computo ergo sum

2026-10-09 · chapter ヤン–ミルズと質量ギャップ第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む突き合わせ・既知の定理との距離・書誌 · Kiichi, Shiori and Rin

この本の全体 目次と読む順
  1. 第 0 部 入口 — この本の読み方
  2. 0-01 この本の読み方
  3. 0-02 一枚の絵
  4. 0-03 問題文を一語ずつ読む
  5. 0-04 数学の四次元と物理の四次元
  6. 第 1 部 数学の準備
  7. 1-01 ベクトル空間と線形写像
  8. 1-02 群とは何か
  9. 1-03 リー群とリー環
  10. 1-04 SU(2) と SU(3)
  11. 1-05 多様体と接空間
  12. 1-06 微分形式と外微分
  13. 1-07 ベクトル束と接続
  14. 1-08 確率と測度
  15. 1-09 無限次元の確率
  16. 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
  17. 1-11 フーリエ解析と分布
  18. 1-12 寄り道:四次元でだけ起きること
  19. 第 2 部 物理の準備
  20. 2-01 ラグランジアンと作用
  21. 2-02 場という考え
  22. 2-03 電磁気学はゲージ理論である
  23. 2-04 特殊相対論と時空
  24. 2-05 量子力学の骨
  25. 2-06 調和振動子と生成消滅
  26. 2-07 経路積分の考え方
  27. 2-08 統計力学と相転移
  28. 2-09 寄り道:イジング模型で見るギャップと相関長
  29. 2-10 緩和の時間と動的指数 z
  30. 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
  31. 3-01 ゲージ原理
  32. 3-02 非可換ゲージ場
  33. 3-03 作用と方程式
  34. 3-04 幾何としてのゲージ理論
  35. 3-05 インスタントンと位相
  36. 3-06 寄り道:Donaldson とエキゾチック R⁴
  37. 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
  38. 第 4 部 量子化
  39. 4-01 正準量子化とハミルトニアン
  40. 4-02 経路積分とユークリッド化
  41. 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
  42. 4-04 発散と繰り込み
  43. 4-05 発散の代数
  44. 4-06 漸近自由
  45. 4-07 次元転移と Λ
  46. 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
  47. 4-09 場の量子論の公理
  48. 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
  49. 4-11 質量ギャップの定義
  50. 4-12 寄り道:摂動級数は発散する
  51. 第 5 部 格子ゲージ理論
  52. 5-01 Wilson の格子
  53. 5-02 強結合展開
  54. 5-03 反射正値性と転送行列
  55. 5-04 無限体積極限とクラスター展開
  56. 5-05 弱結合と連続極限
  57. 5-06 U(1) と非可換の違い
  58. 5-07 モンテカルロ法
  59. 5-08 グルーボールと弦張力の測定
  60. 5-09 何を固定して極限を取るか
  61. 5-10 有限群の格子ゲージ理論
  62. 5-11 寄り道:Bakry–Émery と一リンク積分
  63. 第 6 部 構成的場の理論
  64. 6-01 構成的場の理論とは
  65. 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
  66. 6-03 スカラー場の構成
  67. 6-04 クラスター展開
  68. 6-05 繰り込み群の段の列
  69. 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
  70. 6-07 四次元
  71. 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
  72. 6-09 確率量子化と正則性構造
  73. 6-10 四次元で止まる場所
  74. 6-11 発散以外の障害
  75. 6-12 寄り道:「1/0 に記号を与えれば」
  76. 第 7 部 物理の側から
  77. 7-01 物理はどう見ているか
  78. 7-02 閉じ込めの機構
  79. 7-03 弦の絵
  80. 7-04 大 N
  81. 7-05 ひも理論と余剰次元
  82. 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
  83. 7-07 ゲージ場はどこから来るか
  84. 7-08 ホログラフィー
  85. 7-09 質量ギャップが幾何になる
  86. 7-10 四次元に戻す
  87. 7-11 超対称と Seiberg–Witten
  88. 7-12 等価原理に当たる一文
  89. 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
  90. 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
  91. 8-01 辞書の読み方
  92. 8-02 辞書 A
  93. 8-03 辞書 B
  94. 8-04 辞書 C
  95. 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
  96. 第 9 部 現在地と課題
  97. 9-01 世界はどこまで来ているか
  98. 9-02 二つの掘り方の切れ目
  99. 9-03 新しい概念の候補
  100. 9-04 課題の一覧
  101. 9-05 よくある誤解
  102. 第 10 部 質量ギャップの証明へ向けて — 階段の一段目を組む
  103. 10-00 入口 — 階段と、酔歩・物差し・時計
  104. 10-01 構成の筋と仮定 H
  105. 10-02 四次元格子で試した道と壁
  106. 10-03 階段の四段 — なぜ 0+1 次元から始めるか
  107. 10-04 二重井戸の経路の測度とキンク
  108. 10-05 一段目の言明 — 四条件と命題 4.5
  109. 10-06 (H1) 相の中の局所 Poincaré
  110. 10-07 (H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目
  111. 10-08 計算機援用とは何か — 窓の中の鎖の条件
  112. 10-09 区画の枠組みと道筋 5 の三本の筋
  113. 10-10 迂回策の一覧 — 壊れ方の型
  114. 10-11 (H3)(H4) と芯の定数
  115. 10-12 統合表と依存グラフ
  116. 10-13 Lean の言明と機械検査の限界
  117. 10-14 突き合わせ — 記録の数と既知の数
  118. 10-15 残件と費用 — 定理までの距離
  119. 10-16 主張しないこと
  120. 10-17 ひらめきと小さな問い
  121. 第 11 部 今後の考察 — 仮定 H の先と、別の見方
  122. 11-00 今後の考察 — 入口
  123. 11-01 H を妨げる一つの形 — ほぼ保存される大域の量
  124. 11-02 物差しと座標を選び直す — 保存が壊れる長さ
  125. 11-03 区画の H と局所の H
  126. 11-04 片側の橋はどの H を要るか
  127. 11-05 時間を連続にする — Hamiltonian 格子と真空の測度
  128. 11-06 凸性の代わりに稀さで払う — 群の上の繰り込みと対数 Sobolev
  129. 11-07 四次元だからこそ — 無次元の結合と位相
  130. 11-08 問いと、主張しないこと
  131. 11-A1 第 11 部の記号の対応表
  132. 付録
  133. A-01 記号表
  134. A-02 用語集
  135. A-03 文献案内
  136. A-04 Lean と機械検査
  137. A-05 この本の作り方
  138. A-06 仮定の索引

突き合わせ — 記録の数と既知の数

この章で分かること — 一段目の四つの条件のそれぞれについて、最も近い既知の定理がどこまで届き、どこで止まるか。一段目で引いた既知の定理の言明を原典・二次資料で確かめた結果の要約と、確かめる前に起きていたずれの型。陽性対照として使った既知の数(閉じた式)と記録の数を一行ずつ並べ、一致・条件つきの一致・不一致・比べられないに分けます。四次元格子の側の十九行の照合は、そのまま残します。

前提となる章 — 10-05 §05(既知の定理が届く所)・10-12(統合表)・10-13 §07(規約の翻訳)。

先に言うこと — 水準は〔三〕です。数が合うことは、仮定が正しいことも質量ギャップが在ることも示しません。合った数の多くは、既知の値を別の道で計算し直した確かめです。この部は仮定 H を検討の軸に置いた部で、この章はその組み立てに使った数と道具を、外の数と道具に照らします。

この章の順序
  1. 突き合わせの約束 — 四つの判定と、そろえる三つのこと
  2. 既知の定理との距離 — 条件ごとに最も近い既知の結果と、何が違うか(表 1)
  3. 書誌の確かめの要約 — 主要な引用の支えと、ずれの型(表 2)
  4. 記録の数と既知の数 — 陽性対照に使った閉じた式との照合(表 3)
  5. 比べられない行 — 照合の相手が無い数
  6. 四次元格子の側の十九行 — 照合の一表(表 4)
  7. 外の文書から学んだ依存グラフの見方 — 二つの型

01

突き合わせの約束 — 四つの判定と、そろえる三つのこと

判定は四つです。

比べる前に三つをそろえます。規約(同じ CPC_P が Dirichlet 形の正規化で値を変える、10-13 の表 4)、条件(格子の刻み ε\varepsilon・境界・模型の中か外か)、数の種類(閉じた式・計算機援用の上界・浮動小数の読み・族の下界)です。とくに一段目では、照合の相手が「閉じた式で答えの分かる模型」であることが多く、そこで合うことは道具が正しく動くことの確かめ(陽性対照)で、二重井戸の上の主張の確かめではありません。

02

既知の定理との距離 — 条件ごとに

10-05 の表 1 は命題 4.5 全体について既知の定理の届く所を並べました。表 1 はそれを条件ごとに割り、各条件で最も近い既知の結果と、何が違うかを一行で書いたものです。

表 1 条件ごとに最も近い既知の結果(分類は既知の定理を引く行の分類。本文で言明を確かめたもの)
条件最も近い既知の結果届く所何が違うか分類
(H1) 相の中の局所 PoincaréHelffer の判定の Poincaré 版(Ledoux の命題 3.1)・凸な領域の Bakry–Émery(Kolesnikov–Milman の定理 1.2)粗い側の鎖と細かい側の橋の二尺度の組み立て、谷の奥の凸な芯判定の入力(余白・二つのサイトの隙間)が ℏ\hbar の節点ごとの値で、ℏ\hbar に一様な入力は与えない典
(H2) 鞍点の族に沿う輸送Eyring–Kramers の Poincaré 版(Menz–Schlichting の補題 2.4・定理 2.9・2.12)Morse 関数の谷の間の隙間の漸近と前因子次元を止める:定数が次元に一様でなく、キンクの平行移動のような退化した鞍点の族は仮定の外典
(H2) 同上区間を止めた確率的 Allen–Cahn の Eyring–Kramers(Di Gesù–Le Peutrec・Brooks–Di Gesù)区間の長さを分岐の閾の手前に止めた隙間の漸近族を除く:区間を無限に長くする体制と平行移動の族は、著者自身が範囲の外と明記典
(H3) 箱への帰着Glauber 力学の箱の力学(Martinelli の講義の命題 3.4・3.5)全体の隙間を箱の力学と箱の中の隙間で押さえる型離散のスピン・全変動の結合の形。一次元・L2L^2・最大相関の形への書き直しは本書の側(10-11 §02)典(型)
(H4) 箱の中の隙間一次元 Ising の Glauber 力学の閉じた式・単一の界面の拡散(Bertini–Brassesco–Buttà の定理 2.1)固定の端の箱の隙間の式、キンク一本の位置の拡散係数 DD前者は離散のスピンで、縮約したキンクの気体がその型に入ることは仮定 (KG)。後者は過程の水準の文で、多キンクの箱の隙間の文ではない仮(閉じた式は原典を確かめていない)・典
全体(体積に一様)体積に一様な判定法(Bauerschmidt–Dagallier の定理 2.1)経路の格子にそのまま当たり、長さに一様な上界体積に一様だが二重指数:値は CP≤ecξC_P\le e^{c\xi}(c≈1.4→1.8c\approx1.4\to1.8、ε=0.25\varepsilon=0.25・ℏ=0.4→0.1\hbar=0.4\to0.1 の読み)で、ξ\xi が ℏ\hbar について指数で伸びるので ℏ\hbar について二重指数。冪の H に届かない典・読(値)
全体(同じ型の定理の類例)階層的 ∣φ∣44|\varphi|^4_4 の力学の隙間(Bauerschmidt–Bodineau)隙間が自由場と同じ冪で(対数の補正つきで)消えるという、冪の H と同じ型の定理階層的:入れ子の箱の模型で、格子の模型そのものでも二重井戸の経路の測度でもない。この型の問いが数学として立つ証拠として引く(10-01 §06)典

表 1 から、既知の道具は「次元を止めた谷の間の漸近」「一本のキンク」「体積に一様だが粗い上界」「別の模型での同じ型の定理」の四か所にあり、長い経路の上でキンクの気体の拡散の時間 ξ2/D\xi^2/D まで鋭い上界を与える定理は、探した範囲で見当たりません。どの行も、四つの条件の一つを丸ごと既知の定理に置き換えることはできず、条件の中の段(判定法・型・係数)を引く形になります。

03

書誌の確かめの要約 — 支えと、ずれの型

一段目の四つの条件の仮定の表で「既知の定理を引く」とした行を全て拾い、原典か、言明を再述した二次資料で確かめました。拾った項目は 55 で、そのうち条件の表の列に直接入る主要な項目が 26 です。表 2 は主要な 26 の行き先です。

表 2 主要な引用 26 の行き先(確かめの水準。「仮定に改めた」は、引用の行でなく仮定の行として名を改めたもの)
行き先項目中身
原典の本文で言明を確かめた4Helffer の判定の Poincaré 版(Ledoux)・凸な領域の Bakry–Émery と Brascamp–Lieb(Kolesnikov–Milman の一つの定理で)・Sturm の振動定理
二次資料の再述で言明を確かめた8Muckenhoupt の挟み(Barthe–Roberto の形)・MTP2 の相関不等式(Karlin–Rinott)・Lyapunov と局所 Poincaré の型・指数分布の Poincaré 定数・IMS の局所化・bathtub の原理・可逆な鎖の nn 歩の最大相関・ガウスの最大相関
本書の中で証明を置く(初等)7分散の分解とその周りの段・min-max の向き・基底状態変換(部分積分)・二つの射影の補題・Efron–Stein の型
原典の取得が要る4Poincaré–Miranda の定理・箱の上の重みつき Neumann 作用素の正則性・確率的単調性(Herbst–Pitt)・R\mathbb R の上の正の積分核の主固有値
仮定に改めた3交差項 (X)・キンクの気体の型 (KG)・壁の上の最小点の Eyring–Kramers (ΔScore)
計26支えのあるもの 19(上の三行)

取得が要る 4 項目は、統合表では「仮」の行(10-12 表 1 の [010]・[024]・P0 の一部など)として数えています。原典の本文で確かめられない引用は「典」に入れない、というのがこの部の規則(10-00 §01)です。

ずれの型 — 設定の一語。確かめる前の記録と原典の間に、ずれが 15 件ありました。数学が変わらない付け替え(凸な領域の版を別の定理で引く・帰属を直す・頁を直す)が 12 件、仮定の行の書き直しが要るものが 3 件です。書き直しの 3 件は、(a) 箱の上の固有関数の角までの正則性を「標準」として置いていた行(角のある箱と非対称な重みでは標準の結果から出ないので、仮定の行に分けた)、(b) 端の値についての単調性の連続版の定理番号が未確認の行(未確認と行に残した)、(c) 対数 Sobolev の補題を中心化しない形で使っていた行(原典の再述は中心化した形)です。

ずれは、どれも設定の一語——境界があるか、有限か、中心化するか——で起きていました。そして、ずれが出たのは、記録の側で出典を「記憶」と書いていた行よりも、「標準」と書いていた行でした。「標準」と書いた行は確かめる動機が弱いからです。この部の五分類に「標準」という分類が無いのは、このためです。引く定理は「原典か二次資料で言明を確かめた(典)」「本書で証明を置く(初)」「確かめていない(仮)」のどれかに必ず割ります。

04

記録の数と既知の数 — 陽性対照に使った閉じた式

一段目の道具(判定法・区間演算の機械・箱への帰着)は、答えが閉じた式で分かる模型に先に当てて、正しく動くことを確かめてから二重井戸に当てました。表 3 はその照合の一覧で、比は「記録の側 ÷ 既知の側」です。

表 3 一段目の陽性対照と較正(記録の側の分類は札で。行番号は §06 の表 4 の後に続ける)
#量記録の側既知の側比判定条件・注
20一次元ガウスに Lyapunov と局所 Poincaré の判定(BBCG の型)を当てた最良の定数読 重みの走査で 5.828427(u=0.41422u=0.41422)閉じた式 3+223+2\sqrt2(u=2−1u=\sqrt2-1)1.000000一致6 桁。双対の形でも 8 桁。Leangauss1d_bbcg・gauss1d_equality(仮定なし)
21同じ模型の真の Poincaré の上限読 4.4979(有限要素 400)・4.4994(800)判定法の値 3+223+2\sqrt20.77条件つきの一致判定法の損は 1.30 倍で、向き(判定法 ≥ 真の値)は正しい
22純ガウス V=x2/2V=x^2/2 の CPC_P と命題 H3 の右辺読 右辺 1.10〜1.33(L=4L=4〜128)CP=1C_P=1(Bakry–Émery の等号)1.10〜1.33一致不等式の向きの照合。重なりの割合 → 0 で 1 に近づく Leangauss_box_le_one
23一次元 Ising の熱浴 Glauber で命題 H3 の両辺読 9 例の全てで成立、損 1.17〜1.35 倍全状態の対角化の隙間—一致環 12・16 サイト、結合 0.3・0.6・1.0。不等式の向きの照合
24固定の端の Glauber の箱の隙間読 小さな鎖の全状態の対角化閉じた式 1−γcos⁡(π/(L+1))1-\gamma\cos(\pi/(L+1))1.00000一致表示の 6 桁。境界の値 (+,+)(+,+) でも (+,−)(+,-) でも同じ。原典は書誌だけ
25交互の最大相関(C=2C=2・θ=14\theta=\tfrac14)初 命題 G の φ(e−1/2,e−1)\varphi(e^{-1/2},e^{-1})二状態の電信の鎖の閉じた式 0.73081一致同じ量の二つの表示(10-11 §02)
26格子のキンクの作用読 S0lat=0.665266S_0^{\rm lat}=0.665266(ε=12\varepsilon=\tfrac12)連続の S0=2/3S_0=2/30.998条件つきの一致差 0.2% は格子の刻みの分。連続と格子の差の評価は無い
27相関長の対数 ln⁡ξ\ln\xi読 固有値の差と Herring の式の転送作用素の版、二つの経路半古典の主項 ξ∝ℏ1/2eS0/ℏ\xi\propto\hbar^{1/2}e^{S_0/\hbar}—条件つきの一致二つの経路は中くらいの ℏ\hbar で 6 桁一致。ln⁡ξ−S0lat/ℏ−12ln⁡ℏ\ln\xi-S_0^{\rm lat}/\hbar-\tfrac12\ln\hbar は −0.774/−0.777/−0.778-0.774/-0.777/-0.778 と一定に寄り、主項の形と合う。定数項の比べる相手は無い
28キンク一本の拡散係数読 D/(ℏ/S0)=1.00D/(\hbar/S_0)=1.00〜1.141.14D=ℏ/S0D=\hbar/S_0(過程の水準の定理の係数)1.00〜1.14条件つきの一致ε=0.25\varepsilon=0.25・ℏ=0.02,0.07,0.1\hbar=0.02,0.07,0.1 の点の値。有限の ℏ\hbar の補正と刻みの分
29体積に一様な判定法の当てはめの機械読 調和の模型で 1.0049閉じた式 11.005一致判定法を経路の格子に当てる転送行列の計算の陽性対照(ε=0.25\varepsilon=0.25)
30区間演算の機械:純ガウスの鎖機 ℏ\hbar の区間のまま全ての点が囲いの中段ごとの分散 (k−1)/k(k-1)/k・平均 (k−1)s/k(k-1)s/k1一致区間の幅を 0 にすると点の機械と 10−1210^{-12} の桁で同じ(10-08 §07)
31区間演算の機械:別の実装と点の値機 上界読 浮動小数の再帰 75 本・転送行列の点の値 26 個—一致外れ 0。点の値は全て上界の下(差の最小は 2.85×10−42.85\times10^{-4})
32階層的な Gauss 自由場の隙間—入れ子の箱の深さ NN で L−2NL^{-2N}(既知)比べられない比べる相手として置いた既知の数。リンクの Langevin の自由場の側の数は、まだ計算していない

表 3 の一致の行は、どれも「答えの分かる模型で道具が正しく動いた」ことの確かめで、二重井戸の上の行の正しさを示すものではありません。条件つきの一致の行の条件は、格子の刻み(行 26・28)、有限の ℏ\hbar(行 28)、比べる相手の定数項の欠け(行 27)です。行 21 は、判定法が真の値より 1.30 倍大きく出る損を、答えの分かる模型で測った行で、二重井戸の上で判定法の上界と要る値を比べるときの目安になります(10-09 §05)。

05

比べられない行 — 照合の相手が無い数

一段目の数のうち、照合の相手が見当たらないものを並べます。どれも、組み立てが仮定 H の上の半分に最も近づいた所にある数で、そこにだけ照合の相手がありません。

06

四次元格子の側の十九行

四次元格子の側で記録が計算した数(一ループの傾き κ\kappa・取りこぼし δ(b)\delta(b)・比 m/σm/\sqrt\sigma・質量の上界・CPC_P と自己相関の時間・強結合の閾値・確率時間の指数)を、既存の計算と格子の一次資料の数に照らした一表を残します。比は「記録の側 ÷ 既存の側」で、比べられない行は空けます。各行の詳細と規約の換算は、四次元格子の側の章(10-02)と第 5 部の出典表にあります。

表 4 四次元格子の側の照合(行 1〜19)
#量記録の側既存の側比判定条件・注
1κ(窓の模型)0.3715210.3715111.00003一致一ループ模型の中
2二ループの指数51/121b₁/(2b₀²)1一致有理数の算術
3格子の傾き/一ループ0.304(2)0.37150.819不一致β≤2.60、漸近スケーリング前
4格子の傾き/二ループ0.304(2)0.39720.766不一致二ループはずれを広げる
5δ(b) の c₂0.0197・0.4200—比べられないSymanzik・MCRG と変数が違う
6m/√σ(p=2)/LT3.844(43)3.844(61)1.000条件つきの一致同じ数表・p=2 を選ぶ
7m/√σ(p=1)/LT4.053(73)3.844(61)1.054条件つきの一致χ² で p を選べない
8m/√σ(p=2)/AT3.844(43)3.781(23)1.017条件つきの一致合成誤差の 1.3 倍
9上界 β=2.40(APE)1.025(140)0.953(19)1.076一致空間の一辺が同じ 12(L√σ≈3.2)
10上界 β=2.55(APE)0.531(50)0.586(10)0.906条件つきの一致−1.1σ。12³×24(L√σ≈1.9)と 20⁴
11上界 β=2.60(APE)0.558(51)0.514(8)1.086条件つきの一致12³×24(L√σ≈1.6)と 24⁴
12上界 β=2.60(流れ)0.501(71)0.514(8)0.975条件つきの一致12⁴(L√σ≈1.6)と 24⁴
13比 m(2.40)/m(2.60)1.837(302)1.8540.991条件つきの一致β=2.60 は L√σ≈1.6 の小さな箱
14直線の閾値/SZZ1/121/48(β=4β_SZZ で換算)1.000一致既知の再導出
15一リンク積分後の閾値√(2/27)=0.2722—比べられない周辺測度の閾値。同じ判定法の中で定数が 3.27 倍動く。範囲を広げた主張ではない
16自由場の C_PC_P^(A)=ξ²・4C_P(時刻 0)²ガウス測度・基底状態変換1一致計算し直し
17Langevin の τ_int/ξ²0.5〜1.4—比べられないゼロ温度で連続極限に向かう同じ量の一次資料は、探した範囲で見当たらない
18確率時間の極13/6・−11/3Baulieu–Zwanziger1一致独立な一次資料は一つ
19指数 s−9/22g₀^{9/11}(Lüscher–Schaefer 式 (1.1))1条件つきの一致一ループの主対数と H が条件。独立な確かめではない

四次元格子の側は、一致 6・条件つきの一致 8・不一致 2・比べられない 3 です(行 3 と 4 は同じ不一致の二つの読み)。一段目の側(表 3 の行 20〜32)は、一致 8・条件つきの一致 4・比べられない 1 です。二つを合わせて読むと、一致の行は既知の値の計算し直しか、答えの分かる模型での道具の確かめで、照合の相手が無い行は、どちらの側でも仮定 H に最も近づいた数(四次元格子の側の τint/ξ2\tau_{\rm int}/\xi^2、一段目の側の芯の係数と持ち上げの仮定)に集まっています。

07

外の文書から学んだ依存グラフの見方

ヤン–ミルズの存在と質量ギャップの解決を主張する外部の文書を二つ読み、その中身の正否ではなく、主張の組み立ての読み方として役に立つ型を二つ取り出しました。出典は書かず、型だけを書きます。この本は、それらの文書の正否を判定しません。

  1. 結論を途中の段の前提に置く型。ある文書は、定理と証明の形で段を積み、途中の段(クラスター性・真空の一意性・指数減衰)が「後で示す」質量ギャップの正を前提に置き、質量ギャップの正そのものは物理の関係式と次元解析で支えていました。段ごとに読むと各段は前提から結論を導いていますが、段を番号つきの節点に並べると、最後の結論から途中の段へ戻る辺ができ、番号の規則が破れます。段ごとの検査では見えず、依存グラフに並べると見える型です。
  2. 名前は対象、中身は数の型。もう一つの文書は、主定理を Lean で閉じていました。主定理の連言を定義まで遡ると、「スペクトルに入る」が結論と同じ命題として定義されていたり、隙間の値が字面で置いた有理数だったりして、作用素・場・測度は名前としてだけ現れていました。機械検査を通り、公理の一覧が清くても見えず、定義を遡ると見える型です(10-13 §05)。

この二つの型は、この本の組み立てにも同じように当てて確かめるべきものです。一段目の統合のグラフでは、全ての辺で番号の規則を確かめ、仮定の行の言明が結論の量を含まないことを読んで確かめました(10-12 §03)。Lean の定理は、結論の側に定義を遡る必要のある名前が無いこと(実数の不等式だけ)を、10-13 の六つの問いで確かめられます。

この部は仮定 H を検討の軸に置き、その一段目の数と道具を外の数と道具に照らしました。別の視点は第 11 部で扱います。


この章が言えている範囲

言えている言えていない
典 各条件に最も近い既知の結果がどこで止まるか(表 1)。長い経路の上でキンクの気体の拡散の時間まで鋭い上界を与える既知の定理は、探した範囲で見当たらないそのような定理が無いこと(探した範囲の外)
主要な引用 26 のうち 19 は原典・二次資料・本書の証明のどれかで支えられ、4 は取得が要り、3 は仮定の行に改めたこと(表 2)。ずれの型は設定の一語取得が要る 4 項目の言明
陽性対照の照合(表 3 の行 20〜32):答えの分かる模型で道具が正しく動いたことそれが二重井戸の上の行の正しさを示すこと
四次元格子の側の十九行の照合(表 4)格子の数表の傾きと一ループの値の不一致を、漸近スケーリングの前という理由以上に説明すること
外の文書から取り出した二つの型と、それを本書の組み立てに当てた確かめ外の文書の正否

出典と再現

もの種別出典・道具
既知の定理の言明(表 1)典G. Menz, A. Schlichting, Ann. Probab. 42 (2014), arXiv:1202.1510。G. Di Gesù, D. Le Peutrec, arXiv:1506.04434;M. Brooks, G. Di Gesù, arXiv:2606.16083。F. Martinelli, LNM 1717 (1999) 93–191。L. Bertini, S. Brassesco, P. Buttà, Arch. Ration. Mech. Anal. 190 (2008) 307–345。R. Bauerschmidt, B. Dagallier, Comm. Pure Appl. Math. 77, arXiv:2202.02295。R. Bauerschmidt, T. Bodineau, arXiv:1809.02075。M. Ledoux, LNM 1755 (2001) 167–194。A. V. Kolesnikov, E. Milman, J. Geom. Anal. 27 (2017), arXiv:1310.2526。各章の出典表と同じ
Glauber 力学の閉じた式仮R. J. Glauber, J. Math. Phys. 4 (1963) 294(書誌だけ)。式は小さな鎖の全状態の対角化で独立に確かめた
書誌の確かめの要約(表 2)本書一段目の仮定の表に引いた 55 項目を、原典・二次資料・書誌の照会で確かめた表の要約。項目ごとの書誌は各章の出典表
表 3 の記録の側の数読・機・初浮動小数の計算(転送行列・有限要素・全状態の対角化)・区間演算・本文の閉じた式。それぞれの章の出典表
表 4 の十九行本書四次元格子の側の照合の一表(第 5 部・10-02 の出典表に原資料の書誌)
二つの型本書構成や証明を主張する外部の二つの文書の読み(出典は伏せた)

この章で使った語 — 突き合わせ・一致・条件つきの一致・不一致・比べられない・陽性対照・較正・既知の定理との距離・設定の一語・結論を途中の段の前提に置く型・名前は対象、中身は数の型。意味は A-02 用語集 にあります。

次に読む章:10-15 残件と費用 — 定理までの距離 — 統合表の仮定の行ごとに残件と費用を並べ、一段目の中の距離と二段目以後の距離を分ける。

← 10-13 Lean の言明と機械検査の限界目次10-15 残件と費用 →

改訂 2026-10-09:初版。