computo ergo sum

2026-10-15 · chapter ヤン–ミルズと質量ギャップ第 14 部 閉じる — 条件つきの言明示さない・強く読まない・偽とも言わない · Kiichi, Shiori and Rin

この本の全体 目次と読む順
  1. 第 0 部 入口 — この本の読み方
  2. 0-01 この本の読み方
  3. 0-02 一枚の絵
  4. 0-03 問題文を一語ずつ読む
  5. 0-04 数学の四次元と物理の四次元
  6. 第 1 部 数学の準備
  7. 1-01 ベクトル空間と線形写像
  8. 1-02 群とは何か
  9. 1-03 リー群とリー環
  10. 1-04 SU(2) と SU(3)
  11. 1-05 多様体と接空間
  12. 1-06 微分形式と外微分
  13. 1-07 ベクトル束と接続
  14. 1-08 確率と測度
  15. 1-09 無限次元の確率
  16. 1-10 ヒルベルト空間と自己共役作用素
  17. 1-11 フーリエ解析と分布
  18. 1-12 寄り道:四次元でだけ起きること
  19. 第 2 部 物理の準備
  20. 2-01 ラグランジアンと作用
  21. 2-02 場という考え
  22. 2-03 電磁気学はゲージ理論である
  23. 2-04 特殊相対論と時空
  24. 2-05 量子力学の骨
  25. 2-06 調和振動子と生成消滅
  26. 2-07 経路積分の考え方
  27. 2-08 統計力学と相転移
  28. 2-09 寄り道:イジング模型で見るギャップと相関長
  29. 2-10 緩和の時間と動的指数 z
  30. 第 3 部 ヤン–ミルズ理論(古典)
  31. 3-01 ゲージ原理
  32. 3-02 非可換ゲージ場
  33. 3-03 作用と方程式
  34. 3-04 幾何としてのゲージ理論
  35. 3-05 インスタントンと位相
  36. 3-06 寄り道:Donaldson とエキゾチック R⁴
  37. 3-07 標準模型の中のヤン–ミルズ
  38. 第 4 部 量子化
  39. 4-01 正準量子化とハミルトニアン
  40. 4-02 経路積分とユークリッド化
  41. 4-03 摂動論と Feynman ダイアグラム
  42. 4-04 発散と繰り込み
  43. 4-05 発散の代数
  44. 4-06 漸近自由
  45. 4-07 次元転移と Λ
  46. 4-08 ゲージ固定と Faddeev–Popov
  47. 4-09 場の量子論の公理
  48. 4-10 Osterwalder–Schrader の公理と再構成
  49. 4-11 質量ギャップの定義
  50. 4-12 寄り道:摂動級数は発散する
  51. 第 5 部 格子ゲージ理論
  52. 5-01 Wilson の格子
  53. 5-02 強結合展開
  54. 5-03 反射正値性と転送行列
  55. 5-04 無限体積極限とクラスター展開
  56. 5-05 弱結合と連続極限
  57. 5-06 U(1) と非可換の違い
  58. 5-07 モンテカルロ法
  59. 5-08 グルーボールと弦張力の測定
  60. 5-09 何を固定して極限を取るか
  61. 5-10 有限群の格子ゲージ理論
  62. 5-11 寄り道:Bakry–Émery と一リンク積分
  63. 第 6 部 構成的場の理論
  64. 6-01 構成的場の理論とは
  65. 6-02 二次元の可解性とヤン–ミルズ測度
  66. 6-03 スカラー場の構成
  67. 6-04 クラスター展開
  68. 6-05 繰り込み群の段の列
  69. 6-06 三次元ヤン–ミルズの紫外安定性
  70. 6-07 四次元
  71. 6-08 四次元の φ⁴ の自明性
  72. 6-09 確率量子化と正則性構造
  73. 6-10 四次元で止まる場所
  74. 6-11 発散以外の障害
  75. 6-12 寄り道:「1/0 に記号を与えれば」
  76. 第 7 部 物理の側から
  77. 7-01 物理はどう見ているか
  78. 7-02 閉じ込めの機構
  79. 7-03 弦の絵
  80. 7-04 大 N
  81. 7-05 ひも理論と余剰次元
  82. 7-06 余剰次元が見えなくなる仕組み
  83. 7-07 ゲージ場はどこから来るか
  84. 7-08 ホログラフィー
  85. 7-09 質量ギャップが幾何になる
  86. 7-10 四次元に戻す
  87. 7-11 超対称と Seiberg–Witten
  88. 7-12 等価原理に当たる一文
  89. 7-13 物理の掘り方が数学と離れる場所
  90. 第 8 部 二つの言葉の辞書 — 物理の視点と数学の視点
  91. 8-01 辞書の読み方
  92. 8-02 辞書 A
  93. 8-03 辞書 B
  94. 8-04 辞書 C
  95. 8-05 私たちの仮定の物理側の対応
  96. 地図
  97. 第 9 部 現在地と課題
  98. 9-01 世界はどこまで来ているか
  99. 9-02 二つの掘り方の切れ目
  100. 9-03 新しい概念の候補
  101. 9-04 課題の一覧
  102. 9-05 よくある誤解
  103. 9-06 証明が含むべき段 — 七段の表
  104. 一本目の道 — 時間の方向から
  105. 第 10 部 一本目の道(前半)— 時間の方向から:質量ギャップと拡散型緩和時間の仮定
  106. 10-00 入口 — 階段と、酔歩・物差し・時計
  107. 10-01 構成の筋と仮定 ξ²
  108. 10-02 四次元格子で試した道と壁
  109. 10-03 階段の四段 — なぜ 0+1 次元から始めるか
  110. 10-04 二重井戸の経路の測度とキンク
  111. 10-05 一段目の言明 — 四条件と命題 4.5
  112. 10-06 (H1) 相の中の局所 Poincaré
  113. 10-07 (H2) の地図 — 七つの道筋と環の継ぎ目
  114. 10-08 計算機援用とは何か — 窓の中の鎖の条件
  115. 10-09 区画の枠組みと道筋 5 の三本の筋
  116. 10-10 迂回策の一覧 — 壊れ方の型
  117. 10-11 (H3)(H4) と芯の定数
  118. 10-12 統合表と依存グラフ
  119. 10-13 Lean の言明と機械検査の限界
  120. 10-14 突き合わせ — 記録の数と既知の数
  121. 10-15 残件と費用 — 定理までの距離
  122. 10-16 主張しないこと
  123. 10-17 ひらめきと小さな問い
  124. 第 11 部 一本目の道(後半)— 仮定の形を直し、時間を連続にする
  125. 11-00 今後の考察 — 入口
  126. 11-01 仮定 ξ² を妨げる一つの形 — ほぼ保存される大域の量
  127. 11-02 物差しと座標を選び直す — 保存が壊れる長さ
  128. 11-03 仮定 ξ² を直す二つの形 — 区画の仮定 ξ² と局所の仮定 ξ²
  129. 11-04 片側の橋はどの仮定 ξ² を要るか
  130. 11-05 時間を連続にする — Hamiltonian 格子と真空の測度
  131. 11-06 凸性の代わりに稀さで払う — 群の上の繰り込みと対数 Sobolev
  132. 11-07 四次元だからこそ — 無次元の結合と位相
  133. 11-08 問いと、主張しないこと
  134. 11-A1 第 11 部の記号の対応表
  135. 二本目の道 — 空間の方向から
  136. 第 12 部 二本目の道:空間の方向から — 小さな捩れた T² と閉じ込め
  137. 12-00 入口 — 時間でなく空間を
  138. 12-01 捩れた T² と 't Hooft の流束
  139. 12-02 渦と分数インスタントン
  140. 12-03 容器 — 枠を条件づけると独立になる
  141. 12-04 板の閉じ込め
  142. 12-05 渦の挿入の恒等式
  143. 12-06 力学で駆動した挿入と流れの補題
  144. 12-07 なぜ決まった写像は失敗するか
  145. 12-08 測った記録
  146. 12-09 この道が止まる場所 — T² を広げることが帯である
  147. 移り変わりの帯 — 二本の道が同じ壁に着く
  148. 第 13 部 移り変わりの帯 — 二本の道が同じ壁に着く
  149. 13-00 入口 — 合流
  150. 13-01 帯の正しい形
  151. 13-02 一つの不等式への還元
  152. 13-03 非可換が効く唯一の場所
  153. 13-04 構造だけでは渡れない
  154. 13-05 チェス盤と同時の反転
  155. 13-06 繰り込みの比較 — 群を区別する比較
  156. 13-07 時間の側から見た帯
  157. 13-08 試して止まった道の地図
  158. 13-09 測った記録
  159. 13-10 新しい見方の候補
  160. 13-11 紫外の制御 — 無限個の段で閉じるとは何か
  161. 閉じる
  162. 第 14 部 閉じる — 条件つきの言明
  163. 14-00 入口 — この部の約束
  164. 14-01 条件つきの言明 — 質量ギャップと閉じ込めを矢印ごとに
  165. 14-02 条件の台帳
  166. 14-03 問いの表(横断の索引)
  167. 14-04 主張しないこと(横断の索引)
  168. 付録
  169. A-01 記号表
  170. A-02 用語集
  171. A-03 文献案内
  172. A-04 Lean と機械検査
  173. A-05 この本の作り方
  174. A-06 仮定の索引
  175. A-07 この本から出た論文

主張しないこと(横断の索引)

この章で分かること — この本が主張しないことを、部をまたいで一つの索引にしたもの。第 10 部の十四項目(10-16 表 2)と第 11 部の十六項目(11-08 表 4)は、項目を移さずに章と項目番号で引きます。第 12・13・14 部の本文の「言えないこと」の節から項目を拾い、この頁で番号(項目 12a〜・13a〜・14a〜)を振って、支える本文の場所と並べます。最後に、第 12〜14 部の文が一行の要約で条件を落とす例を表にします。

前提となる章 — なし。どこから読んでもよい章です。三つの意味(示さない・強く読まない・偽とも言わない)は 10-16 §01 のとおりに使います。台帳の行の番号は 14-02 表 2。

先に言うこと — この本は、ヤン–ミルズの存在と質量ギャップの問題を解いていません。連続極限の構成も、質量ギャップの証明も、連続極限での閉じ込めの証明もありません。この章は、その事実を項目に割って書き出すだけで、新たな結果を足しません。

この章の順序
  1. 索引の読み方 — 三つの意味と、部ごとの項目の数(表 1)
  2. 第 10 部の十四項目 — 10-16 表 2 を引く(表 2)
  3. 第 11 部の十六項目 — 11-08 表 4 を引く(表 3)
  4. 第 12 部の項目 — 二本目の道の道具について(表 4)
  5. 第 13 部の項目 — 帯について(表 5)
  6. 第 14 部の項目 — 条件つきの言明と台帳について(表 6)
  7. 条件は要約で落ちる — 第 12〜14 部の文と一行の要約(表 7)

01

索引の読み方 — 三つの意味と、部ごとの項目の数

「主張しない」には三つの意味があります(10-16 §01)。示さない:その命題について、この本は何も示していない。強く読まない:示したことには条件や仮定が付いていて、条件を外した形で読むと示していない文になる。偽とも言わない:ある方法で届かなかったことはその方法の性質で、届かなかった命題が偽だという主張ではない。ほかに、既知の再導出を成果に数えない・他の文書の正否を判定しない、という「判定しない・数えない」の項目があります。

三つ目は論理の形で書くと区別がはっきりします。「PP を主張する」を ⊢P\vdash P と書くと、¬(⊢P)\neg(\vdash P) と ⊢¬P\vdash\neg P は別の文で、この章の「主張しない」はいつも左の意味です。第 13 部の項目には、もう一つの向きがあります。数値の読みが命題の反対を示している場合(比較原理の測定、項目 13d)で、そのときも本は反対の命題を定理として主張せず、「読み」として置きます。

表 1 部ごとの項目(番号の付け方と数)
部番号数引く表・節
第 10 部(一本目の道・前半)項目 1〜141410-16 表 2
第 11 部(一本目の道・後半)項目 1〜161611-08 表 4(規則の候補についての五項目は 11-08 §02 の末尾)
第 12 部(二本目の道)項目 12a〜12m13この頁の表 4(各章の「言えないこと」)
第 13 部(移り変わりの帯)項目 13a〜13l12この頁の表 5
第 14 部(閉じる)項目 14a〜14f6この頁の表 6

第 10 部の項目は第 11 部にもそのまま効き(11-08 §04)、同じように、第 10・11 部の項目は第 12〜14 部にもそのまま効きます。特に「届かなかったことは偽の証拠ではない」(10-16 の項目 8・12)と「条件は要約で落ちる」(10-16 §06)は、全ての部に共通です。

02

第 10 部の十四項目 — 10-16 表 2 を引く

表 2 は項目の要旨と種類と、支える本文の主な場所だけを並べます。項目の全文と、支える本文の全ては 10-16 表 2 にあります。第 10 部の項目が名指す仮定は、今の名で拡散型緩和時間の仮定(記号 仮定 ξ²、上側 ξ²↑・下側 ξ²↓。旧称 仮定 H)と呼び、表 2 の要旨はこの名で書きます。

表 2 第 10 部の項目(要旨。全文は 10-16 表 2)
項目要旨種類支える本文(主なもの)
1存在と質量ギャップの問題の解決・連続極限の構成示さない10-01 §08
2一段目でも冪の仮定 ξ² は示していない。命題 4.5 は四つの条件の上の代数示さない10-05 §08
3四つの条件の全ての行が同時に成り立つ ℏ\hbar は、まだ一つも無い示さない10-12 §06
4計算機援用の結果は、計算した範囲の中の不等式強く読まない10-08 §10
5読みは上界としても下界の証明としても使わない強く読まない10-00 表 1
6Lean の定理は仮定から結論への代数の検査強く読まない10-13 §05
7一段目から二段目以後へは、文の形と道具の形が持ち上がる見込みだけ強く読まない10-03 §06
8ある道具で届かなかったことは、その道具の性質偽とも言わない10-10 の範囲の表
9既知の再導出は成果に数えない。他の文書の正否は判定しない判定しない10-14 §03
10四次元格子の側の記録も仮定のまま示さない10-01 §05
11ξ²↑ は片側の橋の仮定の下で隙間の下界を含意するが、逆は一般には偽。仮定 ξ² は質量ギャップそのものではない強く読まない10-01 §06
12迂回策の「死」は残る命題が偽だという意味ではない偽とも言わない10-10 §03
13周期の箱で ξ²↑ が破れるという読みは、文献の数値と予想の上の条件つきの読み偽とも言わない10-01 §05
14仮定の行が残る命題を、結果として外へ出さない数えない10-12 §08
03

第 11 部の十六項目 — 11-08 表 4 を引く

表 3 は第 11 部の項目の要旨と種類と、支える本文の主な場所です。全文は 11-08 表 4 にあります。規則の候補(N1〜N6)について主張しないこと(無矛盾性も三段目への見込みも示さない、ブール代数の喩えは比喩、ほか五つ)は 11-08 §02 の末尾にあり、ここでは引くだけにします。

表 3 第 11 部の項目(要旨。全文は 11-08 表 4)
項目要旨種類支える本文(主なもの)
1存在と質量ギャップの問題の解決。連続極限・回転の回復・OS 公理・非自明性には触れない示さない11-00 §05
2仮定 ξ² が偽であること(周期の箱の読みは原典の数値と予想を延ばした読み)偽とも言わない11-01 §06
3区画の版と局所の版は定義の候補で、どの β\beta でも示していない示さない11-03 §07
4片側の橋は時間を連続に取った格子の上の不等式。Wilson の時間を刻む格子では仮定 (D) が残る強く読まない11-04 §08
5「隙間=真空の測度の Poincaré 定数」は恒等式で、問題を易しくしたとは言わない強く読まない11-05 §07
6保存が壊れる長さの定義と、比べる相手の言い直しは候補強く読まない11-02 §08
7階層模型と二次元の模型の結果は、四次元に何も含意しない強く読まない11-06 §09
8物理の非摂動的な機構(閉じ込め・インスタントン・中心渦・双対)は、第 11 部では証明の道具として使っていない示さない11-07 §08
9「四次元だからこそ」の二点は臨界次元の性質としての見立て強く読まない11-07 §01
10第 10 部の「主張しないこと」は第 11 部にもそのまま効く—10-16 §02
11局所の版は定義と比の形まで。対象のゲージ理論について局所の ξ²↑ を示していない示さない11-03 §03
12局所の橋の閾は参照の取り方と試験の観測量の族に依る強く読まない11-04 §06
130+1 の二重井戸では局所の比は 1 にならない。四次元で短い距離で 1 に近づくとするのは漸近自由に依る仮定強く読まない11-04 §07
14保存が壊れる長さを測ったのは二次元 U(1)U(1) の幅 2 の領域だけ強く読まない11-02 §03
15SU(2)SU(2) で位相電荷の凍結が仮定 ξ² を壊すかは決まっていない偽とも言わない11-07 §07
16二次元 CPN−1CP^{N-1} の試験台の結果は四次元に何も含意しない強く読まない11-02 §07

第 11 部の項目 8 は、第 12・13 部と並べると読み方に注意が要ります。第 11 部は中心渦やインスタントンを証明の道具として使いませんでしたが、第 12 部は渦の面と分数インスタントンを道具の中心に置きます。ただし使うのは格子の上の有限の恒等式と、格子間隔を固定した評価と、条件つきの文だけで、物理の機構をそのまま証明に持ち込むことはしていません(項目 12b・12d・12e)。

04

第 12 部の項目 — 二本目の道の道具について

第 12 部(空間の方向から)の各章の「言えないこと」の節から拾った項目です。群は SU(2)SU(2)、小さな T² には捩れ n12=1n_{12}=1 を入れた場合です。種類の列は三つの意味(と「判定しない・数えない」)です。

表 4 第 12 部が主張しないことと、それを支える本文の文
項目主張しないこと種類支える本文の文(要旨)
12a「小さな T² の大きさまで弱結合のまま」は定理ではない。紫外の制御を仮定した上での物理の見立てで、格子間隔に一様な評価はこの本のどこにも無い。小さな T² と R4\mathbb R^4 が相転移なしにつながること(断熱的な連続性)は予想で、使わない示さない12-00 §08 の (a)(b)
12b板の閉じ込めの定理は、格子間隔と T² の大きさ NN を固定した文。下界 −ln⁡tanh⁡(βN2)≈2e−2βN2-\ln\tanh(\beta N^2)\approx2e^{-2\beta N^2} は連続極限で 0 になり、N→∞N\to\infty でも消える。格子間隔に一様な張力についても、四次元の閉じ込めについても何も言わない強く読まない12-04 §07 の (a)(b)・§04
12c容器の恒等式(補題 5)は Mack–Petkova の恒等式の書き直しで、既知。和のアンサンブルでの書き直し・固定した区画への移し方・入れ子・挿入の恒等式・板の閉じ込めの定理も初等的で、先行文献との照合が済んでいない。この部の結果に新しさは主張しない数えない12-03 §08 (a)・12-04 §06・12-05 §08 (d)
12d挿入の恒等式と不等式は、どれも閉じ込めを導かない。大偏差の段・紫外の段・二次モーメントの上界が残る示さない12-05 §08 (a)・§07
12e希薄な分数インスタントンの気体の勘定(弦の張力 ∝Λ2(ΛL)5/3\propto\Lambda^2(\Lambda L)^{5/3}、余裕 5/3=11/3−25/3=11/3-2)は、ΛL≪1\Lambda L\ll1 の希薄な領域・一ループの水準の物理の見立て。冷却で得た作用の値は最小作用の上界で、下界ではない強く読まない12-02 §07 の (a)(b)
12f論文 3 の定理 A は草稿の言明で、この本の札は「仮」。NN に一様でなく、連続極限についても質量ギャップについても何も言わない。逆向きの評価(MM に一様)は開いている強く読まない12-02 §06・§07 (e)
12g四次元で独立な容器から出るのは R/ln⁡RR/\ln R まで、という勘定は、原典の仮定(太い容器の自由エネルギーが境界の値に一様な形)の上の勘定で、四次元の定理ではない。その仮定もその否定も示していない強く読まない12-03 §08 (d)
12h捩れた T² の三つの事実(真空の一意性・随伴の場のギャップ 4sin⁡2(π/2N)4\sin^2(\pi/2N)・(1,1) の区画に平坦な配位が無いこと)は、格子間隔 a→0a\to0 について何も言わない。随伴の場のギャップは古典の揺らぎの下限で、量子の有効作用のギャップではない強く読まない12-01 §09 (a)
12iLean の欄は有限和と実数の代数だけ。SU(2)SU(2) の Haar 測度・余閉な符号の場・区画の位相と射影・θ\theta が区画の偏りであることは Lean の外強く読まない12-03 §08 (f)・12-04 §07 (e)・12-05 §08 (b)
12jこの部のどの文も、T² を 1/Λ1/\Lambda を越えて広げることについて何も言わない。その段が移り変わりの帯で、二本目の道はそこで止まる示さない12-02 §07 (d)・12-09
12k駆動した挿入の恒等式と流れの補題は閉じ込めを導かない。「一段の核では反転の確率が 12\tfrac12 程度で頭打ち」は測定と記録の判断で、定理ではない。Crooks の関係と Jarzynski の等式は既知強く読まない12-06 §08 の (a)(d)(e)
12l等長的な写像と整形する写像の比較は一ループ(ガウス)の水準の文。「上界は変分と明示的な構成からしか出ない」はこの本の道具の一覧についての判断で、定理ではない。余りの相対エントロピーが面積に比例することは、一般の写像については見立て強く読まない12-07 §08 の (a)(c)(e)
12m第 12 部の測定の数は証明ではない。T² を広げた傾向は帯を数値で示すものではなく(Lσ≈2L\sqrt\sigma\approx2 程度まで)、同時の反転の測定を帯の数値的な姿として読むことは撤回されている強く読まない12-08 §07 の (a)(b)(f)
05

第 13 部の項目 — 帯について

第 13 部(移り変わりの帯)の各章から拾った項目です。帯は、弱結合から強結合へ移る尺度 L∼1/ΛL\sim1/\Lambda の前後の区間で、第 10・11 部の「窓」とは別物です(13-00 §02)。

表 5 第 13 部が主張しないことと、それを支える本文の文
項目主張しないこと種類支える本文の文(要旨)
13a帯は未解決。帯を渡る文(ln⁡(1/θ(L,L))≥cL2\ln(1/\theta(L,L))\ge cL^2 が LL に一様、またはその途中の到達点)を、この本はどの形でも示していない。繰り込みの比較も β 単調性も、帯のどの β\beta でも示していない示さない13-01 §06・13-02 §08・13-06 §09 (a)
13b還元は問題を易しくしたのではない。還元の定理は三つの仮定の上の文で、横広げの不等式の強い形は閉じ込めより強い(板の張力の単調性を含む)。帯の中の比較を固定した β\beta の面積則に縮める補題も還元で、その仮定は未解決の問題を含む強く読まない13-02 §05・13-06 §09 (c)・14-02 §03
13c「繰り込みの比較は両端で成り立つ」を条件を外して読まない。強結合の端は u≤u0≈10−80u\le u_0\approx10^{-80} の範囲の、記帳の一部が概略の筋で、弱結合の端は一ループの水準の計算。非摂動の弱結合の比較は、どの β\beta でも示されていない強く読まない13-06 §09 (b)・§03
13d比較原理(R4\mathbb R^4 の Wilson ループが捩れた板のループで押さえられる、という形)は一ループの水準の文で、非摂動の道具として使わない。SU(2)SU(2)・Wilson 作用・β=2.1\beta=2.1 で、捩れのある板 16×16×2×216\times16\times2\times2 のプラケットが 16416^4 より低い(誤差を両側から取って 7σ、独立な再実行で 5.5σ)ので、小さなループで破れている。本はこれを反証の読みとして置く 読(定理ではない)強く読まない13-08 §04
13e格子を 2 倍にする試験の数値(848^4 までの小さな格子・少ない β\beta・1〜3 本の種)は向きの読みで、SU(2)SU(2) に閉じ込めない相への相転移が無いことの証拠ではない強く読まない13-06 §09 (d)・13-00 §03 (ii)
13fβ 単調性が偽だとは言わない(反例は見つかっていない、読)。真ん中の四つの顔は候補で、どれも尺度に一様な評価を持たない偽とも言わない13-06 §09 (e)(f)
13g一段目の壁「15/4 対 4」は帯の縮図であって帯ではない。一段目の結果が四次元の何かを含意するとは言わない。四次元に「移り変わる長さを越える有限のブロック」が無いことは、ブロックの道が四次元で不可能だという主張ではない強く読まない/偽とも言わない13-07 §07 の (b)(f)・13-00 §05
13hブロックと混合の道(道 C)が一段目を閉じるとは言わない。行は命題 K′ を除いて「仮」と「読」示さない13-07 §07 (d)・10-15 §道 C
13i「非可換が効く唯一の場所」は「この還元の中で」という限定つきの言い方。余裕 5/3=11/3−25/3=11/3-2 は希薄な領域・一ループの水準の物理の見立て強く読まない13-02 §08・13-00 表 1
13j構造だけの入力(鏡映正値性・中心と双対の恒等式・転送行列の正値性)から横広げの不等式が出ない、という否定の補題は「この入力の組だけでは」の形の文で、帯が渡れないという主張ではない偽とも言わない13-00 表 1・13-04 §04
13k新しい見方の候補は、どれも帯を閉じない。帯のコンパクト性による還元は還元で、帯を易しくしたとは言わない。候補が既知の事実の組み合わせでないとも言わない示さない13-10 §07 の (a)(b)(g)
13l試して止まった道の「止まった」は、その道具が帯を渡れなかったという意味で、道の目標の命題が偽だという意味ではない。見立ての理由で止めた道は、新しい入力があれば開き直せる偽とも言わない13-08 §01
06

第 14 部の項目 — 条件つきの言明と台帳について

表 6 第 14 部が主張しないことと、それを支える本文の文
項目主張しないこと種類支える本文の文(要旨)
14a閉じ込め(面積則)は質量ギャップではない。面積則から質量ギャップを出す既知の道は無く、二つを同じ理論の上で結ぶ矢印は開いている(何を仮定すれば足りるかの言明も未定)示さない9-06 §03・14-01 §04・12-00 §08 (c)
14b条件つきの言明は、帯を仮定に置いた限りでの言明。「定理」と呼ぶのは紙の証明を本に置いた矢印だけで、帯の形の仮定(横広げの不等式・一様な板の張力・一様な板のギャップ)は結論の中身を担っている強く読まない14-01 §05
14cR2×\mathbb R^2\times 小さな捩れた T² の研究計画の命題(ギャップの側の矢印 G1・閉じ込めの側の矢印 C2)は条件つきで、筋の段にある。G1 の仮定(ブロックの相関が率 m≥c/Lm\ge c/L で減る)は結論の量を含む強く読まない14-01 §02・§03
14d台帳の行が全て消えても、問題が解けることにはならない。R4\mathbb R^4 への極限・面積則とギャップの結び・全てのコンパクト単純群・検証の四つが残る示さない14-02 §05・14-00 §01
14e記録の上で閉じている行(印 ■)は、本の台帳から消えたことを意味しない。行が消えるのは、紙の証明が本に置かれ、Lean の欄があればその再検査が済んだときだけ強く読まない14-02 §01
14f台帳の行の数は進み具合の目盛りではない。行は割れて増えることもある数えない14-02 §06
07

条件は要約で落ちる — 第 12〜14 部の文と一行の要約

主張を強く読む誤りは、多くの場合、本文の文を一行に縮める段で起きます(10-16 §06)。表 7 は、第 12〜14 部の本文の条件つきの文と、条件を落としきった一行を並べたものです。右の列の文はどれも、この本が示していない文です。

表 7 本文の文(条件つき)と、条件の落ちた一行(右はどれも誤り、または示していない文)
話題本文の文条件の落ちた一行
板の閉じ込め格子間隔と T² の一辺 NN を固定すれば、全ての β\beta で σ≥−ln⁡tanh⁡(βN2)\sigma\ge-\ln\tanh(\beta N^2) 初(12-04 §02)格子ゲージ理論の閉じ込めが示された
論文 3 の定理 A固定した N≥2N\ge2・ℓ≥2\ell\ge2・β≥1\beta\ge1・M∈2ℓNM\in2\ell\mathbb N で、率 S∗(N,ℓ)S_*(N,\ell) の面積則の下界(草稿の言明。本の札は 仮、12-02 §06)分数インスタントンが閉じ込めを起こすことが示された
一ループの比較揺らぎを整形する比較で β−β′=0.258\beta-\beta'=0.258(二倍あたり) 初(一ループの水準、13-06 §03)繰り込みの比較が成り立つ
二倍の試験SU(2)SU(2) で読んだ β−β′\beta-\beta' は +0.13+0.13〜+0.25+0.25(44→844^4\to8^4 ほか・β=2.5\beta=2.5〜3.03.0・種 1〜3 本) 読SU(2)SU(2) には帯の中に相転移が無い
還元の定理基点・枠の減相関・横広げの不等式の三つの仮定の下で、帯の正しい形が出る 初(条件つき、13-02 §03)帯は一つの不等式に帰着して、易しくなった
帯の中の比較帯の各 β\beta での両側の面積則(仮定 (A))の下で、帯の中の比較は有限個の段に縮む 初(13-06 §06)帯の中の繰り込みの比較が示された
Lean の反復Doubling.iterate(仮定:c≥0c\ge0・tk≥0t_k\ge0・tk+1≤c3tk4t_{k+1}\le c^3t_k^4。結論:c tk≤(c t0)4kc\,t_k\le(c\,t_0)^{4^k})は実数の列の代数帯の還元は Lean で検査された
z の鏡映正値性記録では閉じている(印 ■)。紙の証明を本に置くまで、台帳の行 ⑤ は残る(14-02 §01)台帳の ⑤ は消えた

表 7 の誤りの型は、第 10 部の表 5 と同じ二つです。一つは範囲(格子間隔の固定・NN の固定・一ループの水準・小さな格子)が落ちる型、もう一つは分類(読・仮・Lean の範囲)が落ちる型です。第 12〜14 部ではもう一つ、「還元した」を「易しくした」と読む型が加わります。還元は難しさの場所を一つに集めたもので、難しさを減らしたものではありません。


この章が言えている範囲

言えている言えていない
この本が問題文(0-03)の存在と質量ギャップについて何も示していないこと。第 10・11 部の項目がどの章のどの文に支えられるか(表 2・表 3)問題文の主張の真偽。連続極限の存在。体積に一様な隙間
第 12・13・14 部の項目と、それを支える本文の場所(表 4〜表 6)各項目の命題の真偽。13-03〜13-05・13-09 の章の文のうち、表 5 の行と重なるもの以外は拾っていない
第 12〜14 部の条件つきの文と、条件の落ちた一行の対(表 7)表 7 の右の列の文が偽であること(示していない、というだけ)

出典と再現

もの種別出典・道具
三つの意味本書10-16 §01
表 2 の各行本書10-16 表 2 と、その右の列の章
表 3 の各行本書11-08 表 4 と、その右の列の章
表 4〜表 6 の各行本書右の列の章の「言えないこと」「残るもの」「台帳の外に残る差」の節
表 7本書左の列の章の言明と札。数値の条件は 13-00 §03 (ii) と 13-06 §05
問題文典A. Jaffe, E. Witten, Quantum Yang–Mills Theory, Clay Mathematics Institute (2000)(0-03 の出典表)

この章で使った語 — 示さない・強く読まない・偽とも言わない・判定しない/数えない・要約で落ちる条件・移り変わりの帯・還元・台帳の外に残る差・拡散型緩和時間の仮定。意味は A-02 用語集 と A-06 仮定の索引 にあります。

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改訂 2026-10-15:初版。