端の結合の強さを

ℏκ(a,b):=Cov⁡a,b(x1,x11)ε2ℏ=1ε ∂ae(a,b) ≥ 0(5)\hbar\kappa(a,b):=\frac{\operatorname{Cov}_{a,b}(x_1,x_{11})}{\varepsilon^2\hbar}=\frac1\varepsilon\,\partial_a e(a,b)\ \ge\ 0 \tag{5}

とします(二つ目の等号は ∂alog⁡Z(a,b)\partial_a\log Z(a,b) を bb で微分する恒等式 初、非負は ee が aa について増えることから 典(FKG の相関不等式))。粗い側の鎖の隙間は、Helffer の判定の Poincaré 版(Ledoux の命題 3.1)を環の Gershgorin の形で使うと、余白

λ:=min⁡c,dℏρ(c,d)−2max⁡a,bℏκ(a,b)(6)\lambda:=\min_{c,d}\hbar\rho(c,d)-2\max_{a,b}\hbar\kappa(a,b) \tag{6}

以上です 典(Ledoux の命題 3.1)初(Gershgorin の形)Leanring_gershgorin(環の二次形式の不等式、仮定:κ≥0\kappa\ge0)。(1) は λ>0\lambda\gt0 のことです。

交差と率の代数。細かい側と粗い側をつなぐ交差の強さは κ2=2(v/ℏ)λS/ε2\kappa^2=2(v/\hbar)\lambda_S/\varepsilon^2、v/ℏ≤2(644/1455+(60/97)2/λc)≤5888v/\hbar\le2\bigl(644/1455+(60/97)^2/\lambda_c\bigr)\le5888 です(行 (T4))初(算術)LeanT4_paper_numeric(仮定:λc≥1.3×10−4\lambda_c\ge1.3\times10^{-4})典(Brascamp–Lieb)。λ\lambda と λS\lambda_S はどちらも平らな Dirichlet 形 ∫∣∇f∣2\int|\nabla f|^2 に対する隙間を ℏ\hbar 倍した単位です。このとき、0≤t<λ0\le t\lt\lambda が

t κ2 ≤ λS(λS−t)(λ−t)(7)t\,\kappa^2\ \le\ \lambda_S(\lambda_S-t)(\lambda-t) \tag{7}

を満たせば CP(μ(+))≤ε/tC_P(\mu^{(+)})\le\varepsilon/t です 初 LeanH1_assembly(仮定に名前をつけた代数:分解 (3)〔hT5〕・細かい側〔hFine、Lean の ρ\rho は本文の λS\lambda_S〕・粗い側の判定の結論〔hLedoux〕・余白 λ≤ℏρ−2ℏκ\lambda\le\hbar\rho-2\hbar\kappa〔hT1〕・0<λ0\lt\lambda・交差〔hT4〕・率の条件 (7))。

組み立ての全体を、分散の分解の木にすると次のとおりです。

Var f = E[Var(f|y)] + Var(E[f|y])                                 (T5:分散の分解)
 ├ 細かい側:y を止めた 11 サイトの橋
 │    └ 入れ子 {4,8}:小さな橋 BE ρ_f=0.922・交差 BL κ_f=1.98・二つのサイト λ_c(T3)→ λ_S
 ├ 粗い側:残したサイトの環(最近接・T2)── Helffer の判定の Poincaré 版(Gershgorin の形)
 │    └ (T1):一サイトの隙間 ħρ(Muckenhoupt・FKG の帯・尾)− 2·結合 ħκ(傾けの Taylor・求積の区間)≥ λ
 └ 交差:κ² = 2(v/ħ)λ_S/ε²(T4 ← T3)
 → 率の条件 tκ² ≤ λ_S(λ_S−t)(λ−t)(H1_assembly)→ C_P ≤ ε/t
04

命題 H1 — 六つの節点の余白と定数

命題 H1(0+1 次元・環の版・仮定の表つき)

V=(x2−1)2/8V=(x^2-1)^2/8、ε=12\varepsilon=\tfrac12、環 N=12nN=12n(n≥3n\ge3)、壁 xi≥0x_i\ge0 の相の測度 μ(+)\mu^{(+)}、残したサイト yj=x12jy_j=x_{12j}、橋の中の入れ子のサイト {4,8}\{4,8\} とする。表 2 の「仮」と「典」の行の下で、ℏ∈{0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005}\hbar\in\{0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005\} の各点で

Var⁡μ(+)f ≤ C E(f),C≤1.6×1010(8)\operatorname{Var}_{\mu^{(+)}}f\ \le\ C\,\mathcal E(f),\qquad C\le1.6\times10^{10} \tag{8}

が nn に依らずに成り立つ。数値の読みを入力にすると C≤658C\le658。

要の行は余白 (6) で、隣と端の値 [0,2.5][0,2.5] の全ての組について、六つの節点で表 1 の値が得られています。

機表 1 節点ごとの粗い側の余白(隣と端の値 [0,2.5]2[0,2.5]^2。ℏρ\hbar\rho は下界、ℏκ\hbar\kappa は上界、外向きに切った値)
ℏ\hbarℏρ≥\hbar\rho\geℏκ≤\hbar\kappa\le余白 ℏρ−2ℏκ≥\hbar\rho-2\hbar\kappa\ge
0.20.77550.03580.7039
0.10.71400.06640.5812
0.050.81210.12220.5677
0.020.88460.26360.3574
0.010.86700.399960.0670
0.0050.921820.418680.0844

区間演算の実装は、float64 の演算に外向きの幅を足す形です(非負の和の丸めを相対 10−1010^{-10}、区間の四則を相対 10−1210^{-12} だけ外へ広げ、e−700e^{-700} を下回る重みは上から置き換え、εV/ℏ>690\varepsilon V/\hbar\gt690 の領域は尾の上界で覆う)。演算ごとに向きを指定した丸めではなく、IEEE の正しい丸めを前提にした幅の上乗せです。この前提は表 2 の行 A1 に同じ行で書きます。六組の値から余白 ≥0.067\ge0.067 が出る算術は LeanT1_margin_six_nodes(仮定なし・数)、一つの節点で区間の出力から余白へ渡る段は T1_node_margin(仮定:区間の出力の二つの不等式と 0.067≤r−2k0.067\le r-2k)です。

区間を節点の連続体へ広げる道具。表 1 は「隣と端の値の全ての組」についての値で、有限個の箱の計算から連続体へ渡すのに三つの補題を使います。

ℏ=0.01\hbar=0.01 と 0.0050.005 で余白を正にした手。ℏ\hbar が小さいと ℏκ\hbar\kappa の上界が膨らみ、粗い計算では ℏ=0.01\hbar=0.01 で 0.6340.634 と余白が負でした。律速は場所ごとに違い、三つの手で下げています。(i) 端の角 (0,0)(0,0) では、補題 K2 の中心化の定数を部分長方形ごとにその範囲の中央値で取り直す(式は任意の中心で正確なので、上界だけが下がる)。(ii) 二次の項は箱の幅 δ\delta の二乗で効くので、δ\delta を半分にする。(iii) 大きい端 (2.5,2.5)(2.5,2.5) では、橋が一歩で井戸へ大きく跳ぶため求積の誤差が律速で、求積の刻みを半分にする。ℏ=0.005\hbar=0.005 では ℏρ\hbar\rho の側の求積を細かくして下界が 0.69450.6945 から 0.921820.92182 へ上がります。表 1 の最後の二行がこれらの手の結果です 機。

定数。(8) の C≤1.6×1010C\le1.6\times10^{10} は、紙と区間演算の入力(λ≥0.067\lambda\ge0.067・λS≥2.3×10−5\lambda_S\ge2.3\times10^{-5}・v/ℏ≤5888v/\hbar\le5888)で率の条件 (7) を t=3.2×10−11t=3.2\times10^{-11} が満たすことからの ε/t\varepsilon/t です 初(算術)LeanH1_rate_paper_six_nodes(仮定なし・数)。二つのサイトの隙間を数値の λc=0.57\lambda_c=0.57 にすると λS≥0.093\lambda_S\ge0.093・v/ℏ≤1.0015v/\hbar\le1.0015 で t=7.6×10−4t=7.6\times10^{-4}、C≤658C\le658 です 読(入力が浮動小数の読み)LeanH1_rate_numeric_six_nodes(仮定なし・数)。二つの値の差の大半は λc\lambda_c の紙の値の弱さから来ます。

05

五分類の表 — 命題 H1 の行

命題 H1 の入力を五分類の書式で一表にします。紙の証明をこの本に置くものは「初」、置かないものは「仮」、区間演算は実装の前提を同じ行に書いて「機」、引く定理は書誌の確かめの水準で「典」か「仮」に分けます。

表 2 命題 H1 の行(ℏ\hbar の範囲の「六節点」は {0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005}\{0.2,0.1,0.05,0.02,0.01,0.005\})
行言明(一行)分類根拠ℏ\hbar の範囲機械検査
A1(T1a) 余白 ℏρ−2ℏκ≥0.067\hbar\rho-2\hbar\kappa\ge0.067(隣と端 [0,2.5]2[0,2.5]^2)機§04 表 1。float64+外向きの幅(相対 10−1010^{-10}・10−1210^{-12})、IEEE の正しい丸めを前提、尾は上界で覆う六節点T1_margin_six_nodes(数)・T1_node_margin(仮定:区間の出力)
A2補題 K2(傾けの二次の Taylor と Hölder の剰余、中心は任意)初§04(Taylor の剰余・Hölder の不等式)ℏ\hbar に依らない—
A3一次元の Poincaré 定数の挟み B≤CP≤4BB\le C_P\le4B(Muckenhoupt)典Barthe–Roberto の定理 1・2 の再述で言明を確認ℏ\hbar に依らない—
A4e(c,t)e(c,t) の単調性と ℏκ≥0\hbar\kappa\ge0(MTP2 の相関不等式)典Karlin–Rinott の命題 2.1(Fallat ほかの命題 3.5 の再述で確認)ℏ\hbar に依らない—
A5尾の補題に使う Holley の比較の連続版仮§04(原典の定理番号は未確認)六節点—
A6Helffer の判定の Poincaré 版(粗い側の鎖の隙間 ≥λ\ge\lambda)典Ledoux の命題 3.1(原典の本文で確認)ℏ\hbar に依らない—
A7環の Gershgorin の形初§03 (6)ℏ\hbar に依らないring_gershgorin(仮定:κ≥0\kappa\ge0)
A8(T2) 残したサイトの周辺は最近接の鎖初§03(Markov 性)ℏ\hbar に依らない—
A9(T3) 二つのサイトの隙間 λc≥1.3×10−4\lambda_c\ge1.3\times10^{-4}(端 [0,4]2[0,4]^2)機§03。区間演算(多倍長の区間と float64+外向きの幅)(0,0.2](0,0.2]—
A10(T3) の箱の被覆に使う Poincaré–Miranda の定理仮原典の言明は未確認(書誌だけ)(0,0.2](0,0.2]—
A11入れ子:小さな橋 ρf=0.922\rho_f=0.922(Bakry–Émery)初§03(曲率の下界。Bakry–Émery は Kolesnikov–Milman の定理 1.2 で典)ℏ\hbar に依らない—
A12入れ子:交差 κf=1.98\kappa_f=1.98・(T4) の交差(Brascamp–Lieb)典Brascamp–Lieb の定理 4.1(再述で確認)・凸な領域は Kolesnikov–Milmanℏ\hbar に依らない—
A13(T4) v/ℏ≤5888v/\hbar\le5888・λS≥2.3×10−5\lambda_S\ge2.3\times10^{-5} の算術初§03(0,0.2](0,0.2]T4_paper_numeric(仮定:λc≥1.3×10−4\lambda_c\ge1.3\times10^{-4})
A14(T5) 分散の分解 (3)初§03ℏ\hbar に依らない—
A15(T5) 使う関数の正則性・稠密性仮§03(原典で確かめていない)——
A16率の代数 (7) ⟹ CP≤ε/tC_P\le\varepsilon/t初§03ℏ\hbar に依らないH1_assembly(仮定は §03 の名前つきの七つ)
A17C≤1.6×1010C\le1.6\times10^{10}初§04(A1・A9・A13 の値からの算術)六節点H1_rate_paper_six_nodes(数)
A18C≤658C\le658読§04(λc=0.57\lambda_c=0.57 は浮動小数)六節点H1_rate_numeric_six_nodes(数)
B1(T1b) 隣と端 >2.5\gt2.5仮§07——
B2(T1c) 節点の間の ℏ\hbar仮§06(方法と費用)(0.005,0.2)(0.005,0.2) の節点の外—
B3(T1c) ℏ<0.005\hbar\lt0.005仮§07——
B4(T3d) 二つのサイトの端 >4\gt4仮§07——
B5(H1seg) 環から切れ端(端の値つき)へ仮§07(判定の鎖の版への写しは読み)——

表 2 の「機」の行 A1・A9 は、計算した節点と範囲の中の不等式です。範囲の外の ℏ\hbar と端の値については何も言わず、それを受け持つのが B1〜B5 の「仮」の行です。

06

節点の間の ℏ\hbar — 方法と費用

命題 H1 は六つの点の文です。条件 (H1) は ℏ\hbar の連続体の文なので、点の間を埋める必要があります。この節は、そのための方法と、方法を一つの部分区間で試した結果と、全域の費用の見積もりを述べます。

(a) β\beta を傾けの三つ目の向きに。β=1/ℏ\beta=1/\hbar は測度 e−βSe^{-\beta S} に重みの指数として入るだけなので、ℏ\hbar の区間 [ℏ1,ℏ2][\hbar_1,\hbar_2] を β\beta の区間 [βlo,βhi][\beta_{\rm lo},\beta_{\rm hi}] と見て、補題 K2 の端の値の二つの向きの傾けに、三つ目の向き(観測量 −S-S)を足します。余白 (6) の中で β\beta が入る所は六つ(重み・傾けの幅・前因子・求積の刻み・尾・単調性の帯)で、どれも区間のどちらの端で最悪になるかが決まります 初。一歩の比 r=βhi/βlor=\beta_{\rm hi}/\beta_{\rm lo} の目安は、作用の揺らぎ Var⁡(βS)\operatorname{Var}(\beta S)(橋の自由度のほぼ半分、11/211/2 の近く 読)から r≈1.17r\approx1.17 で、ℏ∈[0.005,0.2]\hbar\in[0.005,0.2] は 24 の部分区間で覆えます 初(0.2/1.1724≤0.0050.2/1.17^{24}\le0.005)Leannodes_reach_117(仮定なし・数)。

(b) 弦の形は壊れる。端の値 (a,b)(a,b) を止めると f(β)=ℏκ(a,b;1/β)f(\beta)=\hbar\kappa(a,b;1/\beta) は β\beta について滑らかで、二階微分の下界 f′′≥−Cf''\ge-C から弦の上界

f(β) ≤ max⁡(K2(βlo),K2(βhi))+(βhi−βlo)28 sup⁡∣f′′∣(9)f(\beta)\ \le\ \max\bigl(K2(\beta_{\rm lo}),K2(\beta_{\rm hi})\bigr)+\frac{(\beta_{\rm hi}-\beta_{\rm lo})^2}{8}\,\sup|f''| \tag{9}

が出ます 初 Leanchord_beta_upper(仮定:f∈C2f\in C^2・f′′≥−Cf''\ge-C・0≤C0\le C・βlo≤βhi\beta_{\rm lo}\le\beta_{\rm hi}・端の上界)。ところが f′′f'' は連結したキュムラントで、絶対値の積(Hölder)で押さえると真の値の 5×1035\times10^3〜1.8×1061.8\times10^6 倍になり 読、r=1.17r=1.17 では剰余が 0.250.25〜0.640.64 と、許される量を大きく超えます Leanholder_r117_exceeds(数)。

(c) 段ごとの型(区間で ℏ\hbar を持つ型)。規格化しない積分 JX(β)=∫Xe−βHdxJ_X(\beta)=\int Xe^{-\beta H}dx(X≥0X\ge0 は端の観測量の積の重み)を β\beta の三点で求め、二次式で補間します。補間の誤差は ∣ω(τ)∣/6⋅sup⁡∣JX′′′∣|\omega(\tau)|/6\cdot\sup|J_X'''|、max⁡∣ω∣=2Δ3/(33)\max|\omega|=2\Delta^3/(3\sqrt3) です 初(ω\omega は三つの節点で 0 になる三次式。g(t)=JX(t)−pX(t)−Kω(t)g(t)=J_X(t)-p_X(t)-K\omega(t) が補間の三点と τ\tau の四点で 0 になるように KK を選ぶと、Rolle の定理を三回使って g′′′g''' が零点を持ち、K=JX′′′(η)/6K=J_X'''(\eta)/6)。三階微分は ∣y∣3≤c3(λ+)eλ+y+c3(λ−)e−λ−y|y|^3\le c_3(\lambda_+)e^{\lambda_+y}+c_3(\lambda_-)e^{-\lambda_-y} と JXJ_X の対数凸性で、ずらした四つの β\beta の積分の端の最大で押さえます 初。β\beta の区間をさらに小片に割ると、各小片の上で期待値は一次分数の形になり、その値は小片の両端の値の間にあるので、区間の hull で包めます 初 Leanmobius_between(仮定:分母が小片の両端で正)・lebesgue_le(仮定:∣u∣≤1|u|\le1)・cube_le_exp_split(仮定:λ±>0\lambda_\pm\gt0)。この型は単調性を一度も使いません。剰余は打ち消しを要しない生の積分の三次の量で入り、(b) の Hölder の損は現れません。

(d) 一つの部分区間での試し。ℏ∈[0.008547,0.01]\hbar\in[0.008547,0.01](r=1.17r=1.17)、端の値の長方形 [0,0.18]2[0,0.18]^2 で (c) を区間演算で走らせた結果が表 3 です 機(表 1 と同じ実装の前提)。

機表 3 一つの部分区間の試し(ℏ∈[0.008547,0.01]\hbar\in[0.008547,0.01]・長方形 [0,0.18]2[0,0.18]^2・最大の箱の値)
量値読み方
点 ℏ=0.01\hbar=0.01 の上界(照合)0.18996表 1 の計算と五桁で一致
部分区間の上界(剰余を含む)0.23638点の上界からの膨らみ +0.0464+0.0464
剰余の分0.00968一様な取り分 0.03350.0335 の内
膨らみの内訳—節点の上界が β\beta とともに増える分 48%・補間と小片の hull 31%・剰余 21%

取り分。ℏ=0.01\hbar=0.01 の部分区間で要るのは、全ての箱で「点の上界+膨らみ ≤ℏρ/2=0.4335\le\hbar\rho/2=0.4335」です。全ての箱に同じ量を許すと、最悪の箱(上界 0.399960.39996)が決める一様な取り分は 0.4335−0.39996≈0.03350.4335-0.39996\approx0.0335 で、表 3 の膨らみ 0.04640.0464 はこれを超えます。一方、表 3 の長方形の中の箱の取り分は 0.4335−0.19≈0.240.4335-0.19\approx0.24 で、その内に入ります。

律速。剰余ではなく、節点の上界そのものが β\beta とともに増える分(求積の幅が β\beta で広がる)が律速です。最悪の箱の上界 0.399960.39996 は大半が求積の幅で、同じ箱の浮動小数の値は 0.00760.0076 です 読。この箱を含む帯を細かい求積で計算し直すと、箱の上界は 0.07510.0751 に下がりますが 機、全域の最大は 0.399710.39971 にしか下がりません。上界が 0.190.19 を超える箱が、端の値の正方形の四辺に沿った額縁に約 3.2 万個、粗い設定のまま残っているからです。

費用。全域 ℏ∈[0.005,0.2]\hbar\in[0.005,0.2] の見積もりが表 4 です(一コアの計算時間・どれもまだ走らせていない見積もり)。部分区間一つの費用は点の計算の約 3.4 倍(表 3 の試しの実測)、ℏ\hbar が小さいほど一点の費用は大きくなります。

表 4 節点の間を埋める費用の見積もり(ℏκ\hbar\kappa の側。ℏρ\hbar\rho の側は別に要る)
道前提rr部分区間計算時間
額縁を細かい求積で計算し直してから額縁の点の上界が 0.3180.318 以下に下がること(未計算)1.1724約 23〜39 時間(+額縁の計算し直し 30〜50 分)
点の上界は今のまま(膨らみが足し算で効く模型)表 3 の膨らみが箱によらない1.1233約 22 時間
点の上界は今のまま(膨らみが掛け算で効く模型)表 3 の比 1.3631.363 が箱によらない1.0494約 63 時間

二つの模型のどちらが正しいかは、一つの長方形の試しからは決まりません。額縁を先に計算し直す道は、額縁の上界が 0.3180.318 を割れば模型によらず r=1.17r=1.17 で通るので、費用の見積もりの幅も狭めます。ℏρ\hbar\rho の側(一次元の測度・自由度 23)は、同じ目安で r≈1.12r\approx1.12・33 の部分区間と読まれます 読。

正確には、表 3 は一つの部分区間の一つの長方形の結果で、その部分区間を閉じたことにはなりません。部分区間を閉じるには、その部分区間で全ての長方形を (c) の型で計算する必要があります。

07

残りの行 — 別の方法が要るもの

命題 H1 から条件 (H1) へ、また箱の中で使う (H1seg) へ進むのに残る行を、表 5 に並べます。費用の欄は、見積もりがあるものだけに書きます。

表 5 (H1) の残りの行
行中身いまの状態要るもの
(H1-a)節点の間の ℏ∈(0.005,0.2)\hbar\in(0.005,0.2)§06 の方法の型ができ、一つの部分区間の一つの長方形で試した額縁の計算し直しと、全ての部分区間・全ての長方形の計算(表 4)。ℏρ\hbar\rho の側も同じ型で
(H1-b)ℏ<0.005\hbar\lt0.005計算機援用の型は使えない:比 rr を一定にすると部分区間の数 ln⁡(0.005/ℏ)/ln⁡r\ln(0.005/\hbar)/\ln r が ℏ→0\hbar\to0 で無限に増え、一つの費用も増えるℏ→0\hbar\to0 の漸近で一様な議論(別の方法)
(H1-c)隣と端の値 >2.5\gt2.5単調性で覆う道は閉じている:FKG が与えるのは尤度比の順序で、隙間は単調にならない(命題 D)。また e(c,t)e(c,t) は cc について有界でない(c3−11c^{3^{-11}} の速さで増える)大きい隣で一次元の UU が一様に凸になることの紙の議論。有限の範囲 [2.5,4][2.5,4] は ℏ≥0.05\hbar\ge0.05 なら同じ計算で覆える見込み
(H1-d)定数の鋭さ紙の入力で 1.6×10101.6\times10^{10}、数値の入力で 658。差は二つのサイトの隙間 λc\lambda_c の紙の値の弱さが担う(T3) の組み直し。条件 (H1) の言明には定数の大きさは要らない(ℏ\hbar に依らないことだけが要る)
(H1-e)切れ端の版 (H1seg)命題 H1 は環の言明。箱の中では両端の値を持つ切れ端が要る判定の鎖の版(環より隣が少ない)への写し。いまは読みの水準
(H1-f)引いた定理の書誌Muckenhoupt・FKG は二次資料の再述で言明を確認、Ledoux は原典で確認。Holley の連続版の定理番号と Poincaré–Miranda の定理の原典は未確認原典の取得。取れなければ「仮」のまま(表 2 の A5・A10)

命題 D は否定の型の小さな命題です。二点 {0,1}\{0,1\} の測度 (1−p,p)(1-p,p) の分散 p(1−p)p(1-p) は、pp を尤度比の順序で上げても単調ではありません(3/16<1/4>3/163/16\lt1/4\gt3/16)初 Leantilt_variance_not_monotone(仮定なし・数)。対称な二重井戸を一次で傾けた族でも同じで、FKG だけからは「隙間が隣について単調」は出ません。

08

依存グラフ — 命題 H1

表 2 の行を、10-05 §07 と同じ書式で節点の一覧にします。前提の番号は結論の番号より必ず小さく置きます。

[01] 機 A1   (T1a) 余白 ≥ 0.067(隣と端 [0,2.5]²)                 六節点
[02] 初 A2   補題 K2(傾けの Taylor・中心は任意)                    ħ に依らない
[03] 典 A3   Muckenhoupt の挟み B ≤ C_P ≤ 4B                         ħ に依らない
[04] 典 A4   MTP₂ の相関不等式(e の単調性・ħκ ≥ 0)                 ħ に依らない
[05] 仮 A5   Holley の比較の連続版(尾の補題)                       六節点
[06] 典 A6   Helffer の判定の Poincaré 版(Ledoux 命題 3.1)           ħ に依らない
[07] 機 A9   (T3) λ_c ≥ 1.3×10⁻⁴(端 [0,4]²)                         (0,0.2]
[08] 仮 A10  Poincaré–Miranda の定理                                  (0,0.2]
[09] 典 A12  Brascamp–Lieb(交差 κ_f・(T4))                          ħ に依らない
[10] 仮 A15  (T5) 正則性・稠密性                                      —
[11] 初 A8   (T2) 残したサイトは最近接の鎖                            ħ に依らない
[12] 初 A14  (T5) 分散の分解 (3) ⟸ [10]                               ħ に依らない
[13] 初 余白 λ の連続体の文 ⟸ [01][02][03][04][05]                   六節点
                Lean T1_margin_six_nodes(数)・T1_node_margin(仮定:区間の出力)
[14] 初 A7   粗い側の隙間 ≥ λ(Gershgorin)⟸ [06][11][13]             六節点
                Lean ring_gershgorin(仮定:κ ≥ 0)
[15] 初 A11  入れ子 λ_S ≥ 2.3×10⁻⁵ ⟸ [07][08][09]                    (0,0.2]
[16] 初 A13  (T4) v/ħ ≤ 5888 ⟸ [07][09]                               (0,0.2]
                Lean T4_paper_numeric(仮定:λ_c ≥ 1.3×10⁻⁴)
[17] 初 A16  率の代数 C_P ≤ ε/t ⟸ [12][14][15][16]                    六節点
                Lean H1_assembly(仮定:hT5・hFine・hLedoux・hT1・0 < λ・hT4・率の条件)
[18] 初 A17  命題 H1:C ≤ 1.6×10¹⁰ ⟸ [17]                             六節点
                Lean H1_rate_paper_six_nodes(数)

どの「⟸」の行でも右の番号が左より小さいので、円はありません。葉のうち「仮」は [05][08][10]、「機」は [01][07] です。数値の入力による C≤658C\le658(行 A18)は [17] の代数に読みの値を入れたもので、このグラフの結論 [18] には入りません。表 2 の B1〜B5 の行は命題 H1 の前提ではなく、命題 H1 から条件 (H1) と (H1seg) へ進むための行で、統合のグラフ(10-12)で [18] と条件 (H1) の節点の間に入ります。

この章の組み立ては、仮定 H を取っ掛かりとした一段目の中の一つの条件の扱い方です。別の視点は第 11 部で扱います。


この章が言えている範囲

言えている言えていない
機 六つの節点で、隣と端 [0,2.5]2[0,2.5]^2 の全てについて余白 ≥0.067\ge0.067(表 1、実装の前提つき)。二つのサイトの隙間 λc≥1.3×10−4\lambda_c\ge1.3\times10^{-4}節点の間の ℏ\hbar、ℏ<0.005\hbar\lt0.005、ℏ>0.2\hbar\gt0.2。隣と端 >2.5\gt2.5
初 二尺度の組み立ての代数と率の条件 (7)、命題 H1 の定数 1.6×10101.6\times10^{10}(表 2 の仮定の行の上)Lean(仮定は表 2)条件 (H1) そのもの(ℏ\hbar の連続体で一様な文)。切れ端の版 (H1seg)
典 Muckenhoupt の挟み・MTP2 の相関不等式・Helffer の判定の Poincaré 版・Bakry–Émery・Brascamp–LiebHolley の比較の連続版と Poincaré–Miranda の定理の原典での確認(表 2 の A5・A10 は仮)
読 数値の入力での C≤658C\le658、壁つきの相の自己相関の時間、節点の間の一歩の比の目安これらを上界に使うこと
節点の間を埋める方法の型と、一つの部分区間の一つの長方形の試し(表 3)・費用の見積もり(表 4)部分区間を一つでも閉じたこと。表 4 の時間は見積もりで、走らせた時間ではない

出典と再現

もの種別出典・道具
一次元の Poincaré 定数の挟み典B. Muckenhoupt, Studia Math. 44 (1972) 31–38(書誌)。言明は F. Barthe, C. Roberto, Potential Anal. 29 (2008) 167–193, arXiv:math/0612026 の定理 1・2 で確認。
MTP2 の相関不等式・Holley の比較典・仮S. Karlin, Y. Rinott, J. Multivariate Anal. 10 (1980) 467–498 の命題 2.1(S. Fallat ほか, Ann. Statist. 45 (2017), arXiv:1510.01290 の命題 3.5 の再述で確認)。R. Holley, CMP 36 (1974) 227–231(連続版の定理番号は未確認)。
Helffer の判定の Poincaré 版典M. Ledoux, Sém. Probab. XXXV, LNM 1755 (2001) 167–194 の命題 3.1(本文で確認)。原典 B. Helffer, Ann. IHP Probab. Statist. 35 (1999) 483–508。
Bakry–Émery・Brascamp–Lieb典D. Bakry, M. Émery, LNM 1123 (1985);H. J. Brascamp, E. H. Lieb, J. Funct. Anal. 22 (1976) 366–389;凸な領域は A. V. Kolesnikov, E. Milman, J. Geom. Anal. 27 (2017), arXiv:1310.2526 の定理 1.2。
Poincaré–Miranda の定理仮W. Kulpa, Amer. Math. Monthly 104 (1997) 545–550(書誌だけ。言明は未確認)。
表 1・表 3 の区間の値機記録の区間演算(float64+外向きの幅、表 2 の A1 の前提)。独立な経路(台形則・別の刻み)の浮動小数の値が、各長方形の無作為の箱と最大の箱で全て上界の下にあることを照合。
表 4 の費用見積もり表 3 の試しの実測(部分区間一つが点の約 3.4 倍)と、節点ごとの計算時間の ℏ\hbar 依存の当てはめからの見積もり。
組み立ての代数・数初・Lean定理 H1_assembly・ring_gershgorin・T1_margin_six_nodes・T1_node_margin・T4_paper_numeric・H1_rate_paper_six_nodes・H1_rate_numeric_six_nodes・min_of_two_upper・symm_upper・tilt_variance_not_monotone・chord_beta_upper・holder_r117_exceeds・nodes_reach_117・mobius_between・lebesgue_le・cube_le_exp_split(仮定は本文と表 2 の各行)。言明の一覧は 10-13。

この章で使った語 — 相(キンクの無い相)・残したサイト・橋・入れ子・Helffer の判定・余白・節点・部分区間・取り分・膨らみ・額縁・切れ端の版 (H1seg)・計算機援用・区間演算。意味は A-02 用語集 にあります。

次に読む章:10-07 (H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目 — 鞍点の族に沿う輸送 (H2) を七つの道筋に割った地図と、環の継ぎ目(外の鎖は窓の全体で閉じ、内の鎖は有限の係数)を一枚にする。

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改訂 2026-10-09:初版。